夏煉side
「……あれ?ここは…………」
私は意識を覚醒させてゆっくりと起き上がって室内を見渡すと、そこは私が昨晩に就眠していた陽太義兄さんの部屋だとわかった。そして、机にはヘレナ眼魂と焔さん、羽衣狐さんの3つの他に13個の眼魂が置いてあった。
私はボヤけた意識をしっかりさせながら、この前の出来事を思い返していると……目の前に焔さんの眼魂が浮かびながら強い光を放つ。
私はあまりの眩しさに目を閉じ、ゆっくりと目を開けると何処か戦国時代を思わせる戦場にいて、目の前には焔さんが佇んでいた。それもパーカーの姿では無く人間態の姿でだった。
「……焔さん」
『良く眠れた様だな?夏煉』
「焔さん……あの!私……『皆まで言うな』え?」
私の言葉を紡いだ焔さんは、やれやれと呆れた感じで苦笑しながら話しかける。
『お前が言いたい事はわかる……まったく、その思い詰める所や一生懸命さはアイツ似だな……あの鎧の戦いの時に、私を使うのを忘れていた事だろう?心配するな、私はもう気にしていない』
「よ、良かった……私、どうしてか一度した失敗は気になっちゃって………もし、相手を不快にさせたらどうしようって、迷惑をかけたらどうしようって思って……それで…………」
『夏煉、姉さんがお前に言った事は覚えているか?『失敗をバネにして、自分の限界を越えろ』失敗を引きずっていたら、先には進めない……なら失敗を自分の力に変えろ!そして限界を……自分の可能性を越えるんだ!』
「限界と……可能性を…………越える」
『私はお前に似た奴を知っている。ソイツは自分を罵しり、バカにした連中を見返すために道を踏み外し、強大な力を求めた……強くなって虐めた奴等に復讐する為の力をな……だが、自らの力や自分のコンプレックスを思い悩み……そして恐れた。自分の力が大切な仲間や居場所を壊してしまう事に……だが、ソイツは強さを求めながら……向き合ったんだ己の弱さにな?』
「己の……弱さ…………」
確かに私にも同じ共通点が、その娘にもあるのかも知れない……薫義姉さんと焔さんの言葉が少しだけわかってきた気がする。私は頬に感じる涙を流しながらも、焔さんに向かって叫んだ。
「強く……なりたい……!私、もっともっと強くなりたい!!強くなって…二人を……陽太義兄さんを、薫義姉さんを……大切な場所を私自身の手で守りたい!!!」
『なれるさ、お前ならな?強くなるための戦いなら、私がいくらでも力を貸す……私達はもう仲間だ』
「焔さん……」
『夏煉、私の事は焔と呼び捨てで構わない。仲間に……年上も年下もないだろ?』
「うん……これからよろしくね、焔!」
『あぁ!』
そう涙を拭って焔さん……いや、焔と力強い握手を交わした……陽太義兄さんの時と同じく、熱意がこもっていた。
『それはそうと……夏煉、お前に伝える事がある』
「伝える事?それって……」
『妾達と対なる眼魂を持つ者の事じゃ』
『羽衣狐』
ふと、後ろを振り向くと焔と同じ人間態の羽衣狐さんとその後ろには五人の女の子達が居た。
一人は金髪のパイナップルヘアーに、黒のタンクトップを着た娘。
一人は青髪のロングヘアーでイカの頭を模した帽子に、白いワンピースを着た女の子。
一人は赤髪の短髪に金色の瞳、青と紫を基調としたボディースーツを着用したボーイッシュな娘。
一人は栗色の髪をリボンで束ね、落ち着いた雰囲気を持つ女性で、赤髪の娘と同じボディースーツを着用している。
最後は桃色の髪を後頭部で纏めた明るい感じの娘で、前の二人と同じボディースーツを着用していた。
『お前達も来たのか……紹介しよう、羽衣狐の後ろに居るのは私と同じ眼魂に宿る魂だ。金髪が
「は、初めまして鬼町 夏煉です。よろしく……」
『へぇ~この娘が羽衣さんが言ってた娘っスね?アタシはウェンディ、敬語とか要らないから仲良くやろうっス♪』
「そ、そう?じゃあよろしくね、ウェンディ」
『えへへ♪こちらこそよろしくっス!ほら、イカちゃんに澪っち、ディエチにノーヴェも挨拶するっス』
『澪っち言うな!まっ、自己紹介ぐらいしてあげる!私の名前は
何故か金髪の娘ー澪ちゃんが目を背けながら、こっちをチラチラと見ている。何でだろうと思っていると……ふと、ウェンディが耳元で囁いてきた。
『……澪っちはああ見えてツンデレ屋さんスけど……本当は寂しがり屋さんなんスよ?だから、友達になってあげたら喜ぶと思うんス』
「……わ、わかった。ねぇ、澪ちゃん」
