ISの世界で3度目の人生を歩みます。   作:ヨーシチ

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いつの間にかお気に入り登録数が三桁に突入して、狂喜乱舞の作者でございます。
そしてすみません、遅くなってしまいました。
言い訳は後書きにて。
序に『チート』タグを追加させていただきました。


ファーストかんちゃん

 

 放課後、それは学生達の開放を意味する言葉であり、特に一刻も早く体が休みを欲しているような疲れた生徒が待ち望むものだ。

 例えばそう、教室中央の一番前という本人からしたら何のイジメだと言わんばかりの場所でうなだれている、世界で初めての男性IS操縦者である織斑一夏君とか。

 

 お疲れ様でございます。放課後に3人の美少女を侍らせて校内デート、もとい学園内を案内させようとしているモテナイ男の敵、川内紫月でございます。ですが安心してください。普段は皆さんの味方でございます。顔は整っている方だとは思うけど。

 冗談はともかくとして、約束通りのほほんさん、谷本さん、鏡さんの3人の乙女にこの学園の施設を色々と紹介してもらうとしよう。だが、その前に、

 

「のほほんさん、谷本さん、鏡さん。一夏の奴も誘っていいかな?」

「さすがに両手に花はきつかったー?」

「この娘っ子が!」

 

 流石に女三人に対して男一って言う状況が辛かったというわけではない。だが、ちょっとだけ腹がたったので、両の手で頭をわしゃわしゃと撫でておく。フハハハ、髪型が乱れるが良い!

 ところで、されるがままとなっているのほほんさんや、抵抗しなくても良いのかい?というかちょっと喜んでない?

 兎に角、のほほんさんを愛でるないし撫でるのは適当なところで切り上げる。そして、ぐったりとしていて動かず、客寄せパンダとなっている一夏の元へと向かう。

 

「いーちーかくーん、あっそびーましょー」

「し、紫月?」

 

 いきなりのハイテンションな声にびっくりしたのだろう。一夏が少しだけ引いているが、これくらいでへこたれるかわちーではありません。

 

「兎に角、おつかれさん。……結局、授業全然付いていけてなかっただろ?」

「まあな……専門用語が多過ぎてややこしいんだよ」

「気持ちはわからんでもない」

 

 授業中、時折一夏の様子を確認していたのだが、きっとついていけてないのだろうなと思っていた。

 そしたら案の定、授業が全然理解できなかったらしい事を知る。兎に角今は、愚痴でも吐いて楽になっちまえと思ったが、いつまでもお三方を放っておくわけにも行かない。特に谷本さん、鏡さんの2人は一夏と話をしたそうにしているし。

 

「ところで一夏くんや、これからのこちらの3人に学園内を案内してもらうことになってるんだけどさ、一緒にどうよ?」

 

 というわけで、この辺りで今回案内をしてくれる3人を紹介しようとする。だが、残念ながら素直に紹介は出来なかった。

 我らが副担任である山田先生の登場である。これだと山田先生が悪いって言い方だな。山田先生は悪くないよ、いい人だよ。

 

「ああ、織斑くん、川内くん。まだ教室に居たんですね。良かったです」

「どうかしましたか、山田先生」

「お二人とも、一週間は学外から登校してもらうことになっていたのは聞いていますよね?」

 

 山田先生の質問に、俺も一夏も頷く。

 本来ならば女子しか居ない学園だが、今年は俺と一夏と言う例外がいる。若い男女を同じ部屋に割り振るというのは問題があると、しかしそうなると直ぐには部屋を用意できないとなり、一夏は自宅から通学を、俺は近くのホテルから通学をとなっていたのだ。 

 

「ですが事情が変わってしまいまして、一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいんです」

「……学外からの通学は危険ということですか?」

 

 申し訳なさそうに言う山田先生に対して問いかける。正し、他の生徒に聞かせる話でもないと考え、山田先生に耳打ちするように。

 現在、男性でISを操縦することが出来るのは、俺と一夏の二人だけだ。言い換えれば、世界で二つしか無い貴重な資源だと言える。

 何処かの暗い研究機関や組織が、狙っていても何らおかしな話ではないのだ。

 それはそうとして山田先生、男の顔が近いのが慣れてないからと言って顔を赤くするのはやめてください。なんですか、その生娘みたいな反応は。ちょっと捗ってしまいますよ。

 

