悟空はレム、ラム、スバルと共にロズワール辺境伯の収める領地を訪れていた。目的は、悟空のせいでそこが尽きた食糧の調達。
スバルは子どもになつかれ、その間にレム、ラムの双子は買い物。悟空はスバルと一緒に子どもの相手。
「ゴクウ、遊ぼ!」
可愛らしい少女――ペトラが悟空の手を引いてくる。元の世界での孫、パンと同年代と思える少女を悟空は無下にもできず、スバルの元へと連れていかれる。
「おお、悟空!やっと来たか!」
子どもたちのおもちゃにされていたスバルの服は、鼻水だらけで汚かった。それを見た悟空も顔を歪めている。
「ねぇ、ゴクウ。この袋ってなーに?」
ペトラが悟空の腰に吊るしてある、小さい袋を指差して言った。それを見た悟空は驚いて、中身を確認する。
その中には、数えきれないほどの仙豆が。
「これは、仙豆っちゅうもんでな。これを1個食べたら10日は腹が膨れるっていう豆だ」
そう言って悟空は驚く、袋から仙豆を10粒ほど取り出して子どもたちに配る。
子どもたちは恐る恐る、仙豆を口に運んで飲み込んだ。すると、子どもたちの顔が喜びに染まった。
「本当だ!お腹がいっぱいになったよ!?」
「オレ、怪我してたとこが治った!?」
「仙豆を食ったらどんな怪我でも治るんだ」
悟空は前の世界での仙豆の主な使用方法であった、怪我の治療効果を子どもたちに伝えた。
「すごーい!」
子どもたちが、心の底から驚いているのを見て、悟空は笑った。
一方スバルは、悟空に仙豆を貰うことができずに仲間はずれにされていた。地面にのの字を書いて、どうせ俺なんか、と呟いているのを見て子どもたちが大笑いしていた。
「なにをしているの?バルス、ゴクウ」
子どもたちに混ざって楽しむ悟空とスバルを、まるでゴミでも見るかのような目で見てくる。スバルは楽しんでいるのではなく、どちらかといえば悲しんでいるのだが。
「へい、お姉さま!悟空のやつが、一粒食べたら10日は腹が膨れるって豆を隠し持っていやしたぜ?」
スバルが仙豆のことをラムへと報告をして、それを聞いたラムがスバルのことを、何を言っているの?とでもいうようかのような瞳で見ている。
「ついに頭が壊れたのね、可哀想にバルス。思いきり叩いたら治るのかしら?レム、おやりなさい」
「はい、姉さま」
ラムがレムへと命令をすると、レムはスバルの頭を思いきり叩いた。すると、スバルの頭は地面へとめり込み、足がピクピクと動いているのを見て子どもたちが心配をする。
悟空はスバルを地面から引っこ抜いて、仙豆を取り出した。
「仙豆だ、食え」
スバルの口へと無理矢理仙豆を突っ込むと、死にかけのスバルは復活をしてラムへと文句を言う。
「死ぬかと思った!ねぇ、今俺を殺すつもりだったよね!?てかあとちょっとで、渡っちゃいけない川を渡るところだったよ!」
どうやら、危機一髪で助かったようである。そしてレムが、物騒なことを呟いているのを聞いてしまった。
「そんな……確かにレムはスバルくんを殺すつもりで叩いたのに。なんで生きているんですか?死んでください」
スバルはレムの言葉でノッアウト。立ち直れなくなった。
その後はレムがスバルを引きずって、買ったものを全て悟空が持たされている不思議な光景を見たとか見なかったとか。