煉獄の義姉弟   作:悪維持

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その9 隷汽VS異世界のライダー

鬼崎side

 

 

僕は夏煉と一緒に幽霊列車で異世界へと渡った。目的は夏煉が眼魂達と一緒に向こうの娘、御堂 玲奈とその眼魂達と戦ってみたいと願ったからだ。少しだけでも義兄らしく、義妹の願いを聞き入れたかったのかも知れない……でも、僕もそれぐらいは考慮しているつもりだ。僕等にとっては些細な事でも、異世界の連中にとっては大事件みたいな事だからだ。

 

 

 

「さて……夏煉もお目当ての娘と会えたみたいだし、後はあの娘の好きにやらせてあげますか……」

 

 

 

夏煉は思いっきり戦いを楽しんでいるんだろうな……そう思いながら、僕はこの町の喫茶店『翠屋』のシュークリーム (夏煉と義姉さんの分も確保済み) を頬張りながら考えていると、二人の男が必死に何処かへ向かっているのに視線を向けた。二人が向かっている先には夏煉が戦っている公園が見えた。

 

 

 

まさかと思うけど……他人の勝負の邪魔をするつもりなら僕は容赦はしない主義だ。

 

 

 

それに、この先には夏煉も居る…………

 

 

 

僕はゆっくりと先回りをし、公園の門前で二人の前へと立ち塞がった。

 

 

 

「オイ、邪魔だ!!」

 

 

 

やっぱり勝負の邪魔をする気か………!僕は彼等の行く手を妨害すると男の一人が怒りの形相で睨んだ。

 

 

 

「何のつもりだ……!」

 

 

「悪いけど、君達を行かせる訳にはいかない」

 

 

「なに……?」

 

 

 

僕は上着からもしもの時の為に持ってきた【隷汽ベルト】を取り出して腰に巻きつけた。すると、男の一人がベルトに視線を向けると驚愕の表情を浮かべた。

 

 

 

「電王ベルト!?」

 

 

「知ってるのか?」

 

 

「一応な…………」

 

 

 

これではっきりした、この男はスカーレット様が言ってた転生者……御堂 タケルに間違いない。もう一人は兵藤 一誠……否、今は龍見 一誠だったね?

 

おそらくはこの先に居る妹を助けに行くんだろうけど……

 

 

 

「君達に僕の義妹の邪魔はさせないよ」

 

 

「妹のためってか?気持ちは分からなくもねぇが、だからといって………」

 

 

 

御堂 タケルはゴーストドライバーを顕現させて青紫に睨む目をした眼魂を握り締め、龍見 一誠は龍の絵柄が入ったカードデッキを前へ突きだし、銀色のベルトを顕現させた。

 

 

 

「俺の妹とその友達を巻き込む理由になんねぇんだよ!!!!」

 

 

 

そして、眼魂をドライバーへと装填する。

 

 

 

《Dive to Deep!アーイ!!ジロットミナー!!ジロットミナー!!》

 

 

 

猛々しい音声と共にバックルからの青紫の生地に肩には赤紫に銀で縁取られた炎の様に見えるプロテクターを装備し、顎には禍ヶしい角があるパーカーが現れ、空中を勢いよく漂いながら龍見 一誠と共にポーズを取った後に……

 

 

 

「「変身!!」」

 

 

 

同時に掛け声を放つと御堂 タケルはレバーを引き、龍見 一誠はデッキをベルトへとはめる。

 

 

 

《ゲン!カイガン!!ディープゴースト!!キルゴー!覚悟!!ゲ・キ・メ・ツ!ゴースト!!》

 

 

 

御堂 タケルは暗めの銀色のボディスーツで、パーカーを羽織るとオレンジの龍を模した顔が描かれ、禍ヶしい一本の角が生えたライダーとなり、龍見 一誠は身体全体が黒と金で彩られ複眼が水色の龍を模した鎧のライダーになった。

 

 

 

《SWORD VENT》

 

 

 

御堂 タケルはパーカーと同じく禍ヶしいサングラスの剣を構え、龍見 一誠は神器を呼び出して構えた。

 

