この素晴らしい願い事に奇跡を!   作:赤福餅

12 / 150
12話

「貴方様の封印が解かれたと知り、はるばるこの地へやって参りました。封印が解けたばかりで、未だ記憶が戻られていないかと思われますが……。貴方の忠臣アーネス。ここに参上致しました。これからは、貴方様の手となり足となり、この命を賭してお守りする所存でございます」

 

 ――っ! この匂いは……!

 

 とんぬらはまだ相手が語りの途中であるも、火を近づけられた野生の動物のように本能的に後退り、めぐみんとゆんゆんのところまで下がった。

 

「ゆんゆん、めぐみん――」

 

 気を付けろ、と小声で注意を喚起しようとしたがそれより先に呆れ果てた乾いた声で、

 

「この前も勇者候補から熱烈に誘われていましたが、今度は語った通りのお望みの大人の女性が出てきましたか。とんぬらは里を出てから九年間外で一体何人引っ掛けてきたんです?」

 

 自力で立てるところまで回復しためぐみんが蔑んだ目をとんぬらに向けてくる。

 

「あのな。わかっちゃいないようだが、あいつは――」

「どんな、関係なの? アーネスさんという女性と、ねぇ?」

 

 がっちりと、腕を両手で挟み掴み、逃がさないとゆんゆん。目が赤く光って、わなわなと震えていて怖い。

 

「まずいんだよ! 俺達が遭遇したらまずい相手だ! あいつは――」

「つまり、ばったりと一緒にいるところを見られると修羅場になるのでまずい――昔の女ですか。それとも愛人でしょうか」

 

「確かに修羅場になるだろうが、違う! あいつは――」

「そう、なの、とんぬら……」

「ほら、ゆんゆん。何を消沈してるんですか。負けてはいけません。この浮気者の尋問は後にして、ここは『この泥棒猫!』と魔法でもぶっ放すんです。最初が肝心ですよ」

「う、うん……! わかったわ、めぐみん!」

 

「俺の話を聞けよ! さっき色ボケどうのこうのって言ってたが、まだボケが続いてんのかあんたら!」

 

 真面目に、ふざけてる場合ではないのだ。これは、本当にまずい相手だ。

 と、そこで女性の方から、キツめな印象の綺麗な顔立ちを引き攣らせながら、

 

「あ、あの、私は彼と何にも関係ありませんよ。ですから、安心してください」

「堂々とご主人様ロールプレイをしておきながらいけしゃあしゃあと。ならば、証拠を出してください。この紅魔族随一のプレイボーイとんぬらと赤の他人であるという証拠を」

 

「ないと実証するのは、悪魔の証明になるので無理では? いや本当に関係ないんです。私は彼の肩にいる御方に」

「私、絶対に、負けない! とんぬらを渡さないんだから! この泥棒猫――!」

 

「お願いです話を聞いてください!」

 

 何でこの場の理解者が初対面の彼女だけなんだろうか。

 同じ学び舎を通い、卒業してからも頻繁に顔を合わせるのに……そんなに信用がないのか俺……

 

 ほろり、と泣きたくなるとんぬらだが、止めないと本当にまずいので、本気で魔法を放とうと赤い魔力光を迸らせるゆんゆんを抱き留める。左腕を腰に回し、右手はその手に伸ばし、

 

「『ファイアーボール』――きゃあっ!?」

 

 警告のつもりで最初から当てるつもりがないだろうが、とんぬらはゆんゆんの魔法を放とうとワンドを握った手を取り、無理やり真上に万歳させる。

 発射角度を握られ、花火のように高々と撃ち上がった火球は、夜空に派手な爆発を引き起こした。

 

 よし、これは上手くいったか……!

 

 上空を見ながらその行方を目で追っていき、ふぅ、と安堵を洩らすとんぬらは、そこで気づく。

 

「~~~っ!?!?」

 

 あわや凶行に及ぶ寸前だった少女が、腕の中で借りてきた猫のようにおとなしい。カチンこちんに固まり、うなじが見えるほど俯いて、耳が紅葉のように真っ赤になっている。煙も噴くほどに紅潮している。

 

「あの、とんぬら。……そろそろ……放して、もらえると……」

 

「……え?」

 

 彼女の言葉を聞いてとんぬらはやっと、自分がゆんゆんを抱き留めたままだったことを思い出す。抱きかかえていても気にならないほど華奢なゆんゆんの体だが、そのくせ意外なほど柔らかく、密着した部分がしっとりと肌に馴染んでいた。

 

「先ほど紅魔族随一のプレイボーイとは言いましたが、人前で堂々と痴漢を働くとは何してるんですか」

 

「あ、ああ……悪い」

 

 シラッとした目でめぐみんに見られ、慌ててゆんゆんから手を放すとんぬら。

 

