魔法?いいえ覇気です   作:伝書鳩

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第2話 把握と落胆

 どうしてこうなった。今の俺の心情はこれに尽きる。別に忘れ物をしたとか、遅刻をしたということではない。昨日以前の俺が問題児だったりイジメられてたということでもない。

 

 俺を悩ませる原因となっているのは、視界の片隅に映る男女比2:3の5人のグループ。といっても男子が女子にまとわりついてる感じが拭えないけど。その中で俺の悩みに直結するのは3人の女子の方だ。アリサ・バニングス、月村すずか、そして……高町なのは。どうやら俺は『リリカルなのは』の世界に転生したみたいだ。

 

 現実逃避したいところだがそうも言ってられない、問題がいくつか出てくるからだ。まずは俺の原作知識が乏しいこと。俺が持つこの世界の知識は俗に言う2次創作による部分が大きい。話の大まかな流れは分かるが、詳しい部分はよくわからん。

 

 2つ目は俺に魔力が無いという悲しい事実についてだ。特典による覇気万能説は利点もあるので結構なのだが、原作に介入または巻き込まれる場合を考慮すると、魔力皆無は厳しいと思うのだよ。いかん、目から汗が……

 

 3つ目は他の転生者の存在。恐らく原作組にちょっかいをかけてる2人がそうなのだと思う。だってソイツら金髪と銀髪で2人揃ってオッドアイなんだぜ、偶然にも程がある。彼らはアウトに限りなく近いアウト、つまり転生者と確定しておく。問題は彼らが特典で与えられた能力だが、調べようがない。俺が転生者だとバラすことはしたくないから情報収集のために接触するのもパス。……やっぱり魔力は持ってるんだろーなー、あこがれちゃうなー。言ってて悲しくなってきた。

 

 ちなみに俺の容姿は黒髪黒目のどこにいてもおかしくないモブキャラスペックです、はい。原作キャラにアピールしまくっている彼らが原作介入しないとは思えないので、動向には注意しておこう。

 

 後はここ以外の転生者の存在か? 具体的にはフェイトやはやて陣営。ここにいる2人がなのはサイドと仮定すると他の原作組に転生者がいてもおかしくはない。まあ考えても仕方ないので、今は置いておこう。

 

 

 

 話は変わるが、確かフェイトがジュエルシードを集める理由ってプレシアさんに命じられたからだよな。そのプレシアさんの目的がアルハザードに行ってアリシアを蘇らせこと。うん? 確定はできないが俺の特典にあるアイテムを使えば何とかなるんじゃね? 具体的には万能薬、金のリンゴ(食べると病気やケガが治る魔法のリンゴ)、ソーマ(神が飲んでいたと言われる幻の霊薬)、幸せのマッチ(すると幸せになれるというマッチ)といったあたりか。説明通りの効果が期待できるならアリシアとプレシアさんの2人を救える可能性があると考えてもいいよね? ダメか?

 

・フェイトと接触して時の庭園(だっけ?)に案内してもらうよう頼む

・プレシアさんに事情を説明

・アイテムで2人の死亡フラグを折る

・管理局への説明と説得(プレシアさん関連)

・テスタロッサ家が安泰に、ィイイャッホー!

 

 よし、当面の目標はこれでいこう! いくつか運頼みな部分があるのは否めないが、そこは割り切ろう。基本的にはジュエルシードの封印とか無理だし放置するつもりだけど、海中にあるはずのなら支援機に頼んで一足先に回収するのはアリか? ロボならきっとジュエルシードが暴走しないように回収できるはず。それを手土産にフェイトに接触できれば上手くいく可能性は上がるかな? きっと上がるさ! 上がればいいなー。

 

 

 

 それからあれこれと考えている内に放課後になった。一部の生徒がさっさと帰るの眺めながらこの後の予定について思案していると、何故か俺は原作組+2人に囲まれていた。俺が何をしたっていうんだ……。

 

「なあアリサ、さっさと帰ろうぜ」

「同感だ」

 

 いいぞ金銀コンビ、もっと言ってやれ! 俺に構わず5人で帰りなさい。

 

「なら司と大和は帰ればいいじゃない。私たちは真に話があるんだから」

 

 鋭い眼光で俺を直視しながら目の前の人物、アリサ・バニングスがそう言うと2人は黙ってしまった。おい、もっと根性出せよ! この瞬間俺の中で2人はヘタレと格付けされた。

 

 司(つかさ)と大和(やまと)がどちらを指すのかはわからんが、男2人の名前が労せず入手できたのはラッキーだ。こっちから話しかけるとか無理だし。ちなみに真ってのは俺の名前、フルネームは佐々木真(ささき しん)厨二な名前じゃなくてよかった……。

 