どうこうしても僕を倒して公園で戦っている妹を助けたいんだろうね…………

 

 

だけど、僕も彼と同じく一人の義兄だ。義妹の……夏煉の為にもこの先へは行かせられない。

 

 

 

「やれやれ……スカーレット様からは殺すなと言われているけど、これのテスト相手にはちょうど良いね?」

 

 

 

僕は【隷汽ベルト】の一番目のボタンを押すと、そこから流れるおどろおどろしいメロディーの中で右手にライダーパスを見せるように持つと、横へと伸ばし手首を返し…………

 

 

 

「変、身…………」

 

 

 

パスをベルトに翳した。

 

 

 

『PHANTOM FROM』

 

 

 

その音声と共に僕の身体はローブが下半身を覆った素体《プラットフォーム》へと包まれ……青黒い炎が次々とディープブルーのオーラアーマーに、左腕は連結器や海賊の鉤爪を模した籠手【隷汽ガントレット】が装着され、白いマフラーが首に巻かれる。そして頭蓋骨のようなものが眼前まで走り、形状を整え隷仮面となった。

 

 

 

「仮面ライダー隷汽……鬼崎 陽太郎、渾沌の夢に沈もう……」

 

 

 

僕はそう名乗り終え、死鎌を手に取った。

 

 

 

「上等だ!仮面ライダーゴースト、御堂 タケル!!テメェに魂の底力ってもんを見せてやる!!!」

 

 

「仮面ライダー光龍、龍見 一誠!ここからは俺達のライブだ!!!」

 

 

 

御堂 タケル……ゴーストと龍見 一誠……光龍は名乗り返すと、一気に僕へと突っ込んで来た。

 

僕はゆっくりと歩み寄り、攻撃をしてきた二人の間を()()()()()

 

 

 

「何!?」

 

 

「攻撃がすり抜けられた!?」

 

 

「この程度か……所詮は人間だね?」

 

 

 

僕は死鎌の柄を地面へとつけると同時に……

 

 

 

ースパッ!

 

 

「ガハッ!?」

 

 

「なっ!?イッ……(ーザシュ!) グワッ!?」

 

 

 

二人のスーツに火花が飛び散り、崩れる様に地面へと倒れこんだ。

 

 

 

「はぁ……僕に魂の底力とライブを見せてくれるんじゃなかったのかな?もう少し頑張ってくれないとテストにならないんだけどね……」

 

 

「な、なめん……じゃねぇぞ……!こっちは可愛い妹と友達助けにいくんだよ……テメェと遊んでいるほど暇じゃねぇ!!!」

 

 

「僕だって大切な義妹の為にやってるんだ……このまま大人しくしてくれればこれ以上の攻撃はしないよ?」

 

 

「そう言うわけにはいかねぇんだよ!!」

 

 

「そっちが鎌で来るなら…………こっちも鎌だ!!」

 

 

 

ゴーストはそう言うと水色の眼魂をドライバーへ装填し、光龍はデッキから一枚のカードを取り出してバイザーに入れた。

 

 

 

《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

 

《カイガン!ツタンカーメン!!ピラミッドは三角!王家の資格!!》

 

 

 

するとバックルから水色のパーカーが現れ、ゴーストはそれを羽織ると2つの鎌が向かいあった絵が描かれ、ハンドとコブラのゴーストガジェットを合体させ鎌へと変形させる。

 

 

 

《IGALIMA》

 

 

「Zeios Igarima raizen tron」

 

 

 

光龍がカードを入れたのと同時に歌い出すと持っていた剣から翠の鎌へと変形し、肩の装甲は緑のプロテクターに変化し首もとから緑のマントを靡かせ、頭には魔女帽子の様な兜を装着した。

 

 

 

「なるほどね。それなら……もう、手加減はしないよ!【冥十字斬】!!」

 

 

「それはこっちのセリフだ!!」

 

 

『Remote!』

 

 

 

 

ー推奨BGM【獄鎌 イガリマ (一誠ver) 】ー

 

 

 

 