「う、ううん。もとはと言えば私のせいだから……」

 

 そういってゆんゆんは服の乱れを直す。ただまだその赤面から火照りはすぐには冷めないようで、とんぬらはそっぽを向きながらも、鉄扇を取り出して涼しい風で扇いでやる。

 

「……え、っと、いいかしら? 話をしても」

 

「ど、どうぞ! さっきは申し訳ありませんでした!」

 

「いえ、構いませんから」

 

 声をかけづらそうに窺う女性に、ショック療法で正気に戻った常識人な少女はぺこぺこと頭を下げる。

 なんだか妙に空気が和んでしまったところで、彼女は胸に手を当てて口を開いた。

 

「私が忠誠を誓っているのは、彼ではなく、彼の肩に乗っておられる御方です」

 

 みゃー、と視線が集まったちょむすけが鳴く。

 

「……ああ、とんぬらの猫耳フェチ同士ですか」

 

「察しが悪いのか、頭が拒否してるのかわからんが、もうこれ以上話を変な方向に混ぜっ返してくれるな! まったくの初対面だ!」

 

 とんぬらの肩に乗っていたちょむすけをめぐみんは取り上げて、自身の胸に抱く。

 

「この毛玉とはもう半年以上もの付き合いで、情だってあります。今更迎えに来たと言われても困るのですが」

 

「偉大なる我が主を毛玉呼ばわりしておいて、情があるだのと言われましても……我が主を今まで保護していただいたことには感謝します。ですが、我が主には居るべき場所があるのです。さあ、我が主、どうぞこちらへ」

 

 アーネスが微妙に顔を引き攣らせたまま腕を差し出すのを見て、めぐみんの腕の中のちょむすけは、一瞥するも、眠そうに大きな欠伸をしてしまう。

 この状況で寝そうになるこのふてぶてしい毛玉の喉を撫でながら、

 

「……ちょむすけは私のもとが良いようですね」

 

「ああっ!? ウォルバク様っ!?」

 

「大丈夫ですよ。この毛玉は私が立派に育てますから」

 

「まま、待ってください! あの、ウォルバク様!? ウォルバク様! 私です、アーネスです! ほら、私と一緒に帰りましょう?」

 

 慌てふためくアーネスだが、めぐみんに顎下を擽られるちょむすけは、気持ちよさげに喉を鳴らして目を閉じてしまう。

 

「見ての通り、私にしっかりと懐いています。どうぞ、お引き取りを」

 

「ま、待ってください! どうかあなた方からも、ウォルバク様がお帰りになるよう、説得を! そのお姿でも、多少は人の言葉がわかるはずですので!」

 

「人の言葉が理解できるわけないじゃないですか。この子はただの猫ですよ。猫の言葉がわかると自称する紅魔族随一の芸人はいますが」

 

「あんたはいちいち俺に挑発せんと話ができんのか」

 

「ええ、私は生涯魔導に費やしますので興味ありませんが、目の前でイチャイチャとされるのはイラッと来ます。魔力が全開なら爆発させてやりましたよ」

 

「べ、別に、イチャイチャなんてしてないわよめぐみん!」

 

「お願いですから、ウォルバク様を説得してください!」

 

 話が逸れそうになるところを食い下がってアーネスに、めぐみんはとうとうと説く。

 

「この子の名前はちょむすけです。紅魔族のセンスあふれるいい名前でしょう?」

 

「ちょ、ちょむすけ? ちょむすけ!? まさかとは思いますが、それはウォルバク様のことを指しているのですか!?」

 

「一応、女だと指摘し、改名するように言っても、そこの紅魔族随一の天才は頑固でな。まあ、そのあたりは飼い主の領分だし、無理強いはしなかったが」

 

「ウォルバク様と呼んでください! ああっ……ウォルバク様が、そのおかしな名前をご自分のことだと思い込んでおられて……どうしよう、これどうやって修正しよう……」

 

 ちょむすけと呼ばれるたびに反応するのを見て、アーネスは泣きそうになる。

 

「何ですかその反応は。その、何たらという名前よりはいいでしょう。覚えやすいですし」

 

「俺にはどっちもどっちなんだがな。猫様が認めてる以上は口出しせん」

 

「この子はオルバクとかいうあなたの主ではなく、ウチの大事なちょむすけです。本人もここにいるのを望んでますし、お引き取りください」

 

「ウォルバク様です……しかし困りましたね。どうか引き渡していただけませんか? もちろんタダでとは申しません。ウォルバク様を今まで保護していただいたお礼も兼ねて……」

 

「随分とバカにされたものですね。良いですか、ちょむすけはもはや大事な家族です。それを、お金で引き渡すなど……!」

 

 ローブの懐からアーネスは、口が閉じないほどに詰まった銀貨袋を取り出し、

 

