この素晴らしい願い事に奇跡を!   作:赤福餅

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66話

 ――ここで、屈するわけにはいかない……!

 神器たる魔剣を杖に、ミツルギキョウヤは立ち上がる。

 彼が睨み据える先にいるのは、王都に突如現れ、貴族アルダープの屋敷を破壊した、そして、今ここに駆け付けたミツルギら王都の高レベル冒険者を圧倒した、謎の怪物だ。

 身の丈は、5mはあろう。毒虫の甲殻を連想させる青紫の体表に、肩からは棘が突き出ている。

 筋骨隆々の腕にサーベルのような長い爪のある手。

 顔面も人間のそれではなく嘴を持った魔獣のもので、額からは角を生やしている。

 背中からは翼を広げ、鬼火のように揺らめく深い影を背負っていた。

 そして――

 

「古の究極魔法……神さえ息をのむ究極のチカラ……!」

 

 ただ、ただ――その怪物は、強かった。

 この街中で、『グラム』の真価を発揮できないミツルギの攻撃では、通じない。

 

「ワシは得たのだな! 何者にも屈しない最強のチカラを!」

 

 歯を食いしばる勇者は、怪獣の歓喜の雄叫びを聴く。

 

「ララティーナ! これで、お前はワシのモノだ! 昔からずっとずっと目を付けてきたが、これでようやく手に入れる時が来たのだ!」

 

 周囲には、既に倒れた冒険者たち、そして、騎士隊の兵士が何人も転がっている。

 もし強さこそが絶対だというのならば、この目の前の怪獣は正義であるだろう。

 だが、それを認めてはならないという、魔剣の『ソードマスター』の意地とプライドが心に勇気を灯し――そして、渾身の一刀を叩き込んだ。

 

「うおおおお――『ルーン・オブ・セイバー』っっ!!!」

 

「何!? 貴様、まだ――!?」

 

 力に酔っている怪獣に、魔剣の一撃。さっきは攻撃を弾いてそれで油断したのだろう。しかし、力を解放させた『グラム』は、青紫の身体を切り裂き、赤い鮮血に染め上げた。

 

「ぎゃああああ――っ!?」

 

 致命傷、とまではいかない。

 しかし、与えたダメージは大きかった。

 膝をついた怪獣は、風船の空気が抜けていくようにみるみるうちに萎んでいき――――その変身が解けてしまう。

 怪獣の姿から、人間に。

 

「おま、えは……!?」

 

 そうそれは、ミツルギも知る人物で。

 驚愕に目を見開いたミツルギが相手の名を叫ぶ前に、声を掛けた者がいた。

 

「おい、どうなっているんだこれは! マクス! 古代魔法は完全ではないのか!」

 

「ヒュー、ヒュー……まだ、魔法が不完全みたいだったね、ごめんよ、アルダープ」

 

 両目の色が違うオッドアイで、後頭部のない不気味な青年。

 さっきまで大暴れしていた怪物に勇敢に立ち向かったミツルギでさえ、恐怖を覚えたその雰囲気。体が金縛りにあったようにその舌先まで動けなくなってしまう。

 

「クソッ……! こうなったら、傷を癒して、またやり直しだ! それまでは……マクス! この場にいる全員の記憶を全て都合の良いように捻じ曲げ、辻褄を合わせておけ! わかったな!」

 

「それは大変だよ、アルダープ。僕の力にも限度がある。これだけの破壊をなかったことにはできないよ」

 

「ふん。そんなのはわかっている。下級悪魔の貴様に任せてしまったせいで、究極魔法も失敗したようだからな!」

 

 叱りつけると、少し考え込んで、

 

「……隠蔽が無理ならば、擦り付ければいい。――そうだ、あの宮廷道化師、『アクセル』のエースをほざく生意気な小僧……噂で聞いたことがあったが、怪物になれるそうだぞ? スケープゴートにはうってつけだ」

 

「流石だねアルダープ! それならできそうだよ!」

 

 契約者の意図を理解した壊れた悪魔が歓声を上げる。

 猛烈に嫌な予感がする。

 止めねば、かつてないほどの災難が彼に襲い掛かる。

 宮廷道化師、それはこの世界で初めての友人の――

 しかし、ミツルギが金縛りを振り払うよりも早く、無邪気な悪意が容易くこれまでの積み重ねた真実を突き崩す。

 

 

「『アヴェルコヴェルリヴァース』!」

 

 

 そのとき、ミツルギは、光と影は逆転する光景を見た。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 ――空は厚い雲が立ち込め、今にも雨が降りそうな気配を見せている。

 もうすぐ梅雨入りに入るこの時季。暗緑色のゆったりと身体のラインを隠せるくらいに余裕のあるローブに身を包んだ少女が光り輝く指揮棒の如き杖で地面を指し、

 

 

「――いくわよ! 『アース・シェイカー』!」

 

 

