悟空はサテラと名乗った少女とスバルを乗せて、空を飛んでいた。どうやらこの世界でも、空を飛べるものは珍しいらしく、最初はサテラも驚いていたのだが、今ではアホの子のようにはしゃいでいた。
「おお、凄いな。寝起き早々、空の上。これが日本では味わえない、異世界の特権ってやつか……」
スバルはついさっきまで気絶をしていて、悟空が首根っこを掴んで飛んでいたのだが、起きて早々によく分からないことを呟き始めた。
悟空たちが向かっているのは、盗品蔵と呼ばれる場所。林檎、もといリンガ屋の店主から聞いた話では、盗まれた物の大抵はそこに運ばれるらしい。
徒歩で向かっていては、時間がかかるので悟空が2人を抱えて飛んでいるというわけだ。
「悟空、君は本当に不思議だね。体からマナを感じないくせして、空を飛んだりマナがなければできないことを平然とやってのける。君、人間なのかい?」
サテラの精霊パックが、悟空へと疑問に思ったことを聞くのだが、サテラにそんなこと聞いちゃダメと、注意をされていた。
そんなこんなで盗品蔵に着いた時、まだ日は暮れていないが、空が少し赤みがかってきていた。
盗品蔵から感じられる気は3つ。悟空は表情を引き締めると、サテラとスバルに待っているように言うと中に入っていこうとした。
「ちょ、ちょっと待てよ!悟空1人じゃ、流石に危ないだろ?」
スバルが慌ててそれを止めようとするが、パックも中にいる気配に気づいたのか険しい表情をする。
「うん。中に1人、厄介なのがいるね」
「パック?」
「ボクも悟空に着いていくよ。それでいいだろう?」
パックが悟空に同行をするという形で、話はついたので中に入ろうとする。しかし、悟空がノックという言葉を知っているはずもなく、開かないドアに焦れて壊してしまった。
「「「え?」」」
中にいた3人の人物が驚いた表情で悟空を見るが、悟空は壊したドアを見つめている。
「こ、壊しちまったぞ。どうすんだ、パック!?」
「そんなの知らないよ。ボクだって君がそんなにも馬鹿力だなんて思っていなかったし」
パックが悟空に向けて言うのだが、確かに悟空のような小さい体のどこにそんな力があるのかという話なのだ。
「あれは誰なのかしら?」
「し、知らねーよ!あんなの呼んだ覚えなんかないぞ!?」
「儂もあの小僧のことは知らんの」
「ではあの子には退場してもらいましょうか」
なにやら中にいた女がナイフを取り出して、それで悟空に斬りかかってくるのだが、そんなのが悟空に効くわけもなく……悟空の頭を打ち付けたナイフは、根本からポッキリと折れてしまった。
元々悟空の体は、少年期時代ですら銃弾を弾くほどの強度を誇っていたのだ。そうでなくとも、強敵と殴りあっていれば自然と防御力も上がるというものだ。
そうでなければ、悟空は超一星龍など倒せなかっただろう。
「なにすんだ、オメェ!」
そして悟空は、驚いて動きが止まっている女に向けてつい拳を放っていた。それも、ライバルであるベジータや、自分に立ち塞がる敵に向けて放つ勢いで。
拳を受けた女は、音速を超える勢いで遥か彼方へと飛んでいった。
恐らく、人間を止めるか、ギャグ要員でなければあれは生き残れないであろう、というほどの勢いであった。