女性Pと関裕美ちゃんがオーディションで負けて立ち直るお話   作:白黒熊

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今回のあらすじ

オーディションに負けてPが凹む


第一話

 

 都内にあるとあるスタジオ、その一室で、多くの少女とその担当プロデューサー達が緊張の面持ちで目の前に座っている審査員の言葉を待っていた。

 今勢いのあるアイドルを紹介するTV番組「発掘!アイドル大辞典」への出演をかけたオーディション、その合格者発表の瞬間が近づいているのである。

 

 

「お待たせしました。合格者の発表です」

 

 

 今勢いのある、という言葉の通り、番組に出演できるのはその時々で巷の話題の中心となっているA~Bランクのアイドルばかり。本来ならCランクに上がりたてのアイドル(私たち)が参加するなんてもっての他なオーディション。

 普段の私ならば、Cランクに上がって最初のオーディションにこの番組を選ぶという同僚を見たら、一笑に付した後でやめておけというレベル。

 

 そんな無茶を、私は今担当アイドルにさせてしまっている。

 

 なぜエントリーしてしまったのか、という言い訳ならいくらでも思いつく。

 先日ランクが上がり、敏腕記者として名高い善永さんの取材を受けたばかりで裕美の話題性が上がっていること、その影響か、非常に厳しいといわれているこのオーディションの書類選考を通過したこと。

 他にも、最近様々なところで会うことが多いライバルプロダクション所属のアイドルから彼女も参加すると聞いたことや、今回のオーディションではデビューから間もない新人アイドルを紹介する予定であるという情報を事前に耳に挟んだこと……

 

 

「本日のオーディション合格者は……」

 

 

 しかし、そんなものはどれも言い訳に過ぎない。

 直近のオーディションに連続で合格でき、取材を受け、一次審査も通過出来て。どこかに驕りがあった。

 

 はっきり言って調子に乗ってしまっていたのだ。

 最近の裕美は勢いづいていたし、この番組に出演できれば一気に有名にしてあげることができる、などと思っていた今朝までの自分を怒鳴りつけたい。

 

 

「……番の方です。おめでとうございます」

 

 

 結果は当然不合格。

 

 蓋を開けてみれば、オーディションに参加していたのはいつも通りAやBランクのアイドルばかりで、ほとんどBに足を踏み入れているCランクアイドルである例の彼女が私たち以外で唯一のCランク参加者であった。

 いくら最近調子が出ているといっても、そんなメンバーの中に入れられていつもの実力が発揮できるわけがなく、そもそもこのメンバーの中でいつもの力を出しきったところで勝てるわけもない非常にレベルの高いオーディションだった。

 

 しかし、悪いのは裕美ではない。

 

 審査員が興味を失っても歌い続ける裕美の姿を、私の言葉を信じて精一杯笑顔を作っている裕美を、私は最後まで見てあげることができなかった。

 こんなオーディションに参加させてしまったことへの後悔と罪悪感とで、顔を上げていられなかったのだ。

 

 

「呼ばれなかった方はお帰り頂いて結構です。おつかれさまでした」

 

 

 プロデューサーの仕事とは、自らの担当するアイドルを光り輝かせることであり、一人一人の実力に合った舞台を用意してあげること。

 そんなプロデューサーである私が、自らのミスであの子に辛い思いをさせてしまった。

 ……肩を落としてこちらに戻ってくるだろう彼女を、どんな顔をして迎えればいいのだろうか。

 

 ――――次々と押し寄せる後悔と自責の念により、私は目の前が真っ暗になっていくのを感じた――――

 

 

 

 

 





次回予告

関ちゃんから見た今回のオーディション
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