「さて、着いたわね……魅空羽、そこの建物を見てきなさい」
「え?」
突然の命令口調に呆けていると、咲夜は早く行った、というように手を振るので、私は仕方なく引き違いの戸を開ける。
反転している世界でも解る。そこには焔が一塊、時の止まるのを物ともせずに浮いていた。
一瞬、噂に聞く人魂というやつかと思ったが、そうでもないらしい。
焔は一瞬パチパチと音を立ててから、積み上げてあった薪に飛び火した。焔が飛び出していってから、私は慌てて水を掛ける。幸い、炎はまだ小さかったのですぐに消えた。
建物から出るときに覗いた部屋では、老人が目覚める様子も無く眠っていた。一瞬死んでいるのかと思ったが、時が止まっているのを思い出し安堵する。
しかし、唯一の住人がこの様子では、あの程度の火でも火事になりかねなかっただろう。私はゾッとした。
「お疲れさま。よくやったわ」
「レミリアさんはこれを視たんですか?」
「うーん……ただ、老人が火事に巻き込まれている、とだけ言っていたわ」
「じゃあ何でここだと?」
「ふふっ、人間関係って大事よ」
答えにならないような答えを返しつつも、咲夜は時を解除しようとしない。私は不思議に思ったが、それは直ぐに覆された。
空中を見回していた咲夜が突如叫んだのだ。
「居たっ、追うわよっ!」
「はい!?何をですか!」
「当たり前じゃない!あれよあれ!」
咲夜が指差していたのは、紛れもなくさっきの焔だった。
私は慌てて羽を出し、急加速した。そして刺激しないよう、少し距離をとって付いていく。咲夜はいつでも攻撃できるような態勢で地上を走っていた。
――――――――
焔がフワフワと……フワフワという表現はおかしいスピードだが、飛んでいったのは、妖怪の山の麓にぽっかり空いた縦穴だった。底は暗く、どこまで続いているのか分からなかった。
「うーん……困ったわね」
「やっぱり、此処って何かヤバイんですか……?」
「事情を話せば、死にはしないかもだけどね」
「えぇ……」
それダメなやつですよ、私死ぬやつじゃないですか。完璧なフラグ立っちゃいましたよ。
「まぁ……増援でも呼べばどうにかなるかしらね、解除」
周りの世界が動きだし、私はチカチカする目で何回か瞬きする。
すると、鋭い風切り音と共に近くの岩にナイフが突き刺さる。……あれ?ナイフって岩に刺さる物だったっけ?
「あぶねぇだろ!!?」
「弾幕級のスピードで飛んでくる貴女が悪いわ」
「だから少しは速度落とせって言ったのに……」
おっかねぇやつだな、とブツブツ言う魔理沙に、ゆっくり降りてきた霊夢。二人ともどうして此処が分かったというのだろう。私が首を傾げていると、別の声がした。
「妹紅達と話し合った結果、ここが怪しいだろうと踏んでね。来てみたんだ」
「話し合いって……殆ど霊夢の勘だったじゃん」
「慧音さん、妹紅さん……そうだったんだ」
霊夢の勘なら納得できる。その霊夢が、私に向き直って言った。
「ここははっきり言って、人間の行く場所じゃあないわ。それでも、貴女は行く?」
「……勿論です。」
私たちはせーので深い穴……地底への入り口に飛び込んだ。
ありがとうございました!
感想等お願いいたします!
妖怪の山に入り口があるっていうのは合ってるんですかね?(--;)