魔法科転生NOCTURNE   作:人ちゅら

21 / 46
例によってアレコレ設定を捏造しています。


#019 吉田家の神童

 4月10日 日曜日。

 

 まだ肌寒さの残る早朝。あなたは再び小山の石階段を登り、九重寺へ足を運んだ。

 実家筋から頼まれた二人の古式魔法師のうち、吉田家の次男坊についての調べが付いたと連絡を受けたためだ。

 

 連絡方法についてちゃんと決めていなかったことを今更ながらに思い出し、どうしようかと考えていたら、あなたの住居宛てに封書が送られてきた。

 越して来てからまだそう日も経っていないのだが、そもそもこの借家を手配したあの東道青波(ハゲ)は当然のように知っているのだから、調べるまでもなかっただろう。個人情報保護なんたらは、今の時代ではどうなっているのだろうか。

 

 念のために直接手渡したいから足を運んで欲しい、とのことだったので仕方なく出向くことにした。連絡方法を決めていなかった自身の落ち度と言えなくもないからだ。

 寺は朝が早いだろうという雑な了見と、特に時間指定も無かったことから、こんな時間になった。元より日中は不足している生活用品を買いに行くつもりだったので、確実に空いている時間がここしか無かったのだ。

 

 

*   *   *

 

 

「とりあえず通り一遍ってやつだけど」

 

 朝っぱらから型稽古をしている作務衣の坊主たちを傍目に、あなたは八雲から手渡された茶封筒から折りたたまれた数枚のコピー用紙を引き出す。それは略歴や家系図など項目ごとに几帳面にまとめられた調査報告書。隣でニマニマとだらしない笑みを浮かべる忍術使いのイメージからは想像もできない。

 

 

■氏名:吉田(よしだ)幹比古《みきひこ》 15歳

■性別:男性

■職業:学生(国立魔法大学付属第一高校・一年E組)

■備考(要約):神奈川県伊勢原市に本拠を構える神祇魔法師の家門・吉田家に、現当主・吉田幸比古の次男として生を受ける。幼くして「吉田家の神童」と呼ばれ、将来を嘱望されたが、2094年8月17日(太陰暦七夕)に行われた星降ろしの儀にて神霊・竜神の喚起を強行、想子(サイオン)を枯渇し昏倒して以来、魔法の行使が不安定になる。2095年4月現在は国立魔法大学付属第一高校へ進学し、通学のため東京都八王子市に下宿している。

 

 

 喚起とは一般に召喚と同一視される超自然現象だ。あるいはかつて召喚魔法としてまとめられていたものが、考え方の違いから喚起魔法と名を変えた、と言うべきか。

 

 召喚魔法とは此処ならざる場所、遠方や、あるいは異界などの物理、情報的距離のある地点から対象を瞬時に移動させる魔法だ。二つの地点を繋いで瞬時に移動させるという点では瞬間移動の異能とも考えられるが、敢えて()()()()と呼ぶ場合、呼ぶ対象は心霊存在(スピリチュアル・ビーイング)――神、悪魔、妖精、魔獣など、あなたにとってはまとめて悪魔(アクマ)――に限定される。

 対する喚起魔法とは、その場に存在するが力を発揮できない心霊存在(アクマ)を呼び起こし、力を揮えるようにする魔法を指す。喚起された悪魔はその場に姿を現すことが多く、その様子は召喚魔法と同じように見える。

 どちらもその場に悪魔が現れるという結果は同じだが、そのプロセスが違うわけだ。

 

 あなたが仲魔たちを呼び出すのは召喚魔法に分類される。それはあなたが契約した仲魔たちは普段、魔界やアマラ深界といった異界に居るためだ。

 しかし神祇魔法の場合、俗に言うアニミズム、八百万(やおよろず)の神々は偏在する(どこにでもいる)と考えられている。そのため眠れる神々を呼び起こす喚起魔法とされるわけだ。

 

 召喚魔法、喚起魔法、ともに古式魔法の独壇場で、物理学に重きを置いた現代魔法学ではこれらの魔法の研究は進んでいないらしい。あなたの知る限り、召喚も喚起もMAGの運用が鍵となる技術だ。MAG研究を手放した現代魔法学では手が出せないのだろう。

 

 

 吉田家の星降ろしの儀とは、広域気象操作を可能とする()()を喚起する儀式魔法だという。

 気象操作のできそうな()()というと、青龍(セイリュウ)(ミズチ)といった悪魔の名前が思い浮かぶ。どちらもあなたは仲魔として契約を交わした悪魔だ。かのトウキョウでは中堅どころが精々だった彼らだが、それでも人間がどうにかできる相手ではない。

 

