※今回独自解釈?を含みます。
※後書きに挿絵があります。
ご注意下さい。
挿絵が苦手な方の為に、今回はここで言わせて頂きます。感想・評価・誤字報告、本当にありがとうございます。
「今日はお前らに学級委員長を決めてもらう」
「学校っぽいの来たーーー!!!」
相澤先生の言葉に盛り上がるクラスメイト達の声を聞きながら、窓から外を見下ろし、校門に群がるマスコミ関係者を観察する。彼等は雄英高校で教師をする事になったオールマイトの取材目的で押し掛けてきている様なのだが、雄英バリアーと呼ばれる頑丈な扉に行く手を阻まれていた。
彼等は二日程前から学校の前に張り込んでおり、生徒達にもインタビューを行っている。かく言う俺もつい今朝インタビューを受けてきた。テレビカメラを向けられる事など初めてで緊張してしまい、愛想笑いを浮かべて誤魔化そうとすると、マスコミはそんな俺の態度に呆れたようで駆け足で去って行った。
そんな話はさておき、原作通りなら今日はヴィラン連合が授業用のカリキュラムを奪いにくる日である。今回の襲撃で直接的な戦闘はないが、後に起こる雄英襲撃事件の原因となる重要な事件だ。
なんとかしたい所だが、侵入・撤退目的となるとヴィラン連合にはチートレベルの個性を持つ人間がいる。“ワープゲート”という個性を持つ黒霧という男だ。おまけにカリキュラムが置かれている場所なんて俺は知らない。これらの状況から、俺が単騎でヴィラン連合の目的を阻止するのはほぼ不可能である。
「静粛にしたまえ諸君!不死くんも呆れているぞ!」
今回は静観に徹するしかないよなぁ、とため息をついていると、飯田が急に俺の名前を呼んだ。考え事に没頭していて全く話を聞いていなかった俺が驚いて飯田の方を見ると、彼は真剣な顔付きでこちらを見つめ返してきた。
「僕も同じ考えだ不死くん。多をけん引する責任重大な仕事、やりたい者がやれる職ではない!ここは民主主義に則り、投票で決めるべき議案であると俺も思う!」
そうだろう、と同意を求めてくる飯田に、適当な相槌を打っておく。何やら勘違いされている様だが、学級委員長は元々投票で決められていたし問題無いだろう。
結果的に飯田の案を相澤先生が了承し、委員長決めは投票で行われる事になった。手のひら程の大きさの紙が全員に配られ、その紙に相応しいと思う者の名前を書いて投票する。皆の票が集まると、八百万が紙に書かれている名前を読み上げ、飯田がクラス全員の名前が書かれた黒板に投票された数を記入していく。
結果は緑谷四票、八百万2票で、委員長は緑谷、副委員長は八百万に決まった。
「僕四票ーーー!!?」
「分かっていはいた……流石に聖職といったところか……!!」
ちなみに飯田の票数は1である。俺は彼に投票したので、彼は原作通り緑谷に投票した様だ。原作と違って緑谷の票数が1票増えているが、これは彼が戦闘訓練時にヒーローチームの司令塔を務めていたからだろう。0票である切島辺りだろうか。
皆の前に緑谷と八百万が立ち、確認を終えた所で丁度授業終了のチャイムが鳴る。午前中最後の授業だったので、皆足早に教室を出て食堂へ向かっていく。
俺は賑やかな食堂で一人飯を食うのが辛いので、いつもコンビニで買った弁当を適当な所で食べていた。ぼっちしんどい。小さくため息を吐きながらレジ袋に包まれた弁当を鞄から出すと、人通りの少なそうな場所を探して校内探索を開始する。
ヴィラン連合はまずセキュリティを破壊し、マスコミを囮にしながら侵入してくる。その時になるサイレンで生徒達がパニック状態になるのを知っている身としては、出来るだけ廊下や階段等は避けたい。
普段は非常用階段に腰掛けてTHE・ぼっち飯してるのだが、サイレンが鳴れば生徒が押し掛けて来るだろう。十分程歩いたが良い場所は見つかりそうにない。
このままだと昼食時間が終わってしまう。そうだ教室はどうだろう。たまに他のクラスメイトが利用している様なので今まで使っていなかったが、運が良ければ誰もいないかもしれない。
そう思い1ーAの教室に戻ると、教室は静まり返っていた。ラッキーだ。自分の席に座り弁当の蓋を開ける。割り箸を割って小声でいただきますと言ってから、唐揚げを口に運ぼうとしている所で奴らはやってきた。
