境界線上の鍛冶師   作:リクヤ

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ハーメルンでは初投稿なので、拙いところもありますが、よろしくお願いします。


第一話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わりの次に表れ

 

終わりへとつながるもの

 

 

配点(始まり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天上は青。朝焼け特有の薄白い月を二つ並んで浮かばせている。

 

地上は緑。樹の茂った山々が遠くまで波を描いている。

 

その二つを結ぶように、幾つも円柱状の見えない壁のようなもので区分けされていた。

 

そして天上と地上の間、空を行く巨大な八隻の船。

 

 

右舷一番艦 “品川”

右舷二番艦 “多摩”

右舷三番艦 “高尾”

 

中央前艦 “武蔵野”

中央後艦 “奥多摩”

 

左舷一番艦 “浅草”

左舷二番艦 “村山”

左舷三番艦 “青梅”

 

 

多くの縄で繋がれたこの艦の名を、“武蔵”と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『市民の皆様、準バハムート級航空都市艦・武蔵が、武蔵アリアダスト教導院の鐘で朝八時半をお知らせ致します。本艦は現在、サガルマータ回廊を抜けて南西へ航行、午後に主港である極東代表国三河へと入港致します。生活地域上空では情報遮断ステルス航行に入りますので、ご協力御願い致します。――以上』

 

 

奥多摩に建つ建物、武蔵アリアダスト教導院の正面玄関前にある橋の上で、黒いジャージを着た女性が声を上げた。

 

 

「三年梅組集合――。いい?」

 

 

そう言った彼女が見る教導院校舎の手前には、人影が幾つもあった。

三者三様、十人十色。様々なものがいる。

そんな彼らに対し、彼女はさらに声を上げる。

 

 

「では、――これより体育の授業を始めまーす。ルールは簡単。先生これから品川の先にあるヤクザの事務所に用があるから、全速力で走っていきます。全員ついて来てね。遅れたら――そうね、早朝の教室掃除でもしてもらうかな。――返事は?」

 

「Jud.」

 

 

彼女の言葉に、その場にいる全員が了解の意を返す。

 

 

「あ、そうそう。出席確認するけど、居ない奴いる?」

 

「んー、ナイちゃんが見る限り、此処にはセージュンとソーチョー、シズヤンが居ないかなあ」

 

 

黒い三角帽に、金髪に、背には金の六枚翼のマルゴット・ナイトがそう答えると、彼女の腕を抱いた、黒髪に、背に黒の六枚翼のマルガ・ナルゼが首を傾げる。

 

 

「正純は講師のバイトで多摩の小等部教導院に行ってるし、午後から酒井学長を三河に送りに行くから、今日は自由出席のはず。静也は酒井学長と一緒に三河に行くのは聞いてるけど他は分からないわ。トーリについてはまったく」

 

「じゃあ、二人について知ってる人~?」

 

 

問いかけに、他の皆の後方にいた少女が自分に目線を集めてから答える。

 

 

「フフ、皆、愚弟が何処に居るか聞きたい?聞きたいわよね、総長兼生徒会長の動向だもの。――でも教えないわ!」

 

「えぇ!?」

 

「だって、この私、ベルフローレ・葵が朝八時過ぎに起きたらもういなかったわ。でも何処に居るかはわかるわ!この武蔵の何処かに居るってことわね!」

 

「大前提だよ!」

 

 

少女、ベルフローレ・葵…本名、葵・喜美が言うと、全員が声をそろえて叫んだ。

 

すると、ナイトが喜美に問う。

 

 

「というか、喜美ちゃん?また名前変えたの?」

 

「ええそうよ。だから“青い黄身”なんて何食ってんだかわからないような名前じゃなくベルフローレ・葵と呼ぶのよ!いい!?」

 

 

そして喜美はナイトの襟を掴みグラグラと揺らしながら言う。

 

 

「確か三日前はジョゼフィーヌだったような……」

 

「その名前は三軒隣の中村さんが飼い犬につけたから無しよ!あの女、老後の楽しみだからってあんな毛がフワフワした獣を幼女の段階から首輪つけて調教するなんていい趣味だわ!悔しいから今度抱かせてもらうのよ!?ねぇ、これって負け犬!?」

 

「どーだろーねー」

 

 

ナイトが棒読みでそう返している間に、オリオトライは出席簿にチェックをつけていく。

 

 

「後は静也だけど…直政、何か知ってる?」

 

 

オリオトライが問うたのは、右腕義碗の少女、第六特務の直政だ。

 

 

「いや、“ちょっとやりたいことがあるから今日は徹夜になるなぁ…”とか言ってたぐらいさね」

 

「やりたいこと!?この前愚弟のエロゲ目の前で叩き割っときながら自分も夜な夜なやってたのね!」

 

 

変な方向に反応した喜美がそういうと、帽子とスカーフで顔を隠した少年、点蔵・クロスユナイトと半竜のキヨナリ・ウルキアガが、

 

 

「あー、あれは酷い事件で御座ったなぁ。目の前で一つ一つ割るのを一部始終見て御座ったが、あれはまさに鬼の所業…!」

 

「うむ、全くであるなぁ」

 

「小生思いますに、確かお二人、エロゲの中から金髪巨乳物と姉物貰うことで買収されてたような……」

 

 

オリオトライは一つ頷き、

 

 

「静也とトーリは遅刻、っと。総長兼生徒会長と副長がこれじゃいかんねー」

 

 

そういうと、皆は苦笑を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリオトライは続ける。

 

 

「歴史再現の名のもとに、各国の代表が教導院の生徒に姿を変え、極東を分割支配している今、極東の代表には聖連の支配に都合のいい人物、――今代でいえば葵・トーリのように、最も能力のないものが選ばれてきた。しかも、トーリには“不可能男”何て字名まで与えてね」

 

 

オリオトライが口端に笑みを浮かべながら言う。

 

 

「でもまあ、そんな感じに面倒で抑え込まれたこの国だけど、君らこれからどうしたいか解ってる?」

 

 

言葉と共に、彼女がわずかに体制を低くすると、数人が瞬間的に反応する。

 

 

「いいねぇ、戦闘系技能を持ってるなら、今ので“来ないと”ね。さっきも言った通り、ゴールは品川のヤクザの事務所。それまでに攻撃を当てることができたら、そうね――」

 

 

一拍置き、

 

 

「――出席点に五点プラスしてあげる。つまり、――五回サボれるの」

 

 

その言葉に、皆がひそひそと話し合う中、点蔵が手を挙げた。

 

 

「先生、攻撃を“通す”のではなく、“当てる”でいいので御座るな?」

 

「全く戦闘系は細かいわねぇ。別にそれで構わないわよ?手段も問わないわ」

 

 

その言葉に、点蔵は隣のウルキアガと顔を合わせ、

 

 

「では、先生のパーツで何処か触ったり揉んだりしたら減点されるところなどは――」

 

「もしくは逆にボーナスポイントが出るようなところなど」

 

「あはは、――授業始まる前に死にたいのはお前ら二人か」

 

 

ひい、と後ずさる二人にみんなが苦笑をしていると、

 

 

「んじゃ、――」

 

 

オリオトライが後方に跳躍した。

 

 

「授業開始よ!」

 

 

高く、そして長い跳躍だ。教導院前の長い階段を一気に飛び越す。その一瞬の出来事にみんなが反応できずに見送る。

く、という声の後、誰かが叫んだ。

 

 

「…追え!!」

 

 

 

 

 

...next episode




というわけで第一話、如何でしたでしょうか?

感想等、色々ありましたらよろしくお願いします。
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