ラブライダーゴースト サンシャイン   作:島下 遊姫

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結城玲は婚約者である黒澤ダイヤとの登校途中に眼魔に襲われ、その命を終えてしまった。
しかし、英雄の眼魂を15個集めて生き返る為に仙人によって仮面ライダーゴーストととして、再び蘇った。
そして、もうダイヤを悲しませない為に玲はどんな手を使っても生き返ろうと決意したのだった。

残された時間は後 95日


ズバっと参上!ズバっと両断!カイガン!ムサシ魂!

春の優しい暖かさ。暖かさを例えるなら、布団のように包み込むような暖かさ。その心地よい暖かさに欠伸をしながら、玲は道を歩いていた。

 

「全く、眼魂を探すったってどこにあるんだが。」

 

ゴーストになって5日立ち、玲は眼魂探しに早速行き詰まっていた。それもそのはず。眼魂のある場所など全くわからないのだ。

地図も灯も持たずに真っ暗な迷路を自力で抜け出せと言っているようなもの。

 

「あぁ、ちゃっちゃと見つけて生き返りてぇ。」

 

既に眼魂探しが面倒になり始めている玲は気怠そうに愚痴を吐く。願いが何でも叶うとは言え、こんなに面倒くさいのは少々気が引ける。

 

「あわわわ!そこどいてぇ!」

 

すると、後ろから悲鳴が聞こえてくる。振り返ると、みかん色の髪の少女が自転車を飛ばしながら、一直線に玲に突っ込んでいるのだ。

 

「……止まれないのか?」

 

直撃すれば、病院送りが間違いない勢いにもかかわらず、玲は異様なほど冷静に状況確認する。

 

「そうなの!だから!」

 

「わかった。……取り敢えず、そのまま俺に突っ込め。」

 

「えっ!?それだと、あなたは!」

 

「いいから!速くしろ!」

 

「もう十分速いから!」

 

突然、予想だにしないことを言われ、さらにパニックになるみかん色の少女。そして、本気で退く気のない玲を目の当たりにし、終いにはどうにでもなれと、全てを投げ出し、直撃寸前で目を瞑る。

 

「あ、あれ?」

 

ギュッと瞑った目を開くと千歌は宙に浮いていた。もしかして、そのままぶつかって、勢い余って宙へと放り出されたかと思ったが、その割にずっと同じ体勢だ。それに、何かにぶつかった衝撃を微塵も感じなかった。

 

「も、もしかして、私、ゆ、幽霊になっちゃった!?」

 

「いや、寧ろ俺がなんだけどな。」

 

後ろから玲の声が聞こえ、みかん色の少女は振り向く。すると、やっと今の状態を飲み込むことができた。

今、みかん色の少女は玲に襟を掴まれているのだ。まるで母猫が子猫を咥えるように。

 

「ど、どうして!?」

 

しかし、みかん色の少女は再びパニックに苛まれる。ぶつかった衝撃もなく、また玲も怪我一つしていない。一体、どうやって、みかん色の少女を助けたのか。それに前に視線を移すと、乗り手がいなくなった自転車はフレームが折れ曲がり、横に倒れていた。

自転車はどうやって、向こう側へ行ったのか。謎が深まるばかりである。

 

「まぁ……説明すると長くなる。」

 

これは厄介なことになったと、玲は面倒くさそうに頭をクシャクシャと掻く。

 

♢♢♢

その後、玲は千歌にお礼したいと千歌の家である、旅館十千万に半ば無理矢理連れて行き、千歌の部屋でお菓子やお茶を出して持て成した。

 

「さっきは助けてくれてありがとう!えっと……。」

 

「結城玲だ。」

 

「結城君だね。私は……。」

 

「高海千歌だろ。この辺りじゃお転婆娘で有名だぜ。」

 

この狭い内浦で知らない人に名前を知られるのはよくあることだ。特に内浦では有名な旅館の娘ならなおさらだ。

 

「いや〜それほどでも。」

 

「褒めてはないんだがな。」

 

目の前に出された饅頭を口に頬張りながら、互いに改めて自己紹介をする。

 

「それで、どうやって私を助けたの?」

 

「それはだな。」

 

そして、いよいよ本題に入る。玲が言うにはこうだ。まず、自転車がぶつかる寸前に、玲は幽体化し、この世の物質全てを通り抜けられるように体を変化させ、そして腕だけは実体化させたまま、千歌を掴む。

