それではスタート!!
鬼崎side
さて、異世界から
「それで、何か言い訳はある?」
「そ、それは……その…………アハハ……」
今、僕は何処ぞへと遊びに行ってた義姉さんを正座させて問い詰めている。夏煉は先に部屋へ行かせてあるから此処には居ない……居るとすれば僕と義姉さん、そして柱の影や列車の中に避難してガタガタと震えているコマンド達ぐらいだろう。
「じ、実は銀さんの様子を見に飛ばした世界へ行っててさ。まぁ、担当だから仕事はしないと………って、思いまして」
「へぇ……肉体労働がイヤだとか言ってたのに……どういう風の吹き回しだとか思ってたけどなるほどね。それなら納得はできるよ?でも、前もって言って欲しかったんだけど……」
「ゴメンゴメン。それでさ、夏煉は……って、あの様子だと大丈夫みたいかな?」
「なんでそこで夏煉の話に……『ク、クロ!クロクロ!!』何事だい?」
夏煉の事に話題を変えようとする義姉さんに呆れていると、クローズの一体が慌てた様子で何かの資料を持ってきた。
『ブラッ』
「戦魔王様からだと?」
戦魔王様……本名荒神 零夜様。此処【煉獄の園】と酷似した世界【神獄界】を統治する神で、僕等二人やスカーレット様とも面識のある御方だ。
僕は手渡された資料を読んでいくにつれ目を丸くし、冷や汗をかいた。
そこには全異世界をも巻き込む"厄災"が発生すると書かれており、"転生派"と呼ばれる屑転生者達で構成された族が動き出す事。戦魔王様率いる神獄界全域の戦力全ては干渉する悪神や邪神を滅ぼす為に手が回らない事。
そして……
『ジッパ!!』
「今度はなんだ!!」
『ゾ、ゾーヒョー!?』
「あぁ、すまない……ついね。それで?」
思わず叫んでしまったが……資料に書いていたこれには少しね………!!義姉さんやコマンド達も怯えてるけど、それは後回しだ。僕はやって来たヒトカラゲの報告を聞くと誰かから通信が入ったようだ。僕は駆け足で電話があるリビングへと向かうとその通信先に応答した。
「お待たせいたしました。『煉獄の園』を治める一人、鬼崎 陽太郎です」
『電話越しですが、初めまして。『神獄神』兼『戦魔王』荒神 零夜の長男の荒神 史輝です。貴方が、父さんが話していた……』
「そうですよ。初めまして、荒神 史輝殿。史輝と呼んでも?」
『あぁ、構わないよ。それで君達に屑龍帝と無能姫達に対してお仕置きを頼みたいけど、良いかな?』
そう、戦魔王にもらった最後の資料こそが僕が一番腹を立てていた内容だ。
一ノ瀬一成……スカーレット様から粛清させた偽龍帝こと兵藤 宗二の同類で転生の特典で偽りの赤龍帝を名乗って無能姫ことリアス・グレモリー率いる眷属を洗脳した(無能姫は偽龍帝同等ソイツに惚れている)調子に乗った愚者だ。
あの愚者を殺るチャンスは二度と無いと考え、僕は電話の相手……史輝への返答に頷いた。
「良いですよ。先程、『戦魔王』本人から送られた資料にそちらの異世界で、大きな"厄災"が起きると知らされていますし……その原因の1つである彼等には僕も腹がたっていたところですしね……!義姉にも伝えてそちらへ向かう準備を終え、即座に向かいますので」
『わかった。君の義姉、兵鬼 薫さんにも宜しくと伝えてくれ。それじゃあ、頼んだよ鬼崎 陽太郎君』
「承知しました。それでは、史輝。彼等の絶望する顔を楽しみにしててください…………」
僕はそう告げると電話を切って、側にいたヒトカラゲに視線を向けた。
「今すぐ城内に居るコマンド、クローズ、ヒトカラゲ達全員を地下格納庫へ収集させるんだ。わかったね?」
『ジッパ!!』
ヒトカラゲは了解の敬礼をすると、そそくさに走っていった。もしもの時の保険として、何人かは派遣させないとね?