「ええ、そういうわけで、政府特命もあって、兎に角寮に入れることを最優先したみたいです。一ヶ月ほどで個室の用意も出来ますから、それまでは相部屋で我慢してください」

「わかりました……ということは、もう荷物は誰かが取りに行ってくれているということですか?」

「ああ、そうだ。私が手配しておいてやった。ありがたく思え」

 

 先程も言ったとおり、俺はもともとホテルから通学する予定だった。それだけ金を持っているとかではなく、単純に自宅からの通学が出来ないからだ。三重と東京を毎日往復なんて、出来るはずがありません。そう言えば昔、東京に住んでいた頃があると親が言っていた気もするが、此処では置いておくとしよう。

 そういった訳で、必要最小限の物や、手放せない物は全てホテルの方へ持ち込んでいたのである。俺の場合はそれを全て移動させればいいだけだから……。

 だが、一夏は?

 

「ありがとうございます」

「ど、どうもありがとうございます……」

「まあ、織斑の方は生活必需品だけだがな。着替えと、携帯電話の充電器があればいいだろう」

 

 俺、色々と持ち込んでおいて良かったよ。着替え、充電器、木刀、パソコンと、少々荷物になったけど。

 というか織斑先生、それは流石に大雑把すぎませんかね、とは思いつつも声に出して言うことはない。下手に藪をつついて蛇――いや、鬼を出す必要なんて無いのだから。

 ともかくとして、これで話は終わりということだろう。山田先生が残りの注意事項を伝えるのだが、なんと一夏が爆弾を落とそうとしてきやがったので、脇腹をつついて食い止める。

 

「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時。尞の一年生用食堂でお願いします。因みに各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年語に使える時間が違いますけど……えっと、織斑くんと川内くんは今のところ使えません」

「え、なん――った!」

「さっき言ったろ、考えて発言しろ」

「あ、あぁすまん」

 

 まあ、人間一度言われただけで実行できる事なんて少ないからね、これからゆっくり学んで行けばいいよ。

 おっちゃんみたいな過去の遺物は、今を生きる子らに道の歩き方を示してやることしか出来ないからね。今のうちにどんどん間違えなさいな。悪い方に進みそうになったら、その時は助けちゃるけん。

 じゃあなんで力関係を勘違いしている女子生徒に対しては正しい道を示さなかったのかって?既に言ったと思うけど、今のおっちゃんの言葉だけじゃ皆に知らしめる事が出来ないのよ。残念ながら。

 仮に正体を明かした所で信じてもらえずにおしまいだから、先ずはどれだけ面倒臭くても、オルコットに勝つなりなんなりして、力を示さなきゃいけないのよね。そうして初めて彼女たちに言葉が届くだろうから。

 

 ……さて、シリアス?はこの辺りにして、改めて話は終わりだ。

 

「え、えっと、それじゃあ私と織斑先生は会議があるので、これで。二人共、ちゃんと尞に帰るんですよ。道草くっちゃダメですよ?」

「オコトワリシマス」

「そんな!?」

「ちょっとこちらのお三方に施設の案内をお願いしていますので」

「あぁ、そういうことでしたか……」

 

 打てば響くと言うか、山田先生は実にいい反応をしてくれるので、少しからかってやるのが楽しいのだが……織斑先生の睨みが怖いのでこれ以上はやめておこう。

 そんなやり取りのあと、鍵を受け取った俺達は織斑先生と山田先生が教室から出ていくのを見送った。

 

「ねえねえかわちー、何号室だったー?」

「俺は……ほれ――」

 

 俺が何処の部屋に入るのか気になったらしい3人を代表して、のほほんさんが質問してくる。

 まだまだ人が多い教室で、あまり大きな声で言うのも問題があると思った俺は、渡された鍵のタグを見せた。

 

「本音と同じ部屋だ」

「そだねー」

 

 どうやら同室の方は、のほほんさんらしい。だが、のほほんさんは何か疑問に思うところがあるらしく、小さく首をかしげる。それと、ちゃっかり二人もタグを見ていたのは気にしてはいけない。