僕は死鎌から巨大な十字斬撃を飛ばすと光龍は神器で斬撃を霧散させ、鎌から三枚の刃を飛ばした。

 

 

 

《切・呪りeッTぉ》

 

 

 

三刃は勢いよく迫るが、僕は死鎌ですべて捌く。するとゴーストが接近し間合いに入るとハンドを袈裟凪ぎに振るう。

 

 

 

「オラァッ!!」

 

 

「フッ!」

 

 

 

僕は死鎌でそれを防ぎ、脇腹へ蹴りを食らわせた後に後ろへと回り背中に斬撃を浴びせた。

 

 

 

「ガッ!?」

 

 

「タケル!」

 

 

「余所見をすると、伐り刻むよ?」

 

 

「なっ!?グアッ!!」

 

 

 

僕は光龍の背後へと移動し、死鎌を袈裟凪ぎに切りつける。そして僕は死鎌をゴースト、光龍と交互に斬撃のラッシュを浴びせ続ける。さすがに連続は続かず、一旦攻撃を止めて死鎌を肩に担いだ。

 

 

 

「ほら、もう少し本気を見せてよ」

 

 

「ならコイツでどうだ!!」

 

 

《ダイカイガン!ガンガンミロー!!ガンガンミロー!!》

 

 

「なら……こっちも」

 

 

『FULL CHARGE』

 

 

 

ゴーストはハンドをアイコンタクトさせ、ハンドの刃にオーラを纏わせる。僕もパスをベルトに翳し、エネルギーを死鎌の刃に蓄積させ、オーラを纏わせた後…………

 

 

 

「食らえ!」

 

 

《オメガファング!!》

 

 

「【冥府への誘い(ファング・オブ・インバイト)】!!」

 

 

 

両方からピラミッドのエネルギー態を飛ばし、激突する。しばらく押し合いが続くが、僕が放ったピラミッドが徐々に押していくと向こうのピラミッドを吸収して勢いよくゴーストへ直撃し爆発した。

 

 

 

「グアッ!?……ガハッ…………!」

 

 

 

ゴーストは二、三回と地面へ転がると、鎌を棒代わりに使いながらヨロヨロと立ち上がった。

 

 

 

「タケル!大丈夫か!?」

 

 

「平気だ……気を付けろイッセー、コイツ強いぞ……!」

 

 

「あぁ、だったらコイツで決める!」

 

 

 

光龍はゴーストの元へと、駆け寄ると黄色いゲームソフトの様なモノを取り出しボタンを押した。

 

 

 

《ドレミファビート!》

 

 

 

その音声の後にゲーム画面が空中に現れ、そこから黄色いDJ型のロボットが現れた。光龍はベルトの端に何かのソケットを着け…………

 

 

 

「三重奏!」

 

 

《レベルアップ!ソウチャック!!ド・ド・ドレミファ!ソ・ラ・シ・ド!!OK!ドレミファビート!!》

 

 

 

ゲームソフトの様なモノをソケットへと装填した。すると、出てきたロボットが大きく口を開けながら光龍に噛みつき変型していくと右手にはDJが使うターンテーブルが、左肩には2基のスピーカーが装備され、仮面はピンクのゴーグルにサンバイザーが付いた姿となる。

 

光龍は右腕に装着されたターンテーブルをスクラッチすると、左肩のスピーカーから音楽が流れ始めた。

 

 

 

 

ー推奨BGM【ONE STEP】(カラオケver)ー

 

 

 

 

「ここからがライブの本番だ!」

 

 

「あっそ、その前に終わらせてあげるよ!!」

 

 

 

光龍がノリノリだろうが僕は興味は無い。流れている歌を無視して一気に終わらせようと死鎌を光龍に切りつけるけど、それを避けてメロディーのリズムに合わせながらパンチやキックを二、三回僕に浴びせる。

 

 

 

「ぐっ……!」

 

 

「まだ終わらないぜ?」

 

 

 

メロディーに合わせながら顎、胸、肩、腹部等に次々と光龍の攻撃が命中し歌の終盤にさしかかると強力なパンチを胸、最期に飛び蹴りを浴びせた。それを食らった僕は勢いよく吹き飛ばされ、壁へと激突した。

