幻想郷は夢を見る。   作:咏夢

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キリのいい所が見つからなくて少し長くなりました。

余談ですが今年から中2です。頑張ろー。


悪、風祝、亡霊

「ふぅん……つまり、相手の自分との距離感が掴めないって事?」

「ん……まぁそういう事になる、のか?」

「別に何でも良くないかしら?」

「何でも良くありませんよっ!こういうのって意外と難しいんですから……!」

 

博麗神社に着いて、今までの事を話した。そこには霊夢ともう一人――こちらも巫女が話を聞いて結論を述べた。

 

あんた誰だ、という私の目線にようやく気づいたのか、「東風谷早苗です!」と名乗った。私も名乗ろうとすると、早苗がキラキラした目で止めた。

 

「あなたはあれですよね!たった一人で1回霊夢さん達を殺しにかかったっていう、あの……」

「えっ、ちょっ、その文言は色々と問題が……っ」

「ほらね、つまりはそういうことよ。相手のイメージが間違ってたら言えばいい。好戦的なら戦えばいい。」

「最終的に仲好くなれたら、それは燐乃亜ちゃんの勝ちですよ!負けちゃダメです!」

「……!」

 

――負けたくない。そう思った。

 

このままでは、私はこの世界で"悪"だ。この世界にどのくらい留まるのかはいざ知らず、些か誤解を招く事は避けられない。

 

「ま、要するに適当で良いのよ」

「何でそうなるんですか!まずは善良なイメージ作りをですね……!」

「いや、んなこと言われても出来ないから。」

「そ、そんな燐乃亜ちゃんまでぇ……!」

「……とりあえず、紅魔館に言ったなら次は冥界かしらね?」

「あぁ。じゃ、そうする」

「お二人とも話を聞いてくださーい!?」

 

早苗も最終的には諦めたらしく、冥界までの付き添いを申し出てくれた。日も暮れるので出発は明日にして、今日は早苗と神社に泊めてもらう事にした。

 

 

――――――

 

空をひたすら飛ぶ。厚い雲を突き抜けてから、何分経っただろうか。

霊夢は能力に霊力を付与して、早苗は自身で奇跡を纏って。三人でひたすら飛ぶ。

 

「霊夢さぁ~ん……まだ着かないんですかぁ~……」

「知らないわよ。この頃結界が不安定で、距離が正確じゃないって言ったでしょ」

「うぅ……」

「……うん、ドンマイ」

 

私と早苗の距離は、一晩で随分と近づいた気がする。流石にお姉さんと呼ぶのだけは拒否したが。

そうこう言っている内に、大きなゲートのような石が見えた。霊夢を先頭に飛び込み、とてつもなく長い大階段の前に降り立つ。その上で誰かが手を振っている。

霊夢がそこまでショートカットして、二言ほど話をつける。その誰かも何かを霊夢に伝えると、大階段の奥へと駆けていった。

 

急いで早苗と大階段を上りきり、霊夢へ追いつく。霊夢は先程の人が去っていった方を見つめていた。何かを考えているようにも見えたので、代わりに早苗に疑問をぶつける。

 

「早苗、さっきの奴は?」

「あっ、多分ですけど妖夢ちゃんですね!白玉楼の庭師さんです」

「へぇ……」

 

白玉楼の事は、簡単に咲夜から聞いている。冥界にある和風豪邸とのことだ。少し簡略すぎる気もするが、霊夢が一緒ならどうにかなるのだろう。

人気の無い家屋の間を進むと、和風な門の前で一人の少女が手を振っている。背丈から見て、この子が妖夢だろう。妖夢はこちらに一礼すると、柔らかな笑顔で歓迎の意を述べた。

 

「ようこそ、白玉楼へ。霊夢さん、早苗さん、それと……」

「あ、燐乃亜です」

「はい、話は聞いています。どうぞ!」

 

妖夢が門を開けると、見事な庭とその奥には話通りの豪邸が建っていた。数羽の蝶が舞い、ふよふよと霊がさ迷う。

そんな幻想的な情景の中で、一際強い霊力の塊――半霊が此方に向かって飛んでくる。半霊は私たちの周りをくるりと廻ると、邸への道を先導するように飛び始めた。

 

どうやら、半人の方は邸に居たらしい。半霊が速度を上げたので走って追いかけると、半霊を小脇に抱えた妖夢がもう片方の手にお盆を乗せていた。

縁側からさっさと失礼すると、湯気の起つ湯呑みを配る妖夢と女性が居た。手に扇を持って、ゆったりとした表情で妖夢と話している。霊夢はその人の肩にお祓い棒を突きつけて、無言で到着を報せた。

 

「あら、霊夢。随分と早かったわねぇ……」

「そうでもしないと、あんた忘れるでしょうが?」

「酷いわ、忘れないわよ~……妖夢が」

「……幽々子さま?」

「や、やだぁ♪冗談よ~」

 

同じ主従だが、紅魔館の所とは雰囲気が違う。何というか、お互い立場の域を越えない馴れ馴れしさが身に付いている。

そんな事を知ってか知らずか、お盆を脇に伏せると完璧な座礼の後に妖夢が名乗った。

 

「魂魄妖夢と申します。どうぞ宜しくお願いします!」

「あぁ、燐乃亜だ。宜しく頼む」

「ふふっ♪良かったわねぇ妖夢~練習通りに言え」

「ちょ、幽々子さまぁぁっ!」

「……」

「妖夢ちゃん可愛いですね~♪やっぱり私の妹です!」

「違っ……!そもそも妹じゃないし!?あと霊夢さん目冷たい!」

 

敬語も忘れて妖夢はぎゃあぎゃあと喚く。いや、嘆くの方がいいか。

とにかく、息を弾ませた妖夢は隣の女性をポコポコ叩く。にこにこしながら、その女性は目線を合わせてきた。どこか色の抜けた瞳に吸い込まれそうになるが、そこら辺は自信がある。しっかり見つめ返すと、女性はまた愉快そうに笑った。

 

「ふふふ♪やっぱり似てるようで似ていない……。西行寺幽々子よ、宜しく~」

「あーうん、宜しく?」

 

最初の方は意味が解らないが、とりあえず返しておく。幽々子はお茶を啜ると、扇を高く掲げて唐突に言った。

 

「はい、能力披露大会~!いぇーい!」

「え?」

「は?」

「はぁ……?」

「別に良いですけど……何でこんな唐突に?」

「良いじゃないの~♪」

 

そんなこんなで、妖夢がまず名乗りを上げる。"斬りたいものを斬る程度"だそうだ。要するに何でも斬れるのか、と聞いたらそうでも無いらしい。剣から弾幕が放てるだけ凄いとは思うが。

次に早苗だ。"奇跡を起こす程度"という、何とも曖昧なチート能力だ。とはいえ、かなり強いのは事実で、霊夢もたまに手を焼くと言う。

 

「ふふっ♪改めて聞くと皆凄いわねぇ~」

 

幽々子のその一言に、霊夢と早苗が思いっきり顔をしかめた。そして強く言い放つ。

 

「あのねぇ?あんたがそんな事言ってたら、世の中はチート能力で溢れ返るわよ……」

「そうですよ!何てったって、幽々子さんの能力は……」

 

"死を操る程度"、でしょう……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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