「急ぐぞ!少し火の手が早い!」
「くそっ!魅空羽、乗れっ!」
「う、うん!」
私は魔理沙の箒に追い付き、飛び乗る。目線のやりどころに困り、隣を見ると、妹紅が今朝よりも険しい面持ちで飛んでいた。なんでも、炎を扱えるらしく、今も両翼を象る焔を背中に宿している。
「ちっ……私は先に行って火の進行を妨げる!魔理沙も魅空羽、だっけ?落とさないように急いで来て!」
「おう分かった!魅空羽、飛ばしていいよな!?」
「もちろんっ!」
我ながら随分頼もしくなったものだ。私と魔理沙が乗った箒は全速力で一際明るい人里の端へ飛んでいった。
――――――――
さすが魔理沙のスピード、着くのには5分もかからなかった。
見ると、更に人口の多い方へ火が移らないよう、焔を上空に集める妹紅がいた。
口元に余裕めいた笑みは浮かぶものの、直に炎を触る右手は焦げていると言っても過言ではなかった。
「魅空羽!呆けてる暇はない。私はこの状況を打開できそうな奴を呼んでくる。避難誘導を頼んでいいか?」
遭遇したことのない状況に置かれ、それでも私は頷いた。
避難誘導は、私がやるまでもなく完璧だった。色々考えたあげく、私は燃えそうな木々や看板を火から遠ざける事にした。焼かれるような暑さに噎せ返りながら、私は精一杯の事をした。
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(どうすればいいんだっけ……えっと……)
いつの間に煙を吸っていたのか、意識が疎い。山から吹き抜ける突風は、明らかに状況を悪化させている。
反対側にいる妹紅の目にも、焦りが見てとれる。
遂に意識を放りそうになった時、私は襟元を思いっきり引っ張られた。抵抗もせずに後ろに仰け反ると、そこには冷たい目をした霊夢がいた。
「あ……れい、む……」
「全く……あんたらは本っ当にもう……!」
「取った行動はともかく、単体で動いたのには感心しないな、魅空羽」
もう一つ聞こえた声に目線を動かすと、慧音によく似た、というかほとんど慧音の半獣がいた。図書館の図鑑にあった、白沢だろうか。
「もうこの際開き直るが、私は白沢だぞっ」
「どういう方向に開き直ってんのよ?」
もっぱらいつもと変わらない会話だが、満月を背にした慧音の姿はいつもと違う凛々しさがあった。
ふと空中に風切り音が響く。皆で上空を見上げる。
「着いたか……!待たせたな、霊夢……!」
「ふふん!あたいがきたからにはもーだいじょーぶよ!」
「チルノちゃん、あんまり下に行っちゃダメだよ……!」
そこには、息を切らした魔理沙、チルノ、この前の妖精がいた。そしてもう一人、魔理沙の箒の上に座る人がいた。
「あら、また会ったわね。」
「あ、アリスさん!」
その後、妖精による吹雪と人形たちによって始まった消火活動を、私は横目に見ながら、おもむろに月に手を翳し誓う。
――何があっても、この世界で生き残るんだ。
ありがとうございました!
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