短いですが、ご容赦を………
辺り一帯が静かになる。
ここにいる全員が八幡を注視する。
暴走しているであろう八幡に対してどう動けばいいか、Wの2人も財団Xも様子見をしている。
たが、そんな中、八幡――否、ファングに近付く奴がいた。さっきまで戦っていたビーストだ。
「あのバカ…………」
ナスカが小さく呟く。
警戒しながら、少しずつ近付く。あと1mほどで触れるその距離まで行くと………
「……ッ!?」
――――ザクッ。
予備動作もなしにこの場にいる人では目にも追えないスピードで一気に跳び、ファングのブレードをビーストの腹に突き刺す。
「うっ………!」
ビーストは恐るべき再生能力を持っている。が、ファングはまるで再生させないようにずっと刺し続け、今までにないダメージを与えている。
右手でブレードを持ち、左手でメモリを取る。ファングメモリをマキシマムスロットに入れる。
その間にも何とか振り払おうとビーストは抵抗しているが、ファングの力が相手では全く敵わない。
『ファング――マキシマムドライブ!』
その音声が鳴り響くと、ファングのブレードが蒼白く輝き始める。
ブレードを腹から引き抜くと同時に、ブレード周りの蒼白いオーラが段々と大きくなる。そして、ビーストに向けて一直線に振り下ろす。
一刀両断。この言葉が似合うくらいな強力な斬撃をビーストに喰らわせた。
――――ドガアァァン!!
大きな爆発が起き、ビーストメモリは砕け散った。
さっきまでビーストになっていた人間は爆発やメモリブレイクの影響で、ファングの足下で気絶する。
ファングはビーストの撃破を確認なんかぜずに、もう1度マキシマムスロットを叩く。
『ファング――マキシマムドライブ!』
またもやブレードは蒼白く輝く。それをブーメランの要領で投げる。
そのブレードは残っているマスカレイドたちを無慈悲に斬り裂いた。
それだけでは終わらない。
『ファング――マキシマムドライブ!』
『ファング――マキシマムドライブ!』
『ファング――マキシマムドライブ!』
『ファング――――マキシマムドライブ!』
『ファング――――マキシマムドライブ!』
マキシマムスロットを何回も叩く。
「なっ………!?」
マスカレイドたちを斬ったブレードは、ナスカに向かう。
ファングがマキシマムドライブを発動しながら、何回も切り裂き、攻撃する。
「ぐっ!」
ようやく攻撃がある程度収まり、ナスカが剣でブレードを何とか弾くと、ファングはそのままキャッチする。
その流れでナスカを的確に斬りつける。
「おい、フィリップ」
『あぁ………。これは僕の時よりも遥かに強いね』
1歩下がりながら、翔太朗とフィリップは状況を分析する。
フィリップが暴走した時はファングの力に呑み込まれ、ただの獣のように暴れていた。しかし、八幡の場合はまるで獣というよりは機械に近い。
それに加えて、あのファングメモリはT2。
「とりあえず、どうやって止める?」
『比企谷八幡には悪いが、ある程度ダメージを与えてメモリを抜くしかないね』
「………だな」
Wの2人が話しているころ、ナスカはファングの猛攻を喰らい続けてボロボロになっている。
少しは防御できたが、それ以上の怒濤の攻撃に成すすべなくダメージを負う。
「くっ………」
ナスカはWの後ろを旋回しながら飛び、ファングを誘導する。
それは成功し、ファングのターゲットはWの2人に移る。
「てめっ、コラ」
ファングの攻撃を凌ぎながら翔太朗は毒づく。
「すみませんね。ここは一旦撤退させてもらいますよ」
ナスカはそう言うと、Wがファングに気を取られているのをいいことに、倒れているビーストやマスカレイドたちを無理矢理引っ張りトラックに乗り込ませる。
「逃げんな!」
『翔太朗、まずはこっちからだ』
「分かってるよ!」
メモリチェンジをし、火力の高いヒート・メタルに変わる。
「うらっ!」
メタルシャフトでファングを殴りかかる。ファングは紙一重で避け、その流れでWの腹を蹴ろうとする。が、メタルシャフトを器用に動かしそれを防ぐ。
次にルナ・メタルになり、鞭のようにしならせたメタルシャフトでファングの体を巻き付ける。
――――ブンッ!!
それに対して思うように動けないファングはメタルシャフトを片手でギリギリ掴み、ただただ力任せにぶん投げる。
「嘘だろ!?」
翔太朗がそんな声を上げると同時にWは空高く舞う。
『流石だね』
「感心してる場合か。だったら………」
空中でWの基本フォームの中で最高火力を誇るヒート・トリガーの姿に変わる。
そのまま火炎弾を撃ちまくるが、サイクロン・トリガーのような速い弾速はなく最小限の動きで避けてしまう。
それでも、火炎弾のせいでファングはWに近づけずにWは無事に着地する。
そのような攻防がしばらく続く。
Wは途中、何度もメモリを変えながらファングの攻撃を凌いでいる。しかし、なかなか決定打となるようなダメージは与えられていなく、ファングの勢いはさらに増していく。
ルナ・トリガーで弾幕を増やし、ファングから大きく距離を取る。
「おいフィリップ、埒が明かねーぞ。それどころか、俺らがやられてしまうかもよ」
『仕方ない。こうなったらエクストリームで一気に決めようか』
「そうするか」
そう言った直後、Wの元にエクストリームメモリが飛んできた。
次の瞬間――――
「何ッ!?」
『あれは………?』
天からオレンジ色の光が降り注いできた。
そして、その光はやがてオレンジ型の球体となり、ファングをその中に閉じ込めた。外から見ると、それは薄いオレンジ色の膜だ。
ファングはその光の膜を殴り、蹴りかかるが………ビクともしない。
今度は球体の中から謎の植物が複数生えてくる。
「フィリップ」
『………検索をかけているが、分からない。あれは地球上の植物なのか? 興味深いね。ゾクゾクするよ』
その植物はファングの四肢に絡み付く。ファングは抵抗を試みるがまるで効果はない。
その内の1本がロストドライバーのメモリスロットを元の位置に戻し、ファングメモリを抜く。
変身は解けて比企谷八幡の姿に戻る。
それを確認すると、Wも変身を解き、翔太朗に戻る。エクストリームメモリにいるフィリップも校庭に降り立つ。
「何だったんだ、あれは……? 味方、なのか?」
翔太朗の呟きに、
「詳しく調べてみる必要がありそうだ。それよりも翔太朗、比企谷八幡は僕が見ておくから君は救急車を呼んでくれ」
「そうだった。……分かった」
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