 

 

 

《PERFECT!》

 

 

「ガッ……!?」

 

 

「これで止めだ!来い、メイル!!」

 

 

《FINAL VENT》

 

 

 

光龍はデッキから一枚のカードをバイザーへ入れると、腰を低くした光龍の身体から光輝く金色の龍が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………あの龍は!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー回想ーー

 

 

 

 

 

あれはまだ、僕と義姉さんが幼い頃…………スカーレット様の家でお世話になっていた時の出来事だった。幼い頃の僕は色々な本が大好きで、いつも読書に夢中だった。特に英雄や武器、神器……そしてドラゴンの図鑑を朝昼晩と読みあさっていた。

 

そんな時、金のドラゴンの名前がどうしてもわからず……仕事中のスカーレット様にお聞きした。

 

 

 

『スカーレット様』

 

 

『あれ?どしたの陽君、ドラゴンの図鑑を持って』

 

 

『あの……このドラゴンの名前が読めないんです……教えてもらえます?』

 

 

『良いよ♪どれどれ……あぁ、このドラゴンね?ほら、教えてあげるからおいで』

 

 

『はい』

 

 

『読むね?この龍の名前は自由龍(フリーダムドラゴン) メイル。昔は世界中を旅していた龍でね?理由はしがらみを感じない自由な場所で思いっきり飛び回りたい無害な龍なんだ……でもね?聖書の神様に神器《解放龍の剣(リモート・エッジ)》に封印されちゃったの、龍は危害を与えるからと言う理由でね……』

 

 

『……ちょっと可哀想なドラゴンですね………』

 

 

『でもね?その子はこう思ったんだ『私に自由がないのなら、せめて宿主になる人には自由になって欲しい』そう聞いているんだ……』

 

 

『自由……ですか?』

 

 

『そう、自由に幸せになって欲しい。そう願ったんだろうね?それに、私からは何者にも縛られず……薫ちゃんや陽君には自由に人生を楽しんで欲しいの……これが私とこの龍の気持ちだよ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー回想終了ーー

 

 

 

 

 

 

 

まさか、あの自由龍と会えるなんてね……運命とは恐ろしいモノだ…………

 

 

 

「綺麗だね…………」

 

 

《キメワザ!》

《DOREMIFA!CRITICAL STRIKE!!》

 

 

 

僕は龍を見てそう呟くと光龍はソケットのボタンを押して、自由龍と共に上空へと舞い上がると足元に音符のオーラを纏わせて自由龍が吐く炎と共に僕に目掛けて急降下キックを繰り出した。

 

 

 

「てやぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 

 

僕に光龍のキックが当たる直前…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私を……貴方の家族…妹にしてください!』

 

 

 

 

 

『陽太郎……じゃあ "陽太義兄さん" って呼んでもいい?』

 

 

 

 

 

『ねぇ、陽太義兄さん……私、仮面ライダーになりたい!』

 

 

 

 

 

『なりたい……私は、自分の答えに悔いが残らない生きざまを二人に見せたい!!』

 

 

 

 

 

『なれた…陽太義兄さん!私、仮面ライダーになれたよ!!』

 

 

 

 

 

『陽太義兄さんに……私の大切な義兄さんに謝れ!!』

 

 

 

 

 

『陽太義兄さん……こんな事を言うのが遅くなっちゃったけど…………私を家族に迎えてくれて……ありがとう』

 

 

 

 

 

『私…異世界に行きたいの……そこに、陽太義兄さんが作った眼魂を持つ仮面ライダーが居るって聞いたから……』

 

 

 

 

 

『それじゃあ…………いってきます!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏煉…………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は叫び声と共に体内にある紫の魔力オーラを一気に解放し光龍とゴースト、そして自由龍を吹き飛ばした。

 

 

 

「ウォワァッ!?」

 

 

「ダアッ!?」

 

 

 

吹き飛ばされたゴースト達は、地面へと倒れるもすぐに起き上がった。

 

 

 

すると……空間の変化を感知し、公園の方角へと振り向いた。

 

 

 