「話って?」

「とぼけてるんじゃないわよ! アンタ何で塾を辞めてんのよ!!」

「アリサちゃん少しは落ち着こうよ」

「シン君にも事情があるかもしれないの」

 

 俺の机を叩いて詰め寄るアリサのことを彼女の友人のすずかとなのはが宥めている。知識を探るとどうやら俺はアリサたちと同じ塾に通っていたらしい。去年までクラスは違っていたので熟で挨拶する程度の間柄だ。知人以上友達未満といった所か、自分で確認して悲しくなってきた。話は戻るが長期休暇の最中に面識の無いこの世界の両親が謎の失踪、親戚の家に引き取られることを拒否した俺は一人暮らしをする事になった。あ、どうやら保護者はちゃんといるらしいです。そんなこんなで塾に通う時間的余裕も無くなったので辞めた、と。ヘビーだな、おい。さて、どう説明するべきか……

 

「あー、何て言えばいいかね」

「もったいぶってないでさっさと言えよ」

「司、アンタは黙ってなさい!」

 

 どうやら銀髪の方が司君らしい。それはそうと短気だね。もう少し我慢を覚えた方がいいと思うよ。それよりも言えというなら話してしまおうじゃないか。

 

「諸事情で一人暮らししなきゃならなくなったので塾に行く余裕なんて無くなった。以上」

 

 詳細に説明するのも面倒なので簡潔に要点だけ伝えるが、俺の発言に男2人は頭を捻ってる。お前ら転生者だろ精神年齢上だよな、察しろよ! なんで原作組の3人の方が気まずい顔してるんだよ!! 最近の小学3年生は大人びているんですね。

 

「ゴメン、悪かったわ」

「何かあったら相談してね」

「アリサ、気にするな。俺は大丈夫だから。ありがとな、すずか。悪いけど困ったことが起きたら頼りにさせてもらうよ」

 

 すいません恐らく両親の失踪の原因は俺の転生が原因だと思いますなんて言えずに、自分としては無難な返事をするとアリサとすずかが固まっている。何かあったのか?

 

「シン君、何か雰囲気が変わった気がするの」

 

 なのはの発言に2人は何度もうなずいて同意している。あれか、俺という人格に変化したことを敏感に感じ取ったということか。というか以前の俺はなのはとも親交があったのですね、やるじゃん。

 

「休み中色々とあったからね。そのせいかも」

 

 実際は昨日の転生とその後の修行が原因だ。実に濃い一日だった、6時間耐久組み手的な意味で。さて、これ以上この場にいると俺を後ろから睨んでいる2人が何を言い出すかわからないので退散しようかね。

 

「これで話は済んだかな?」

「これから皆でなのはちゃんの家の喫茶店に行くんだけど、真君もどうかな?」

 

 俺なんかを誘ってくれるすずかちゃんマジ天使! 誘いは嬉しいが、残念ながら今は無理だけど。

 

「悪いけど今日は用事(主に修行)があってね、また今度誘ってほしいな」

「う、うん。また今度ね、絶対だよ」

「自分から言ったのだから、約束は守りなさいよね」

「楽しみにしてるの」

「じゃあ俺は急いでるから先に帰らせてもらうね。バイバイ」

 

 3人娘からの返事を聞きながら教室を出る。背中に突き刺さる金銀コンビからであろう視線がワンランク上の厳しさになっている。もしかしなくても目をつけられたな。まさかあちらから接触してくるとは思わなかった。あの2人が理性的な行動をする人間であることを期待したい。

 

 

 

 特に寄り道する事もなく帰宅。訓練所に移動する。修行の前に思いついたことが可能か確認しないと。

 

「えーっと……確かこの先にあるんだよな」

 

 俺の目的地はこの訓練所内の一角に設置された開発室だ。俺の特典の一つに【ムゲフロEXCEEDにある技や能力、技術を使用可能(一部使用制限有り)】というのがあるが、どうやら該当するのはプレイ可能キャラだけではないらしい。魔族などの外的な能力は覇気に依存するように変更されてるが、キャラが備えている知識などの内的な能力は問題なく扱えるみたいだ。

 

 どういう事だと言うと、俺はマッドな博士やアンドロイドの存在もあって機械関連の能力がヤバいってことなんだよ!! ナ、ナンダッテーー

 

 と、いうわけでこの開発室を活用して今後のために色々と作っておくのだ。フハハハハ、テンション上がってきた!!

 




後書き
・覇気万能説
利点:覇気の強化が全体のレベルアップになる
欠点:魔力なんてなかった

・チートアイテム:まだお菓子がある、この意味がわかるか?

・金銀コンビ:オリンピックの影響とかはないよ? 茶髪がいれば金銀銅とか考えてないよ、ホントウダヨ?

・原作組:すずかちゃんマジ天使!

・開発室:発達した科学はまるで魔法……あれ?
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