境界線上の鍛冶師   作:リクヤ

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前回投稿してからもう一ヵ月経ってるんですね。

いやぁ、時が過ぎるのは早いですな(すっとぼけ


第三話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トーリがコクリ宣言したり、先生に蹴り飛ばされたりした後、ヤクザの事務所ぶち抜いて壁に当たって気絶したトーリを置いて、皆はそれぞれ教導院へ帰っていく。

 

その道中、静也は直政と並んで歩きながら、

 

 

「そういや、今日は東が帰ってくる日だったっけか」

 

「Jud.今頃、検疫なんかしてる頃だろうさ。迎えにでも行くんさね?」

 

 

直政がそう尋ねると、静也はそうだなぁ…と言い、

 

 

「武蔵王が行くだろうけど、役職持ちが誰もいかないってのもなんか、な」

 

「先生には言っといておくさね」

 

「Jud.ありがとな、マサ。俺、マサのそういう気が利くところ好きだぜ」

 

「……下らないこと言ってないで、さっさと行くさね」

 

 

静也は笑みを浮かべながら、Jud.Jud.、と言って跳躍。あっという間に離れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うわ、何ですか今の! とんでもない熱波でしたよ!?』

 

『第六特務の顔真っ赤ですよ…』

 

『シズヤン、結構ストレートだからねぇ』

 

『えぇ、ストレートすぎて同人誌にしにくいのよね……まあ、したけど』

 

『したのかよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東は何処かな、っと。あ、武蔵王」

 

「Tes.篠宮君、どこへ行くのかね?」

 

 

道中に知り合いの姿を見つけ、立ち止まる。

 

ヨシナオ。

 

教導院の教頭に就いている。

 

そして、もう一つの役割は、聖連から派遣された武蔵の王としての役割。

 

故に、学生の身分ではなくとも、教導院、しいては武蔵全体の最終決定権を持っている。

 

かな~り偉い人だが、トランプのキングのような恰好や、その強い責任感と高圧的な態度のせいで、俺達梅組の格好の餌食になっている。

 

 

「Jud.武蔵王と同じです。東の迎えに行こうかと」

 

「うむ、良い心がけである。全く、君のクラスの連中ときたら、麻呂に会う度に…!」

 

「あ~、何かすいません」

 

 

武蔵王の愚痴(主に梅組関連)を聞きながら歩いていると、港へ着く。

 

 

「どうやら、検疫に時間がかかっているようであるな」

 

「では、もう少し待ちますか」

 

 

俺がさらに愚痴を聞いていると、少年が現れる。

 

 

「あ、武蔵王」

 

「Tes。お久しぶりであります、東君」

 

「はい。って、静也君!?」

 

「Jud.久しぶりだな、東。少し背が伸びたか?」

 

「あはは、そうかな?」

 

「こら、篠宮君!」

 

 

談笑する俺と東に、武蔵王が割って入る。

 

 

「東君相手にタメ口、さらに呼び捨てなど…!」

 

「あ、良いんですよ! 折角のクラスメイトなのに、敬語は堅苦しいですし」

 

「東君は優しいのですな。篠宮君、東君がこう言ってくださるからいいが、以後気を付けるのであるぞ?」

 

「あ、Jud.わかりました」

 

「気の抜けた返事であるな…」

 

「あの、もういいですから! それよりもほら、行きましょう!?」

 

 

目を細めて言った武蔵王に、東が話を切り上げた。

 

 

「Jud.そうだな。東、荷物待ってやるよ」

 

「え? だ、大丈夫だよ?」

 

「遠慮すんなって。よ、っと」

 

 

俺は東の荷物を持って、教導院へと東や武蔵王と向かう。

 

主に東が長旅の途中のことを話したり、俺が東がいない間のことを話したりしつつ歩いていくと、教導院が見えてくる。

 

教導院昇降口前の長い階段を登り終えると、

 

 

 

「では、俺は此処で失礼します」

 

「何処かへ行くのかね?」

 

「ええ、午後に三河の方に。まだ時間はありますが、色々やっておきたいことがあるので」

 

「Tes.ちゃんとした理由があればよいのである。気をつけるのであるぞ?」

 

「Jud.ありがとうございます。東も頑張れな」

 

「J、Jud.」

 

「よし、では、これで」

 

 

 

俺は階段の淵を蹴って高く跳躍し、一気に階段を降りる。

 

 

「さって、正純は何処にいるかな?」

 

 

屋根の上を跳躍して辿り着いたのは、多摩表層部の一角、『青雷亭(ブルーサンダー)』と書かれた店だった。

 

 

「この時間ならたぶん此処だろ…」

 

 

そう思って、店のドアノブに手をかける。

 

 

『なら、“後悔通り”って知ってるかい?』

 

…ッ!?