すると、前に進むベクトルを持つ自転車はそのまま進み、千歌は玲に掴まれたままということだ。

 

「う〜ん……よくわかんない。そもそも通り抜けるって、ありえないよ!そんな幽霊しかできないよ!」

 

「まぁ、俺は幽霊なんだけどな。」

 

「……えっ!!」

 

千歌の言ってることは至極当然。しかし、玲の言ってることもまた事実。あまりの不可思議なことに千歌は理解することができず、思わず玲の体をペタペタと触る。

 

「でも、触れるよ。」

 

幽霊なら触れることはできないというよくある思い込んでいる千歌は玲が冗談を言っていると思った。

一方、からっきし話を信じない千歌を脅かすために玲はニヤリと笑い、まるで風のように消えた。

 

「き、消えた!?」

 

突然、消えた玲を目の当たりにし、千歌は慌てふためく。まるで子供のような純粋な反応に

 

「出てきた!?どうして!?」

 

「だから、俺は幽霊だって言ってるだろ?」

 

いい加減、何回も同じことを言い続け、短気な玲は苛立ちが募り始める。

 

「そんなんだ……でも、どうして幽霊になっちゃったの?」

 

ようやく、玲を幽霊と認識した千歌は幽霊になった経緯が気になった。

 

「あぁ、眼魔っていう化け物に殺されてな。そして、眼魂っていうやつを15個集めると生き返ることができるらしい?」

 

「アイコン?」

 

「これだな。」

 

アイコンと聞いて千歌の頭にはスマホのアプリの画像を思い浮かべるがそうではない。玲はポケットから実物を見せる。

 

「ちょっと……可愛いかも。」

 

「は?どこかだよ。まぁ、いい。高海はこれと似たような物見たことないか?」

 

目玉を模したこんな不気味な物体を可愛いなどという神経が男の玲には全く理解不能であった。

 

「う〜ん……ないかな。」

 

「だよな……ん?」

 

期待するだけ無駄だったかと諦め、深くため息を吐くとふと、ある写真が目に入り、おもむろに写真を手に取って、じっくりと見る。

 

「この写真……。」

 

9人の少女が煌びやかな衣装を見に纏い、輝く笑顔を浮かべている写真。その中心には千歌も同じように写っていて。さらに、隅の方には玲にとって馴染みのある顔触れが2人いた。

 

「私達、実はスクールアイドルやってるんだ。」

 

「スクールアイドル……。ってことは!?」

 

私達。この達には千歌だけではなく、この写真の少女達も含んでいる。それならと玲は目を見開いて、思わず口開け、驚いてしまう。

 

「ダイヤとルビィがスクールアイドルなのか!?」

 

「2人を知ってるの?」

 

「知ってるも何もって、幼馴染だし。それに……。」

 

「そうなんだ!なんか意外だね。」

 

「ルビィならわかるが……あのダイヤが!?」

 

思い返せば、ルビィと買い物に行く際、決まって、本屋に立ち寄り可愛らしい少女が表紙の雑誌を買っていた。その雑誌には大抵、スクールアイドル特集と見出しがあった。元から興味はあったのだろう。それに、可愛らしいルビィのアイドル姿は容易に想像できる。

しかし、ダイヤだ。あの堅物なダイヤがスクールアイドルというのが玲には想像できない。

 

「そうだよ。特にダイヤさんなんかノリノリだよ。」

 

さらに、ノリノリで歌って踊る姿も全く想像できず、想像しようとしただけで笑いそうになる。

 

「というか、何でスクールアイドルなんか?」

 

「それはね!」

 

待ってましたと言わんばかりに千歌はおもむろに語り始める。

千歌達の通う浦の星女学院は、今年で募集を停止し、後2年をもって廃校となる。

大多数の生徒が悲しむ中、1人だけ千歌はあることをしようと奮起する。それはスクールアイドルをすること。このままただ廃校になるのを待つのではなく、最後にスクールアイドルとして輝きたいと言うのだ。

話は割と悲しいはずなのに、千歌はやけに楽しそうに話す。

 

「全く、楽しそうに話すな。」

 

机に頬杖をつきながら、玲は興味津々に耳を傾ける。

 

