艦隊これくしょん w/ BIOSHOCK INFINITE 作:焼き鳥タレ派
“娘を連れてくれば借金は帳消しだ”
男の脳裏にあの声がこだまする。
「アン、ナ……」
“ねえ見て!誰か倒れてる!”
“外国の人……?あ、彼ってもしかして!”
“とにかくすぐ医務室に運ばなきゃ、手伝って!”
気がつくと俺の目の前には大空が広がっていた。なぜだ。
俺はあの洗礼の川で全てを終わらせたはず。しかし妙だ、この感覚はなんだろう。
決して短くない人生を歩んできたはずなのに、生まれたばかりのような新鮮な気持ちだ。
だが、意識はまだぼんやりする。……だめだ。また、まぶたが勝手に下りてくる。
何者か達の声を聞きながら、また俺は眠りについた。
……そして俺はまた目を覚ました。死んだり蘇ったり我ながら忙しい。
今度は徐々に意識もはっきりしてきた。首だけ動かして周りを見る。
俺は清潔なベッドに寝かされていて、戸棚には薬品や医療器具が並べられている。
ここは病院だろうか。考え込んでいると、コツコツと足音が聞こえ、
1人の女性が近づいてきた。
「あら!意識が戻ったんですね。よかった~」
奇妙奇天烈としか言いようのない格好だった。黒のワンピースに白のブラウス。
紫の髪と瞳。そして何より、頭上に浮かぶ機械的な輪。ハイロゥだろうか。
彼女が天使ならやはり俺は死んだことになる。
「……なぁ、俺は、死んだのか?」
「何言ってるんですか、もう。ここは、鎮守府の医務室ですよ~。
よかった、このまま目を覚まさなかったらどうしようかと。
あなた、海岸に流れ着いて気を失ってたんですよ」
「チン……ジュフ?ここはどこだ、どの世界だ?」
「鎮守府は私達艦隊の司令部みたいなものです。ここで艦娘を建造したり、
みんなが生活したり、艤装の整備をしたり、とにかく深海棲艦との戦いの
バックアップをする総司令部みたいなものなんですよ~。
見たところあなたは外人さんだけど、日本語お上手なんですね。
どちらのお国からいらしたんですか?」
おっとりした感じの女性はわけの分からないことを並べ立てる。
カンムス?シンカイ……なんだ。とりあえず俺は質問に答える。
「俺は、コロンビアから……いや、最期を迎えたのは洗礼の川だった……」
「コロンビア、ということは南アメリカご出身なんですね~
きっとその川で溺れちゃったと、こういうわけですか。
でも日本までよく無事で流れ着きましたね。あなた、とってもラッキーです。ウフフ」
あくまでマイペースな調子で答える女性に今度は俺が質問した。
「さっきあんたが言ってたこと、半分も理解できなかったんだが説明してくれるか。
ここが日本だってことはわかった。カンムスやシンカイなんちゃらってなんだ?
ここで戦いをサポートしてるって言ってたが、何と戦ってる?