 流石に同年代の男と同じ部屋で過ごすというのは思うところがあるのだろう。幾ら彼女がのほほんとしているからと言って花の女子高生、つまりは年頃の乙女なのだから。

 

「でも私、かんちゃんと同室だからー……3人部屋?」

「そうなるといろいろと大変だろうけど……まあよろしくお願いするよ」

「うん、お願いされました―」

 

 そう言って、お互いに頭を下げる。親しき仲にも礼儀ありだ。こういった挨拶は大事なのである。

 それはそうと、のほほんさんは異性と同室であることには大して抵抗はないようだ。さっきの俺の心配は何だったのか。まあ良いや。

 一先ず同室の一人に挨拶を済ませた俺は、改めて一夏を誘うことにする。

 

「それで、一夏はどうする?一緒にどうよ」

「あぁ……俺はやめておくよ。先に同室の相手にも挨拶しておきたいし」

「その点俺はもう同室の相手がわかってるし、片方には挨拶も済ませたし、何ならこれからデートするから」

「「ねー」」

「仲いいなぁ、二人共。というか、俺はもう疲れたよ」

 

 わけの分からない授業に加え、不慣れな大人数(女子)からの視線に、本当に疲れてしまったのだろう。朝とは違って、一夏の声にあまり張りがない。

 それならばあまり拘束しておくのも悪いし、明日からも頑張ってもらわねばなるまいということで、一夏とは此処で別れることにした。

 

「じゃあのほほんさん、谷本さん、鏡さん。案内の程よろしくお願いします」

 

 それはそうとして谷本さん、鏡さん。二人が一夏と話す機会を作れなかった、不甲斐ない俺を許しておくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒトナナフタマル

 

 時刻は午後5時20分を指す現在、3人にISアリーナや整備室、トレーニングルームといった様々な施設を案内してもらった後、夕食まで後40分という中途半端な時間の間にのほほんさんと二人でIS開発室へと向かう。

 谷本さんと鏡さん?あぁ……2人はとてもいい人だったよ……。

 冗談はともかくとして、彼女たちには申し訳ないが、これから同室になる者へと会いに行くために別れてもらったのだ。今度一緒にご飯を食べる約束もしたし、特に問題はないはずだ。

 

「同室の子ってのほほんさんの幼馴染なんだ」

「そうだよー、かんちゃんって言うの」

 

 もう一人の同室の人物が居るという開発室へと向かう途中、のほほんさんから話を聞く。

 名前は更識簪と言い、日本の代表候補生なんだとか。しかし、代表候補生でありながらISを持っていないが為に、IS整備室に籠もっていると言う。

 それは何故か。自分でISを完成させようとしているから、らしい。

 

 それにしても更識か……何故かこの苗字に引っかかりを覚えるのだけれども。

 

「質問なんだけどさ、普通専用機って企業が製造するものなんじゃないの?」

「それがねー酷いんだよー」

 

 彼女が言うには、本来ならば更識の専用機を倉持技研が製造する予定だったというのだが、突如として男性操縦者が登場したことにより、そちらの――一夏の機体の開発にかかりきりとなってしまい結果的に更識の機体の開発が凍結したというのだ。

 嘗ては軍人として戦い死んでいった身ではあるが、これでも様々な艦の開発、改良に携わってきたという前世を持つ。正直に言うと前世では、軍人としてではなく技術者として生きればよかったのかもしれないと考えたときだってあった。

 ISを作り出すということは、新たな生命を生み出すことに他ならない。そんな風に考える俺から言わせてもらうとすると、

 

「巫山戯るなよ……」

「かわちー」

「……っと、ごめんよのほほんさん。俺が怒って良いことじゃなかったね」

 

 自分だけの専用機を楽しみにしていたであろう少女が居た。生まれてきた事を祝福され、主と共に宙を翔けるはずだったISが居た。

 それを勝手な都合で踏みにじり、無碍にしたことに対して怒っても良いのは、ISの生みの親である篠ノ之束と、主となるはずだった更識簪だけだ。

 何より、他でもない俺が怒るというのが問題だろう。なんせ、今の状況を作り出したのは、男の操縦者が現れたことに起因するのだから。

 例え操縦者自身が悪いのではないと頭ではわかっていても、心のほうが納得するとは限らないわけである。

 余談だが、現状俺に専用機が渡されるという話は聞いていない。

 

