IS整備士志望の僕がISを動かしてしまった 作:モップー
さて、例のニュースから数日後、僕たちの学校でもISに乗れる男がいないのかと検査をすることになった。
方法は単純明快。 ISに実際に手を触れてみるのだ。 そうするとISの中の情報が流れ込み、そのISに搭乗できる…らしい。
それとISに乗った男についても少しわかってきた。 名前は織斑一夏、どうやらISの大会優勝者の弟らしい。 そして彼はやはり、IS学園に入学するそうだ。
そして学校への登校中に会う同級生達は、誰もがISに乗れることを望んでいた。
何でもIS学園に入ってハーレムがしたいとか… 息が詰まるだけだろうに。 それに織斑一夏くんの顔を見た? あれは女に受ける顔だ。
全員彼に持ってかれるだろ。
先生が言うには、一日をかけて全校男子のISの適性を検査するそうだ。 僕たち3年が1番最初に検査をすることになった。
学校の中で屋内広いスペースを取れる場所と言ったら、体育館しかない。 つまりは僕たちはすごく寒い体育館の中で待たされるわけだ。
幸運なのが、僕の苗字の最初が『う』だということだ。 クラスは3組なので、2組の検査が終わる頃に体育館へ行き、そこから少し待つ。
まあ、すぐ終わるだろう。
「気をつけ、礼。」
『お願いします』
取り敢えず検査の時間までは少し授業をすることになる。 週直の号令で授業が始まる。
ただ僕は、この授業に集中することができなかった。 ISに乗ることはできないだろうし、乗れたとしてもろくなことにはならないがそれでもISに触れることが楽しみだったのだ。
隣のクラスの先生が呼びに来て、授業を一旦中止し、僕たちのクラスの男子がぞろぞろと体育館に向けて廊下を歩いていく。
体育館では2組ののこり三人が居て、その列の後ろに僕たちがついた。
しばらく待っていると、僕の名前が呼ばれた。
「閏 京司くん。」
「あ、はい。」
僕の目の前に鎮座するのは緑色の装甲を持つ『ラファール・リヴァイブ』だ。
近〜遠距離全ての先頭に向いた機体で、後付けの武装のバリエーションが豊富で、いかなる戦闘においても安定した活躍をすると言われる。
「じゃあこのISに手を触れて。」
検査官の女性… 明らかに面倒臭そうな表情をしたその人の指示が聞こえた。 ただ、今の僕はそれどころではなかった。
「おお…」
僕は目の前のISを、ただの機械ではないように感じた。
そして、今までになかった欲が芽生えたのだ。
《こいつに乗ってみたい。》
そいつは僕にそう思わせるほどの存在感を放っていた。
もしも、もしもだ。 ISに感情が存在するのならば、僕を選んではくれまいか?
ほんの少しの希望と共に、検査官の女性の指示のとうりにISに右の手のひらで触れる。
その瞬間、僕の脳内に膨大な量の情報が流れ込んでくる。
SE量、武装、量子変換容量、拡張領域、その他も全ての情報が一気に脳内に流れ込んできたのだ。
そして、僕の視点は先ほどよりも明らかに高くなっている。
「ま、まさか…!?」
検査官の女性の驚いた声が聞こえる。
僕自身は、このISが俺を受け入れてくれた喜びと、驚きで声を出すことができなかった。
そう、僕はこの日、世界で2番目にISを動かした男になったのだ。