NARUTO-空-   作:Teru-Teru boy

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演習と連携

 第11班が形成されてから一週間が経過した。この間に毎日Dランク任務を熟していた11班の面々に火影は頃合いとしてCランク任務を言い渡す。横にいた火影の補佐のイルカがCランク任務は早いのではと打診しているところだ。

 イルカは担当の世代が卒業したこともあり、アカデミーの浪人生もとい、進学生という扱いをされている下忍採用試験に落ちた子たちを見る教員役と火影補佐の二足の草鞋を履いていた。

 

「イルカくん」

 

 イルカはなんとかヒルゼンの説得を試みているところ、11班の担当上忍である奈良シカクが静かに告げた。

 

「君ならこの子たちの実力はよく知っているだろう?」

「っ、はい…」

 

 一瞬言葉が詰まるイルカだったが、イルカ本人もわかっていた。今季の下忍4班の中で最も戦闘能力がある班はこの11班である。それに知略にも長けている上、カバーできる任務の範囲も広い。僅か一週間にして成長が凄まじく、担当のシカクでさえ教え子の急激な成長に驚きを隠せない。

 

 紅一点の蒼井ソラは思考の短略化の武器をそのままに思考をする軽いマルチタスクと呼ばれる技能をわずか一週間で身につけた。チャクラコントロールやチャクラの練度も中忍レベル。幻術、封印術、結界術も非凡なもので、弱点はあるが現状で総合的に見てすでに中忍クラスの実力を持っている。今は体術に専念している。

 

 頭の固い優等生と呼ばれたり、歩く教科書と揶揄されていた時任ハザマは教科書忍術だけではこの先やって行く自信がなくなっていたが、基礎はみっちりと鍛えているため、チャクラコントロールとチャクラの練度は中忍から上忍レベル。体術系統も軒並み高水準である。ただ忍術のレパートリーが少なかった弱点が浮き彫りになったため、完璧な基礎を生かす難易度の高い忍術を習得中である。時空間忍術はその最たるものでハザマは絶対に物にしてみせると息巻いている。

 

 究極の問題児、天野ツカイは自分の一族の血継限界の元である火と雷の性質変化を鍛えつつ、チャクラコントロールとチャクラの練度がギリギリ下忍レベルの底辺だったためそこを重点的に鍛えている。もともと体術は得意らしく、近接や中距離では中忍クラスの戦闘力は持っている。ちなみにチャクラコントロールやチャクラの練度について下忍の中でも下から数えた方が早い。

 

 これらの事態を知ることのないイルカだが、アカデミー時代においてソラはミズキと真面から殺りあえるほどに強く、影分身の術まで覚えている。ハザマは体術の強いサクラと思えばそれは確かに強い。一階の下忍レベルではない。そして問題児はというと忍術においては上忍さえ驚愕するレベル。そこに歴戦の猛者である奈良シカクが担当上忍である。Cランクと言わずにBランク任務すら達成できそうなメンツである。

 

「そうですね。失言でした。確かにこの一週間の結果を考えればCランク任務は妥当かと」

「ふむ、イルカも納得いってくれたようで良かったのう、して任務内容じゃが」

 

 結界術や封印術に長けている蒼井ソラがいるということでとある村のそばにある祠の術式を封印し結界を張ってくるという任務だ。里外にでる上に国境付近まで行くのでCランク任務となっている。とはいえCランク任務にしては簡単な方だ。

 

 

 

 さらに一週間が経った。

 

「ふむ、依頼が来てないのう」

「…」

 

 火影が呟く横でイルカが頭を抱えた。頭のおかしい速度で任務を達成している11班のせいで今あるCランク任務は出払ってしまっていた。今更Dランク任務をやれと言われても納得はしないだろう。Cランク任務を毎日達成する班にDランク任務でどうのこうの言うのを指摘する方が恥ずかしくなる。結果、木の葉の里の他の班に依頼する任務だけは確保する必要があるため第11班は暇を言い渡されることになる。

 