 大きなお腹に無理しない程度の大声で魔法を唱えた。

 その身に秘めた魔力をほとんど注ぎ込んで、目の前の広大な土地全体に地属性の上級魔法を発動させた。

 大地がうねり、震動し、脈打つように流動する。

 術者の意のままに土は動き、この大農場の土地は広い範囲で――耕された。

 

 

「豊作祈願だ! 枯れ地に作物を実らせる、我が紅魔の里に伝わりし、秘伝の肥料調合!」

 

 

 そして、『クリエイト・アース(魔力の土)』を取り入れた錬金術で化学肥料と種を混ぜ込んだ箱を頭上に持ち上げ、声高に叫ぶ。

 

 

「さあ、種子を運べ、『春一番』!」

 

 

 春風の精霊が、箱の中にある種と肥料を舞い上げて、耕された大地に均等に降り注がせ、豪快かつ繊細に種蒔きをする。

 それから、一枚の魔法紙を取り出した仮面の少年は、そこに一帯の地形情報を写し取るオリジナル魔法を行使。

 

「水脈を印せ、『フローミ』!」

 

 マップ・ダウジング。ダウジング技術が熟達すれば、地図の上からでも目星が付けられるという。

 そして、水の女神の洗礼を受けた者たちは、水と温泉の都の水源を第一に掘り当てるほどに優れた直感を有している。

 そうして、描き終わった地図の上から、この地の水脈に当てを付けた彼は、そこへ意識しながら鉄扇を刺し向けて、クンッ、と上に突き上げる。

 

「『花鳥風月・猫柳』!」

 

 勢いよく噴き出した間欠泉。

 それにこの大地全体に魔法をかけていた少女は、また土を蠢かせて、その水源を畑全体に行き渡らせるよう水路の堀を造る。

 

 ……で、この『アクセル』のエース二人が行ったのは、農作業。それらがすべて、惜しげもなく膨大な魔力を使った、普通ではできない紅魔族流のダイナミック農作業だ。

 十数名で数百人の里の食料を生産するこの作業を、学生時代に参加していたとんぬらは良く知っており、ゆんゆんと二人なりのやり方で街の郊外にある大農場で実践したのである。

 

「二人が何しに出かけたのかと思えば、クエストではなく、農作業でしたか」

 

 このもったいないようで有用な魔法の使用法を眺めていためぐみん。

 今日はパーティの面子は誰も冒険者稼業をやらないのでひとり街をうろついていたが、そこで二人を見かけた。

 想像妊娠で身重なゆんゆんを連れて、外に出たから気になってついてきた彼女は、肩透かしを食らったように鼻を鳴らす。

 

「めぐみんか。どうしたこんなところに?」

 

「どうしたもこうしたもありませんよ。クエストでもやるかと思ってついてきてみれば、農作業ですか」

 

「マネージャーからの指示でな。留守番をさせたかったが、俺は上級魔法を扱えないし、ゆんゆんもはりきっていたから、魔法だけをお願いした」

 

 身重ながら上級魔法を行使したゆんゆんは一息ついて、腰を下ろしている。変異種の豹モンスターのゲレゲレが楽に寄り掛かれるよう傍に伏せている。

 とんぬらはこの作業を終えた広大な農地を見渡しながら、

 

「この辺りは機動要塞『デストロイヤー』にだいぶ蹂躙されたからな。『アクセル』の街自体は守られたが、その周囲の穀倉地帯に治水施設等が破壊された。農家の皆さんは仕事に財産を失った。莫大な報酬をもらった冒険者達とは逆に無一文だ。荒れた土地を復興させるのはそう簡単なことではない」

 

 すでに解決した事柄だと思い込んでいたものの裏側を聞かせられて、めぐみんはやや表情を曇らせる。

 とはいえ、これは誰かが悪いという話しではない。強いて言うのならば、運が悪かったのだ。

 

「だから、こうして紅魔の里方式の大規模農作でお手伝いをしている」

 

 紅魔族の魔力任せのやり方は少人数でも作業効率がいい。

 しかし、農作業をわざわざ手伝いに行くよう、魔道具店と何ら関係のないことをあのすべてを見通す悪魔がやらせるのは予想外で……きっと、何か裏があるのだろうととんぬらは睨んでいる。

 

「というわけだから、めぐみんも、爆裂魔法を撃つときは注意しろよ」

 

「わかってますよ。人の迷惑になるようなことをして爆裂魔法を下げるような真似はしません」

 

「この街に来た当初は、かなり門番に叱られていた癖によく言うな。今はもう何かニワトリの鳴き声のように街の風物詩になってるけど……っと、来たな」

 

 農作業の手伝いに来たが、とんぬら達の本職は冒険者である。

 

 もうすぐ梅雨に入るこの時季。

 そして、梅雨になると家畜を丸呑みする『ジャイアントトード』も活発になるが、この季節になるともっと厄介なモンスターが大量発生する。

 

「『アダマンタイマイ』。弓や剣が通じない、刃物に絶対の耐性を持った巨大カタツムリ。こいつらには、ゲレゲレの噛みつきも意味をなさん」

 

