ぼやいてても始まんないんで頑張ります。
戦闘シーンの描写が俺得にならないよーに、と思い続けるこの頃です。
『あー、あー、妖夢~聞こえる~?』
「ぎゃあっ!?」
いきなり縦穴に響く声に、呼ばれた当人が悲鳴を上げる。他の皆も驚いている……と、思いきや、何故か大半が物知り顔だった。
『ふふ、通信は上手くいってるみたいね~』
『えぇ。霊夢、説明してあげなくていいの?』
笑いを含んだ紫の声に、知らぬ存ぜぬだった霊夢がため息をついた。
「簡単に言うと、この陰陽玉でB……紫たちと通信しているの。」
『はぁーい♪紫お姉さんでーす!』
『幽々子もいるよ~♪』
「「はあぁ……」」
肩を落とす霊夢と妖夢には呆れの色しか窺えず、私は恐る恐る陰陽玉に話しかけてみる。
「あの、それで情報とかあるんですか?」
『あら、良いとこ突くじゃないの。あるわよ』
「!」
他の皆にも静けさと緊張が走る。私は無言で続きを促した。
『まず、あの子に攻撃が当たらない理由ね。それは……あの子が、この世界にいる自覚が無いからよ。』
「自覚が、無い……?」
「まさか……っ」
『そう、霊夢の勘は相変わらずね。』
『すごいすごーい♪』
「るっさいわ幽霊め、あんたは黙ってなさいよ」
『うわーん、酷いわ霊夢ちゃんたらぁ~……私は幽霊じゃなくて亡霊よ?』
「そうじゃないでしょっ!?」
いつの間に始まった陰陽玉越しの茶番に、半ば新情報を諦めていると霊夢が話を戻してくれた。
「で、ちゃんと説明してくれるんでしょうね」
『やーねぇ、これから話すわよ』
「早くしないと霊殿着いちまうぞ~」
『えぇえぇ分かってるわよー。あの子は……"夢の迷い人"かもしれないの』
「えっ……」
『あの子は完全に夢だと思い込んでいるんでしょうね。それで容赦もしないし、肉体も象られない。つまりそうねぇ……あれは、あの子の幻影とでも言うべきかしら』
「幻影……ですか」
そりゃ攻撃も当たらないはずだ。肉体も無ければ非人道的、なんて有り様なんだ。
そこまで考えて、私は自分達が絶望的状況下に置かれている事に気づく。
「え、どうするんですかこれ」
「知らない」
「分からん」
「何とかなるさー(棒)」
「そんなっ!?」
この人たち本当に数々の事件を解決してきたのだろうか。それとも、それでこその貫禄なのだろうか。
未熟すぎる私には、まだ理解出来なかった。
―――――――
『あと半霊25体分くらいよ~』
「分かりました……!」
マニアックな問答には着いていけないが、そろそろなのだろう。頬を掠める風が熱い。
皆の間に張り詰める空気が重くなった気がした。妖夢、咲夜がそれぞれ刀とナイフに手を掛けた時、前方を軽く睨んでいた魔理沙が声を上げた。
「伏せろっ!」
「「「!!!」」」
頭上を焔が豪速で飛んでいく。後ろで刀の振るわれる音がして、今回の不審火が防がれた事を皆理解する。
「ナイス魔理沙~」
「おうよっ!」
軽口を叩けるのもここら辺まで、そう覚ったのは次の瞬間だった。
今まで背面飛行で、前方を魔理沙に任せていた霊夢が反転し無数の札を勢いに任せて投げる。
奥で鮮やかな光とそれに抗う焔が舞い踊るが、もう楽しむ余裕は無い。
フランとレミリアが加速して皆の前に出ると、今日初めてのスペルを宣言する。
「"スピア・ザ・グングニル"」
「"レー……ヴァ、テイン"!」
小さな手のひらに生み出した槍と神剣を、二人は姉妹の息を合わせてぶん投げる。その反動で後ろに飛ぶ主を、従者達がこちらも息を合わせて受け止めた。
パチュリーとアリスが魔力を集結させて、不思議な紋様の障壁を生み出すと、矢継ぎ早に流星群が飛んでくる。
押しきるようにして縦穴を抜けた先には、先日とは打って変わって上空へとぽっかり空いた穴が広がっていた。
今にも崩れそうな岩壁の上から、大きな岩石が降ってくる。まるで隕石のような大きさとスピードに成す術を無くしたと思った瞬間、私たちに降り注いだのは小石の粒だった。
砂埃に噎せ返りながらそっと瞼を開けると、隣でキッとした目で剣を振り切っている妖夢がいた。どうやら先程の隕石を粉々に打ち砕く、もとい切り刻んだ様だ。
この下に埋まっては堪らないと、我先に飛び立っていく仲間を追って、素早く夏の星空の下に飛び出す。
改めて並んだ仲間達に背中を押され、私は一歩前に出る……空中なので語弊がある気もするが。
「何をしに来た?抵抗は無駄だと思い知った筈だろう」
「その節はどうも、しかし懲りないみたいでね」
強気な態度にはしっかりと理由があった。何度も新たにしてきた決意が、今朝固まったのだ。
一つ息を吸って、星々に誓うよう吐き出す。答を添えて。
「貴女を、助けに来たよ。リン……ううん」
貴女は、燐乃亜。夢の迷い人。
ありがとうございました!
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