「そうですね。今の手持ちは30万エリスしかないのですが……」

 

「いえいえそんな、十分ですよ。ほらちょむすけ、この人がお前の新しい保護者です。達者に暮らすのですよ」

 

 すんなりとちょむすけを抱き上げてめぐみんは、アーネスへ差し出そうとする。

 

「見事なまでの手のひら返しだな、あんた」

「はあー!? この子を売るのめぐみん!? 今まで大事に飼ってたこの子を!? ねぇ、ていうかこの子って……!」

 

 呆れて半目になるとんぬらに、甲高い声をあげるゆんゆん。

 当のちょむすけはめぐみんの服に引っ付いて離れようとしないが、でも、めぐみんの方も情はある。

 

「ゆんゆん、こうするのが一番なのですよ。私は冒険者になり旅に出ます」

 

 30万エリスはちょうど『アルカンレティア』へ行くテレポート代に足りる額だ。

 つまり、もうバイトをせずとも旅に出られるわけで、しかし、

 

「この子を連れて冒険に出れば、戦闘にも巻き込まれるでしょうし、こんなに小さな体では、モンスターにも真っ先に狙われるでしょう」

 

「うう……、で、でも……」

 

「そして、考えてください。この子を家に置いておけば、我が家ではこめっことちょむすけのふたりきりでいることがほとんどになります。その……言い難いのですが……私の妹に食べられないとも言い切れないので……」

 

「そこはちゃんと教育しなさいよ、お姉ちゃんでしょ!? ちょむすけだけじゃなくて、こめっこちゃんの将来まで心配になってきたわ!」

 

「ですから、大切にしてくれる人に預けた方が良いでしょう。……アーネスさん、でしたか。この子は暗くて狭いところが好きなようです。好物は魚の皮です。どうかちょむすけを」

 

 めぐみんがどうにか服からひっぺ剥がしたちょむすけを差し出そうとした――その前を遮られる。

 

「まあ、待て。飼い主ならば、渡すにはひとつ確認せんといかんものがあるだろう?」

 

 とんぬらはアーネスの視界からちょむすけを隠すように鉄扇を広げる。

 

「さっきから真面目にやれと言っておいて、何お別れのシーンをぶち壊そうとするんですかとんぬら」

 

 せっかく覚悟を決めたのに邪魔されためぐみんに、あと少しのところで待ったをかけられたアーネスは不機嫌そうに割って入ったとんぬらを睨む。

 とんぬらは片目を瞑りながら、棘のある視線を受け流し、

 

「何、ひとつ口を挟むだけだ。構わんだろう。俺もこの猫様の世話をしていたのだ」

 

「……なんでしょうか? お金はこれ以上手持ちにありませんが、用意すればまだ出せますよ」

 

「金銭の話ではない。犬猫(ペット)の引き渡しをする際、その人物の身元を確かめるのは常識の話だろう?」

 

「っ!」

 

 忌々しそうに赤髪の隙間から覗かせる黄色い瞳が眇められる。

 

「ちゃんと安心して飼えるかどうかを知っておかないと安心できん。それにほれ、住所さえ知っていれば、また猫様に会いに行くこともできる。冒険稼業は忙しいだろうが、時たまでもその顔を見たくなる時はあるだろう」

 

「そう、ですね。確かにとんぬらの言う通りですよ」

「うん、私もちょむすけとこれでお別れはいやだもん」

 

 めぐみんとゆんゆんも同意を得られ、アーネスに視線をやると、彼女は強張った笑みで、唇を震わせている。

 

「どうした? アーネスとやら、教えてくれないとちょむすけは渡せないぞ」

 

「ちょむすけではありません。ウォルバク様です」

 

 ただの会話なのに張り詰めた緊張感の漂うやりとりに、あまり気が強い方でもないゆんゆんは固唾を呑む。

 

「……ウォルバク様を保護してくださった事には、感謝致します。ですが、あまり詮索しない方がよろしいでしょう」

 

「答えになってないな。それとも、そんなに人に身元を語りたがらないとは、何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまうわけだが。――おお! これでは心配でちょむすけを手放せん!」

 

 後半舞台に立ってセリフを読み上げるように、大仰に言ってみせると、ガリッ、と歯軋りする音が響く。

 

「そうですか。私は」

「ああ、悪いが、今から口にする言に虚偽がないと、神に――そうだな、怠惰と暴虐を司る女神に誓ってから言ってくれないか」

 

 口を、噤む。

 出しかけた言葉を呑み込み、唇を噛むアーネス。深く被ったフードの奥から、ピリピリとした雰囲気が発せられるが、とんぬらはそれを涼しい顔で見つめ返している。いや、睨んでいる。

 そして、アーネスは丁寧な口調だが、地の底から響いてくるような低い声で、

 

「どこまで勘付いてるのかしら……?」

 