 『ジャイアントトード』とは違い、人には危害を加えたりすることはないのだが、畑の作物を食い荒らす害獣『アダマンタイマイ』。

 

「おおいっ! 農作業してもらってすぐに悪いが、モンスターを退治してくれんか!」

 

「任せてください。農家の皆さんは巻き込まれないよう避難を!」

 

 鉄扇を構え、収穫作業の方にあたっていた農家の人達を下がらせる。

 

「とんぬら! 私も!」

 

「ゆんゆんは、戦闘には参加するな。農家の方についててくれ」

 

 身重な相方には、ただ魔法を行使するだけの農作業はとにかく、激しく動くことになるだろう戦闘はさせない。

 それは、同郷の里随一の天才も同じ気持ちのようで……

 

「なんちゃって妊婦の出る幕はありませんよ。我が爆裂魔法で一掃してみせますから」

 

「めぐみんも下がれ。戦闘の邪魔をするな」

 

「戦闘の邪魔とは何ですか! 私は、冒険者にして、王都の魔王軍戦線で活躍した大魔導師ですよ!」

 

「さっき注意したばっかりだろう! 威力が上がった爆裂魔法なんてぶっ放したらせっかく整えた農地までふっとんじまうだろうが!」

 

 害獣よりも天災的な爆裂魔法使いを叱りつけて下がらせる。

 その間にも、『アダマンタイマイ』が作物(エサ)の実った畑へと進行――しかし、それ以上は許さんととんぬらの鉄扇が振り切られた。

 

「『風花雪月』――!」

 

 雪精舞う極寒の冷気、上級魔法に匹敵する芸能が、『アダマンタイマイ』の群れを呑み込んで凍結し、動きを停止させる。

 

 しかし、金剛不壊(アダマン)の名を冠するだけあって、このモンスター、殻以外の軟体部分もそれなりの硬度を持っている。

 なので、駆除するには魔法で殲滅するのが一番なのだが、今のゆんゆんを戦闘に参加させるわけには行かない。

 されど、ここにいるのは紅魔族の随一の異才と称された奇跡魔法を究める者――!

 

「とくと拝むがいい! レベルが上がってさらに拡張された奇跡魔法の力を!」

 

 頭上に高々と掲げた鉄扇より放たれる虹霓の着色光が梅雨の暗雲を染め上げて、

 

 

「『パルプンテ』――!」

 

 

 ……パルプンテ!

 …………パルプンテ!

「『パルプンテ』――!」

 ………………パルプンテ!

 ……………………パルプンテ!

 

 昔よりも力強い呪文の詠唱が、山彦となって木霊し――新たな効果が発現する。

 

「今、さりげなく木霊の中に混じって詠唱してましたよ! 外れだったのに誤魔化しましたね!」

 

 外野が文句をつけてきたが、とにかく新効果が、『アダマンタイマイ』らに発現した。

 その地面より噴出する漆黒の霞。巨大カタツムリを呑み込む、奇跡魔法が喚び出したそれは、冥界の霧である。

 

「よし! 試作品の試し切りにはちょうどいい!」

 

 とんぬらが鉄扇を仕舞い、手に取ったのは背負っていた両手杖。

 杖先に特徴的な形をした刃がついており、その中心に青い宝玉が嵌め込まれた槍のような長杖だ。

 そこにとんぬらが掴んだ柄より魔力を篭め、先端の魔石に伝わるとそこより、光の刃が噴出した。

 

「はあっ!」

 

 動きの止まったモンスターに接近すると、とんぬらは杖の光刃で斬りかかる。

 すると火花を散らして弾くようなことはなく、バターを斬るように無抵抗に、巨大カタツムリを両断してのけた。

 

「魔法使いなのに戦士職の真似事をするとは、流石は紅魔族の変異種です。しかし、杖で斬りかかるとかどんだけ常識外れなのですかとんぬらは」

 

「めぐみんに非常識とか言われたくないが、これが『理力の杖』の使い方だ」

 

 バッサバッサと『アダマンタイマイ』を斬り倒しながら、めぐみんに解説する。

 

「ひょいざぶろーさんに考案して、造ってもらったこの杖には、『賢王』の技術が取り入れられている」

 

「え、父の作品なんですか?」

 

「猫耳神社が管理する地下格納庫が解放されて、新たに設計図が発掘された『世界を滅ぼしかねない兵器・レールガン(仮)』。かつて『魔術師殺し』の暴走を止めたとされるその力の全てを再現することはできなかったが、その魔力を攻撃力に変える仕組みをひょいざぶろーさんが解明した」

 

 紅魔の里から帰還してから店と里を頻繁に行き来していたとんぬらが、父のひょいざぶろーと協力して、『賢王』の遺産の再現に挑んでいたのは知っていたが、その長杖が成果のひとつなのだろう。

 