第二次日露戦争でも始まったのか」
すると、微笑を浮かべていた女性が急に真剣な表情になり、語り始めた。
「……そうなんですか。あなたの国ではまだ深海棲艦の脅威は及んでいないんですね。
今、日本は深海棲艦という、戦闘艦と生物が融合したような存在の攻撃を受け、
その制海権のほとんどを失いかけています。ご存じないかもしれませんが、
他の国々でも同じなんです。艦娘というのは、私のように、艤装、
つまり大砲や魚雷を装備して戦う女の子のことです」
「頼む、今は冗談の気分じゃない。砲台や魚雷発射管が何トンあると思ってるんだ」
「もちろん普通の人間には扱えません。私達のように工廠で生み出された
艦娘専用の兵装です」
「生み出されたって……あんた人間じゃないってのか!?」
「はい。艦娘と人間は似て非なるもの。人間と同じく、今みたいにおしゃべりしたり、
感情を抱いたり、泣いたり笑ったり。姿形や根幹的な行動原理は人と変わりません。
ただ、“造られた存在”であることを除けば……」
「B級映画みたいな世界だな。
まぁ、手からビガーぶっ放してる俺も人のことは言えんが」
「ビガー?ビールの銘柄かしら」
「なんだ日本にはないのか。と、言おうと思ったが……
日本にないというよりコロンビアにしかないと言ったほうが正確だな」
「う~ん、お互い知らないことが多いみたいですね。
そうだ、まずは鎮守府をご案内します。きっと帰国するまで
ここで生活してもらうことになるでしょうから」
「ああ、世話になってすまないな。俺は……ブッカー。ブッカー・デュイット」
「龍田と申します~」
「ミス・タツタか。良ければファミリーネームも教えてくれないか」
「龍田で結構ですよ~艦娘に名字はありません」
「変わった風習だな……とにかく、よろしく」
「こちらこそ。さあ、こちらへ」
俺は、まだ軋む身体を起こして床に足を下ろした。
そして立ち上がる時、龍田が手を取ってくれたが、
「あら、ひどい火傷。これは……A、D?」
「なんでもねえ、事故だ!」
「きゃっ!」
つい乱暴に彼女の手を振り払う。しまった。
「ああ……すまない。まだ少し痛むんだ。
それより外の空気を吸いたいんだが、出口へ連れてってくれないか」
「気にしないで。それじゃあ一緒に出ましょうか。
鎮守府は広いですから、ゆっくりお散歩気分で行きましょうね~」
今度こそ俺は龍田に連れられ、和洋折衷の独特の内装が施された建物から出た。
「うっ……」
龍田が出入り口のドアを開けると、射し込んできたまばゆい陽の光に思わず目をかばう。
徐々に光に目が慣れると、そこには太陽できらめく大海原に面した広大な港町があった。
まず艦の整備を行うクレーンが目に付いた。
左に視線をやると、赤レンガの壁が特徴的な、何かの工場らしい建物の中から、
火花が散ったり金属を叩くような音が聞こえてくる。
後ろを振り返ると、白い石膏で塗装された3階建ての建物、
龍田がいう鎮守府の本部なのだろうか、とにかく立派な屋敷があった。
「しばらくここで泊まってもらうことになると思います。
まずは鎮守府全体を見てもらってから、改めて中を案内しますね。
う~ん、まずはどこから行こうかしら。
やっぱりまずは私達艦娘のことを知ってもらおうかしら。付いていらして」
俺は龍田に案内され、屋敷の隣にある2階建ての横長の木造建築に足を運んだ。
建物の一部は海に面しており、そこで2人の少女が弓を構えていた。
「日本のアーチェリーか……」
「空母の皆さん、今日も頑張ってますね~」
「空母?彼女達がエアクラフトだって言うのか?
ドッキリでした、ってんなら今のうちだぞ」
「見ててください、ほら」
龍田が言うので見物していたら、少女たちが的、ではなく空に向けて矢を放った。
どこを狙ってるんだ、と思った瞬間、放たれた弓が空中で炸裂し、
黄色い航空機に姿を変え、彼女達の元へ戻ってきた。これには俺も驚きを隠せなかった。
「な……!これは、彼女達のビガーなのか?」
「さっきも言ってましたね、ビガー。なんですか、それ」
「ああ、ビガーってのは飲むと遺伝子配列を……」
ブオオオン!! ブオオオン!!
“緊急警報!緊急警報!敵艦隊が当鎮守府に接近中!
第一艦隊は直ちに出撃、迎撃に当たれ!これは訓練ではない、繰り返す、
これは訓練ではない!”
