前回と同じように、悟空は子どもたちの相手をしていた。その間にスバルはどうしてこうなったのかを考えている。
「(ここがゲームじゃない限りは、セーブポイントまで戻るってのはあり得ない。そもそも俺はセーブをした覚えもないしな。戻ったきっかけは……ラムの魔法で死んだから?これは死に戻りってやつか?)」
スバルは思考の末に、自身に与えられた能力が死に戻りであることに気がついた。セーブポイントの設定などはできないようではあるが、王都まで戻されても困っていたので、正直ここに戻してくれたのはありがたかった。
「(それに、この時点ではこいつらまだ死んじゃいない。ちょっととはいえ、こいつらとも遊んだ仲なんだ。死なれちゃ目覚めが悪いってもんよ!)」
「どうしたの、スバル?怖い顔してるよ?」
ペトラが可愛らしく首を傾げながら、スバルに聞いてくる。
絶対にこいつらを守りたい。
その気持ちは時間が過ぎるにつれ、強まる一方であった。
スバルは不器用に笑い、ペトラの頭を撫でてやる。ペトラは嬉しそうに目を細め、なすがままにされている。
「なんだか、スバルってお兄ちゃんみたいだね」
ペトラがスバルの手から離れ、そう言った。顔は満面の笑みで染まっていて、とても嬉しそうに見える。
スバルはそれに苦笑いで答え、ペトラの友人たちの方へと背を押してやる。
と、そこでスバルは誰かに袖を引かれるのを感じた。
そこにはおさげの少女がいて、指を指している。
「こっち、来て?」
スバルは大人しくおさげの少女に連れられ、着いた場所は少し薄暗い路地であった。そこには少し禿げた頭の子犬がいて、おさげの少女がそれを抱き抱えてスバルの元へとやってくる。
悟空や子どもたちもこちらに来て、犬を可愛がっているが、悟空は少しだけ険しい顔をしている。
「どうしたんだ、悟空?」
スバルは悟空に小声で話しかけると、悟空も小声で返してきた。
「いや、なんかあの犬から感じる気が邪悪でよ……」
「気?なんだそれ?」
悟空は今更ながらにスバルに気の説明をしていないことに気づいたので、簡単に説明をした。生物なら必ず持っているもので、体内の気を操ることで空を飛んだり、気弾を撃つことができるようになる。
個人差もあるが、強力な者ならば星ごと敵を殺すことができるものもいるということ。
そしてあの犬から感じる気が、とても犬とは思えないほどの邪悪さであること。
これらを伝えると、スバルは顔を青くして肩を震わせた。
もし、この話が本当で、犬が悪いものであった場合は前回の時と同様、村の者が殺されるという事態に陥るわけだ。
「ロズっちかベア子に相談しなきゃな……」
ロズワール邸でこういったことに詳しそうな人物に相談。それはこの世界に無知であるスバルたちにとっては当然の選択であった。
子どもたちがどうしたのと、そういう顔で見てくるので一応犬の頭を撫でてやる。
手痛い反撃を喰らって、手を負傷することとなったが。
スバルと悟空は、レムとラムと合流するまでは前回同様、子どもたちと遊んで時間を潰した。
表情は前回と比べてもかなり暗いものであったが。