「魔法を使わずとも戦えるよう、『魔力を攻撃力に変換する』魔道具、それが『理力の杖』だ」

 

 そこまで説明して、父の作品とあって興味深そう見つめていためぐみんにとんぬらは『理力の杖』を渡す。

 

「めぐみんもやってみるか? というか、これは元々、ひょいざぶろーさんがめぐみんのために造った杖なんだが」

 

「え、そうなんですか?」

 

「ああ、爆裂魔法しか攻撃手段のない娘のために、魔法以外の戦える武器として造ったんだよ。これは腕力ではなく、魔力が攻撃力になるから、戦士職よりも魔法使い職でなければ扱えない代物だ。非力でも当てる事さえできればそれで十分」

 

「わりと高レベル冒険者になってきている私は一般人と喧嘩をすれば勝てるくらいに力が強いんですよ」

 

「とにかくやってみろ。まだ試作の段階だけど十分に戦えるはずだから」

 

 そこまで勧められては、めぐみんも『理力の杖』を手にする。愛用の杖と同じくらいの長さなので扱いには慣れた感じで、魔力の操作も感覚で分かる。

 それに、モンスターもとんぬらによって凍結で動けなくされており、懐かしい学校時代の『養殖』の授業を思い出した。

 

「我が必殺の爆裂剣を食らうと良い! カラミティウォール!」

 

 とんぬらと同じように、そしてより大きく杖先より出してみせた光の刃でもって、『アダマンタイマイ』を大上段からの振り下ろしで一刀両断にしてみせるめぐみん。

 

「ふっ、見ましたかとんぬら。あなたよりも倍以上に大きくライトセイバーを出してみせましたよ」

 

「無駄に魔力を込めているからだろ。制御が荒いから、そうなっている。もっと必要最小限に魔力消費ができないと、魔法使いとしては恥ずかしいぞ」

 

「そんなチマチマとせこい真似をする方が魔法使いらしくありません。もっと堂々とド派手に、そう爆裂魔法こそが至高なのです!

 ……とそういえば、さっきの奇跡魔法は何だったんです? 単なる黒い煙幕を出して、外れだったんですか?」

 

「あれは、外れじゃないし煙幕でもない、回復や耐性を反転させる冥界の霧だ。それを浴びると無敵な耐性であるほど弱点に変えてしまうから、打撃に滅法強い『ジャイアントトード』もワンパンKOできるし、この通り、斬撃に絶対的なはずの『アダマンタイマイ』でも豆腐のように斬れるようになる」

 

「なんか地味ですね。凄いには凄いですけど、もっと私があっと驚くような効果はないんですか?」

 

「奇跡魔法にこうまでいちゃもんを付けてくれるのはめぐみんくらいしかいないな」

 

 父親の魔杖で動けぬモンスターを狩っていく。それを見る限り、とんぬらもテストしたが、試運転には問題なく、このまま爆裂娘に渡しても良さそうだ。

 

「おおい! 向こうからも『アダマンタイマイ』がやってきたぞー!」

 

「うむ。いい機会だ。我が奇跡魔法の更なる可能性を見せてやろうか、めぐみん!」

 

 まだシーズン前だというのに、結構発生してきている巨大カタツムリの第二陣に、とんぬらは再び鉄扇を突き付けて、虹色の魔力波動を解き放つ――!

 

 

「『パルプンテ』――ッ!」

 

 

 ……パルプンテ!

 「『パルプンテ』――ッ!!」

 …………パルプンテ!

 ………………パルプンテ!

 ……………………パルプンテ!

  「『パルプンテ』ェェェエエエ!!!」

 …………………………パルプンテ!

 

 幾度の失敗を積み重ねて達した山彦の悟りの境地。

 カエルの歌の輪唱のような重なった詠唱が辺りに木霊し、奇跡が成就する。させた。

 

「また強引ですねとんぬら……」

 

 もしも視線に圧力が存在していたなら、二方向から両頬をぐりぐりと押されていたかもしれない。

 めぐみん、それから遠くから見ているゆんゆんからも呆れたジト目をもらったが、芸人根性もあって農家(ギャラリー)の皆さんがいる前で失敗して白けた視線を頂く事はできないのだ。

 『銀のタロット』の占術補正があれば望む確率は上がるが、可能性を広げるには基本の詠唱型、ようは基礎が大事。

 普通にやった場合は、引きが悪い、山札から三枚引いてもすべてが外れになるほど残念だが、そこは魔力量でカバーする。初期から成長限界に達している凶運はとにかく、奇跡魔法を無詠唱で早詠みできるほど魔力制御が上がってきているし、上級魔法並みに消費する奇跡魔法を連発できるほどとんぬらの保有魔力量は成長してきているのだ。

 そう、奇跡とは最後まで諦めない人間にこそ掴めるもの。

 残響の合間にしぶとく無呼吸で連続高速詠唱したとんぬらは、やや息を切らしつつも、満足のいく新効果を引き抜いた。

 

 