いきなりけたたましいサイレンが鳴り響く。病み上がりの頭にはキツいが
そんなことを気にしている場合じゃない。
「おい、なんだこれは!何が起こってる!?」
「深海棲艦の襲撃です!このところ襲撃の頻度が上がってて……とにかく本館の中へ!」
「ああわかった……何?おいおいおい、ありゃなんだ!」
俺が振り向きざま赤レンガとは逆方向に視線を向けると、
地底から海上へ続いているトンネルから、
小さな砲や魚雷のようなもので武装した少女たちが次々と飛び出し、
海面を駆け抜けて行ったのだ。
「マジかよ……あれか?艦娘ってのは」
「そう。彼女達が艦娘。特にこの鎮守府で最も戦闘力の高いエース達」
「コロンビアでもありえねえぞ……」
「さ、早く避難を!」
俺は医務室があった白い屋敷に逆戻りしようとした。
だが、俺の足を聞き慣れた声が止めた。
「待って、逃げないでブッカー!」
そう、あまりにも聞き慣れた、懐かしい声。
目を引くブルーのドレス。失った小指。彼女は、俺の……
「アン……エリ、ザベス!?」
「あなたも戦って!この世界を守って!」
「どうしてお前が、いや、そもそも何故俺達が存在している!?」
「話は後!戦うのよ、その力で!」
すると彼女は空に手をかざし、輝く光を放った。すると光が空一面の次元の扉を開き、
蜘蛛の巣のように複雑なレールを、海の向こうまで張り巡らせた。
「やっぱりエリザベスちゃんの“ティア”、すごいです~」
「……ああわかった。なんだかわからんが、とにかく敵を殺ってくる!」
「え!?無茶です、生身の人間が深海棲艦相手に!」
「戦う武器はあるさ……」
俺はベルトに引っ掛けてあったスカイフックを取り出した。
3つの折りたたみ式フックが丸ノコのように高速回転する武器。
そして上空のレールを自在に移動できる便利な道具。そいつを俺は腕に装着し、
スカイラインに向け、思い切りジャンプした。
俺はフックを展開し、磁力の流れるレールに引っ掛け、一気にスピードを上げ、
海の上を駆け抜ける。そして、俺に続き、エリザベスもスカイフックで
レールにぶら下がり、俺の後を追う。
波とレールの摩擦音にかき消されないよう、大声で後ろに呼びかけた。
「エリザベス、一体どういう状況だ!説明してくれ!」
「とにかく今は目の前の敵に集中して!彼女達に加勢するのよ!」
「敵もわかんねえのに加勢もクソもあるか!」
「見ればわかるわ!とにかく人間じゃない!」
「そうかよ!ならヴォックスの連中よりわかりやすいかもな!」
憎まれ口を叩きながら、俺とエリザベスはスカイラインで滑空しながら
ハイスピードで海上を進んでいった。すると、徐々に雷鳴のような砲声が聞こえ、
海の向こうにポツポツと人影と、何かの生き物らしき姿が見えてきた。
「ちょ……っと今回の襲撃はキツいっぽい」
夕立改二が主砲の12.7cm連装砲B型改二で敵艦を撃ちながら愚痴をこぼす。
二度の改造を経た彼女でも、5隻の駆逐艦は手に余る。
何隻かは身体から不気味な赤いオーラを放っている。
「なんでこんなとこに戦艦レ級がおるん!?軽空母までおるし、
このままじゃ押し切られるで!」
龍驤が飛行甲板が描かれた巻物から式神を飛ばし、攻撃機に变化させて発艦させるが、
敵艦載機に多くが撃墜されてしまう。
「う~んレ級なんか顔も見たくないけど、あいつは私がビートダウンするしかないネ!」
金剛が41cm連装砲をレ級に放つ。鳴り響く爆音。
しかし、乱戦の中で放たれた照準の甘い射撃は命中弾1発。もう1発が夾叉に終わる。
重装甲のレ級には大きなダメージを与えられなかったらしく、奴はケラケラ笑っている。
「シィット!!」
「重巡まで来たクマ!もう球磨達の手に負えないクマ!
入渠中の加賀さん達にも来てもらうしかないクマ!」
軽巡球磨が撤退を進言する。確かに今の敵戦力は駆逐5、重巡1、軽空母1、
そして戦艦ですら手に余る戦艦レ級が1隻。数の差でも火力の差も圧倒的だった。
「球磨さん逃げて!駆逐艦が狙ってるっぽい!」
「えっ……?」
振り向いた時には遅かった。大物に気を取られ、
夕立が相手をしていると思っていた駆逐艦5が油断している球磨を狙っていたのだ。
……5つの砲声、スローになる球磨の世界、向かってくる焼けた砲弾。
避けなきゃ、でも、足が動かない。間近に迫る敵弾。
ここで、終わり?わたし、沈むの……?いやだ、たすけて……いやぁぁ!!