 後1ヶ月後には中忍選抜試験が始まる。それに気づくシカクの教え子は一人しかいない。蒼井ソラだ。ソラは中忍選抜試験のために今まさに特訓中である。もちろん、その試験には他の二人もソラの奇行から感づいており、各々修行を本格的に始めている。

 

「第11班は一週間休養を言い渡す」

「い、一週間?少し多すぎでは?」

「ふん、それくらい空けんと任務すら貯まらんわ」

「そう、かもしれませんね。はは…」

 

 イルカがドン引きするほどに第11班の任務達成速度は早い。すでに7つのCランク任務に7つのDランク任務だ。同期のナルト達の第7班がDランク任務5つしか熟していないのにもかかわらずだ。

 

 一週間後という言葉にイルカを除いた5名は同じところに意識が向いている。

 

「どうする?結構時間あるよ。体術の組手やってくれない?」

「時は金なり、時空間忍術の修行だ」

「新しい技の開発に決まってるだろ、他を当たれ」

「お前らに協調性はないのか…」

 

 シカクが呆れる。これでチームワークが発揮されるのだからある意味面白いのではある。しかし、シカクもまた次の段階に進めるのに苦労が見える。蒼井一族の者を騙すことができるのは初対面が効果的であり、それ以外で蒼井一族の認識に大打撃を与え、急成長を齎すことは非常に難しい。ソラに対し効果的な言葉の使い方とかはしているつもりだが、成果はそこまで出ていない。むしろ勝手に修行したり、開発したりする他2名の方が実力はかなり伸びているように感じる。ったく、下忍を受け持った気がしたのは一瞬だったな。その呟きを見たヒルゼンは複雑そうにシカクを眺めていた。

 

 

 

 丸々一週間会わないのは問題として、空いた時間に上忍の任務を達成していたシカクの数少ない休日は招集が掛けられた。やることは演習である。それぞれが独自で成長する班に必要なチームワークを鍛える演習だ。

 

「っと、おいおい、会うたびにお前ら強くなってね?」

 

 子どもの成長は著しいというが、自分や周りにこんな速度で成長する者はいない。シカクはソラの気遁がかなりの副産物を齎していることに気づいた。なるほど、仲間のぶつかる成長の壁にも即座に反応したりするんだろうな。便利な忍術だ。

 

「ソラが見えない…」

 

 気遁で周囲に溶け込むソラを見つけるのは至難の技だ。白眼や写輪眼でもあれば瞬時に見分けがつくのだろうが、奈良家の当主のシカクに瞳術は持ち合わせていない。

 

「火遁・火竜弾の術」

「上忍レベルの忍術を簡単に使いやがって」

 

 ツカイの忍術は完全に同格。シカクとしても同じ土俵で戦えば負けかねない。

 

「雷遁・天衣無縫」

「来たか」

「行くぜ、火遁・炎刀」

 

 火遁と雷遁の武装。ツカイの開発した近距離戦闘用忍術である。まともに相手をすれば上忍とも戦える代物だ。しかし高等忍術二つを同時に展開しているツカイのスタミナは毎秒大きく減っていく。短期に終わらせないとどうしようもない術だ。たとえチャクラコントロールとチャクラ練度の技量が高くてもこの状態を1分持たせられる忍なんて片手で数えられるレベルでしかないだろう。

 

「持って5秒だぞ!?」

「5秒あればあいつらには十分だぜ」

 

 視界の端には影分身を会得したハザマが映る。そしてシカクは参っていた。ソラが見つけられない。考えられる箇所に目を配ったが、ソラを見つけるのに最も厄介なのは隠れられる場所にいないときだ。無意識にソラを認識できないため、何の変哲もない平原に注視する必要がある。シカクはこと戦闘中にそんなことをした過去は一度もない。そして迫るツカイに気を抜けば一撃でやられかねない。一度離した手番はそう簡単には帰ってこない。相手の和を見出せば、そこに勝機が見えるが、ハザマとツカイの連携を妨害する瞬間を狙ってるソラがいる限りそれはできない。できれば、ソラをいなし、ハザマかツカイの妨害ができれば変わるのだが、それもできない現状八方ふさがりである。

 

「忍法・影縛りの術」

 