「さて、着いたみたいだね。かんちゃんとも仲良くなれるよう頑張らなきゃね」

 

 俺が勝手に怒っている間に、どうやらIS整備室に到着していたらしい。一つ深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

 一つ決意を新たにし、そして、のほほんさんとアイコンタクトを交わすと、

 

「「かーんーちゃーん、あっそびーましょー!」」

 

 二人で同時に勢い良く扉を開け放ち、大きな声を出しながらかんちゃんへと突撃する。これでかんちゃんがいなければ、俺とのほほんさんは少々恥ずかしい思いをするが、言ってしまえばそれだけだ。

 

「え、ちょ……な、何?本音と……かわうち君?」

「はいかんちゃんアウトー!」

「あうとー!」

「かんちゃんは俺の苗字を間違えました。てなわけで罰ゲーム!かんちゃんにはこれからも、俺とのほほんさんからかんちゃんと呼ばれ続けるのだー!」

「のだー!」

「序に俺のことはかわちーって呼んでねー」

 

 よく此処まで、アイコンタクトだけで成功したよね。

 本当に、のほほんさんは凄いよ。

 一応解説しておくと、第一声に関しては流石のほほんさんとしか言いようがないが、一夏に対しても同じような声のかけかたを、のほほんさん達の前でしているが、よくわかったものだ。そして次に、かんちゃんは一体どの人なのかについては、彼女が反応してくれたのでその人物の元へと馳せ参じれば良いだけだ。

 それと一つ言っておく。先程のアイコンタクト、俺は彼女の考えてることが全然理解できなかったし、深く何かを考えていたわけでもない。だからのほほんさんは凄いのだ。

 

「えっと、取り敢えず二人共落ち着こうよ」

「はい、わかりました」

「うん、わかったよ」

 

 かんちゃんの言葉のあと、先程のテンションが嘘だったかのように急に真顔を作って姿勢を正す。気分はまさしく、江田島の頃のものだ。

 踵を揃えて背筋をまっすぐ、流石に敬礼するわけにもいかないので両の手は体側に。威圧するわけではないので両手は後ろでは組みませんよ。

 

「え、えぇ……」

 

 急にこちらのテンションが落ちたせいか、かんちゃんはどう反応したら良いのかわからないらしく戸惑っている。実際には引いていると言い表したほうが正しいが。

 一応弁明しておくと、本来俺はこんな妙なハイテンションではない……筈だ。なんなら、昔は口数が少ない方だと言われてたくらいである。ただ、問題児扱いされることもあったけれども。よく船に忍び込んで、点検したり造りを調べたりだとかしてたんだよね。

 若い頃はそれでよく怒られたけど、次第に歓迎される様になったっけ。昔は俺も若かったということさね。

 

 閑話休題

 

 本来の目的はかんちゃんに挨拶に来たのだから、一先ず流れを変えて自己紹介へと移る。

 

「まあ俺が変態でも変人でもなんでも良いんだけども……改めまして、この度寮が同室になった川内紫月です。以後宜しくお願いしますね」

「……え?同室って……どういうこと?」

 

 しかし、俺と同室になったということは聞かされていなかったらしく、今度は本当に戸惑いを見せた。

 

「のほほんさんや、これが本来の反応だと思うよ?」

「んー?どーいうことー?」

 

 本気でわかっていない様子で首をかしげる彼女だが、如何せん相手が悪かった。一夏辺りならば騙せていたのだろうが……当時の海軍上層部(一部)のお腹がどれだけ黒かったと思ってんのさ?

 

「狐さんめ」

「きつねさんってかわいいよねー」

 

 戸惑っているかんちゃんを余所に、俺とのほほんさんは他者からすればわけのわからない言葉を交わす。

 のほほんとした女の子かと思っていたが、やっぱり彼女も人間ということだろう。のほほんとした様子は彼女の本当の姿かも知れないが、周りには見せていない顔を持っているのは間違いない。

 それがどういったものかはわからないし、あまり踏み込んでいくつもりもないからなんだっていいのだけれども。

 

「それで、かんちゃんは名前教えてくれないの?」

 

 いつまでも彼女を放っておくわけにもいかないと、のほほんさんとの会話を区切って再び彼女に向く。

 