『な、何よ?』
「私と…その……友達になってくれないかな?澪ちゃんも私の仲間だから……ダメ?」
『………ふ、ふん!仕方ないわね?その代わり、私の
「ありがとう、これからよろしくね澪ちゃん」
『あっ……こ、こちらこそ……よろしく……』
私は澪ちゃんの手を優しく繋ぐと焔と同じ暖かいモノを感じた。そしたら澪ちゃんは頬を赤らめながら、目をそむけて小声で話すのを聞こえた。
意外に可愛い所があるかもね、澪ちゃんは……
『さっ、次は誰が……『なら、私が行こうじゃなイカ?』おっ、イカちゃんっスね?』
『任せるでゲソ!私こそは海からこの地上を侵略しに来たイカ娘でゲソ!!これからお主のために私の力を使わせてやることを光栄に思うでゲ……ゴフッ!?い、いきなり何をするでゲソか!?』
『それが仲間に対しての挨拶か!?ふざけるのも大概にしろこのイカ!!』
『イカじゃない!イカ娘でゲソ!!ちゃんと【娘】も入れるでゲソ!!』
何故かワンピースの娘ーイカ娘と焔が喧嘩を始めてしまった。どうしようと思っていたら、ふと栗色髪の女性ーディエチさんがやって来た。
『イカ娘はあんな態度だけど気にしなくて良いよ……それと、私はディエチ。よろしくね夏煉』
「こちらこそ、よろしくお願いしま……(コツン)……ん?何これ?」
私はディエチさんと挨拶をしていたら、足元に違和感を感じて視線を向けると……そこには青い懐中電灯が転がっていた。私はソレを拾うと、懐中電灯は機械の身体をしたサイに変形して私の肩へと飛び乗った。
「こ、この子は?」
『その子は【サイデントウ】…私の能力を使うのに必要なゴーストガジェットだよ。ガンガンハンドと組み合わせれば『ビームカノンモード』になって私の能力を十分に発揮できるから』
「へぇ……これからよろしくね、サイ君」
『ブッ、ブーッ!』
サイデントウ……サイ君はトラックの様な鳴き声で嬉しそうに返事をしてくれた。
そして、私は羽衣狐さんの隣で佇んでいたノーヴェさんの所へと歩み寄った。
「あの……私……『鬼町 夏煉だろ?さっき聞いたよ』……そ、そうですよね…………」
『ノーヴェよ、もう少しその不満そうな顔をどうにかできぬのか?娘が怖がっておるぞ?』
『別に大したことないだろ?こんなオドオドした奴がアタシ等の仲間だなんて……もう少し根性がある奴だとか思っていたんだがな?』
ノーヴェさんの言葉に少しだけ、心がざわつく………確かに前の私だったら、悲観をして……後悔をして……押し潰されそうになったかも知れない……
……でも、守るモノが……大切な仲間が……そして心から家族ができた私にはそんな事を思わなくなってきた。そして、私はゆっくりと口を開く。
「……確かにこんなオドオドした私がノーヴェさん達の仲間だと不甲斐ないですよね……」
『そうかよ……なら「ですが!」……あ?』
「こんな私でも、皆さんについていける自信はあります!どんなに弱くても……どんなにちっぽけな存在でも……私は……陽太義兄さん、薫義姉さん、焔、羽衣狐さん、澪ちゃん、ウェンディ、イカちゃん、ディエチさん、サイ君、そしてノーヴェさんと一緒なら何処までも強くなれると思うんです!!大切なモノを守れるなら……私はどんな苦難も乗り越えて……限界を、可能性を、自分の道を切り開いてみせます!!!」
そう心から叫ぶと、それを聞いたノーヴェさんは顔をうつむけた後……
『………フフフ……ハハハハハハ!』
「え?」
『ノ、ノーヴェ?どうしたんスか……?』
『あぁ、悪いな……はぁ……まさか、さっきまでオドオドしてた奴にこんな覚悟があるなんてな……お前、気に入ったよ。根性がないどころか、しっかりあんじゃねぇか』
「あ……ど、どうも」
『さっきの事はすまねぇな……新入りのお前がアタシ達の力を使うって聞いてたからさ、ちょっと信じられなかったんだが…さっきの啖呵は嘘じゃねぇんだな?』
「もちろんです!」
『なら、アタシの力を思う存分に使え!それからアタシも呼び捨てで構わねぇぜ、夏煉!!』
「……うん、よろしくノーヴェ!」
『あぁ!』
私はノーヴェと拳を軽くぶつけて、笑った。そしたらさっきまで焔と喧嘩をしていた、イカちゃんが申し訳なさそうに近づいてきた。
『あ、あのぉ……』
「イカちゃん?」
するとイカちゃんが、その場で正座をしながら深く土下座をした。
『そ、その……さっき、上から目線で偉そうに言ってすまなかったでゲソ!!だから……私も…お主の、いや……夏煉の仲間にしてくれなイカ?』