「確かに廃校になるのは悲しいけど……ずっと憧れていたスクールアイドルになれたんだもん。それに大好きなんだもん!」

 

すると、千歌は立ち上がり、踊るようにクルクルと回り、そして、壁に掛けてあった9人の少女達が写るポスターを見る。

 

「この人達はねμ’sって言うんだけど、すごいんだよ!廃校の寸前の学校を救ったんだよ!」

 

その9人の女神を見る目はまるで満天の星空を見るようにキラキラと輝いていいた。

 

「まぁ、浦の星はどうやっても廃校は免れないんだけどね。でもね、私はこのままじゃ終わりたくない。最後の最後まで……輝きたい!μ’sのように!」

 

そして、真っ直ぐで曇りのない覚悟に満ち溢れた言葉が玲の渇いた魂に突き刺さる。

 

「……そうかい。いい話じゃないか。」

 

頬杖を辞め、玲は達観した瞳で千歌のキラキラと輝いた瞳を見つめる。

 

「人って見た目じゃ判断できないな。こんな子供っぽい奴でも鋼のような意思を持ってるなんてさ。」

 

「それって褒めてるの?」

 

子供扱いされたのが癇に障ったらしく、先程まで笑顔だった千歌はふくれっ面になる。そのダイスの目ように変わる千歌の表情も見ていて飽きない。

 

「あぁ、褒めてるさ。むしろ、俺は高海のことはえらく気に入ったさ。何だかんだで、高海といると楽しいし。」

 

「も、もうからからかわないでよ!」

 

千歌は顔赤らめる。しかし、玲はからかってるつもりはなく、むしろ本心をそのまま言っている。

 

「そうだ!良かったら今度ライブするからさ、見に来きてよ!」

 

「あぁ、勿論。高海のおかげでスクールアイドルってのに興味が湧いたし。それにダイヤとルビィも気になるしな。」

 

すると、玲がスクールアイドルに興味を持ったのが余程嬉しいのか、千歌は表情はさらに明るくする。

 

「それじゃあ、もっとスクールアイドルについて教えてあげる!」

 

「あぁ、頼む。」

 

「っと、その前にお菓子とお茶持ってくる!」

 

そして、千歌はバタバタと走って部屋を後にした。1人取り残された玲は千歌がいないことを他所にポツリと呟いた。

 

「高海千歌か……あいつといるとなんか……楽しいな。」

 

ダイヤとルビィと一緒にいる時とはまた違う楽しさ。まるで、知らないところに冒険に出るようなそんなワクワク感。

千歌と一緒にいればこんな楽しさが感じられるのか。玲はあの時千歌を助けて良かったと心の底から思ったのだった。

♢♢♢

快晴の次の日。千歌は曇りのないどころか寧ろ眩しいほどの明るい笑顔で学校へと続く坂道を登っていた。

 

「あれ?千歌ちゃん。今日は何だか機嫌がいいね。」

 

隣に並んで歩く、同じく元気が取り柄の渡辺曜はいつも以上に元気な千歌に不思議に思った。

 

「昨日、面白い友達が出来てね。すごく気が合うんだ。」

 

まるで子供のようにはしゃぐ千歌。昨日、千歌は昼から夕方になるまでの約5時間程、玲とスクールアイドルについて語り明かした。そんな長い時間話したにもかかわらず、玲は嫌な顔を1つせず、寧ろ真剣に話を聞き、

 

「あの少女、すげぇいい笑顔してやがるなぁ。」

 

仲睦まじく話す2人の少女の背後に不穏な悪が迫る。白い装束に右手が刀となった刀眼魔が幸せそうな千歌達を斬り殺そうと狙いを定めていた。

しかし、それを阻止せんとある男が現れる。

 

「待ちな!」

 

刀眼魔の背後から鬼の形相の玲がゆっくりと迫ってくる。

 

「何!?お前、俺が見えるのか!?」

 

「あぁ、見えるさ。はっきりと見えるとも。てめぇが今行おうとしてちる反吐がでるような悪行もよう!」

 

激しい怒りを露わに、刀眼魔に刀のような鋭い殺意を向ける。どんな理由であろうと千歌の巨大で眩しすぎるほどの夢を断ち斬ろうとする刀眼魔が許せなかった。

 

「てめぇごときに高海の輝きを曇らせてたまるかよ!」

「説教じみたこと吐きやがって!何者だ!」

 

