次の朝、結局しびれを切らした咲夜が迎えに来るまで、私は人里の片付けに追われていた。
――――――
「全く……博麗神社に行くって言ってから、丸二日も帰ってこないって一体どういうことかしら?とのことです」
「すみません……」
まだ眠っているレミリアの、伝言とは言い難い程の小言の連続に目を回しそうになりながら、私と咲夜は居間のソファに座っていた。次はどんな事を言われるのだろうと身構えていると、咲夜が目線を反らして言った。
「まぁ、私は特に気にしてなかったのだけれど、ね」
「え……?」
「実はお嬢様に内緒で様子を見に行ってた訳じゃあないわ」
「……!」
この人の能力、ホントに何でも出来るな。
咲夜に勧められ、私は仮眠を取ることにした。
――――――
少女は燃え盛る焔を見つめて、憎しみを露にする。
紅い魔方陣のステンドグラスに背を向けて、小さな羽をゆったり動かしながら、唄う。
自分がどうしてそこにいるのか、解りもせずに。
想いのまま、夜な夜な焼き尽くす。
――――――
激しいノックの音に、私は跳ね起きる。
何か凄い夢を見ていた気がするけれど、思い出せないので放っておいた。
ドアを開けると、いつかのようにフランが飛び付いてきた。その後ろには、レミリアもいる。
「お帰り~!」
「う、うん。ただいま、フランちゃん。えっと……」
「はぁ……伝言は確かに聞いたかしら?」
「はい」
小言の山だったけど。
「しっかりと反省したかしら?」
「はい……」
「……なら良いわ、お帰りなさい♪」
柔らかく微笑むレミリアに、私は大人の気品を感じた。
――――――
二日ぶりの夕食を終えて、美鈴たちにも挨拶をした後、私は切り出した。
「あの、それで……」
「人里の不審火の事?」
「は、はい!何で知って……」
「私の能力をお忘れかしら?」
「あっ」
「一応、咲夜に魔理沙を叩き起こしに行くよう命令したのだけれどね、少し遅かったわ」
この人……解決するなら最後までやってほしいものだ。
ふとレミリアは思い出したように、目を閉じると、咲夜、とだけ言って部屋を出ていった。
「……かしこまりました、お嬢様」
「えっと?」
次の瞬間、周りの景色が反転したような色使いに変わる。
「!?」
「ふふっ、ようこそ時の狭間へ」
「咲夜さん!?」
そこには懐中時計片手にウインクする咲夜がいた。
咲夜は付いてきて、と言うように館内を歩き出す。食堂を出て、大階段へ差し掛かると壁に寄りかかりまるで時が動き出すのを待つようにレミリアが瞳を閉じていた。
咲夜に習って一礼すると、私と咲夜は人里へ歩き出し、遂に駆け出した。最も、時を止めているのだから、走る必要は無いのだが。
今度こそ、完璧に救うため。遅すぎないように。
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