「あれは!」

 

 

「どうやら終わったみたいだね」

 

 

 

僕はベルトを外して、変身を解除した。

 

 

 

「なんのマネだ……?」

 

 

「僕が君達と争う理由が無くなったんだよ。おいで、彼女達の元に案内するよ」

 

 

 

そう言うと、僕は二人に背を向けて公園へと足を運んだ。二人もしぶしぶ変身を解除して後についてくるのを確認すると……そこには倒れている夏煉ともう一人の少女、そしてアタフタしている少女が居た。

 

 

 

「玲奈!」

 

 

「あ、お兄さん!」

 

 

 

御堂 タケルは僕を追い抜いて、倒れている少女の元へと向かい、そして抱き上げた。

 

 

そして、僕も倒れている夏煉の元へと足を運ぶ。

 

 

 

『夏煉!しっかりしろ、夏煉!!』

 

 

『起きて!お願いだから目を開けて!!』

 

 

『夏煉、死んじゃダメゲソ!!』

 

 

『頼む、返事をしてくれ!!』

 

 

『お願いっス!夏煉!!』

 

 

『夏煉……』

 

 

『………娘』

 

 

『ブー……』

 

 

 

眼魂達も必死に呼び掛けに、夏煉はうっすらと目を開けた。

 

 

 

「陽太……義兄……さん…………」

 

 

「まったく……あれほど無茶はダメだと言っただろう?」

 

 

「ゴメン……なさい…………」

 

 

「謝るなら、君を心配してくれた眼魂達に言うんだ……」

 

 

「あっ……みんな、ゴメン……私…………負けちゃった…………」

 

 

 

夏煉は涙を流しながら、眼魂達に謝った。

 

 

 

『気にするな……敗北は私達の不甲斐なさにも問題がある……それよりもお前が……夏煉が無事ならそれで良いんだ…………』

 

 

「焔……」

 

 

『バカ……夏煉のバカバカ!!私達がどれだけ心配したと思ってるのよ!!……本当に死んじゃったら洒落にならないじゃない……!』

 

 

「澪ちゃん……」

 

 

『ヒグッ……!でも本当によかったでゲソ……もし、夏煉がいなくなってしまったら……あの時の約束が果たせなくなってしまうのではなイカと思ってしまったでゲソ……!』

 

 

「イカちゃん……」

 

 

『バカ野郎……心配させやがって…………でも、本当に……本当によかった…………!』

 

 

「ノーヴェ……」

 

 

『グスッ……良かったっス!夏煉が起きてくれて、ほんっとうに良かったっス!!!』

 

 

「ウェンディ……」

 

 

『それほど、みんなは夏煉の事を大切な仲間だと思っているんだよ……』

 

 

「ディエチさん……」

 

 

『そうじゃ、そなたが死んでしもうたら……妾達以外の者達にどう説明したらよいのかどうか困るしの?』

 

 

「羽衣狐さん……」

 

 

『ブッ!ブッ!ブーーブッ!!』

 

 

「サイ君……」

 

 

「…………夏煉、よくわかっただろう?どれほどみんなは君の事を心配していたか…………」

 

 

「…グスッ……ごめんなさい……!!」

 

 

 

夏煉は僕に抱きつき、必死に泣きながら謝った。僕はゆっくりと彼女の背中を優しく叩きながら落ち着かせる。

 

 

 

「さて、そっちの目的についても……話してもらえるか?」

 

 

 

すると、龍見 一誠に声をかけられたので僕は立ち上がると、夏煉も涙を拭うとすぐに立ち上がった。

 

今なら彼等に眼魂の事を教えても問題は無いだろうからね?

