悟空の戦闘とも呼べない戦闘を目撃してしまった男の名は、ナツキ・スバルというらしい。
スバルも悟空と同じく気がついたらここにいて、気を落ち着かせるためにここに入ったらしい。
「それってつまり、悟空も俺と同じく異世界召喚でここに来たってことじゃないのか?」
と、スバルの言葉に悟空は頷くと、スバルへと1つ提案をする。
「スバル、オラと一緒に来てくれねーか?オラ、頭使うのが苦手でよ。スバルが来てくれたら助かるぞ」
悟空は今まで、暇があれば修行をしてきた。そのためか、腕に自信はあっても頭に関してはポンコツでしかなかった。
戦いのことならば、天才的な才能を発揮をしていくらでも頭が働くのだが。
そういうこともあって、悟空は自分より賢そうなスバルとの同行を願い出たのだ。それにスバルは、先程断片的にだが見た悟空の強さを思い出しながら、首を縦に振っていた。
スバルは悟空ほどの腕の持ち主の側にいれば、安心。そう考えて悟空の提案を承諾したのだが、いまだに自分になにか特別な能力を授けられているはず。
そう信じていたのだった。
「そういえば悟空。お前、なんか妙に強かったけど、それチートかなにか?」
「チート?なんだそれ?オラは前から強かったし、あれでも結構手加減したんだぞ?」
悟空の言葉を戯れ言と決め付け、スバルは前へと進む。
それも当然だろう。悟空の今の容姿は、ピラフ一味によって子どもにされたままだ。
その姿で、前から強かった。そう言われても誰も信じようとはしないだろう。
スバルのようなサブカルチャーに詳しい日本人ならば、召喚者から贈られた特典やチートなのだと思うだろう。
「ねぇ、あなたたち。さっき誰かがここを通り過ぎて行くのを見なかった?」
悟空とスバルに話しかけてきたのは、銀髪の美少女だった。全身に白色の服を纏った、不思議な雰囲気の少女。
瞳は紺色で、耳が尖っているのが特徴だった。
まあ悟空のいた地球にはピッコロなどの、宇宙人ではあるが耳の尖った者もいた訳で、大して驚いてはいなかったのだが。
しかし、スバルは違ったようで、大変驚いているようだ。少し頬を赤く染めているところを見れば、女に慣れていないようにも感じられる。
「見なかったけど、どうしたんだ?」
悟空は頭に?を浮かべながらそう答えると、少女は礼を言ってその場を離れようとしていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
しかし、スバルが少女を引き留めると、胸を張ってなにかを口走り始めた。
自分たちもその人探しを手伝いたい。一日一善を目標に掲げている、など。悟空の意思を無視して、同行することが決まろうとしていた。
「この子たちには悪意が感じられないようだし、いいんじゃないの?」
突然現れた猫は、少女にそう言っていた。
「それに、なにかがあったとしてもボクが守るから。その小さい子も、どうやらとてつもない力を持っているようだしね」
「小さいって、どう見たってオメェの方が小さいじゃねーか!」
悟空の言葉にその場にいる全員が苦笑いをすると、スバルが悟空の頭を撫でながら言った。
「確かに悟空は強かったけど、そこまで言うか?普通」
「なにすんだ!」
パシッ。つい悟空は、頭を撫でるスバルの手を払い除けてしまったのだが……忘れてもらっては困る。
悟空の体は、いくら小さいとはいえ通常形態でフリーザやセルを圧倒するほどのもの。
払い除けられたスバルの手は、曲がってはいけない方向へと曲がってしまっていた。
それにスバルは声にならない悲鳴を上げ、気絶をしてしまった。それに慌てる少女と、感心する猫。そしてやっちまったぜ、という表情の悟空。
それぞれが違う表情ではあるが、どこか楽しそうでもあった。
結局、その後にスバルが目を覚ましたのは1時間後で、その間に落ち着きを取り戻した少女が回復魔法をかけて待つのであった。