煉獄の義姉弟   作:悪維持

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今回は、戦魔王ゼロさんの【転生者ハンターの軌跡】の特別編のその後の話を作りました。

それでは本編です、どうぞ!


Episode2 陽太郎の本心、そして決意

陽太郎side

 

 

 

こんにちは、ヴラド・スカーレット様の従者にして転生者狩り見習いの鬼崎 陽太郎 (9) です。

 

現在、僕はスカーレット様の御友人である戦魔王様こと荒神 零夜様の管理する世界……神獄界にお邪魔しています。

 

 

 

「すみません、奥方様……お忙しい所を……」

 

 

「気にしないでいいんですよ。陽太郎君が来てくれるなら家は大歓迎ですから♪」

 

 

 

僕と話しているのは、紫のウェーブがかかったロングヘアーでウサギの様な黒い髪止めリボンをつけた少女顔の女性で戦魔王様の五人の奥方様の御一人である荒神 レオナ様。

 

そして、件の戦魔王様は奥方様の一人にしてまとめ役であるキリカ・S・アラガミ様と共に執務室へと入っていくのを目撃した。

 

 

 

「奥方様……戦魔王様は…………」

 

 

「心配ありませんよ、サボった分の数倍の仕事はやらせていますから……まぁ、ミイラは確実ですかね?」

 

 

「ミ、ミイラ…………」

 

 

 

奥方様の黒い笑みに僕は戦慄した。もしかしたら神獄界を影で治めているのは、五人の奥方様方ではないのだろうか…………そんな悪寒がしてたまらなかった。

 

 

まずい、もし何か奥方様方の機嫌を損ねる事をすれば……

 

 

 

 

 

 

生きて帰れる確率は……0.000001%しかない…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、では奥方様!私はこれで……」

 

 

「え?もう帰るんですか?せっかくだから泊まっていけば良いのに……」

 

 

「め、め、滅相もございません!わざわざ神獄界に泊まるなど……しかもスカーレット様がご心配に……」

 

 

「うふふ、陽太郎君はヴラドさんが大好きなんですね?」

 

 

「え……?」

 

 

「ヴラドさんからよく聞いてますよ?陽太郎君は一生懸命に自分の手伝いをしてくれて薫ちゃんとおんなじくらいに、自分の子供みたいな存在だって」

 

 

「スカーレット様が………ですか?」

 

 

 

 

 

僕が……スカーレットのご子息?

 

 

 

 

あまりに信じられなかった、義姉さんと共に生まれ故郷からご自宅に同棲して……イカれた神から化け物と罵られ、破れかぶれになっていた僕達を戦魔王様と一緒に止めてくれて………返しきれない恩を返そうと一生懸命努力して、少しでも役に立ちたい……お側に居たい…………家族(この人達)を護りたい…………そう考えながら今まで生きてきた。

 

 

 

そう思っていたら、不意に奥方様が優しく抱き締めた。

 

 

 

「少しだけでも、子供らしくワガママをぶつけても良いんですよ?貴方達二人は私達の大事な家族の一員なんですから……」

 

 

「か、ぞく…………」

 

 

「えぇ、だからもっともっと……甘えて良いのだから……」

 

 

 

僕はその言葉を掛けられた時に、目からポトリ、ポトリと涙が出てきた。奥方様の優しさに僕の心は堪えきれなくなり、気づけば奥方様を強く、強く……離さない様に抱き締めながら泣き叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

「ウッ、ヒグッ…………ウァァァァァァァァン!ウァァァァァァァァンーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

僕の泣く声が……神獄界中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオナside

 

 

 

 

「スーッ、スーッ…………」

 

 

「ふふっ、可愛い……まるで、あの時の頃を思い出しますね?」

 

 

 

泣きつかれて寝てしまった陽太郎君を膝枕をしながら優しく頭を撫でる。

 

礼儀正しく、遠慮しがちだけど本当は不安で誰かに甘えたいのに、それを知られたくない一人の子供………

 

 

 

「主が済まねぇな……」

 

 

「あら、ガル」

 

 

 

赤い目に山吹色の牙、そして全身が蒼い毛皮の狼が私の側に現れる。

 

彼は陽太郎君の使い魔にして彼の魔剣……蒼鋼狼の牙剣(ウルフファング・エッジ)ことガル。レイヤが陽太郎君の誕生日プレゼントにウルフェン族をモチーフに創った意思を持つ魔剣で、剣形態と獣形態へ自由に変身が可能です。

 

 

 

「良いんですよ。それに貴方も陽太郎君と一緒に付き添いながら、行動を共にしていましたからね?」

 

 

「へへ、まぁな。主も主で、義理堅い所とかあるしよぉ……ヴラドの姐さんや戦魔王の旦那に返し切れねぇ恩義全部を返そうとして無茶しやがるからさ?こっちもハラハラしてたまんねぇんだわ」

 

 

「ふふっ、そうですか………」

 

 

 

そんな談笑をしながら、私はすやすやと眠っている陽太郎君に目を向けると…………

 

 

 

「…ふにゃあ………母様(かかさま)…………」

 

 

「あらあら……」

 

 

 

陽太郎君は笑顔で私のお腹を擦り寄せながら寝言を呟いた。

 

 

とても幸せそうな顔…………

 

 

 

「おいおい、どんだけ母ちゃんに甘えてぇんだよ?起きてる時と性格は別モンだな………」

 

 

「それがこの子の本心なんでしょうね?」

 

 

 

 

そう思いながら、私は陽太郎君の頭を優しくトントンと……赤子をあやすみたいに叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーそして次の日……

 

 

 

 

 

 

「…………ん…………んん……あれ?」

 

 

 

 

朝になって起きてみると、私の膝元に眠っていた筈の陽太郎君が居なくなってて側には一枚の紙が置かれていた。

 

 

私は紙を手にとって見てみると、ソレには……

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

奥方様へ

 

 

昨日は浅ましい事をしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。

 

私はまた、修行に戻りたいと思います。

 

そして数日後、神獄界へ戦魔王様と四人の奥方様方を交えて謝罪をしに参ります。

 

 

 

鬼崎 陽太郎より

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「本当に、律儀な子なんですから……」

 

 

 

 

私は紙に書かれた内容に少しだけ笑みをこぼした。

 

 

 

 

 

陽太郎side

 

 

 

 

「恥ずかしい……」

 

 

「主よぉ……別にいいんじゃねぇの?甘える所、見せても」

 

 

「良いわけないだろう……相手は戦魔王様の奥方様だよ?」

 

 

 

僕は昨日してしまった事を後悔していた……そんな事を思いながらガルと昨日の出来事について対話していた。

 

 

 

「でもよ、レオナ姐さんが主に言ってた事……あながち間違いじゃねぇと思うぜ?」

 

 

「…………わかってるよ、そのぐらい」

 

 

 

スカーレット様や戦魔王様、そして奥方様方は……本当に僕や義姉さんの事を子供の様に接してくれる。

 

 

だからこの恩義を返さなきゃならないんだ……いつか全部返せる日まで、強く…………

 

 

 

「絶対に強くなってみせる…………!」

 

 

「ヤレヤレ、主は本当に義理堅ぇな……でも嫌いじゃねぇぜ?その覚悟」

 

 

「…………ありがとう、ガル」

 

 

 

僕はそう言い終えると、ガルと共に神獄界から別の異世界へと転移した。

 

 

 

 

 

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キャスト

 

 

 

鬼崎 陽太郎:潘めぐみ

 

 

蒼鋼狼の牙剣 (ガル):中井和哉

 

 

荒神 レオナ:岩男潤子

 

 

 

 

 

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