鬼崎side
『ふむふむ…そんな事がねぇ……』
「はっ……」
僕は夏煉を自室へ寝かせた後、リビングのソファーに座りながらスカーレット様へ通信を繋げて先程までの出来事を包み隠さず報告した。
あの場所で夏煉を拾い、新しく家族へ迎えた事。
夏煉が僕が作った眼魂で、仮面ライダーヘレナに変身した事。
そして、葬った筈の偽龍帝が甦えった事。
全てを話し終えた後、スカーレットはモニター越しで何故かにこやかに微笑みながら口を開いた。
『偽龍帝の事はどうでもいいとして……いやぁ~ まさか二人に妹ができるなんてねぇ~♪陽君もお兄さんデビューしました!的な感じかな?』
「そうですね、夏煉を見ていると………何故か心が安らぐと共に、何かが満たされる感じがするんです………義姉さんと一緒に居る時とは違う何かが……」
『陽君、それがお兄さんになったって奴だよ♪』
「そうなんでしょうか……「陽太義兄さん」……?」
ふいに後ろを振り向くと、眠っていた筈の夏煉がやって来ていて……よく見るとその周りには7つの眼魂が浮かんでおり、右肩にはサイ型のゴーストガジェットがちょこんと乗っていた。
僕はソファーに立ち上がり、やって来た夏煉に近寄る。
「夏煉、もう起きても大丈夫かい?」
「うん、平気……ねぇ、陽太義兄さん。さっきから聞こえてたけど誰と話していたの?」
『陽君、その娘が新しい妹さん?』
「えぇ……夏煉、この方は僕等の上司に当たる御人だ…くれぐれも粗相の無いようにね?」
「う、うん……わかった」
夏煉はそう言った後に、ゆっくりとスカーレット様が映っているモニターへ近寄りながらソファーへ座った。
『さてと、まずは自己紹介だね?私の名前はヴラド・スカーレット。陽君や薫ちゃんの先輩……的な立場かな?まぁ、そんな感じだからよろしくね♪』
「は、初めまして……鬼町 夏煉と言います。陽太義兄さんと薫義姉さんがいつもお世話になってます」
『あぁ、いいよ畏まらなくて………夏煉ちゃんさ……お兄さんとお姉さんの事、大好き?』
「は……はい、私の頼れる人達だから………それに皆もいるし」
『そっか、それは良かったねぇ~♪だってさ、陽君?』
「は、はぁ……それは……どうも………」
スカーレット様は笑顔でこっちを見ているけど………ちょっとだけ恥ずかしいね………兄さんと言う立場は…………そう思っていたら、ふと夏煉が立ち上がって真剣な眼差しを僕に向けながら口を開いた。
「陽太義兄さん…お願いがあるの……」
「何だい?」
『おっ?お兄さんにお願いしますフラグですか!?』
「スカーレット様、少しお静かに……」
『はぁい……』
「それで何だい、お願いって……」
「私…異世界に行きたいの……そこに、陽太義兄さんが作った眼魂を持つ仮面ライダーが居るって聞いたから……」
「ッ!?……何処でその事を………まさか」
僕はふと、夏煉の周りに浮いている眼魂達に目を向けると羽衣狐が前に出てきた。
「何で夏煉にこの事を……」
『すまぬな、妾は少々口が軽くての?つい話してしもうたのじゃ……』
『これはあたし等で決めた事じゃない……夏煉が決めた事でもあるんだ。少しだけで良い……こいつの、夏煉の話を聞いてやってくれ』
眼魂達にそう言われ……僕は深くため息をしながらソファーへ腰を下ろすと……夏煉も僕の隣へゆっくりと座った。
「それで……具体的にどうしたいんだい?」
「うん……もし、陽太義兄さんが作った眼魂同士で、あの娘の眼魂とここに居る皆のどっちかが戦ったらどうなるのか……そして、私とあの娘のどっちが強いのか戦ってみたい……そう思ったんだ…………だから、陽太義兄さん。私をその娘が居る異世界へ連れていって欲しいの」
「そっか………わかったよ。なら行こうか、君が言っていたその娘が居る異世界へ……」
「えっ!良い……「ただし、これだけは約束してくれ」……約束?」
「あまり無茶はしすぎない事だ……守れるかい?」
「うん、わかった……約束する!」
「ふっ……なら、よろしい!」
僕は笑顔で夏煉の頭を優しく撫でた。
全く……僕も少しだけだけど………変わったね……以前までは何処かへ遊びに行く事や義姉さんの頼まれ事を、断っていたのにさ………何でか夏煉の頼み事だと断れない部分があるね……
『(へぇ~ 陽君があんな顔するなんてね……少しだけだけど丸くなったって感じかな?ま、それはそれとしてだけども……)ねぇ、そこの眼魂さん?もしかして……その娘の名前って、御堂 玲奈ちゃんだったかな?』