 漸く動いた。ここからが本番である。ツカイは思考の高速化から瞬時にシカクの影に反応し、シカクの右側から攻め入る。シカクはホルスターから閃光玉を取り出す。目くらましであり、影を伸ばす要素だ。一定の速度で近づく影にハザマはタイミングを取っていたが、閃光玉で加速して伸びる影に捕まってしまう。

 

 閃光が周囲を照らす。

 

 ツカイは目を閉じ、光から視界を守り、光が引いた瞬間から動いた。ハザマを止めたシカクはツカイとの距離を取る。逃がさないとばかりに追跡するツカイにシカクは影縛りで捉えたハザマを使ってツカイにぶつける。だが、光が収まり影縛りで捉えていたのはハザマではなくソラだった。

 

「何!?」

 

 影縛りで捕らえた相手と交差する状態でソラの横槍があったことにここで気づいたシカクは、次に迫る危険性に目を向けるハザマとの距離はもう2mもない。完全に間合いの中である。ハザマ改め、ソラをツカイの妨害に使いつつ、ハザマの蹴りの角度を見切り、横を走る影分身の苦無の投擲を躱す。これで先手が取れる。シカクがそう判断するのは当然であるが、上忍はさすがに不測の事態には慣れている。

 

「捕らえたソラは影分身だったか」

 

 おそらく一番に影分身の術を覚えたのがソラだと検討付ける。教科書の通りに勉学に励んできたハザマが影分身の術を先取りしている可能性は低い。つまり、影分身の術に長けているのはソラだ。今まで一度も影分身の術を使っているのを見たことがなかったが、3人の中で一番に多くのチャクラをもっているのがソラである。シカクは背後からツカイが迫っていた。

 

「土遁・黄泉沼」

「何!?」

 

 広大な範囲を沼地に変えた土遁に足を取られたツカイは自分が使っていた忍術を解く。足を取られた状況では残りのスタミナでシカクに攻撃することすら適わないからだ。しかし4秒、すでにツカイは80%のチャクラを使い果たしてしまっている。

 

「はあ…、はあ…」

「相変わらず燃費悪いな」

「うっせ」

 

 黄泉沼から雷遁を用いて抜け出したツカイは即座に手裏剣を投擲する。何の仕掛けもない手裏剣術ではシカクに何がしたいか看破されてしまう。

 

「その程度じゃ囮にもならないぞ?」

 

 ハザマがシカクの注意が逸れたと勘違いし、攻撃を仕掛けるが、即座に体術を以って影分身を消されて反撃にあう。

 

「ぐふっ!…強いっ」

「俺ごときを強いと言ってるようじゃ先は短いな」

 

 シカクの謙遜にハザマが反応する。ハザマの目標は火影のある一点を越すこと、それがとてつもなく難易度の高い目標であることはわかっている。ならば、どうにかして越えなければならない。目の前の上忍を出し抜く方法を思考する。ハザマの苦手分野である多様性の思考回路を養う特訓にもなる。

 

「まずは退避か」

 

 教科書通りの戦術に落ち着いてしまうのがハザマではあるが、現状を多角的に見ても、まずは気配を消して作戦の練り直しが必要ということは明白である。シカクはもちろん敵ではなく訓練のため、今回はツカイを連れたハザマを見逃す。訓練のレベルが上がればタダで身を隠させることはしないだろう。

 

「次はソラか、見つけられないこともないが、それを使うには早いか、遅いか」

 

 忍術を駆使すればソラの居場所はたやすく判別する。シカクは隙を見せない程度の状態で思考の海に浸る。結論はすぐに出た。

 

「土遁・砂嵐の術」

 

 砂嵐の術は砂が均等に舞う。そのため見えない誰かがいる場合、そこだけぽっかりと砂が舞うことが少ない。

 

「くっ、見つかったか」

「さすがに下忍の隠遁に上忍が見つけられませんでしたじゃ、笑えないからな」

 