 召喚にせよ喚起にせよ、要求されるMAGは相当なもののはずだ。カグツチに照らされたボルテクス界ならいざしらず、この物質界に悪魔を現界させるには相応の対価(MAG)が必要となる。

 先に兄の元比古が風神とやらを喚起している以上、場のMAGは相当失われていただろう。祭壇と供物を改めて設え直したのでなければ、それを補完するのは術者の役目となる。普通ならMAG不足で魔法そのものが失敗するはずだ。神童と称された力は伊達ではなかったということか。

 

 あるいは何か別の要因があったのかもしれない。

 

 古くより悪魔の召喚、喚起には危険がつきものだ。儀式に失敗して呼び出したものと異なる悪魔が現れ、災いをなした例は枚挙に暇がない。

 

 

 幹比古(おとうと)のことが心配な次期当主殿(おにいちゃん)からは、「活を入れてやってくれ」と頼まれた。自分が風神の喚起を成功させたことで、弟に無謀な挑戦をさせてしまったと後悔しているらしい。魔法科高校への進学を一人で決めて出ていってしまったそうだが、できれば吉田家の魔法師としてやり直して欲しいのだろう。

 とはいえ現状では対策の立てようもない。自分で動くしか無いか。

 

 

「どうだい。お役に立てたかな?」

 

 一通り読み終わった書類を封筒にしまうと、ニヤニヤといやらしい笑いを浮かべた八雲に訊ねられた。下調べとしては充分だが、必要な情報は全く不足している。

 あなたは正直にそう告げると、八雲はバツが悪そうに自身の禿頭を撫でた。

 

「そりゃあ、何を知りたいのかも分からなかったからね」

 

 そう言えばそうだった。あの時はただ物は試しと尋ねてみただけで、詳しいことは何も話してはいない。

 こちらの落ち度だったと頭を下げると、八雲も笑って手を振った。

 

――じゃあ今後は……

 

 気を取り直したあなたは、吉田幹比古に関する幾つかの知りたいことの注文を告げると、今後の連絡方法についても幾つかのガイドラインを打ち合わせ、九重寺を後にした。

 ひとまず本人の様子でも見に行くことにする。

 

 

*   *   *

 

 

 東京都八王子市。

 島嶼部を除いた東京都の南西部。多摩丘陵にあって西に関東山地の高尾山、陣場山等を、東に八王子盆地と呼ばれる開けた土地を有するエリアだ。

 魔法の研究と実践という、危険の伴う魔法科高校を都内に開口する計画が出た当時、過疎化の進んでいたここは都合が良かったのだろう。大戦と寒冷化による人口減少と、効率化の必要性から推進された重工業地帯への人口集中。それらの煽りを直に受け、かつてのベッドタウンは、半ばゴーストタウンじみた様相を呈していたのだ。

 古くは修験道の霊地であった高尾山など、魔法師とも無関係ではない土地柄だったことも、選ばれた理由の一つかもしれない。

 

 その八王子市は現在、魔法大学付属第一高校、通称「一高」を中心とした学園都市となっている。

 地球の寒冷化と前の大戦による人口減少、それを埋め合わせるべく進められた急激なインフラ整備は、各地で人々のライフスタイル、そして都市設計を大きく変化させたが、ここ八王子市ではむしろ一世紀前の風景を取り戻していた。

 

 

 大戦中、特に寒冷化の影響が大きくなった2050年代から大亜連合との交戦が続いた2060年代にかけては、消費や家事の効率化をはじめとする互助の必要性から、一つの家に家族が集まるライフスタイルが復活した。三世代同居が当たり前という環境は、まずマンションやアパートメントといった集合住宅を、続いて核家族化によって支えられていたベッドタウンというエリアをも衰退させてゆく。

 余談だが、数字持ち(ナンバーズ)をはじめとする現代魔法師の家系が、前時代的な家父長制を確固たるものにしたのもこの時期だった。

 

 その反動からか、極東アジアが安定化しつつあった2080年代から単身赴任、一人暮らしを好む若者が増加し、2095年現在では当たり前のライフスタイルとして受け入れられるようになった。一説にはホーム・オートメーション・ロボット、通称HARの存在がその後押しとなったと言われている。

 

 現代(2095年の)日本で、一般家庭の家事全般をこなしているのがHARだ。2080年代、大戦特需が右肩下がりになっていく中、新たな産業の一つとして政府肝煎りで普及が進められた。彼らのお陰で日本では家事に割かれる時間が大幅に減少し、人口減少による生産力低下を多少なりとも食い止めることに成功したとされる。

 

 

 八王子市ではそうした時代の流れに加え、全国に九つしか無い魔法科高校という特異な存在が合致した。魔法師を志す一高生を受け入れる下宿、あるいは彼らに親類縁者が付き添って暮らすための集合住宅。そうしたものが急増し、彼らの生活を支えるための基盤として商業施設や娯楽施設が出来、やがて若者の街ができあがってゆく。