 ――農地に集まってきた『アダマンタイマイ』が、全てカモネギに化けた。

 

 

 巨大カタツムリが、餌となるネギを常に背負い、カモのような愛らしいカモネギに。

 そう、害獣が、農家にも楽に倒せる、しかも、倒せておいしい素材もおいしい食べてももちろんおいしい三度おいしい希少モンスターになったのだ。

 目を丸くする農家たちから歓声が当たったとんぬらは、この満足のいく結果に頷きながら、めぐみんの方を見、

 

「どうだ、めぐみん。これが、変化魔法を熟達したからこそ起こせる奇跡魔法の強制完全変化で――」

「絶好のチャンス! これは絶対に逃せませんよ! 我が爆裂魔法を喰らうがいいっ! 『エクスプロージョン』ーッッッ!」

 

 魔法を完成させようとしていたが、何も起こらない。

 

「!? んなっ! 魔力が! 爆裂魔法発動に必要な魔力が足りません! これは一体どういうことですか!?」

 

「『理力の杖』は、攻撃に魔力を使うんだよ」

 

「はあっ!? そんな説明聞いていませんよ! 謀りましたねとんぬら!」

 

「ひょいざぶろーさんの作品にデメリットがない魔道具があるわけがないだろ。といっても、魔力消費は初級魔法分くらいで済むから、少し休めばすぐに魔力回復するし、結構マシなんだけど」

 

 というよりも、だ。

 

「めぐみん、今、爆裂魔法をぶっ放そうとしやがったな……」

 

「高経験値モンスターのカモネギが、大量にいたら爆裂魔法で一掃するしかないじゃないですか」

 

「この爆裂バカ! 一緒に畑の作物も一掃されるわ! 最近ちょっとはまともに更生してきたかと思ったらこれか?」

 

 この高経験値に目が眩んだ天災児に、とんぬらは頭を抱える。

 

「だ、大丈夫ですよ。ちゃんと畑に被害が出ないようにモンスターだけを倒してみせますから!」

 

「あんな大雑把な魔力制御を見ては全然信頼できん。しかも威力上昇して人類の災厄クラスの物と化した爆裂魔法だ。直撃しなくても爆風で薙ぎ払われる。そうなったら賠償しなくてはならなくなるんだぞ」

 

 しかも素材としても食材としても使えるカモネギを爆炎で骨身残さず消し飛ばすなんてもったいない。

 そして、何よりも、

 

「これで三度目の注意だが、今、農家の人達は大変で……言い方は悪いが、大金を得た冒険者たちは妬まれている。そこでせっかくの畑を台無しにされたら、冒険者の評判は最悪だ。ひとりのバカのせいで冒険者全体が批難されるだろう。これはお金で解決できるような問題じゃないぞ」

 

「ぅ……」

 

「兄ちゃんはあんたの爆裂道を応援してくれるみたいだが、かといって他人に迷惑になるようなことをしていいはずがない。もっと周りの事を考えろ。それが力を持つ高レベル冒険者の責務だろ?」

 

 とんぬらからぐうの音の出ないキツい説教を貰い、めぐみんは消沈したように俯く。

 王都で大魔導師と崇められ、仲間に悩みを解消されてからは自重をしなくなってきためぐみんだが、だからこそ、ゆんゆんやとんぬらが、調子に乗り過ぎないよう戒める。それが昔馴染みの役目であろう。

 

「わかりました……。とんぬらの言い分に一理あると認めましょう」

 

「何で上から目線なんだよ」

 

 昔からやけにこちらに対して反抗精神の強いめぐみんであるも、反省はしているのだろう。落ち込むめぐみんなどあまり見たくはないので、ひとつ咳払いをしてから、フォローを入れる。

 

「まあ、傍迷惑なネタ魔法扱いにされているが、時と場所によっては、爆裂魔法も需要はあるんだ。あそこのジャマな岩山を消し飛ばしてくれれば、農業開拓地は広がるし、被害復興の一助になるだろうな」

 

 実際、爆発系の魔法は、国の土木事業で活躍している。『テレポート』を習得した人材が流通を生業とする転送屋に求められるよう、炸裂魔法や爆発魔法を習得した人材は国家公務員に求められ国が主導で行っている土地開発に役立っている。

 ならば、最上位の爆裂魔法を覚えているめぐみんならばより大きな働きができるだろう。

 

「……ふん、とんぬらに誘導されるのは気に入りませんが、ここは我が爆裂魔法を困っている農家の為に役立てようではないか!」

 

「やる気になってくれたのは良いが……もっと、こう、俺に対して素直になれないのか?」

 

「それは、ぜっっったいに、無理です」

 

 自分限定に扱い難いこの昔馴染みにとんぬらは嘆息を禁じ得なかった。

 

 

 そうして、巨大カタツムリが化けたカモネギを狩っていったとんぬら達は、農家の人達に馳走を振る舞い、冒険者のイメージアップに貢献。

 次の日からも紅魔族流のダイナミック農耕作業や紅魔族随一の天才によるエクスプロージョン農地開拓など復興支援を続けていき……それが、マネージャーの要求に応えた働きであったのか、予定よりも早くにゆんゆんのお腹は元に戻った。