が、その時。
ドガガガガァン!!……
「ぼさっとしてんじゃねえ!おい、エリザベス!とにかく足場を作れ!」
「わかったわ!」
駆逐艦の放った砲弾は全弾命中した。空から飛び降りてきた男の背中に。
男の足元にはあるはずのないフローリングの床の一部が。
そして、生身の人間が食らえば挽肉になるほどの攻撃を受けたはずの男には
傷一つなかった。混乱する球磨。
訳の分からない展開に一言疑問を口にするのがやっとだった。
「お、おじさんなんで平気クマ……?」
「ギアだ!」
「ギア……?」
「説明は後だ!まずこのクズどもを片付けるぞ、まだ戦えるか!?」
「……や、やってやるクマー!!」
男の声で我に返り、頭を振って雑念を振り払った球磨は再び戦線に復帰した。
球磨は手持ちの魚雷を重巡に向けて放り投げた。
蒼き殺人者の二つ名を持つ、日本軍が誇る酸素魚雷が4本命中。重巡を大破させた。
「やったクマー!!」
「よし、俺は他へ回る。一人でやれるか、やれるな!?」
「任せるクマ!」
すると男は再び飛び上がり上空のレールで空を滑っていった。
次はどこを援護するか考えていると、同じくスカイラインに乗ったエリザベスが
声を掛けてきた。
「ブッカー、あのサンバイザーの娘をお願い!敵機に邪魔されて航空機を出せないの!」
「あいつがどうやってファイターやボンバー出すってんだ!」
「いいからお願い!あの娘を助けて!」
「わあったよ!!足場を頼んだぞ!」
エリザベスはレールから近くの足場に降り、
ティアで龍驤の近くにテニスコートを造り出した。
ブッカーは海上に現れた地面に着地。すかさず龍驤に駆け寄る。
「おい、どうした!何を殺せばいい!」
「おおおおっちゃん誰やねん!なんでこんなとこに!?」
「エリザベスの知り合いだ!いいから答えろ!」
「エリーやんの知り合い!?じゃあ、あいつが出してる艦載機なんとかならんかなぁ?
あいつのせいでウチの子らが墜とされてまうねん!」
ブッカーは空を見る。上空には航空機と呼ぶにはあまりにも醜悪な、黒い外殻、太い歯、
蛍のように光る尾のような部位を持つ生物が飛び回っていた。
「ありゃ航空機じゃねえ、害虫だな!」
そして、ブッカーは左手に精神力を集中した。
すると、徐々に左腕がカラスの足のように変形、白く変色し、
腕に黒いエネルギーが集まる。
「何やのおっちゃん、その手ぇ!?」
「黙って見てろ、くらえ!」
ブッカーが収束したエネルギーを敵艦載機に向けて放つと、
黒い力は何羽もの殺人ガラスに変形。艦載機の群れに襲いかかった。
カラス自体に敵機を落とすほどの力はないが、
突然飛びかかられた艦載機はバランスを崩し、バードストライクを起こし、
陣形を崩し、完全に無防備な状態になった。
「今や!戦闘機、艦攻隊、艦爆隊、全機出撃や!」
龍驤は巻物を広げ、指先に集めた霊力の火の玉で、紙を切り取った式神を飛び立たせた。
式神は小さな航空機に変形。パニックに陥った敵艦載機に戦闘機が機銃弾を浴びせ
次々に撃墜。艦爆隊、艦攻隊が手足の生えたUFOのような軽空母に反撃に出る。
上空から爆弾を雨あられの如く落とされ、海中からは酸素魚雷が襲い来る。
上下からの猛攻に次々と身体が食いちぎられ、軽空母は致命傷を負い、
ギィヤオオオ!!と不快な断末魔を上げて沈んでいった。
「いよっしゃ形勢逆転や!あんがとうな、おっちゃん!」
「まだ気ぃ抜くんじゃねえ、あの人間みたいな野郎と黒い芋虫が残ってる」
「ヘイ、ミスター!夕立を助けて欲しいよ!