下等な人間の癖に上位の存在である眼魔に楯突く玲に激しい怒りを露わにし、右手の刀を玲に向ける。

「俺は……ゴースト!」

 

玲はゴーストドライバーを出現させ、腰に巻く。そして、懐からオレ眼魂を取り出し、ドライバーのカバーを開け、中にセットし、カバーを閉じる。

 

《アーイ》

 

すると、グリントアイからパーカーゴーストが現れ、玲の周りを踊るように浮遊する。

 

《バッチリミナー バッチリミナー》

 

「仮面ライダーゴーストだ!変身!」

 

デトネイトトリガーを引き、そして押す。

 

《カイガン!オレ!》

 

玲はインビジブルスーツを纏い、トランジェント状態へとなる。そして、パーカーゴーストを羽織り、仮面ライダーゴーストへと変身する。

 

「貴様が!仮面ライダー!」

 

「さぁて、地獄に叩き落としてやる。」

 

ゴーストは拳を鳴らし、刀眼魔は刀を構えて戦闘態勢に入る。木も風も音を立てることをやめてしまう程の張り詰めた空気の中、まず動いたのは刀眼魔。

 

「キェェェェェ!」

 

異様な静けさを断ち斬るように刀眼魔は雄叫びをあげ、刀を振り上げながら、ゴーストに一気に迫る。一方のゴーストは微動だにせず、ただじっと刀眼魔の動きを観察していた。

 

「うぉら!」

 

そして、刀眼魔はゴーストに刀を振り下ろすが、ゴーストは観察していたおかげで悠々と避けることが出来る。しかし、それしか出来ず、徐々に押されていってしまう。

 

「ははは!流石に武器無しでは分が悪いと言ったところか!」

 

優位に立っていると思っている刀眼魔は余裕といった様子を見せ、ついには決めようと大きく刀を振り下ろす。そして、火花が散り、ゴーストは真っ二つになると刀眼魔は確信していた。しかし、起こったのは鉄と鉄がぶつかり合う音であった。

 

「へへ、これで対等ってかね。」

 

予想通りの展開にゴーストは思わず笑ってしまう。ゴーストの手にはゴーストドライバーから取り出した大きな両刃剣、ガンガンセイバーが握られており、刀眼魔と刀と鍔迫り合いをしている。

 

「ハッ!」

 

迫合いをしている刀眼魔の刀を受け流し、その隙に一太刀を浴びせようと小さく、そして素早く刀眼魔に斬りかかる。

 

「チッ!傷が浅い!」

 

しかし、刀眼魔もやわではない。戦いの中で培われてきた超人的な反応速度で回避し、致命傷を免れる。

 

「お前!この俺に切り傷負わせたな!」

 

だが、剣士として絶対的な実力を持っている過信していた刀眼魔のプライドには十分すぎる傷を与えていた。ましてや刀傷を負わせたのだ。

炎のように激しい怒りが吹き出し、刀眼魔はいよいよ本気を出す。

 

「ぬしゃぁぁぁぁぁ!」

 

絶叫と共に刀眼魔の目にも止まらぬ斬撃がゴーストに襲いかかる。その速さは飛んでいる燕を斬り裂けるのではと思うほど。これにはゴーストも全く手も足も出ず、ガンガンセイバーで受け止めることしかできない。

 

「こりゃぁ……まずい……。」

 

ゴーストは内心で酷く焦っていた。先ほどのように裏を書くような作戦もなく、正々堂々と戦わなくてはならなかった。

しかし、刀眼魔の剣術ははっきり言って極地の域に達している。考えも無しに正面からあの剣戟を掻い潜るのは至難の技であり、まして、剣術で渡り合おうなど、ただの人間が素手で猛獣に挑むことと同じくらい無謀である。

 

「ほぉら!どうした!さっきのような一手はないのか!」

 

「グハッ!」

 

ガンガンセイバーを弾かれ、ガラ空きとなったゴーストの肉体に刀眼魔に鋭い斬撃が通り、ゴーストは火花を散らし、膝をつく。

 

「なぁ、なんであの少女を守る?お前はあいつを助けて何の意味がある?」

 

刀眼魔はゴーストを見下し、首元に刃を向ける。そして、ゴーストの目的は関係ないにもかかわらず、千歌を助けようとする意味を問う。

 