 

 ただ、想像妊娠体験を経て、婚約者な相方は前のめりになるくらい前向きになった。

 

「ねぇ、とんぬら、子供の名前はどんなのがいいかな? 私、ちゃんとしたのを考えてあげたいの」

 

「いや、それは気が早いんじゃないか、ゆんゆん。まあ、考えるのは自由なんだが」

 

「じゃあ、女の子が私で、男の子ならあなたが……あ、一姫二太郎がいいんだよね?」

 

「うん、そう話を聞くことはあるが、そんなの気にしてもどうしようもないだろ」

 

「一人っ子で寂しくないように、それに後継ぎが二人必要だし、紅魔族随一の子沢山を名乗れるくらい頑張るね!」

 

「わかったわかった。ちょっと先急ぎなゆんゆんは、母になる大変さを勉強してくると良い。ゆいゆいさんとか、結構苦労性な人からのリアルな話を聞いて、冷静になってくるんだ」

 

 結果、ゆんゆんの睡眠魔法『スリープ』がメキメキと上達するようになりました。

 一癖も二癖もある紅魔族女子の操縦のし難さを、よくよく思い知ることになった王都帰りの日々であった。

 そして――

 

 

 ♢♢♢

 

 

「冒険者とんぬらさん。賞金が高額なので支払いが遅れましたが……。こちら、大物賞金首『魔王軍幹部シルビア』の討伐報酬、三億エリスとなります! とんぬらさんが今までに討伐した魔王軍幹部は、これで三人目ですよ!? とんぬらさんは、この『アクセル』冒険者ギルドのエースです! ……さあ、これをどうぞ!」

 

「「「「「おおおおおおお!」」」」」

 

 歓声の上がる冒険者ギルド。

 冒険者ギルドのカウンターで、満面の笑みを向けるギルド職員のお姉さんから大金の詰まった重い袋をとんぬらは受け取る。

 

「駆け出しの奴らを何度もピンチを救ってきただけでなく、魔王軍幹部を何人も倒してきてるんだから、名実共にこの『アクセル』のエースよね」

「だな。俺は一目見たときからこいつは大物になるってわかってたぜ。まだ年若いが、これが英雄の器だな」

「これもこの俺が冒険者の心得ってもんを教えてやったからだな。てなわけで、この恩師に授業料を!」

「お前は、突っかかって返り討ちにされただけだろ」

 

 ギルド内のそこかしこから、冒険者たちの噂が飛び交い、

 

「よっ、とんぬら。おめでとさん」

 

「兄ちゃんか。それにめぐみんにダクネスさん、アクア様は……まだ『アルカンレティア』から帰られていないようだな」

 

「調子に乗らない事ですよとんぬら。威力上昇した我が爆裂魔法でも、シルビアを一発で仕留めることはできたんですからね。そして、『アクセル』随一の魔法の使い手はこの私です」

 

「とんぬら、一冒険者としてその活躍は称賛するが、一貴族の娘としても、『アクセル』の街と人を守ってきてくれて感謝に堪えない。この最近も農家たちの復興にも手を貸してくれて、父も大層感謝していたぞ」

 

「兄ちゃんらも、この前、『魔王軍幹部ハンス』の討伐で絶賛されたではないか。特に兄ちゃんは、最弱職の『冒険者』ながら魔王軍の幹部と渡り合ってきたのだからな」

 

「おいおい煽てんなよ。『アクセル』のエース様に褒められたらムズ痒くなってくんだろ」

 

 親しいカズマパーティからの賛辞を受けたとんぬらは、集まってきている冒険者たちに笑みを向ける。

 そして……

 

「だから、今日は俺の奢りだ。皆、好きに飲み食いするといい!」

 

 その宣言に、ギルドの皆が歓声を上げた。

 

「うおおおお、とんぬらかっけえええええ!」

「キャーッ! ぬら様素敵、結婚して! そして、お姉ちゃんを養って!!」

「いよっ、太っ腹! ついでに俺の借金も頼むぜ!」

「アクセル一の伊達男!」

「さすが、運以外は完璧超人のとんぬら!」

 

 一部、冒険者ではないプリーストやら調子に乗るチンピラやら若干認めたくない言葉が行き交うが、宴は無礼講。

 人前に出るのは恥ずかしいゆんゆんは、魔道具店でバイトをしているが、ここは呼びに行こうととんぬらが酒場のマスターに金を預けて、ギルドから出たとき――とんぬらは、捕まった。

 

 

「王国に仇なす逆賊とんぬら! 貴様を直ちに逮捕する!」

 

 