「さあな。俺はこの里に封印されていたという女神の名を適当に挙げただけなのだが、だができんのか。そうか。じゃあ、誓えぬようなら――このちょむすけは消してしまおう」

 

 鉄扇をどかす。

 するとそこにいたはずのちょむすけはいなくなっていた。

 

「なっ!? 貴様! ウォルバク様をどこへやった! ――くっ!?」

 

 仰天し、それまでの礼儀正しい口調をかなぐり捨てて叫ぶアーネス。そのときすでにとんぬらはどけた鉄扇をそのまま振り抜いていた。

 

 意識の空白を突かれ、反応が遅れた。

 巻き起こる突風に煽られ、フードが脱げて、アーネスの頭部が露わとなる。

 

 ――赤い髪の間から突き出す二本の角、そして人のものではない尖った耳。

 

 辺りの空気が、一変する。

 

「すまんな。あまりに臭うんでつい扇いでしまった。だがな、人と交渉するときは、まず顔を見せるのが礼儀だ。覚えておけ」

 

 閉じた鉄扇をパンと手の内で叩く。

 すると、めぐみんのローブの懐よりちょむすけが顔を出した。宴会芸スキルの手品だ。めぐみんとゆんゆんはわかっていたが、扇で隠してる間にめぐみんのダボついたローブの裾へ潜り込ませていたのである。それに気づかず、アーネスは素を露わにしてしまった。

 

「貴様ぁ……っ! いつから私の正体を……!」

 

「最初からだ。俺は『アークウィザード』だが、稀少な『アークプリースト』の資質も持ち合わせる、いわゆる賢者タイプでな。教会で僧侶の洗礼を受けたこともあるんだ。だから、悪魔臭というのがわかってしまう」

 

 ――悪魔族。

 人の感情を糧としてこの世に存在する種族で、グレムリンと呼ばれる雑魚から、サキュバスと呼ばれる男性に人気の悪魔まで。

 ピンキリがあるが、上位階級の悪魔は軒並み凶悪なまでの強さを持っている。

 そして、このアーネスは、

 

「やはり、上位悪魔か……これは、変態師匠でないと相手にするのは難しいな」

 

 大抵、人語を解する悪魔は上級である。

 そして、上位悪魔を退治するにはふつう、上級魔法を扱える者が数人揃っていないと難しい。

 そして、ここにいる3人は、上級魔法は扱えない。

 ゆんゆんは中級魔法までしか使えず、めぐみんもストレス発散に爆裂魔法を使ってしまったばかりである。

 

「上位悪魔、だなんて……」

 

 ゆんゆんの恐れ戦きぶりを見て、幾分か留飲を下げた上位悪魔アーネスは、ニコリと笑い、

 

「賢者の坊主が虚仮にしてくれたけど、私は寛大だから水に流してあげる。さあ、ウォルバク様を渡しなさいな。そして私の正体を黙っていてくれるなら、あなたたちを見逃してあげる」

 

「断る。変態師匠ほど悪魔やアンデッドに排他的ではないつもりだが、最初から騙しに来るのは見過ごせんのでな」

 

 ゆんゆんとめぐみんに目配せし、下がらせたとんぬらは高らかに唱えた。

 

「『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!」

 

 支援魔法を、自らに掛ける。

 聴き慣れない単語に訝しんだアーネスが訊く。

 

「今の何? 上級魔法でもなさそうだし、聴いたことないのだけど」

 

「宴会芸スキルの支援魔法だ。相手を芸達者にするものだ」

 

「はっ! あーっはっはっは! 笑えるわ坊や! 何、また手品でも見せてくれるのかしら? それで私を笑い死にさせるつもり?」

 

 バカにするように嗤うアーネス。

 それを無視し、とんぬらは指先を鉄扇の根元に当て、さっと扇の骨に沿って一気に振り抜くように払う。すると、その軌跡が空を描いたように、鉄扇の延長線上に見事な氷の刀身が生まれた。

 

「そうだな。今度の演目は『女悪魔の串刺しショー』とでもしようか?」

 

 抜けば玉散る氷の刃を構え、不敵に返す。

 それにアーネスは笑みを消し、

 

「ウォルバク様が懐いてるから優しくしてあげようかと思ったけど――あまり調子に乗るんじゃないわよ!」

 

 限界まで引き絞られて放たれた矢の如く飛び掛かってきたアーネスがその氷の刀身を砕かんと無造作に腕を振るい――とんぬらと切り結ぶ。

 その場から動かず、真っ向からアーネスの攻撃を受けたとんぬらは続く攻撃も氷の刃で捌いていく。反撃に転じる余裕はないが、それでも専守防衛に徹すれば受け切れないものではない。

 アーネスは苛立つように爪を伸ばした拳を氷の刃に叩きつけるも、壊れず。

 