 

 

 

「実は……その娘の眼魂を作ったのは僕なんだ」

 

 

「「「「え?えぇ~!?」」」」

 

 

 

その場に居た四人は驚きの声をあげた。まぁ、そんな事実を話せばねぇ…………本当の事だろうけども。

 

 

 

「でもそれを誰かに盗まれてしまってね……その時に何らかの理由で、15個の内の3個が彼女を選びその力を与えたんだろうね。そして僕の義妹が持っているのは、その眼魂達とは真逆の存在なんだ。それを眼魂達が教えたら戦ってみたいと言ってね…………こうしてやって来たと言う訳さ」

 

 

「あの……ごめんなさい。何だか色々とご迷惑を掛けちゃったみたいで…………」

 

 

「いや、ちゃんと謝ってくれんならそれでいいさ」

 

 

「私の時と全然対応が違う…………」

 

 

「向こうを叱るのは向こうの役目だ。俺が口出しすることじゃない」

 

 

「今回はこちらの配慮も足りなかったね。それについては謝罪するよ…………すまない」

 

 

「本当にごめんなさい……」

 

 

 

そう言うと僕と夏煉は四人に向けて頭を下げる。

 

 

 

「もういいよ。次からはこっちにも連絡とか入れてくれれば…………」

 

 

「わかった。それじゃ僕達はそろそろ帰るけど、何かやり残しはあるかい?」

 

 

「あ、ちょっと待って」

 

 

 

今まで夏煉と戦っていた少女……御堂 玲奈が立ち上がると、夏煉の元へとやって来た。

 

 

 

「なに…?」

 

 

「リベンジなら何時でも受けてあげる。その時も私が勝つけどね?」

 

 

「む………次は私が勝つんだから!」

 

 

「い~や!私よ!!」

 

 

「ううん!私だよ!!」

 

 

「いい加減にしろ、お前は……」

 

 

 

再戦の誓いをするも……何故か口喧嘩に発展し、御堂 タケルが彼女の頭を鷲掴みにして夏煉と引き離した。

 

 

 

「アハハ、それじゃこれで失礼するよ。それと玲奈ちゃん……だったね?」

 

 

「はい」

 

 

「これからも彼女達をよろしく頼むよ?それと、あまり調子に乗らないこと……これが僕からの忠告だ」

 

 

「き、肝に命じておきます…………」

 

 

 

僕は玲奈ちゃんにそう言うと、幽霊列車を呼び出して僕達の背後へと停車させる。

 

 

 

「「なんかキタァァァァァァッ!?」」

 

 

「不気味だな……」

 

 

「幽霊列車………あんなもんまで持ってたのか……」

 

 

 

僕は最後に龍見 一誠に視線を向けると、夏煉と共に列車へと乗り込んだ。そして列車が発車すると同時に夏煉は窓を開け、御堂達へと手を振った。そして時空の歪みへと飛び込むと窓を閉めて、席に腰をかけた。

 

 

 

「焔、お願いがあるの……焔以外の人って後8人居るんだよね?」

 

 

『あぁ、私達と残りの人数を会わせて全部で15人だ』

 

 

「帰ったらその人達に会わせてもらえるかな?あの娘への再戦を果たす為にも、みんなの力が必要になるから…」

 

 

『わかった』

 

 

「リベンジは良いけど……はい」

 

 

 

僕は夏煉へ、先程買っておいた翠屋のシュークリームを手渡した。

 

 

 

「え?これは……」

 

 

「そのシュークリームは頑張ったご褒美。それと、無茶をした罰として明日から3日間、特訓は禁止だ……良いね?」

 

 

「はい……」

 

 

「まぁ、強くなりたいと言う気持ちはわからなくも無いよ?でもね、たまには休む事も大切だからね……」

 

 

 

僕は少しだけ笑みを浮かべ、夏煉の頭を撫でると運転席へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、我が家へ戻るとするか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

キャスト

 

 

鬼崎 陽太郎:潘めぐみ

 

 

鬼町 夏煉:原田ひとみ

 

 

 

焔:喜多村英梨

羽衣狐:能登麻美子

イカ娘:金元寿子

筑紫 澪:釘宮理恵

ノーヴェ:斎藤千和

ディエチ:升望

ウェンディ:井上麻里奈

 

 

 

 

龍見 一誠:梶裕貴

御堂 タケル:前野智昭

御堂 玲奈:三森すずこ

小鳥遊 夕夏:新田恵海

 

 

 

 

 

 

 

ヴラド・スカーレット:阿澄佳奈

 

 

 

 

 

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