 は? と何が何だかわからず、唖然としてしまうとんぬら。

 道中、ばったりと会った騎士隊を従えた黒髪の女、王国検察官のセナに指を突き付けられ、反応が固まったとんぬらを、問答無用で騎士たちが抑えつんと迫る。

 遅れたとんぬらは、飛びずさるも、騎士たちの中にひとり、飛び抜けた動きをする者がいた。一気にとんぬらの手前1mほどに接近。仮面の眼前に、剣の切っ先が突きつけられる。

 

「動くな」

 

 ひとりだけ異なる意匠の鎧姿、声からして爽やかそうな青年だ。兜の隙間から見えるその顔も美形に整っていて、目はこちらの動きに油断なく注視している。そして、とんぬらはこの人物を知っていた。

 アレクセイ・バーネス・バルター。文武両道を地で行く、剣才のある最年少叙勲騎士で、領主の血の繋がらない息子。

 とんぬらとしては、剣の腕などよりも、その評判の方が厄介だ。領主のアルダープを相手にならとにかく、聖人君子と評判のバルターを相手に暴れても状況を悪化させるだけ。未だ把握できていないのに敵を増やすような真似は百害あって一利なしだ。

 

「おい、これは一体何が……!?」

 

「領主様の決定だ。王都に多大な被害と混乱をもたらした怪物を直ちに粛清せよとのことだ」

 

 セナが答えてくれたが、まったく、わからん。

 ひとつ言えるのは、これは濡れ衣を被せられているという事。

 そんなのは御免被りたいところだったが、バルターの刃から放たれる剣気は、とんぬらにも容易に捌けそうにないほど濃密だ。迂闊に動けば、腕か足の一本は切断されかねない。そんな怪我を負ってしまえば、ますます不利になる。

 だから、ひとつ。

 刃を見据えながら、言いたいことを言ってやる。

 

「あんたらの言うことは何のことだかサッパリわからんが――俺の潔白は、俺自身が一番よくわかっている」

 

 言霊に篭められた気迫に何かを感じたのか、バルターとセナらは一瞬目を大きくした。赤ではなく青く光る凄まじい眼力。バルターが剣を突き付けている状態ながらも怯み、警戒しながら、騎士たちはとんぬらに手錠をかける。

 この不幸に恵まれた少年の運勢は、右肩上がりの順風満帆などそうそうなく、大抵は天国から地獄に落とされる逆V字な波乱万丈である。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 王城の最奥にある謁見の間。

 そこに代理として王座に座す、神器の鞘と剣を携える第一王女の前に、名高い魔剣使いの勇者が怪我をおして告発する。

 

 

「王都を襲った怪物は…………とんぬら、でした」

 

 

 王都の顔役であるミツルギキョウヤの証言は信憑性が高い。疑いを挟む余地なく謁見を傍聴していた貴族たちは首を縦に振り、王女の両脇に侍るクレアとレインも『裏切られた』と表情を険しくしながらも、あっさりと鵜呑みにした。

 

「ミツルギ殿ですら倒し切れない怪物……!」

「再び王都に攻め入られたら……!」

「まさか正体が宮廷道化師とは、化けの皮が剥がれたか……!」

「第一王女の信頼を得ながら、何たる……!」

 

 ――えっ。

 王座の少女は表に出さないように努めるも、内心は不可解で埋め尽くされる。

 魔剣使いの勇者の証言だけれど、あの彼がそのような真似をするとは到底思えない(何度も勝負をしたのに『怪物になれる』という手札を隠されていたのは悔しくもあるも)。だけど、皆、こうもあっさりと手のひらを反す。クレアとレインまで……

 

 そして、何か、いつもよりも澱んで見えるこの場の空気。

 

「……、」

 

 迂闊な発言は、できない。警戒し、アイリスは開きかけた口を閉ざす。

 ――そこで、騒めく謁見の前に、大声で主張するのは貴族らの中にいた一人。

 

 

「まったく、宮廷道化師は、とんでもないことを仕出かしてくれた! これは、許してはおけん!」

 

 

 大柄で太った中年男が、謁見の間、ミツルギのいる中央へ。『アクセル』を含む領地を任された領主にして、今回の襲撃事件でまたも屋敷を失ってしまったアレクセイ・バーネス・アルダープは、声を荒げて、

 

「ここはワシにお任せくだされ! 王族の手を煩わせることもありませぬ。王都に破壊をもたらした怪物は、この儂が必ずや誅伐してみせましょう!」

 

 領主であれど、格は低い貴族が断りなく。

 だがそれを誰も咎めることはなく、王女の代弁者も任される大貴族シンフォニア家令嬢クレアは、

 

「おお、これは心強い。アイリス様、ここはアルダープ殿に任せてみてはいかがでしょう?」

 

 クレア……!?

 彼女の口から飛び出したとは思えぬ提案。清廉潔白なクレアが、あの嫌疑塗れの男を推す? 見れば、宮廷魔導士のレインも同意するよう頷いている。

 これは、おかしい……!