「どうなってんの!? 氷でできてるのに、鋼より硬いわよこれ!?」

 

「器用さに比例して作品の質を上げる宴会芸スキルの『氷彫像(アイスメイク)』。何度となく壊され続けたけど、芸達者になる支援魔法で器用度を上げてやっと、そけっと師匠と打ち合えるレベルの硬度になった。硝子が強化硝子になった感じだな。そして、一撃さえ耐えれれば、戦闘中も『氷彫像』で鍛造していくことで新品に修復されるという理屈だ。わかったか」

 

 伊達や酔狂で習得した支援魔法ではないのだ。

 

「っ、貴様、『アークウィザード』じゃないの!? 何で魔法使いのくせしてこんなに力があって、動けるのよ!」

 

「別に魔法使いが剣を使ったらダメというルールはないだろ。臨機応変に動けないようじゃ冒険者はやっていけないからな。それに呪文よりも手っ取り早い――隙あり!」

 

 イラついて大振りになったところですかさず切り込み、アーネスの頬に薄らと線のような切り傷がつけられた。そして、そこから焼けるような痛みが襲う。

 この氷の刃は、退魔効果のある聖水を材料にして造られている。

 ハッと頬を手で押さえるアーネスは、次の瞬間、形相を歪ませ、

 

「このっ!」

 

 思い切り叩き込んだ渾身の一発を、氷の刀身ではなく、柄の鉄扇で受け止め――とんぬらの体は音もなくスライドした。

 そう、まるで地面を滑るように、ではなく、実際に地面を滑っていた。

 

「『雪月花・猫足』」

 

 見れば、地面が凍っていた。

 そして、氷で馬車が滑るのは、氷と車輪の間に薄い水の膜ができるからである。つまり、アーネスはスケートリンクの氷上で思い切りとんぬらをつっ飛ばして、そのまま滑っていった、と同じことで、受けた衝撃を推進力に変換して、殴打の威力を殺す。

 転ばぬようにするにはバランス感覚が重要となるが、元々とんぬらは器用度が高く、今は芸達者になる支援魔法をかけて底上げされている。

 

 だがいつの間に地面を凍らせていたのだ?

 

「――まだ、わかってないようだな。最初から臭くて敵わんのに、正体に気付かぬふりして会話を続けた意味を。そんなの俺達にもできる時間稼ぎに決まってるだろう?」

 

 指揮棒を振るうように、得物を真上に振り上げる。

 すると地中に隠れ潜んでいた雪精が、アーネスの足元から飛び出した。

 

 ゆんゆんの火照った顔を冷ますために取り出した鉄扇。あれからこれまで会話の最中、延々と手だけはずっと上位悪魔の視界に不自然ないよう扇ぎ続け、雪精を喚び出したり、足元に水芸で水を撒いたりしていた。

 そう、とんぬらを突き飛ばして立ったちょうどその位置。そこは多量の聖水を地中は含んでおり、今、思い切り殴り飛ばそうとアーネスは強く踏み込んでしまった。

 トラバサミのように仕組まれた罠が発動する。

 

「が……っ」

 

 足元を氷漬けにされ、縫い止められた。

 標的を凍結して行動停止する上級魔法『フリーズバインド』があるが、とんぬらの氷漬けはそれとは違う点がひとつある。

 それは、固めているのが、ただの水ではなく、聖水であるということだ。悪魔の身動きを封じるのに効果的な『アークプリースト』の封印魔法『セイクリッド・シェル』と同種の、本来は拘束し得ない上位悪魔をも封じる拘束力を発揮する。

 そして、それを偶然ではなく、計算した。

 

「『パルプンテ』!」

 

 上位悪魔と対峙する危機的状況に、奇跡魔法が及ぼした効果は――力を溜める。

 

「ゆんゆん、風を!」

 

 一度限りの筋力増幅効果の発現を覚ったとんぬらは連携に頼りにする相方へ、

 

「この半年の成果、今こそ契約の力を見せる時!」

「うん! 始めるよ、とんぬらっ!」

 

 『パルプンテ』の効果は、神や悪魔にもわからない、ランダム。

 だから、発現してすぐに動けるように、事前に効果次第で段取りをふたりは決めていた。

 

 

「『ウインドカーテン』――!」

 

 

 魔力を溜めて待機していたゆんゆんが銀色のワンドを、とんぬらに向ける。

 それは風を纏わす支援魔法。ただし、連携のために応用を利かせている。とんぬらではなく、突きの構えを取ったその氷の刀身を基点に渦巻く、それも『ブレード・オブ・ウインド』のように切れ味鋭い鎌鼬の魔風が。

 

「っ、『ファイアボー

「『雪月花・猫被り』!」

 

 アーネスの詠唱が、ゴバッ!! と炸裂した爆音に掻き消された。

 