 

 

店内からそう聞こえ、手が止まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店内には二つの人影があった。片方はテーブル席の椅子に座り、食事をとっている教導院の男子制服を着た影で、もう片方は厨房に立ってパンを焼く女店主の影だ。

制服を着た影…本多・正純は店主の問いかけに答える。

 

 

「それって、教導院前の右舷側大通りの通称ですよね。自然公園を抜けて艦首側に行く…」

 

「Jud.あれがなんで“後悔通り”って言われてるかは?」

 

「いえ。………それが何か?」

 

 

店主のさらなる問いを否定し、疑問を返す。

 

 

「十年前、あそこである事件が起きてねぇ…。武蔵の住人は、それについて知ってるから、“後悔通り”の由来も知ってる。もう少し前に踏み込んでご覧。きっと、思うことがあるはずさ」

 

…事件、か…

 

 

かけられた言葉に、正純はJud.、と返した。

そして店主はさらに言葉を投げた。

 

 

「…で、そこで立ち聞きしてる副長。何か用かい?」

 

「?」

 

 

投げかけられたのは自分ではない。そう確信しつつ、誰に投げかけられたのか疑問を抱く。

すると、店の扉が開き、見知った顔が現れる。

 

 

「失礼しますよ…」

 

「篠宮!? 如何して此処に!?」

 

「三河行きについて話すことがあったから正純を探してたら、な……」

 

 

そう言って店内に入ってきたのは正純のクラスメイトでもあり、生徒会の副会長でもある彼女の正反対ともいえる総長連合の副長の任を持つ少年だった。

いつもは穏やかな表情を見せる顔が、今は少し暗く見えた。

 

 

「篠宮、今の話を聞いていたのか?」

 

「まあ、な」

 

「……店主が言った事件にも、関わっているのか?」

 

 

問いを肯定した静也に、正純は更に問うた。

 

 

「…ああ。だが、俺からは何も話すことはできない」

 

「何故…?」

 

「関わってはいるが、当事者とは言えん。…当事者は三人だけだからな」

 

 

正純の向かいに座った静也に、正純はまた疑問した。

 

 

「一人はあの石碑に書かれているホライゾンという少女のことだとして…残りの二人は誰だ?」

 

「それも言えん。ただ言えるのは、その事件は良くも悪くもあいつ等に影響を与えてるってことと、俺の生き方を決めた要因の一つでもあるってことだけだ」

 

…あいつ等?

 

 

正純はそのことについてさらに問いかけようとはしなかった。静也がもう聞くなという顔をしていることもあるが、ただ、これ以上は自分の足で調べよう、そう思ったからだ。

なので、別のことについて聞いた。

 

 

「そうだ篠宮、言いたいことって…?」

 

「ん、Jud.三河行きだが、忠次さんは教導院でネイトに証書もらってからで、俺はそれを迎えに行くけど、お前はどうする?」

 

「そうだな…私はこの後奥多摩艦首の墓所に行くから…教導院前の階段下あたりで待ち合わせ、か?」

 

「別にいいが、その時間帯、階段の上で馬鹿共が意味不明会議してるぞ?」

 

…うわぁ…あれかぁ…

 

 

正純もその階段会議には出たこともある。しかし、七割方議題や内容が意味不明なので、正純は一週間もしないうちに参加することをやめた。そのこともあって、会議中に近づくのは気が引けた。

教導院前の階段はとても長い。しかし、あの連中のことである。数十メートル先の自分など即座に見つけるだろう。

考えが顔に出ていたのだろうか、静也は苦笑していった。

 

 

「じゃあ、俺が迎えに行った後、武蔵野あたりで待ち合わせだな」

 

「J、Jud.助かる」

 

「Jud.Jud.」

 

「? 何処へ行くんだ?」

 

 

そう言って立ち上がった静也に、正純は問いかけた。

 

 

「要は済んだしな。後は帰って暇をつぶすさ」

 

「おいおい、店入っときながら何も買わないで帰るつもりかい?」

 

「今は準備中でしょうに…また今度食べに来ますよ」

 

 

厨房から出てきてそう言う店主に、静也はそう返した。

店主は、持ってきたトレイをテーブルに乗せる。

 

 

「正純さん、これ持ってきな」

 

「これは…?」

 

「昔、トーリ達に出してた朝の定番さ。ま、もう昼だけどね。紙袋に包んどいたから持ってくといい」

 

 

そう言って出された紙袋を、感謝しつつ受け取る。

 

 

「ほら、アンタも持ってきな。懐かしいだろう?」

 

「どうも。まあ、そうですね。じゃあ、俺はこれで」

 

 

そう言って静也が出ていって直ぐに、昼を知らせる鐘が鳴った。

 

 

 

 

 

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