戦艦レ級相手にしながらエリート駆逐艦とやりあうのはヘビーすぎるネ!」
「ほう、あのヘラヘラ女がバトルシップか……」
戦艦レ級は集まる3人を見て何やらニヤついている。
そして彼女は艤装である3連装砲数基を、駆逐艦に気を取られている夕立に向けた。
「ノー!夕立避けて!!」
「こ、この集中砲火じゃ……無理っぽい」
「あかん、直撃や!」
“カカカカ……”
レ級は砲塔に砲弾を装填し、夕立に照準を合わせ、不気味な笑い声を上げた。
完全に発射体制に入ったレ級。次の瞬間、強力無比な砲撃が無慈悲に
夕立を引き裂くはずだった……が、遺伝子配列の切り替えを済ませたブッカーが、
ビガーを放つほうが早かった。
「こいつはお前にくれてやるぜ、クソ野郎」
ブッカーは左手から緑色に淡く光る女の亡霊を放つ。
亡霊はまっすぐレ級に飛んでいき、彼女にまとわりつく。
“dgtylm!?”
亡霊はレ級の耳元でひそひそと何事かを囁き、消滅した。するとレ級の様子が変わる。
突然我を失い、夕立ではなく、後方の駆逐艦をめちゃくちゃに撃ち始めたのだ。
強力な1発が命中し、とばっちりを食らった1隻が轟沈。
残った艦も予想外の事態に混乱し、レ級に反撃するが、戦艦と駆逐艦では勝負にならず、
1隻、また1隻と撃沈されていく。
「何が……起こってるっぽい?」
敵対敵。目の前で起きている不可解な戦闘に理解が追いつかない夕立。
しばらく意味不明な現象が続くと、駆逐艦は全滅。レ級は一人取り残された。
そこでふと我に返る。キョロキョロと辺りを見回すが味方はもういない。
現状を認識すると、彼女は甲高い絶叫を上げ、顔中を掻きむしり、
砲塔から砲弾を2つ取り出し、火打ち石のようにガチガチと思い切り叩き合わせた。
「危ねえぞ、伏せろ!」
ブッカーが叫んだ瞬間、砲弾が暴発。至近距離で大爆発した火薬の塊は
レ級の頭部を粉々に砕き、彼女の身体はゆっくりと後ろに倒れ、
夕暮れの海に沈んでいった。
「深海棲艦が……自殺やて!?」
「アンビリーバブル!あなたのマジック、一体何なの?」
「いろいろ聞きてえのはこっちなんだが……あれは“ポゼッション”。
食らったやつの末路は二つ。味方と同士討ちして殺されるか、
味方を殺しきった後、脳波が狂って自殺するかだ。
ああ、そういや機械にも有効だ。よく敵に殺人ロボけしかけたり、
自販機から小銭くすねたりした」
「オー、あなたって強いけど善人じゃあなさそうネ……」
「みんなー大丈夫っぽいー?」
「ヌフフ、球磨が重巡仕留めたクマ」
「もう敵はいないみたい。ありがとうブッカー」
夕立と球磨、そしてエリザベスが3人に合流してきた。
「……とりあえず誰も死んでねえみたいだな。帰ろうぜ」
「ちょ、ちょっと待って欲しいネ!あなた一体何者?どうして私達を助けてくれたの?」
「助けたのは成り行きだ。他は後にしろ。海の上で立ち話はしたくない」
「金剛さん、ちょっと彼は事情が複雑なの。話は鎮守府でゆっくりしましょう」
「エリーがそう言うなら……」
「ほな、とりあえず帰ろうや。ここで立ちっぱしててもしゃあないし」
そして、ブッカーとエリザベスはスカイライン、艦娘組は水上を走りながら
鎮守府への帰路に着いた。
既に夕日は沈みかけており、間もなく夜を迎えようとしていた。
ブッカーはレールに引っ掛けたスカイフックを見る。間違いない。
俺はコロンビアで戦った。そして戦いの果てに結末を迎えたはずだった。
だがこの状況はなんだ。日本という極東の国で蘇り、わけの分からねえ化け物と戦った。
運命とやらは一体俺に何をさせたいんだ?
考えながらフックのスピードを上げると、鎮守府の明かりが見えてきた。