「あーーー!不死もいるじゃん!ねぇねぇもしかして私達と同じで食堂の席が空いてなかったクチ?あっでもコンビニ弁当だ!てことは元から食堂使う気なかったのか!」
「やめなよ芦戸、不死も驚いてるじゃん……」
ぼっちの天敵が降臨した。肌が紫で角の生えたギャルっぽい女子こと芦戸三奈と、耳朶がイヤホンの様な音楽ガールの耳郎響香である。しまったと思うがもう遅い。今から教室を出るのはあまりにも不自然である。
「折角だし話聞かせてよ!ほら不死超強いじゃん!戦闘訓練の時の映像凄かったし!」
俺の隣の席に腰掛け、購買で買ってきたらしいパンの袋を開ける芦戸。彼女の正面の席に耳郎が座る。
「確かにちょっと興味あるかも。轟とか爆豪とか、アンタの動きって何か凄いし」
一年間丸々一睡もせずに勉強と学校と食事風呂トイレ以外全部戦闘訓練に宛ててました、なんて言えるはずもなく。まさかの事態に未だ混乱して言葉に詰まっている時にそれはきた。
校内に鳴り響くサイレンの音に、芦戸と耳郎が顔を見合わせる。とうとう来たかと思うと同時に、自然と体に力が入った。
ヴィラン連合の侵入作戦が始まっのだ。
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい』
「ちょ、何これヤバくない!?ヒナン!?」
「セキュリティ3って……誰かが校舎内に侵入してきたってこと……?」
ヤバいじゃんそれ!不審者!ヴィラン!避難!と騒ぐ芦戸に、一度窓から外の様子を確認してから心配ないと告げる。
「問題ない、ただのマスコミの暴走だ」
「え?」
「窓の外を見てみろ」
「あっ、本当だ」
ナイスタイミングだヴィラン連合!!お前らのおかげで助かったぜ!!しかしこれ以上ここに居ても彼女らと話す事になりそうなので、俺は教室を出て行く事にした。
「俺はちょっと周りの様子を確認してくる。ここから動くなよ」
かなり硬い感じの声になってしまったが、緊張しまくっているのだから仕方がない。あれ?ちょっと不死、と声を掛けてくる二人の声を聞こえないフリをしながら無視し、教室のドアを開いて廊下にでる。殆どの生徒が食堂に集まっている事もあって生徒は誰もいない。
非常口近くの廊下の様子を見に行ってみようと歩き出し、角を曲がったその時、
空中に、突如として“黒”が出現する。
背中を刺すような寒気。あまりにも濃い“悪”の気配に、半ば反射で戦闘態勢を整えた。
「あれ……確か今ガキは食堂に集まってるって話じゃなかったっけ……なぁ黒霧」
「その筈なんですが……運悪く教室に残ってしまっていた生徒がいるようですね。どうします?」
黒い霧から現れるヴィラン達。その数は三人。カメレオンの様な容姿をした異形の男と、スーツをきた黒いモヤの様な男。そして――――――
「お前の個性見せちゃったんだ……此処で消すしかないだろ」
――――――ぼさぼさの白髪で、顔を右手で覆っている痩せた青年、ヴィラン連合のリーダー死柄木弔。
刹那、手のひらをこちらに向けながら突進してくる死柄木。奴は、五指で触れた物を“崩す”個性の持ち主。接近戦は危険だ。そう判断すると同時に、校舎や壁を壊さない程度に抑えたエネルギーを放つ。
完璧なタイミングの迎撃。死柄木がこちらをガキだと舐めてかかった故の反撃。ヴィランを吹き飛ばすと思われたそれはしかし、黒い霧に遮られた。
「いけませんよ弔。子供とはいえ、此処は雄英。彼らはヒーローの金の卵達です。」
「そうだ……そうだよ、忘れてた。ラスボスの控えてるダンジョンなんだ、雑魚敵も一筋縄じゃいかないよな……」
言ってろ、と、身体能力をブーストして一気に距離を詰める。左手からエネルギーを放出し、反動を堪える事無く後ろへ飛んだ。
放たれた白い炎はまたも黒い霧に防がれる。敵を見据えると、カメレオンの様な容姿の男はいつの間にか消えていた。伏兵として潜んでいる可能性はあるが確率は低い。恐らく当初の目的であるカリキュラムを奪いに行ったのだろう。
またも死柄木が駆ける。速い。突き出された腕をかわし、掌底を胸に叩き込むが、それすらも黒い霧に阻まれる。異様な感触に咄嗟に手を引き、距離を取るために炎を放出し後ろへさがる。
厄介極まりない。黒霧がチート過ぎる。死柄木も想像していた以上に強い。接近戦を避けたいが、相手は意地でも接近戦に持ち込もうとしてくるし、実際俺には為す術がない。