『無論、その名で間違いは無いぞ?』
『そっか……夏煉ちゃん。私、その娘が居る世界知ってるよ?』
「ほ、本当ですか!?」
『うん、前に仲間と一緒に行った事があってね?夏煉ちゃんが言った娘さ、その世界の転生者の妹なんだ。陽君、今その世界の座標を書いたチケットを贈るからちょっと待っててね………ほい転送と!』
スカーレット様がそう言うと、モニターから一枚の黒い紙切れが現れて飛び込んできたのであえてキャッチする。そこには《118910-01-75》と数字が書かれていた。
『それを使えば……あっ!という間にその異世界へ行けるから♪大事に保管してね?』
「次から次へと……何とお礼をもうしたらよいか…ほら、夏煉もスカーレット様にお礼を…」
「う、うん……あ、あの!私のために本当にありがとうございます!!」
『気にしなくても良いよ~♪それと、彼処にいる転生者にはよろしくと伝えといてね?転生者の名前は御堂 タケルって言うからさ……間違えて狩っちゃダメだよ?そんじゃまたねぇ~♪』
そう告げた後、スカーレット様は笑顔で手を振りながら通信を切っていった。
すると、夏煉がいつの間にか僕の手を繋いでいる事に気づいた。
「優しい人だったね、スカーレットさんは……」
「あぁ……」
そう言って、僕も夏煉の手を握り返した。
夏煉side
「そういえば陽太義兄さん……どうやってその娘がいる異世界へ行くの?」
「そうだね、異世界へ行くからには……久しぶりに
「アレ?」
「直ぐにわかるさ……さ、行こうか」
ーガチャ
陽太義兄さんは黒い笑みを浮かべながら、テーブルに置いてある頭蓋骨の模型を動かす。すると突然、壁に扉がでてきた。
『ほぇ~ いわゆる隠し扉って奴っスか!』
『こ、ここって……秘密基地か何かなの?』
「澪ちゃん、ウェンディ……その事は置いといて、早く行こ?」
『えぇ / 了解っス♪』
そう言うと、皆をポケットに入れて陽太義兄さんと一緒に扉へ入っていくと……そこは建設現場の様なガレージであちらこちらにコマンドやら黒いソフト帽を被り、ギャング風な衣装を着た怪人や、青と黒の体色で鎧と、編み笠を装備した足軽の様な怪人が協力して色々な作業をしていた。
「陽太義兄さん……あの人達も眼魔なの?」
「いや、あのギャングみたいなのは【クローズ】……そして足軽みたいなのが【ヒトカラゲ】だ。彼等も僕や義姉さんの手伝いをしているんだ」
「へぇ……そうなんだ」
『この城……ほぼ悪の組織のアジトに近いんじゃなイカ?』
『『『『『うんうん』』』』』
イカちゃんの言葉に皆は同意のあいづちをする。いわずもがな……私もそう思ってたのは黙っておこう。
そう考えていると、ずっと歩いていた陽太義兄さんがいきなり立ち止まる。私は後ろからそっと覗いてみると……そこには先頭が人の頭蓋骨の形を模した不気味な蒸気機関車がそこにあった。
私は驚きのあまり、腰を抜かしてしまう。すると、陽太義兄さんが振り返ると私をゆっくりと起こした。
「大丈夫?」
「う、うん……陽太義兄さん、これは?」
「【幽霊列車】……僕がコマンド、クローズ、ヒトカラゲ達と造った異世界渡航専用列車だ。これで、君が会いたがっている娘の世界へ行けるよ……さっ、早く乗って」
陽太義兄さんにそう言われ、恐る恐る車両に入ってみる。
そこはごく普通の古い電車の内装で、さっきの不気味さが嘘の様に感じた。
「スゴい……」
「それじゃあ、僕は運転席へ向かうから適当に座っててくれ」
陽太義兄さんはそう言うと、別の車両へと向かった。私は近くの席へ腰をかけ、今後の対決の事を考えていた。
あの娘の実力はどれほどなのだろうか……あの娘が使う眼魂にはどんな力があるんだろうか……そう考えていたら…………汽笛が響き、列車が動きだした。
これから始まる戦いの予兆を教えるかの様に……幽霊列車は異世界へ向かいながら時空の歪みへと入って行った。
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キャスト
鬼崎 陽太郎:潘めぐみ
鬼町 夏煉:原田ひとみ
焔:喜多村英梨
羽衣狐:能登麻美子
イカ娘:金元寿子
筑紫 澪:釘宮理恵
ノーヴェ:斎藤千和
ディエチ:升望
ウェンディ:井上麻里奈
ヴラド・スカーレット:阿澄佳奈