「確かに、俺の目的とは全く関係ねぇなぁ。でもよ、それでも意味なんて十分すぎるくらいある!」

 

すると、ゴーストは問いを返すことなく、右手を意味深にゆっくりと動かす。すると、地面に落ちていたガンガンセイバーがゆっくり浮き上がり、一直線に刀眼魔に向かっていく。

 

「何!?」

 

予想だにしない不意打ちに刀眼魔は攻撃を防ぐことしかできない。その隙にゴーストは立ち上がり、右拳を強く握りしめ、刀眼魔の顔面に問いの答えと共に会心の一撃を浴びせる。

 

「高海の夢を守りたい!それだけだ!」

 

「ヌオッ!」

 

重い一撃を貰い、刀眼魔は遠くに吹っ飛ばされる。

 

「高海の夢ってのはさぁ、すげぇキラキラしてんだけどすげぇ哀しんだ。自分の大好きな場所がなくなる。だから、最後の思い出として……遺したい為に一花咲かせようとしてる!」

 

所詮気持ちを理解できない怪人である眼魔に言っても理解は出来ないとわかっていながらもゴーストはその熱い思いを言い放つ。

 

「だけど……所詮、自己満足さ。その夢の果てには何も残らない。残ったとしても誰かの心にだけだ。だけど、心に残ったって伝えていかなきゃ、いつかは消えちまう。」

 

「なら、守ったところで無駄ではないか!尚更守る必要などないはず!」

 

「だけどなぁ、夢ってのは結果とか果てとかそんなくだらねぇことはどうでもいいんだよ!夢っていうのは時々すごく切なくって、時々熱くなるんだよ!夢を語ってる高海は正にそれだった!」

 

ゴーストの感情が一気に高ぶり、刀眼魔に怒鳴り散らすようになる。

「その分、夢ってのは叶えられなくちゃ一生縛り続ける呪いになっちまう!だからなぁ、一度に夢に向かって突っ走っちまったら止まれないんだよ!てめぇはそれを止めようとした!その罪は万事に値する!」

 

「だったら、その罪を裁いてみろよ!」」

 

すると刀眼魔は一気にゴーストに迫り、弾丸のようの速度で刀を突き出す。

この攻撃をまともに受ければ、戦闘を続けることはかなり難しいだろうとゴーストは推測していた。かと言って、自分の力で避けることはできない。

殺された時の痛みが再び味わうのかと歯を食いしばる。その痛みを耐え、どうにかして、刀眼魔にカウンターを決めなければと構えたその時、刀眼魔の背後から赤いパーカーゴーストが刀眼魔に体当たりを浴びせ、よろけさせた。

 

「なんだ!」

 

突然のことにゴーストは驚きつつも、ホッと安堵する。すると、赤いパーカーゴースト、ムサシゴーストがゆらりとゴーストに近づき、ゴーストに話しかけてきた。

 

「我が名はムサシ。お主の強い思いに惹かれて参上した。」

 

「ムサシ!?あんたが偉人のか!?」

 

「左様。玲、お主の力になろう。」

 

ムサシはそう短めの話すと赤い眼魂に変わり、ゴーストの右手に乗る。

 

「そうか……なら、ムサシ!力、借りるぞ!」

 

そして、ゴーストはゴーストドライバーからオレゴースト眼魂を取り出し、代わりにムサシ眼魂をセットする。

 

《アーイ!》

 

すると、グリントアイからムサシゴーストが現れ、トランジェントとなったゴーストの周りを浮遊する。

 

《バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

「さぁ、行くぜ!」

 

気合いを入れ、デトネイトトリガーを引いて、押し、新たな力を纏う。

 

《カイガン!ムサシ!》

 

そして、ゴーストにムサシゴーストが被さる。

 

《決闘!ズバッと!超剣豪!》

 

赤いを基調とし、ちょんまげのようなフード、ニテンノフードを被り、頭部は2つ刀が重なったペルソナソードマスターと変わり、仮面ライダーゴーストムサシ魂へとゴーストチェンジする。

 

「さぁて、地獄に叩き堕としてやる!」

 

新たな力を纏ったゴーストはガンガンセイバーを二刀流モードに変化させ、刀眼魔に刃を向ける。

 

「ふん!俺と剣で勝負か!死にたがりが!」

 