「避けられるものなら避けてみろ!」

 

 風の後押しを受けて全力で地面を蹴る。靴底と地面の間に薄い水の膜を張り、氷上で車輪がスリップするように、滑る高速移動。ロケットスタートで突っ切ったとんぬらは圧倒的な加速で迫ると、アーネスが詠唱を完了させるよりも早くに氷の刃を上級悪魔の胴に達しさせた。

 

 

「『花鳥風月・猫の逆爪』!」

 

 

 鉄扇の束ねた板から水が染み出すようにスキルを使い、鉄扇と掌の間の摩擦を軽減。そして柄後より逆噴射。それは突き出す速度と威力を倍加させ、上位悪魔の身体を貫き、そのまますっぽけた氷の刀身付きの鉄扇と共に吹っ飛んで、背後にあった樹木に深々と突き刺さった。

 

 

 ♢♢♢

 

 

「ふ、どうですか私たちの連携プレーは。私が担当した時間稼ぎは重要な役目でしたが、簡単でしたね。ええ、私が子供だと侮ったようですが、最初からあなたが悪魔だとわかっていましたとも」

 

 外野のめぐみんがちょむすけを抱いたまま、隠れていた木の影から出てくる。

 

「ッ、……偉大なる邪神、ウォルバク様に仕える、この私を……!」

 

 胴を貫通し、上位悪魔たる己を射止めた氷の刃。

 とんぬらの手元から離れた鉄扇の氷刀身を、握り締め、成型された聖水に手を焼きながらも紅の魔法陣で溶かす。串刺しから解放されたアーネスが木から地面に頽れて、ぜえはあと息を切らす。

 

「迎えに来ただけで里には悪さをしてないようだからな。ちょむすけの顔を立てて一度は見逃してやるアーネス」

 

「ウォルバク様だ! 上位悪魔を舐めるな、賢者の坊主! 私はまだ戦えるぞ!」

 

 渦巻く突風に乱されたそのバサラ髪を振り上げ、アーネスは魔力を滾らせる。

 

「端から俺達で上位悪魔のあんたを倒せるとは思ってない。俺達にできるのは“時間稼ぎ”だと、さっき言ったはずだが」

 

 とんぬらは耳後ろに手をやり、聴覚を澄ませるようにジェスチャーする。

 

 

『……おーい……この辺が……爆発があったところかー……』

 

 

 山彦のように響く声が聴こえた。

 

「まあこれはシナリオではなくアドリブだったんだが、ゆんゆんが都合良く『ファイアーボール』の打ち上げ花火をしてくれたからな。すぐ里の大人たちが来るだろう――っと、いや、もう来てたか」

 

 中腰状態のアーネスの頬を、一条の閃光が掠め通り過ぎた。

 

 通常、上位悪魔を撃退するには、上級魔法を使える『アークウィザード』が複数人必要である。上位魔法使い職なんて珍しい人材で、そう滅多に満たすはずのない条件だが、ここは里の全員が『アークウィザード』の紅魔の里。

 

 

「爆発を見て何事かと来てみれば、里近くに悪魔がいったい何用だ?」

 

 

 応援に駆け付けたのは数人の紅魔族の大人たち。

 中には、ぶっころりーの姿もあり、暗がりでよく見えないが、きっと『対魔王軍遊撃部隊』の面子だろう。里の有志(無職)が集まって、勝手に見回りしている自警団。

 

「おっ! とんぬら、めぐみん、ゆんゆん、大丈夫か!?」

 

 後衛もしくは外野であっためぐみんとゆんゆんはとにかく、とんぬらは爆裂魔法で誘き寄せられたファイアドレイク相手に孤軍奮闘していたので、あちこち生地が焦げていて、また上位悪魔アーネスとの近接戦で服が破れている。

 そんな激しい戦闘痕に心配するぶっころりーにとんぬらが口を開くよりも早く、めぐみんが言った。

 

「私たちが森の中でモンスター相手にレベル上げをしていたところ、あそこにいる噂の爆裂魔に遭遇したのですよ」

 

「「ええっ!?」」

「はあっ?」

 

 口から出た思わぬ発言にゆんゆんまで驚いてしまい、指されたアーネスは疑問符を浮かべる。

 

「気を付けてください。噂の爆裂魔は上位悪魔です。ぶっころりーたちが駆け付けるまで、私たち三人の連携で、爆裂魔と死闘を繰り広げ、どうにか手傷を負わせられましたが」

 

「なんと! ……ああ、だからめぐみんは魔力を使い果たしたみたいにグッタリしていて、とんぬら君がそんなにボロボロなのか……! 学校の双璧で、男女クラス首席で卒業したふたりがそんなになるだなんて、相当のヤツだったみたいだな!」

 