 結果として一高の周囲には、一高および一高生の存在に好意的な人々が集まっている。旧来の住人、自主疎開から戻った人々との軋轢も無いではなかったが、概ね良好な関係が築けているといえるだろう。

 

 

 そんな八王子市の外れ、高尾山の麓にある小綺麗なマンションが、吉田幹比古の下宿先であった。

 一人で勝手に一高への進学を決めた幹比古ではあったが、さすがに住居まで一人で用意することはできない。そこで当主が裏から口を利き、門人を通じてその縁者に世話をさせていた。調査報告書に()()()()()ではなく()宿()と書かれていたのはそのためだ。知らぬは本人ばかりなり。

 

 

*   *   *

 

 

――水精(アクアンズ)風精(エアロス)か。

 

 春の新緑に覆われた高尾山の中腹。登山道から少し外れた林の中に、小精霊たちが喚起されかけていた。

 とはいえ現界はしていない。物理現象の具現としての精霊、存在するだけで力を及ぼす悪魔ではなく、物理現象を起こせるよう準備された、ポルターガイストのようなものだ。

 マガツヒを視る目がなくては見ることはできない。一般人には知覚することすらできない。あの時の司波達也の様子からすると、現代魔法師でも怪しいかもしれない。だが見える者には、ふわふわと浮かぶ無数の光の玉として認識されるはずだ。オカルトブームの時代には火の玉とかオーブとか呼ばれていた。

 その中心に立つのは純白の狩衣、いわゆる浄衣(じょうえ)に身を包んだ少年。彼が吉田幹比古だろう。写真とも一致する。

 

 

 あなたがその現場に出くわしたのは、朝十時を過ぎた頃だった。

 

 九重寺を後にしたあなたは、まず次男坊の下宿先であるという小洒落たマンションへと向かったが、そこで立ち往生することになった。

 入口がオートロックだったのだ。

 

 八雲の下調べで個人端末の連絡先は分かっているが、見知らぬ人間から急に電話をされて、ハイそうですかと会話が成立するかは分からない。あるいは住人の誰かが出入りする際に紛れ込む、という古典的な手法も無いではなかったが、それにはいつ来るか分からない誰かを待ち続けなければならない。

 だがここで待ちぼうけというのも芸がないな、等と考えていたところ、西の山中にマガツヒが溜まり、悪魔の現れる気配を察知。ひとまず足を運んでみたらばその光景に出くわした……とまあそんなわけだ。

 

 

「誰だ!?」

 

 あなたの呟きに、ようやくあなたの存在に気付いたらしい。吉田が声を荒げてこちらへ振り向く。と同時に喚起魔法で制御下に置かれていた精霊たちが、あなたにむかって襲い掛かってきた。光の玉の一つ一つが初級の攻撃魔法、【ブフ(氷結)】や【ジオ(感電)】相当の力に変じて飛来する。

 

 あなたにとっては全弾受けたところで傷一つ負うことはなかっただろう。だがギリギリのところであなたから外された魔法たちは、高圧電流によって木々を焦がし、超低温によって季節外れの霜を降らせた。万が一にも一般人が受けたら一溜まりもなかったはずだ。

 

――君は吉田幹比古、で、間違いないか?

 

「……何の用だ?」

 

 あなたの問いには答えず、浄衣の少年は自らの袖口から紙片を取り出す。いわゆる呪符、魔法の行使を補助する術具なのだろう。

 

 少年のわずかに垂れ目気味で優しげな面立ちが、緊張に強張る。

 すでに臨戦態勢、答えによっては先制攻撃も辞さないと全身が告げていた。

 

 あなたはただ挨拶に来ただけだったのだが、そうとは言い難い雰囲気である。

 

 

――活を入れに来た。

 

 仕方がないので一足飛びに目的を話してしまうことにする。

 ここに来るまでにいくつかプランを考えていたあなただったが、先程の魔法で全てふっ飛んでしまっていた。なにより自身の才能に振り回され、力の使い方を理解していない手合いには、一度ぶん殴って分からせてやる必要があることを、あなたは経験的に信じている。

 あなたにも驚かせてしまった非があることは自覚していたが、周囲の被害はいささか以上に度が過ぎるだろう。

 

「兄さんに……()()()()頼まれたのか」

 

 あなたは「ああ」と頷いて応じてみせると、吉田少年の瞳にあからさまな動揺が浮かんだ。

 

 スランプの只中にあるのだ。そりゃあ情緒不安定にもなるだろう。

 とはいえ精神不安定な魔法師というのは、言うならば不発弾に等しい危険な存在だ。

 早まったかな、とあなたは先ほどの判断を後悔する。

 

「まだ子供じゃないか。兄さんはそこまで僕のことを……」

 

 だがそんなあなたを他所に、吉田少年は虚ろな瞳を彷徨わせ、何やらぶつくさ呟き始めた。

 嗚呼、これはもう放っておくわけにはいかんだろうなあ。

 

 あなたは独り嘆きつつも、その隙にこっそり彼を【アナライズ】。

 やらなければならないというのなら、備えよう。

 

 

 彼自身の能力は、古式魔法師としてはなかなかの実力が見て取れる。マガツヒには(かす)かに何らかの悪魔の気配が残るが、これは例の儀式の影響だろうか?