剣術では圧倒的に刀眼魔の方が上。例え、偉人の力を手に入れたとしても、それは覆らないと確信していた刀眼魔はゴーストに刀を振るう。

しかし、この一瞬が勝負を決することになる。

刀眼魔の刀をゴーストは片方の刀で止め、その隙にもう1つの刀で刀眼魔を斬り裂く。

そして、刀眼魔が仰け反った隙に一気に二刀の乱撃をくらわせ、地面に倒れさせる。

 

「お前!?その腕前は!?」

 

「どうだ、これが俺の力だ!……って高々に宣言したいところだけど、違うな。」

 

先程とはまるで別人のような強さに刀眼魔は度肝を抜かれる。一方で、ゴーストは英雄の力に驚き、そしてその強さの理由を体で感じ取っていた。ゴーストチェンジとは英雄ゴーストが仮面ライダーゴーストに憑依することで、その偉人の力をそのまま使いこなせることが出来るようになるのだ。

 

「これは俺とムサシの力だ!」

 

《ダイカイガン!》

 

グリントアイの目の前にをエナジーアイクレストをかざし、ガンガンセイバーにエネルギーを送る。

 

《ガンガンミナー!ガンガンミナー!》

 

「ハァァァァァァァァ!」

 

二振りの刀を構え、ゴーストはトドメの一撃を決めようと一気に刀眼魔の懐に掻い潜る。

 

《オメガスラッシュ!》

 

「ディヤァァァ!!」

 

そして、ガンガントリガーを引き、ゴーストは二振りの刀を大きく振りかぶり、刀眼魔にX字に斬り裂く。

 

「グォォォォォォ!」

 

必殺の一撃を受け、刀眼魔は断末魔の叫びと共に爆発し、炎の中に消える。その爆炎を背景に、ゴーストは残心を取り、心を落ち着かせる。

 

《オヤスミー》

 

戦闘が終わり、ゴーストは変身を解き、玲へと戻る。そして、新たに手に入れたムサシ眼魂を手に取り、じっと見つめる。

 

「英雄の力……これほどとは。流石としか言えないな。」

 

英雄の力の大きさ。その力を実際に扱ってみて、その強力さ、そして

、眼魔の手に渡されてはいけないと実感したのだったり

 

「ムサシ。ありがとうな。そして、これからも一緒に戦ってくれ。」

 

ムサシ眼魂を見つめ、玲は感謝の言葉を述べ、これからも一緒に戦い続けようと強く願ったのだった。

 

♢♢♢

全ての授業が終わり、体育館にあるスクールアイドル部の部室では千歌と曜と梨子。そして、先に来ていた果南と鞠莉と善子の6人である会話をしていた。

 

「そんな面白い人なんだね。」

 

「うん!それでね……かっこよくてね……。」

 

「へぇ〜それで千歌はその男の人に惚れちゃったんだ。」

 

「ち、違うよ!」

 

「へぇ、高海が惚れた男ってのはどんな奴だ?」

 

「だから、惚れてな……って!玲君!?」

 

すると、当たり前のように話に混じっている玲に千歌達は跳び上がるほど驚く。それもその筈。先程まで居なかった人間が当たり前のようにいるうえに、女子校である浦の星に男子が当たり前のようにいるのだ。

 

「何でここに男子がいるの!」

 

「何でって入ってきたからな。」

 

梨子は玲の強面に怯えながらも聞くも、玲は何が問題なのかと全く気にしない様子であった。立派な犯罪なのだが。

 

「でも、普通なら校門で止められるはずだよ!」

 

確かに曜の言う通り。浦の星の校門には警備員がおり、関係者以外は学校に入ることはできないはず。

 

「あぁ、そうだな。普通ならな。」

 

そう、普通なら入ることは出来ない。しかし、玲は普通ではない。少し脅かしてやろうと、少し笑い笑みを浮かべ、そして、消えた。

 

「消えた!?」

 

「Oh!これはAmeiging!」

 

忽然と消えた玲に、千歌以外のメンバーは驚きを通り越し恐怖を抱く。普通は人間は消える訳がない。それならあれは本当に人間なのか。得体の知れない者を目の当たりに、動揺を隠せない。

そして、ある程度脅かせたことを確認した、玲は再び姿を現わす。

 

「まぁ、ご覧の通り俺は普通ではなくてね。」

 

「そうなんだよ!玲君は幽霊なんだよ!」

 