 影が伸びる。この砂嵐の中では光を遮る砂が多分に存在する。つまり奈良家の影を操る術との相性がとてもいいのだ。逃げきるには通常の影の数倍から数十倍の距離を移動しなければならない。そして練度の高い上忍のシカクの術は同じ奈良家のシカマルのそれと速度が段違いで違う。

 

 ソラは必死になって逃げるが、敗走する地形に足を取られ、すぐに捕まってしまう。

 

「よし、一人捕まえ、…影分身か。砂嵐程度じゃ影分身は消せないからなあ」

 

 想像以上に頭が回る。ソラはシカクに自分の気遁が看破されることを想定して動いている。シカクにとって戦術を練るのは無問題だが、指導するための戦術を練るのはあまり得意ではない。それができればシカクこそプロフェッサーと呼ばれていただろう。

 

「3人とも隠れたか、次はどうくるか」

 

 砂嵐を解除して3人の行動を待つ。

 

 

 

 一人の暴走により二度目の奇襲はあえなく終了した。チャクラ残量の少ないツカイが戦力にならなかったからだ。

 

「うーん、にしてもツカイは問題だな」

 

 演習の終わった4人はそれぞれが思い思いに寛いでいた。

 

「仕方ねえだろ。俺の忍術の大半が使えねえんだから」

「君の忍術は危険すぎるからね。僕たちも平気で巻き込むものが多すぎる」

「だから身体強化系の忍術しか使ってねえだろ!」

「だからといって高等忍術を二つ併用しては体力が持たないことくらい自明の理だろう?」

「それくらいしねえとシカク先生とじゃ実力が離されてんだ!仕方ねえだろ!」

「君が単騎でシカク先生とやり合うという選択肢から外れてくれないかな…」

 

 言い争いをしているのはこの班の男子陣。

 

「俺の血継限界はもともと広域忍術だ。小せえところに力集めんのは苦手なんだから仕方ねえんだよ」

「だから、そこが問題ではなく、シカク先生も手加減しているんだから、君もスタミナを残しながら連携に協力してくれないと困るんだよ」

「手加減なんかされてて、いつ強くなるってんだ!」

 

 思考の違いである。ツカイはシカクと個人で真正面から戦える実力を望んでいる。それに対し、ハザマは3人でシカクと渡りあえることを想定している。ツカイはチームワークを考えていないわけではない。前提が違うのだ。ツカイは3人が3人ともシカクとやり合える実力があり、3人合わされば楽にシカクに勝てることを想定している。それをチームワークと呼ぶには違和感があることにツカイは気づいていない。

 

「うーん…」

「この二人に薬になることはねえのか?」

「それを考えているんですけど」

 

 言い争いの終わらない二人に悩むソラとシカク。二人の間を取り持つにはまずツカイの悩みが邪魔になっていることがソラにはわかった。

 

「ねえ、二人とも」

「なんだ?」

「なんですか?」

 

 青筋を浮かべて怒りの矛先がソラに向かってもおかしくない表情をしている。ソラはそれを笑顔で受け流す。

 

「二人ともお互いを知ったほうがいいと思う。私もツカイの忍術のこと避けてたから」

 

 ツカイの悩み、それは班員から疎ましがられていた自身の忍術だ。ツカイの忍術はほぼ攻撃型、近接戦闘の補助的な忍術も少なからずあるが、先に見せた二つだけ、それ以外の忍術が演習であれ、任務であれ使うことが躊躇われていた。ツカイは自分の誇りを押し込めてひたすらにチームワークというものを、自分なりに考えていたのだ。

 

「これからはツカイの忍術をうまく活用出来る連携を増やしましょう」

 

 ソラの提案にシカクもツカイの状態を見てなるほどと感心する。こうやって班員の実力を伸ばしているのだろう。蒼井一族の気遁は相手への配慮が抜群に効く。

 

「あ?どうせ無理だろ…、俺の忍術は俺がよく知ってる」

「今までさ、…体術と小規模な忍術ばかりだったでしょ?連携にもレパートリーはあるんだよ。私は結界術に封印術。そしてハザマは時空間忍術」

「…それがどうしたんだ?」

「ようやく、ツカイの忍術に連携を取れる実力は手にしたつもりだけど?」

 