 そして【ラクカジャ(防御力強化)】のような魔法のかけられた浄衣を装備し、手にした五枚の呪符のうち二枚にはそれぞれ【スクカジャ(回避力強化)】、【ジオンガ(強電撃)】相当の魔法式、残り三枚にはあなたが知らない魔法式が準備している。

 

 総合すると、下級の悪魔程度なら相手にできそうな戦力だ。なるほど、神童と謳われたのは伊達ではないのだろう。

 

 

「僕のことを……知ってて言ってるんだね?」

 

 あなたが彼を評価していると、少年はようやっと()()()()()()ようで、あなたに視線を合わせて問いかけてきた。焦点も合っている。だが最初に魔法を仕掛けてきたときのような気迫は(なり)を潜め、声はいかにも不安げだ。

 

――さて、どうだろう?

 

 あなたは敢えて空とぼけてみせた。

 覇気のない人間を無理矢理にも動かそうとするなら、怒らせるのが手っ取り早い。

 

 それにトウキョウでの戦いでも【挑発】で怒らせ相手を無防備にし、その弱点を的確に攻撃する戦術は、非力だった頃のあなたの十八番であった。【フォッグブレス】で煙に巻ければなお良い。

 卑怯と言うなかれ。あそこでは誰もが生き残るために必死だったのだ。

 

 閑話休題(そんな話は置いといて)

 

 

 あれだけ取り乱していた彼が、我に返って最初に出した問いかけだ。何か意味がある。そこで彼がなにを言いたいのか、それが気になった。

 

 絞り出すように告げられたその問いとともに、彼の表情から何かが抜け落ちていた。先程までの警戒心は消え失せ、呪符を構えていた手もだらりと下ろされている。怒気も動揺も、血の気さえ失って白くなったその面貌は、残された諦めと侮蔑によって醜く歪められていた。

 

 

 まるでかつての親友()と道を違えた、あの時のように。

 

 

 この世界が生みなおされてもなお、勇の心はあの日殻に閉じこもった、そのままだった。

 ボルテクス界を支配する暴力(ちから)の掟に怯え、無力な人間である自分に絶望し、人修羅として生まれ変わったあなたに期待し、依存しようとした。

 しかしあなたは彼の期待に応えることはできなかった。

 彼はあなたを羨み、あなたを妬み、あなたに憧れ、あなたを怨み。

 そして全てを諦めて背を向けて、他者との関わりを拒絶し個人で完結するコトワリを啓いた。

 

 再創世されたこの世界でも引きこもりの生活を続けていたはずの彼が、ふらりと姿を表したあの日。以前と変わらない調子で一方的に言いたいことを言い、あなたの話も聞かずに姿を消したのは、かれこれ80年も前のことだ。

 それから彼の行方は(よう)として知れない。

 

 

 無論、この少年は新田勇とは別人だ。その絶望も、その諦めも、彼のものとは別物だろう。

 だがその顔には見覚えがあった。

 何度も何度も期待して、その度に裏切られた顔だ。

 泣いてしまえばスッキリできるのに、何度も我慢してしまった子供の顔だ。

 

 

 面倒そうだなあ、とあなたは内心でボヤいてみる。

 

 そうは言いつつも、放っておくつもりもない。

 むしろ放っておけないからこそ面倒だと、先々の苦労に思いを馳せてしまうのだから。

 

 

――いったい何を知っていれば、君を知っていることになるんだろう。

 

「! ……」

 

 そんな問いかけに小さな動揺を見せる吉田少年に、あなたは両の拳を握りこみ、分かりやすいようボクシングスタイルを構えて見せた。

 

――ま、手合わせの間に知れることもあるだろう。どうする? 堕ちた神童。

 




感想、評価、お気に入り、いつもありがとうございます。

のんびりペースの本作なので、念のために話数を三桁表示に修正しました。
どこまで書き続けられるかは分かりませんが、今後ともお付き合いいただければ幸いです。


(20170815)誤字訂正
 銀太様、誤字報告ありがとうございました。

(20170819)修正
 作中の小氷河期の時期に合わせて一部内容を修正しました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。