「……更識簪。簪でいい」

「じゃあやっぱりかんちゃんだね」

「……簪」

 

 どうやら俺からかんちゃんと呼ばれるのが嫌なようで、名前の方で呼ばせようとする。が、そこで違和感を覚えた。

 初対面の相手に苗字じゃなくて名前を呼ばせるということは、苗字に対して何か思うところがあるということの筈、確かに更識という苗字は少し珍しい気がするが……。

 繰り返しになるけどこの更識という苗字、どこかで聞いたような気がするんだよ。川内紫月としてではなく、前世の田沼業正として。

 しかし聞き覚えはあっても、更識という人物と関わった覚えは一切ない。それに心当たりは……あった。

 ああ、そうだ。思い出した。更識って言うと、所謂暗部に所属する家系のことだ。なるほど、だから彼女は苗字で呼ばれるのを嫌う……という感じにも見えないか。この辺りはおいおい聞ければいいかな。のほほんさんの普段見せていない顔とも多少なりとも関係ありそうだけど。

 

 それにしても更識と来たか……本当に驚いたよ。一部の将官にしか知られていない存在だったんだけど、俺もひょんなことから知ってしまったんだよね。

 幾らむしゃくしゃしたからといって、弱みを握るためにトラッシングなんてするもんじゃないよ。これ、おじさんとの約束ね。

 何か他にもいらんことまで思い出してしまいそうなので、この辺りで区切っておくとしよう。

 

「仕方ない、罰ゲームも撤回ということでいいか。改めて宜しく頼むよ、簪」

「こちらこそ」

 

 こちらが手を差し出せば、それを握って握手に応える簪。

 男性IS操縦者に対して煮え切らない想いを抱いているかと思っていたが、どうやら冷静に話せるらしい。これは俺としてもありがたい限りだ。

 

「ほんじゃあまあ、これからのほほんさんとも一緒に、三人で食事でもどうよ?プチ懇親会ってな感じで」

「……いい、私は此処ですることがあるから」

 

 話すことはともかく、まだ馴れ合うつもりが無いのか、それともそれだけ追い詰められてしまっているのか。理由はわからないが、暗にISの開発の続きをしたいからと断られてしまった。

 本当なら一緒に食事をしてもっと打ち解けたい所ではあるのだが、無理に誘って嫌われてしまっては元も子もない。

 

「そっかぁ、残念。また今度一緒にご飯でも食べよう」

「うん、ありがと……」

 

 そう言って、俺とのほほんさんは簪と別れ、食堂へと向かう……のだが、その前に。

 

「余計なお世話かもしれないけど、一つだけ」

「なに?」

「ISは兵器として扱われている機械だけど、俺たち人間が生み出す子だ。そして、共に空を翔け、戦う友でもある。決して唯の道具ではない。その事を忘れないで欲しい」

 

 本当に要らぬ世話というか、お節介というか、蛇足になっているけれど、彼女がISの開発に携わるというのであれば言わずにはいられない。

 これから仲良くなりたいから、今嫌われるわけにはいかないとか言ってたのは何処のどいつだってツッコミはなしね。

 と言うか、凄く偉そうなこと言う阿呆って思われたらどうしよう?しかしこれは俺の性分というか、技術元帥なんて揶揄される事もあった身としてはね、やっぱりちょっとしたプライドというかなんというか、そういうのも持っているのよ。

 かんちゃんならば大丈夫だとは思うけど、それでもやっぱり言わないと後悔するだろうからね。

 




最近ラズベリーパイを買ったは良いものの、どの様にして遊ぼうか持て余し気味の作者です。

……ちゃうねん、ただ遊んでたわけや無いねん。
最近ちょっと社会人始めてん。

おふざけはともかく、今年の春から社会人のペーペーとなりました。
なのでこれからも遅くなってしまいますが、何卒本作を宜しくお願い致します。




補足説明
トラッシング……ようはゴミあさり。個人情報やパスワードなんかが書かれた書類等は、ちゃんとシュレッダーにかける等、適切な処理をしましょう。くしゃっと丸めて捨てるだけだと、誰かに拾われて読まれてしまいます。うっかり大事な情報が流出しては、誰も彼もが困りますからね。寧ろ、困るだけで済めば良いんですけど。

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