 ツカイはソラの言葉に呆然とした。理由はハザマだ。ソラが結界術や封印術に長けていることは任務で知っていたが、ハザマは最近になって時空間忍術を学んでいただけだ。それが実戦レベルまで押し上げるのに日が浅すぎる。

 

「まあ、ツカイの全部の忍術で連携が取れるわけじゃないよ」

「…そういうことか。…まあ、何にせよ。俺も忍術使っていいってことだな?」

 

 ソラの言葉にツカイが笑顔を浮かべる。それはツカイから重石が外れるということだ。

 

「それの試し打ちって俺じゃねえか」

 

 シカクは参ったなあ、と目頭を押さえた。

 

 

 

 日が暮れる頃には大の字に転がる3人の姿があった。

 

「ちきしょう、やっぱ上忍ってつええな」

 

 ツカイが茜色の空を見上げながら呟く。重石の外れたツカイといえど、シカク相手には通用しなかった。

 

「にしても。…はははっ、チームワークってのはこういうことだったんだな」

 

 ツカイは自身の忍術が2倍にも3倍にも効率的に作用するチームワークを知った。そしてそれすらも通用しない上忍という存在も知った。今まで忍術を十二分に使っていなかったため、シカクに負けるのは仕方ないという考えがあったが、その言い訳は今回は通用しない。血継限界は使っていないが、火遁・火龍弾に雷遁・雷龍弾、その他上忍レベルの忍術を扱い、それを数倍の効率が発揮される場面で使って負けたのだ。血継限界の忍術を使ってもその結果に毛が生える程度でしかない。

 

「今更わかったのか」

「悪かったな」

「いや、僕も悪かった。君のことを理解しようとしてなかったし…」

「なら、お互い様だな」

「そう言ってくれると助かる」

 

 男同士の喧嘩はさっぱりとした最期だった。

 

「ふぅ」

 

 上体を起こし、ソラはシカクを見上げる。

 

「結構いい線行ってませんでしたか?」

「ったく、蒼井の嬢ちゃんには本当に困るな」

 

 身体中から焦げ臭い匂いを漂わせているシカクに意地の悪い質問をぶつけているだけだ。シカクに余裕は然程なかった。気遁でそれを確認したソラはしたり顔。シカクはムッとした表情を押さえ込み、ソラに意地の悪い質問を返す。

 

「下忍レベルの忍術でどうとでもなったけど」

 

 シカクは体術を駆使したり、秘伝であれ、影の術の中でも下忍が容易に扱える忍術。他には幻術や結界術もすべて下忍レベルのもので看破した。もちろん全力の思考で、次の次の次まで実戦で想定しながら戦っていたシカクに、同じく次の次の次まで考えていたソラの戦法は通用しなかった。シカクに考えさせる時間を与えない作戦はかなり機能したにもかかわらず、自分の得意分野である思考の短略化と長期思考のマルチタスクを用いてシカクを自分の土俵で戦わせていたのに、イーブン。むしろ負けていた。シカクに時間を与えていたらもっと早く負けていただろう。早指しの戦いであれば軍配は自分に上がるだろうと想定していたソラも自己評価の甘さを認識した。

 

「まあ、いい勝負だったぞ」

「それはどうも」

 

 シカクはソラの実力が他の二人よりも上昇していないと勘違いしていたが、並行思考(マルチタスク)により、瞬時の判断力と戦況の分析力が飛躍的に上昇していることがわかった。とんでもないガキたちだな。戦時中にこそ天才と呼ばれる類には何度も遭遇した。特に同じ里出身の若い連中には驚かされることも多かった。その最たるはうちはイタチだったが、自分の生徒も彼ほどまではないにしても、十二分に下忍の中ではぶっ飛んだレベルだ。もしかしたら若かりしころのはたけカカシレベルの実力はあるかもしれない。

 

「じゃあ、今日は解散。また明日から任務再開だ。しっかり休めよ」

 

 そういえば明日から任務再開か。ツカイはすっきりした心境で任務に臨むのは初めてになる。夕闇に明日を見据え、興奮が止まらない。

 