 

 この王座を代理している以上、迂闊な発言はできない。

 “怪物の正体を見た多くの証言者”の声を無視することはできず、被害を出した下手人を罰さずに放置するような真似は民に不安をもたらす。

 しかし――

 

「わかりました……」

 

「では、ワシに――!」

 

「ですが、死刑はなりません」

 

「何ですと……?」

 

 アイリスにはこの場の邪な気配は感じれど、流れを無視することはできない。

 

「彼には、これまで王国に貢献し、魔王軍幹部を討伐した功績があります。罪を償うためのチャンスを与えなさい」

 

「王女様、相手は怪物。慈悲などみせてはなりませぬ! あなた様の心を痛めるだけでございます。宮廷道化師とやらも王女様に近づくための狡猾な策でありましょう!」

 

 アルダープの訴えに、再び場はどよめく。

 

 なんて恐ろしい……

 これは早く討伐すべき……

 アイリス様の為にも……

 

 もういっそ不自然なくらいにアルダープの意のままに周囲は扇動される。

 

 ――ダンッ!

 

 アイリスの持つ鞘に収まった剣が、床を突いた。それはまるで、揺るがぬ頑固な有様を示すようで、地に足をつける全ての者に命令するかの如く鋭い響き。この場にいた人間は皆、謁見の間全体が揺れたようにさえ感じられただろう。

 ここにあるのは、客人と戯れ、喜怒哀楽豊かな純粋な女の子ではない。

 

「死刑は、なりません」

 

 二度目のお言葉に、誰も反抗はせず、アルダープも驚き、歯軋りする。

 だが、力づくでやろうにも納得がいかないと場の空気が不満に渦巻いている。流石にこれを解消せねば力を振りかざすだけの暴君であろう。

 

「勇者の末裔として名を馳せた、ベルゼルグ一族は、諸国を脅かす最も強大なモンスターを討ち果たすことで、信頼を勝ち得てきました」

 

 国王たる父親より語り聞かされた王族の成り立ちを唱えながら、

 

 

「ならば、アレクセイ・バーネス・アルダープよ。彼に、あなたが治める領地において最も強大なモンスターを討伐させる試練を科しなさい」

 

 

 それでその潔白を見定める――

 

「いいですね?」

 

「は、ははあああ……っ!」

 

 アイリスの言葉に、アルダープは平伏する。

 謁見の間の空気も、それで納得したようだ。

 

(勝ち逃げは許しません。……ですから、私以外に負けてはなりません。お願いします)

 

 王の顔の裏側にある少女は、ひっそりと祈る。

 

 

 参考ネタ解説。

 

 

 アヴェルコヴェルリヴァース:ドラクエⅦの漫画版に出てくる謎の最終呪文。目撃したものは光が闇に、闇が光に、まるで世界が反転したようだと語る。力を欲する国王に究極魔法マナスティスをもたらした魔導師が、この呪文を使い、神様と魔王の決戦をうやむやにし、ひとつの大陸以外を沈めたという。

 名前の由来は『あべこべ』+『リバース』

 作中では、真実を捻じ曲げる呪いに。

 

 理力の杖:ドラクエに出てくる魔力を杖に込めることで打撃力に変換する武器で、魔法使いにとっては物理的に最強クラス。

 呪文を封じられた大魔導師が使っていた杖で、魔力を込めて攻撃する際に光の刃が展開される。一度に攻撃する際に消費するMPは、メラ一発分。

 小説版では、魔法の威力を増幅するという設定がある。

 ちなみに更にこれを魔改造したのが大魔王の武器。

 誰が使っても同じ性能にしかならないように掛けられているリミッターが外れて、上限がなくなっているため、持ち主の魔力を吸い上げる量に比例して攻撃力を上げていく。大魔王の絶大な魔力が注ぎ込まれた光の刃はオリハルコンでも容易く折ってしまう。

 作中では初級魔法分の魔力消費はするが魔法使いでも肉弾戦ができるようになる杖(上級魔法『ライト・オブ・セイバー』を覚える紅魔族には割と不要)。ひょいざぶろーが造ってきた魔道具の中でも比較的に良作。上級魔法を覚える気がなく、爆裂魔法一本気な娘のために造った。

 『賢王』の遺産である『レールガン(仮名)』(服屋ではなく猫耳神社に預けられていて、現在は旅をしている神主夫妻が所持している)の仕組みを解明し、魔力を圧縮させて武器にするという仕様。ややリミッターの具合が緩い。

 

 パルプンテ新効果。

 冥界の霧:4ターンの間、敵味方に展開される、回復技や自動HPMP回復をダメージに変換して、蘇生技による復活も無効にする不気味な霧。回復効果反転だけでなく、ダメージ系耐性の吸収を弱点に変える効果もある。

 これにより回復呪文が、メタル系の呪文耐性さえ無視して、また攻撃魔法でないため反射を通過して、相手モンスターを一発で倒せるようになる極悪な魔法に。

 

 敵が全てカモネギに→敵が全てメタルスライムに。希少な高経験値モンスターに強制変身。


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