時間稼ぎに徹するしかない様だ。暫くすれば騒ぎを聞きつけて教師が駆けつけてくれる筈。
「あなたの個性、変わっていますね。防いで暫く経っているのに、未だ私のなかで生きている。普通の炎とは違う様だ」
あくまで余裕の態度を貫く黒霧が話掛けてきた。油断なく二人の敵を見据え、右手にエネルギーを集中させる。
「何だか気持ちが悪いので、お返ししますね」
ノーモーションで放たれたのは、先程俺が放った白い炎。咄嗟に右手のエネルギーを解放するが、防がれた2発分のエネルギーが込められた炎を相殺するにはエネルギーが足りていなかった。
その威力に耐えきれず、廊下の壁にヒビが入る。無様に吹き飛ばされ、壁に叩き付けられた。しまった、ワープゲート、こういう使い方も出来たのか。血反吐を吐きながら立ち上がると、死柄木が走りながらこちらに迫っていた。
再度迎撃するために左手にエネルギーを纏う。しかし次は先程の様にはいかない。クラウチングスタートの様な体制をとり、左手を後ろへ向けたその時だった。
「ちょっと不死何やってんの!?何か凄い音がするんだけど!!!」
声が聞こえたのは、俺と、走り出した死柄木の丁度真ん中の地点。先程吹き飛ばされた時に教室を越えて下がっていたのか。不味い。
笑った。死柄木が。髪と顔を覆う手のひらの隙間から、歪んだ喜びを称える瞳が、教室から出て来た耳郎へと向けられていた。
「クソがっ!!!」
思わず大声で悪態を吐きながら、瞬時にエネルギーチャージを行い左手の炎を解放。壁がミシミシと嫌な音を立てているが無視する。
今の俺に出せるトップスピード。白い炎が炸裂し、俺を前方へと押し出した。
迫る死柄木を耳郎は呆然と見つめている。反応出来ていない。当たり前だ。
瞬時に耳郎の隣に並んだ俺は、彼女の顔に伸ばされていた死柄木の手のひらを右腕で防ぎ、そしてそのままブレーキをかける事無く死柄木の腹に飛び蹴りをぶちかました。
勢いは止まらず、まとめて吹き飛ぶ俺と死柄木。勢いのまま壁に叩きつけてやろう。しかしその思惑はまたも黒霧に妨害される。壁にぶつかるコンマ数秒前に、黒霧は個性で死柄木を自らの隣に移動させた。
舐めるなよ。壁を蹴りながら炎を放出。瞬時に距離を詰めて黒霧の胴体を殴りつける。黒霧は小さく呻いたが、すぐに俺の方へ霧を伸ばしてきたので、バックステップで距離を取った。
「いってぇなァ……!ガキが……殺してやる!!」
「残念ですが弔、騒ぎすぎました。教師達がこちらに向かっている様です」
「黙れ!!!このまますごすご帰れるか!!!」
「当初の目的は果たせました。再戦はまたの機会にしましょう」
カリキュラムは奪われたか。時間稼ぎしか出来なかったが仕方がない。右腕も負傷している。死ねば治るが、耳郎がいる今、隙を見せるわけにはいかない。
憤る死柄木を宥めようと黒霧が声を掛けると、死柄木の荒い呼吸が段々と落ち着いてきていた。
「そうだな……しょうがない、今回はゲームオーバーだ。だが……」
巻き起こる黒い渦。空中に開いた黒に、死柄木がゆっくりと呑み込まれていく。憎悪に満ちた目でこちらを睨み、指指しながら怨嗟の言葉を吐く。
「“次”は必ずお前を殺すぞ」
オールマイトのついでにな。そう告げる死柄木に、俺は負けるものかと言い返す。
「舐めるなよヴィラン連合。お前ら如きに、あの人は、“俺達”は殺せない」
黒はどんどんと狭まり、小さくなっていく。次第にワープゲートは消滅し、後には戦いの爪痕だけが残されていた。
負けないさヴィラン連合。俺達には平和の象徴がついているんだ。例え彼が限界を迎えても、今度は俺や緑谷がいる。
「なになに!?どうしたの!?何があったの!?」
「ちょっと不死!!腕!!腕!!」
決意を新たに、死柄木達が消えていった虚空を見つめていると、耳郎と教室から出て来ていた芦戸が腕を指差しながら駆け寄ってくる。
大丈夫だ、問題ない、と返事をし、少し遠い目をしながら、後で自殺しとこう、と、俺は自殺の方法を考えていた。
作者のオリ主のイメージ(私服)。これに帽子被せた感じです。
あくまで作者のイメージです。もっと凶悪に描きたかったんですが、私の画力では無理だった。
【挿絵表示】
お目汚し失礼しました。
感想・評価・誤字報告、本当にありがとうございます。