「ゆゆゆゆ幽霊!……ふん!この堕天使がゆ、幽霊なんかに臆するわけないわ!」

 

目の前の起きた現実、さらに千歌の説明により、玲が幽霊だと半ば信じざるを得ないメンバー。すると、本物の幽霊を目の当たりにし、怯える善子は堕天使モードに入って、気を紛らわそうとする。

すると、またも玲は腹黒い笑みを浮かべ、ゆっくりと善子の前まで行き、はっきりと言う。

 

「呪ってやろうか?」

 

「ひぃぃぃぃぃぃ!」

 

素直に怯える善子のリアクションに玲は腹を抱えて笑う。いくら、幽霊とは呪う力など玲にはない。つまりは冗談。しかし、玲のことを知らない善子にとって悪い冗談にもほどがある。

 

「れ、玲!?何故、貴方がここに!?」

 

「よぉ、ダイヤ。遊びに来た。」

 

ここで真打ちであるダイヤが現れる。

 

「遊びに来たって!貴方は自分の置かれている状況がわかっているのですか!?」

 

「まぁ、息抜きだな。」

 

バックを乱雑に投げ捨て、玲の傍に駆け寄る。眼魂を探さなければいけないにもかかわらず、こんな所で道草を食っている玲にはどんな神経をしているのかと説教する。しかし、玲はたった一言返すだけ。

 

「何で男の人がいるずら!?

 

「あっ!お義兄ちゃん!」

 

すると、最後にルビィと花丸が現れ、そしてルビィの一言が波乱を呼ぶ。

 

「おにいちゃん!?」

 

ルビィの玲に対する予想外の反応にダイヤ以外のAqoursメンバーは驚きを隠せない。

 

「ルビィ!人前でその呼び方はやめなさいとあれほど!」

 

「まぁまぁ、落ち着けって。ルビィだって悪気があってやってる訳じゃねぇんだ。許してやれ。」

 

「しかし……。」

 

「何だ?恥ずかしいのか?」

 

目の前でイチャつく2人に何とも言えない複雑な気分で曜はどういうことなのかと聞く。

 

「あ、あのルビィちゃん?ルビィちゃんは2人姉妹だよね?」

 

「その理由は俺が説明する。因みに俺は結城玲。ダイヤの婚約者だ。」

 

「えーっ!?」

 

玲の口からさらりとまた衝撃的な言葉が出て、先ほど驚いたメンバーは再び驚いてしまう。

 

「が、学生で……婚約!?」

 

「何驚いてんだ?婚約くらいはいいだろ?平安時代なんかはこの歳で結婚してても可笑しくないんだぞ。」

 

「そうだけども……。」

 

確かに可笑しくはないと思うがイマイチ梨子は納得できない。

 

「そういうわけで、ルビィは俺をお義兄ちゃんって呼んでいふわけだ。」

 

「リア充……爆発!」

 

善子は小声でそう呟く。本当のことを言うならリア充以上ではあるが。

 

「まぁ、そういう訳でこれからもダイヤが迷惑をかけると思うが、よろしく頼む。」

 

いたずらに笑みを浮かべ、玲は頭を下げる。そして、気が済んだようなのか、足早に部室を後にしようとすると、千歌が背後から声をかけてきた。

 

「ねぇ、玲君!……また、遊びに来てよ!」

 

本当は玲と一緒にAqoursで活動したかった。しかし、玲にはやらなければいけないことがあることは重々承知していた。

だからこそ、千歌はこの言葉を言ったのだ。もう一度、会えるように。また、眼魂集めに行き詰まった時に自分達の元に遊びに来て、楽しませたい。そう願っているのだ。

 

「ああ!」

 

千歌の些細な気遣いに玲は背中を見せたまま短く返事をし、部室を後にした。




次回 ラブライダーゴースト!
内浦は電気眼魔に操られていた善子の叔父、三田博士によって大規模な停電に陥ってしまう。玲は停電を止めようと奮闘するも、三田の発明品によって強化された電気眼魔に苦戦強いられる。
発明品を止められるのは三田のみ。そして、善子は三田を信じ、発明品止めようとするのだが……
果たして、善子の言葉は三田の心に届くのか!

次回
「ピラメキはいつも突然!カイガン!エジソン魂!」

腹にくくった一本槍は嘘に塗れた心を貫く。
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