「まあそうですね。私の采配がなければ、命を落としていたのかもしれない激しい戦いでした」

 

「よ、よくもそんな大嘘を……! ちょっととんぬらも許していいのあれ?」

 

 もはや何も言うまいと口を閉ざすとんぬらの隣で、ゆんゆんが小さく囁く。

 はっきり言ってもう疲れたのだ。頭も使いたくない。何でも構わないから、これまで休んでいた分、めぐみんに事情説明は任せた。

 

「ああ、よく無事でここまで頑張ってくれたな三人とも。あとは俺達に任せておけばいい。あの爆発魔はこの『対魔王軍遊撃部隊』が退治してやる」

 

 とりあえず、これでもう身の安全は確保できたのだから。

 

「えっ。……えっ? ……何、言ってるの? 爆発魔ってどういう……?」

 

 戸惑うアーネス。この最近、里の住人を悩ませる爆裂魔法の騒音被害を彼女は知らない。そして、その濡れ衣を被らされるような展開となっているのも。

 早く逃げた方が良い。紅魔族随一の天才に煽られたみんなが腕利きの『アークウィザード』である大人たちが上位悪魔を睨んでる。

 

「ちょっとあんた。よくもまあここ最近、夜中に魔法を連発してくれたわね。おかげで、こっちは、夜な夜な山狩りさせられたんだ」

「おいコラお前。ここをどこだと思ってるんだよ」

「あんた、どこの誰だか知らないが、いい度胸してるなあ……魔王軍の幹部クラスですら、この里には一人で近づこうとしないぞ?」

 

 アーネスは脂汗を掻きながら目を泳がせる。

 

「悪魔が、この魔王軍すらも近づかない紅魔の里にホイホイやってくるとは、よほど自信があるのかバカなのか」

 

 貫かれた風穴を押さえながら後退り、一斉に上級魔法の詠唱を始めた紅魔族を見て、たまらず背を向けて逃げ出した。

 

 

「戦利品をゲットしました。これで、バイト分と合わせて冒険に出られます」

 

「ひ、酷い! 良いの? ねぇ、それって良いの!?」

「あんたは本当に美味しいところばかり食うな」

 

 そして、アーネスが落とした銀貨の詰まった袋はめぐみんが拾う。

 その後、分け前をゆんゆんは辞退したため、めぐみんととんぬらで折半し、二人とも貯金額が30万を超えた。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 卒業してからおよそ半年もの時間を経て、ようやく出立の時が来た。

 

 女子クラスではクラスメイトで集まり、めぐみんとゆんゆんの送り出し会が、紅魔の里で一番大きな屋敷であるゆんゆんの家で行われることとなった。今頃ワイワイやっていることだろう。喧騒がここまで聴こえている。

 

「我が名はとんぬら! 奇跡魔法の伝道者にして、紅魔族随一の勇者になる者!」

 

 そして、男子クラスの首席卒業で旅立つとんぬらはというと……

 

「いい名乗り上げだね。三日ウチに泊まることがあったが、族長と神主代行ではなく親として君とふたりになるのは初めてになるか。まま、気楽にかけたまえよ」

 

「大変、恐縮です……これ、つまらないものですが」

 

 テーブルを挟んでソファーに座る中年の男に、とんぬらは用意した菓子折りを出す。

 族長宅の応接間。鎖やら包帯やら、棘付きの首輪に腕輪と中二病なファッションに身を包むチョビ髭の中年男性は、族長。つまりはゆんゆんの父親と二者面談、という男同士の席にいた。

 

『お父さんが、一度とんぬらと二人で話がしたいって……』

 

 旅行費が目標額に達した昨日の今日に女子クラス旅立ちパーティが決まったみたいだが、こっちも昨日の今日、その朝に、急報は届けられた。

 

『昨日の今日でか? そんないきなり』

 

『ううん。旅立ちの日の前に話がしたいって前から……』

 

『初耳だ。というか、それを早く言え!』

 

 昨夜、上位悪魔に立ち合いを演じた少年は、これから旅の相方となる少女の男親に挨拶する展開に、気を落ち着けるために小一時間ほど神社の中で瞑想した。

 族長には何度か会ってるし、相談で会話したりもするのに、どうしてこんなに鬱になるのか不思議である。

 それで族長の方は、はっはっはっと朗らかに笑ってる。ただし、応接間の扉が魔法『ロック』で鍵をかけられ、中から外への音が漏れないように遮音魔法もかけられた完全密室で笑い声は響いております。

 

「いやあ、とんぬら君には感謝してるよ。里に中々馴染めなかった娘が今日ああして友人を家に大勢も呼べるようになるとは。君のおかげだと聞いてるよ。とても感謝してる」

 

 想定した中でも好印象な方であるが、それはそれで重い。

 