『今さら謝罪かよ?そんな都合が良い事を……『だ、断じて違うゲソ!』……なら理由を聞こうじゃねぇか?』
『そ、それは……さっき夏煉の言った事を聞いて、私も自分の可能性を越えてみたいと思ったんでゲソ……夏煉と………いや皆となら強くなれると知ったんでゲソ……指してがましいと思われても良い!だから……私も仲間に入れて欲しいんでゲソ!!』
イカちゃんは涙を流しながらも、土下座をし続けた。
私は、ゆっくりとイカちゃんの側にやって来て同じ態勢になる。
「イカちゃん……顔を上げて?」
『ゲ、ゲソ?』
「私はもうそんな事を気にしてないよ、皆それぞれ違う性格があるんだもん。イカちゃんは私に申し訳ないと思って、本当に謝ろうとしてくれたんだよね?だったら、許す代わりに約束して欲しい事があるの」
『や、約束?』
「うん」
そう言って、イカちゃんを優しくも強く抱きしめながら私は口を開いた。
「………私の友達……仲間になってください」
『ゲ……ゲ、ソ…………?』
「今言った私との約束……ちゃんと守れる?」
『う、うん!守る……守るでゲソ!私は夏煉の友達、仲間になるでゲソ!!』
イカちゃんは泣きながら私を抱き返してきた。私は泣いているイカちゃんを落ち着かせる為に背中をゆっくりと叩く。
「なら許すよ……焔、ノーヴェ……それで良いよね?」
『夏煉が言ったのなら、私は何も言わないさ…』
『まっ、あたしも異論は無いな?だけど、イカ!今度調子に乗ったらスルメにするからな!!』
『ヒッ!?そ、それだけは勘弁してくれなイカ…』
ノーヴェからの脅されたイカちゃんは震えながら、私の後ろへと隠れた。案外、怖がりなのかも知れないね?
すると、クスクスと笑っていた羽衣狐さんが口を開く。
『やれやれ、こんなにも早く皆と親しくなるとはのぉ?娘、やはりそなたには特別な何かを感じるみたいじゃ……』
「特別な何か……ですか?」
『そうじゃ、そなたに宿りし混沌たる闇の力と眠りし炎……そして妾達15の者の魂を導く力あり……これを見るが良い』
羽衣狐さんはそう言うと空中にモニターらしきモノを出現させた。そこに映し出されたのは私と同い年の女の子がゴーストドライバーを使って仮面ライダーに変身した映像だった。
「この娘は?」
『そいつがお前のライバルにして……私達とは真逆なる力を持つ眼魂、H眼魂を持つ仮面ライダーだ』
『その者の名は"ユリン"……真名は"
「仮面ライダー、ユリン……御堂 玲奈……」
……この娘が、私のライバル?
『この者の所在する世界は、そなたの兄が知っておる』
『あいつが持っている眼魂もお前の兄貴が作ったんだ』
「陽太義兄さんが……あの娘の眼魂を?」
そう言えば陽太義兄さんは眼魂の研究をしていると聞いたけど………いや、それ以前より……あの娘と戦いたい……私はそんな気持ちが込み上げてきた。すると焔が肩を優しくおきながら声をかけた。
『その目……あいつと戦ってみたいんだな?夏煉』
「……うん、もし……あの娘の眼魂と皆のどちらかが強いのか知りたいし、あの娘の実力も知りたい……だから皆、私に力を貸してくれる?」
『ふむ…それもまた良い余興になるかも知れんの?』
『私はあの娘の所に居る狙撃手の娘に興味がある……』
『ふっ!奇遇ね?噂じゃ
『ゲ~ソゲソゲソッ!触手全部が鳴って来るじゃなイカ!!』
『いやぁ~ ようやくアタシ達もドカンと暴れる日が来たんスね~』
『あぁ……H眼魂を束ねるリーダー格と相ま見え、戦うとなると心が滾ってくる……お前達も存分に暴れられるぞ?』
『だってさ……いや~楽しみっスねー ノーヴェ?』
『別に……アタシはアタシ自身の力が何処までイケるか知りたいだけだ、夏煉と何処までイケるか……な?』
『それもそうっスね♪』
『ふっ、違いない……』
「皆…ありがとう!」
その言葉を最後に、眩しい光に包まれた後……元の部屋に佇んでいた。
そして近くに置いてあるヘレナ眼魂と7つの眼魂をポケットに入れ、いつの間にか部屋の隅に居たサイ君を肩に乗せた後、陽太義兄さんの所へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キャスト
鬼町 夏煉:原田ひとみ
焔:喜多村英梨
羽衣狐:能登麻美子
イカ娘:金元寿子
筑紫 澪:釘宮理恵
ノーヴェ:斎藤千和
ディエチ:升望
ウェンディ:井上麻里奈