1時間後……
城の地下格納庫には埋め尽くすばかりに居るコマンド等の戦闘員達が軍服を纏った僕と義姉さん、夏煉が立つ司令台に武器を装備しながらキレイに整列していた。
「な、何かすごく緊張するね……」
「まぁ、夏煉はこういうの初めてだもんねぇ~♪リラックスだよ、リラックス♪」
「リ、リラックスっていっても……」
「心配無いよ、喋るのは僕と義姉さんだけだから夏煉は見るだけで良いからね?」
「うん……わかった」
僕は司令台の前まで歩き、熱い視線を向けるコマンド達へ聞こえる様に声を上げた。
「断罪の地獄城に住まう戦闘員の諸君!今回は僕等の為にこうして集まってくれた事、誠に感謝する。今回君達を呼んだのは他でも無い……今、現在戦魔王様から急用の通達が来た!」
僕の言葉に動揺し、ざわめき始めるコマンド達。すると義姉さんが僕の横へやって来る。
「狼狽えんじゃないよ、アンタ達!!今は陽がしゃべってんだ……少しは落ち着いて話を聞きな!!!」
義姉さんが怒鳴ると、先程までざわついていた空気はピタッと静まる。
「ありがとう義姉さん。さて、先程の戦魔王様の通達についてだが……どうやら向こうの世界では転生者や悪神、邪神が暗躍し向こうの世界や別世界を征服する魂胆だろう……だが、ここで僕達は指を食わえて見ているだけかい?否!断じてあってはならない!!僕はヴラド・スカーレット様の御友人である、荒神 零夜様のご子息……荒神 史輝殿から協力を依頼された。ならば僕達の力を屑転生者達に見せつけようではないか!!!」
「そうさ!!奴等に絶望、苦痛、屈辱……考えられる地獄を見せつけな!!アタシ等に喧嘩を売った事を後悔させるくらい思い知らせてやれ!!異論はあるか野郎共!!!」
『ウォォォォォォッ!!!』
義姉さんの言葉にコマンド達は武器を掲げて称賛の歓声をあげた。僕は右手をあげると、先程までの歓声がピタリと止んだ。
「では、これより指示を出す。それぞれのコマンド、クローズ、ヒトカラゲ部隊の少数は僕と義姉さんと共に幽霊列車で『妖刕の赤龍帝と魔眼の魔女』の世界へ……義妹の夏煉と残りの部隊は城の警護へ回れ!以上だ!!」
僕はそうコマンド達に告げると、義姉さんと夏煉と共にその場を後にした。後ろから歓声が響き渡っていたのは言うまでもない。
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そして、出発の日………
「それじゃ、留守は任せたよ夏煉」
「うん…」
「そんな顔しないで……大丈夫♪こう見えてアタシ等二人は強いからさ、そんじょそこらのザコには負けないよ」
「あぁ、だから君はコマンド達と一緒にこの城を頼んだよ」
「待って!」
『?』
僕等が幽霊列車へ向かおうとすると、夏煉が涙目で見つめながら呼び止めた。
「…………陽太義兄さん、薫義姉さん………これだけは……これだけは約束して………」
そう言うと、夏煉は僕と義姉さんを強く抱きしめた。彼女は抱きしめながら小刻みに身体を震え、鳴咽を漏らす声が聞こえた……そして僕等は気づいた夏煉は泣いている……もしも僕等が戦死し、一人になる恐怖が過ったんだろう。
「生きて………生きて帰って来て……お願い…!」
「夏煉……約束するよ」
「大丈夫、大丈夫だから…………」
僕と義姉さんも泣きじゃくる夏煉を抱きしめながら落ち着かせる。
こんなにも、僕達の事を心配してくれるのはスカーレット様以来だね…………
夏煉の…大切な義妹の為にも……この戦いは勝利する!!
煉獄の牙に誓って!必ず!!!
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キャスト
鬼崎 陽太郎:潘めぐみ
兵鬼 薫:小清水亜美
鬼町 夏煉:原田ひとみ
荒神 史輝:斉藤壮馬