「いえ、俺がしたのは些細なことですから。努力したのは彼女です」

 

「いやいや。まあそんなとんぬら君だから、ゆんゆんを任せても安心だと思ってるよ。ああ、そういえば神社の方だがね」

 

「あ、神社の方はそのままにしてくれれば」

 

「神主一家がいない間、私が管理するよ」

 

 なんだろう、ここ最近よく感じるのだが、逃げられないように徐々に外堀が埋められていくような感覚をとんぬらは覚えた。

 いや、これはもう今のうちに一緒にしてしまえ、ではなく、きっと里の族長として神社の面倒を見てくれる。そう思うことにしよう。

 

「さて、訊きたいことがあるんだが」

 

「何でしょう、族長」

 

「お義父さんと呼んでくれても構わないよ」

 

「紅魔族随一のダンディな族長、この平々凡々な神社の跡継ぎに何用でしょうか?」

 

「はっはっは。実はだね。ゆんゆんから里の族長になるために旅に出たいと言われたんだが」

 

「はい」

 

「それが自分を鍛えるためだけでなく、とんぬら君の責任を取るためにとも言われたんだよ」

 

 事前に会議したけどそんなの聞いてない。『特別、おかしなこと話してないよ』としか聞いてない。

 

「それで一体とんぬら君に何をしたんだと訊ねたんだが、絶対に言えないの一点張りで……」

 

 それはドラゴンのことだろう。族長でもあるし親くらいには相談してあるものだと思ってたんだが。

 

「族長、ゆんゆんが語らないのなら、俺は絶対に言いませんが、信じてください。俺は決して娘さんに責任を取られるようなことはされてませんし、もちろん逆に俺が娘さんに人様に誤解されるような真似はしていません」

 

「そうなのかい。いや、ちょっと待ってくれ」

 

 テーブルの下から何やら一冊の本を取り出す族長。それをパラパラとめくって、やがて。「そうだな……」

 

 『猫耳付けて氏子になってほしいって頼まれた』

 『初めての喫茶店にとんぬらと行って楽しくおしゃべりした』

 『とんぬらに描いてもらったカフェラテアートお持ち帰りにできなくて残念』

 『とんぬら、あるえと付き合ってるのかな。私も眼帯付けてみよう』

 『またとんぬらに助けてもらった。もらった短刀はずっと大事にしよう』

 『めぐみんとの勝負に負けたからとんぬらから話しかけてもらえなくなった。寂しい』

 『とんぬら、そけっとさんと仲良さそう。私とも修行してくれないかな』

 『とんぬらが困ってた私のために薬の材料を用意してくれた。もう。友達できました』

 『とんぬら、勇者に勝った。すごいなぁ。私のために戦ってくれたというけど本当かな』

 

「……と、娘とは非常に仲が良いようじゃないか。今では君の名前を日記に書かなかった日はないよ。まあ、卒業が早かったせいか、紅魔族的な文章センスはないみたいだが」

 

 族長……今読んでるそれはもしや娘さんの日記でしょうか。

 これはゆんゆんの管理が甘いのか、それとも族長のスキルがすごいのか。いや、紅魔族的にありなのかもしれないが、普通に娘の日記を許可なしで見るというのは父親としてどうなんだ?

 そして、朗々と読み聞かされたこちらは顔も熱いし、手の汗もひどい。

 

「しかし、とんぬら君は中々モテるようだね。君と一緒に女の子の名前がたびたび出てるよ。まあ、ここまで娘の面倒を見てくれたんだから信頼に値する男だとは思うけどね」

 

「俺は決して誰かとお付き合いしてるわけではないのですが、族長にそう言ってもらえて大変光栄であります」

 

「そうなのかい? いやあ、昨日、噂で娘が君と夜にいかがわしいことをしてるとか聞いたんだけど」

 

 あのバイト後輩はあとで真剣に説教してやらねばならんようだ。

 

「それは断じて誤解です。どこかの暫定天才が紅魔族的なノリでやったことです」

 

「そうか。流石にまだ15歳になってもいないのに子供というのはいささか……娘は身体は育ってるんだけど……ね。わかるだろう?」

 

「ごもっともです。旅の間、おふざけでも娘さんに不埒な真似は致しませんから」

 

 その笑顔には中々のすごみがあった とんぬら。

 そして、満足気に頷くと立ち上がった族長は、こちらの隣まで来るとぽんと叩き、小さな、しかし重い声で囁いた。

 

「君とは長い付き合いになるな。酒が飲めるようになるのが楽しみだ」

 

 それだけ言って応接間にかけられた魔法を解くと、応接間からとんぬらを残していってしまった。

 ……長い付き合いになるな、と確信をもって言われたのだが。

 

「………もう、俺、詰んでるのか」

 

 旅立ちの前日、少年は非常に重いものを背負った気がした。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。