「君がソン・ゴクウ君かい?」
悟空の前に現れたのは、ピエロの格好をした長身の男性であった。独特の雰囲気を放ち、感じる気はそこそこ強く感じる。
「オメェ、誰だ?」
「私はロズワール・L・メイザース。この屋敷の持ち主だぁよ」
少しふざけた喋り方ではあるが、ロズワールはこの屋敷の主人らしい。
「スバル君がこの屋敷の従者となったことを報告しようと思って、ゴクウ君を探してたんだぁよ。君もこの屋敷で働いてみるかい?」
「ヤダ。オラ、働きたくねーよ!」
素晴らしいほどのクズっぷりを発揮する悟空であった。確かに悟空は、元いた世界では働くことなく修行に明け暮れていたのだが、どうやらこの世界でもニートスタイルを突き通すつもりらしい。
「それなら食客?それともエミリア様の騎士かい?君が望むものを、1つ与えよう」
「オラ、こうして修行ができるなら良いよ」
悟空は言葉の通りに、現在は修行をしている。相手がいないので、模擬戦のようなものができないのだが。
「あっ!それならオラ、強いやつと戦いてーぞ」
悟空が気合いを入れながらそう言った。それを聞いたロズワールは微笑むと、ある提案をしてきた。
「それなら、エミリア様の騎士がオススメだぁよ。騎士になれば、色々な強敵と出会い、戦える。これほど君に適した職はないんじゃないかい?」
悟空は考えた。確かにこの世界には、そこまで大した戦闘力の持ち主はいない。しかし、中にはロズワールのように、それなりに強い者もいる。
もしかすると、探せば自分と対等に渡り合える者もいるかもしれない。
そう思えば、エミリアの騎士というのも良いような気がしてきた悟空は、首を縦に振ってその提案を了承した。
すると、ロズワールは表情を引き締め、悟空へと言った。
「エミリア様へと襲いかかる災難はきっと、どれもが厳しいものだろう。しかし、それらからゴクウ……君がエミリア様を守るんだ。それがエミリア様の騎士たる君の役目だ。分かったかい?」
「ああ。つまりエミリアの騎士っちゅうやつをやれば、強いやつと戦えるんだな?」
「うん。まあ、間違いではないだろうね」
ロズワールは、自分が言った言葉を随分とはしょられたことに少し落ち込んでいた。
「それでは、ソン・ゴクウ。本日より、君をエミリア様の騎士へと任命する。あらゆるものからエミリア様を守るんだぁよ?」
ロズワールは途中で少しふざけた口調に戻すと、悟空の顔を見た。悟空の頭には、これからどんな敵と戦うことができるのか。それしかなかった。
それを見たロズワールは、苦笑いをしながら少し早まったのかもしれないねぇ、と呟いていた。