タイショクストーリー 作:タイショク
ノリで書きました。
誹謗や中傷はお止めください。
全国各地に突如として現れた鬼との戦いは一応の終息を見せつつある。完全にいなくなった訳ではないが、それでも数ヵ月前に比べればほんの僅かとも言える。
その鬼との戦いので特に大きく貢献した軍の代表格を挙げるならば、織田信長、足利義輝、長尾景虎、武田晴信そしてそれらの英雄を纏めあげた――――――
―――――――天の御使い新田剣丞。
当然ながら、俺の名前はそこにはない。
俺は田舎の下級武士の息子として生まれた。
俺は小さい頃から前世の記憶、つまりこの世界ではない現代の記憶があったのだ。
しかし俺にとってはそんなことはどうでも良かった、別に前より少し生活が不便になるだけで変なしがらみのないこの世界の方がいくらか楽のような気がしなくもなかった。
しかしそんな俺の楽観的な予測とは裏腹に、父親は早くに死んでしまい、母親は病弱と来たもんだ。
俺は仕方なしに織田家の一般兵として士官することになった。
ハイリスクハイリターン、命の危険はあるが手柄を挙げれば報酬がでる。別に他の仕事でも良かったかも知れないが、俺には現代の知識を利用して商売を起こすような行動力はなかった。
それに母親の薬代のためと思えばなんてこたぁない。前世はどうやら親不孝らしいからな、余計だよ。
そして俺は織田家の一般兵として、たまに小さな戦果を挙げたりしてちょっとした小隊長になれた。
そんな時、桶狭間の戦いのさなかあいつは現れた。
田楽狭間の天上人、新田剣丞だ。
あいつが現れてからは激動の日々が続いた。
墨俣の一夜城作戦を皮切りに稲葉山城の攻略等の簡単に言えば歴史の流れ通りとも言える日々のなかに鬼との戦い。
最前線を張る俺のような一般兵が良く生きてたと褒めてやりたいくらいだ。
現代の知識をフル活用してあいつは皆に認められた。
俺もあいつと同じくしてれば良かったのかな~と思ったときもあったが・・・・・・・・ないな。
俺とあいつとはスペックとそもそもの立ち位置が違う。あいつはこちらの世界に来て早々にあの織田信長の夫なのだ。さらにあいつは姉に鍛えられたと言っていたが一般人とは思えないほど強い。
そしてかなりイケメンときたもんだ、勝ち目ないな。俺はそこらの兵より少し腕がたつ程度、そしてちっょとした雑務、書類作業が得意で、あとは・・・・・・少し料理をかじってる程度。
まぁ比較にならないの歴然だ。
それに俺はもうそんなことを考える必要はないのだ。
なぜかって?
俺はもうこの仕事を辞めるからだよ。何もいきなりじゃない前々から考えていた。鬼との戦いは終息に向かってるし、何より・・・・・・何でかは知らないが俺の居心地が悪いのだ。
原因は分かってるような、分かってないような。とりあえずこの仕事を辞めたいのは事実だ。
俺がそんなことを考えていた時に不意に背後から足音が聞こえる。何となく、振り向きたくないような気がしたが、それでも俺は振り向いてしまう。
そして俺が振り向いてしまった視界の中に―――――
―――――――あいつはいた。
次回から本編です。
先ずは頑張り屋で健気なピヨピヨちゃんからです。