「面白くなってきたぜ」

「そういうのいいからへばってるハザマ運んでよね」

「…締まらねえな」

 

 チャクラをお互いに使い果たした男子達でも根性があったのはツカイの方だった。

 

 

 

 翌日、任務を貰いに集った第11班。彼らに渡された任務は初の国外での仕事だった。それも連日、時間のかかる任務である。本来はこの11班に用意した任務はあったのだが、それは代わりに第7班が受け持っている。休暇中に長期のCランク任務が入って、これで11班をしばらく任務を受注させておけると判断していた火影だが、ナルトのわがままで波の国からの護衛任務をナルト達に渡したのだ。

 そしてそれに伴う、もう一つの任務が舞い込んでいた。波の国における重大な任務だ。

 

「ガトーの暗殺任務ねえ」

「うむ、波の国の大名から打診があったらしいのう、大国の大名がそれで頷くとは思えんかったが、火の国の大名が経済援助の見返りを要求したら事がすんなりと通ってしまったという事だ」

 

 つまり、それだけ波の国が切羽詰まっている状態だという事。

 

「もうすでにという事ですか?」

「そうじゃ、実権はほぼほぼ大名にはないであろう」

「ですが、かの大富豪なら」

「うむ、Bランク任務になる」

 

 忍者を雇っていても不思議ではない。小国とはいえ、己の野望で国を乗っ取ってしまうほどのやつだ。そして波の国の現状を見ても、確実に暴君にしかなり得ない。

 

「Bランク任務は基本的には中忍、もしくは上忍の仕事に入りますが」

「そうじゃ、基本的にはのう。しかし、一個小隊ではなく二個小隊ではその限りではない」

「と、言いますと…、第7班あたりですか?」

「そうじゃ、橋職人の護衛任務とはいえ、波の国の事情を鑑みるに、Bランク任務になっていても不思議ではない。そして、カカシからこの通達が届いた」

「ここで見ても?」

「問題ない」

 

 任務レベルの詐称あれど、班員の意志と波の国の事情を総合的な判断で任務続行に取り組むと記載してある。

 

「総合的な判断というのは嘘でしょうね」

「まあ、飾り付けは必要じゃ」

 

 部下の判断で任務続行というのは担当上忍としてあるまじき失態である。だから他の要素を無理やり付け足して、カカシは理由を飾ったのだ。もちろん、バレバレである。

 

「そこで白羽の矢がたったのが我々という事ですか」

「そうじゃ、第11班もまた、他里や抜け忍との戦闘は経験しておいたほうがええじゃろう」

「そうですね」

 

 シカクは先にある中忍試験を考える。

 

「それに先にも言ったように、二個小隊に上忍二人じゃ。問題なかろうて」

「そう言われたら、仕方ありませんね。謹んで任務に当たらせていただきます」

 

 4人が退室する。

 

「ということだ」

「そう言われてもなあ。第7班って言えばサスケのところだろ?」

「それがどうかしたか?」

「んー、あいつが手こずる事でもあるのか?」

「いくらサスケが天才のうちはといえど所詮は下忍だ。それに俺はお前らのほうが強いと思ってる」

「…」

 

 好戦的な表情をするツカイ。自分の忍術がサスケにどこまで効くのか。アカデミーでは組手など本格的な忍術を使っての模擬戦はやっていない。

 

 ツカイの表情を見たシカクはため息を吐く。サスケと戦うわけじゃないんだがなあと呟く。シカクが懸念していることは今までのCランク任務と今回のBランク任務の違いだ。交戦をした任務は一度だけ、それも雇われた浪人相手を殴って縛り付けただけ、命のやり取りをするのには役不足な相手だった。今回は違う。確実に命の危機にさらされるメンバーが出てくる。上忍の自分の実力に疑いはないが、絶対もない。そのことを頭に入れ、シカクは任務への思考を深める。




タイトル変えようかな
適当に名前をつけてしまった。

砂嵐の術は風遁系ですが、土遁にあってもいいだろうという考えからこの作品では風遁と土遁の二種類が存在します。効果に違いはありません。
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