その晩ミイから受け取ったデータを見て、なぜ、あの気丈な娘が、あそこまで蒼白な表情をしたのかが理解できたのだった。
「この・・・データに入っている画像・・・」
叫びたくなる衝動を押さえる為に、煙草に灯をつけ、しばし呆然と、吐き出した煙を眺めていた
そして、もう一度確かめる様に画像の隅々まで眼をはしらせる。
「やはり、見間違いでは、ないか・・」
画像に映っているのは、培養液の様に見える液体が詰まっている、大人二人はゆうに入れるであろうカプセルが規則正しく並べられている。
そのカプセルの中身はというと、小型ゾイドの様に見える機械生命体・・・確かオーガノイドといったか、それららしき生命体が培養液の中に静かに浮かんでいた。
暫くすると、その内の一体がカプセルから這い出てきたのだが・・・すぐに力なく倒れ、そして身体の一部を破裂させ、又身体の一部は泥々と崩れ落ちていったのだった。
(まさか、人工的に現代の技術力でオーガノイドを造りだそうというのか?)
更にレインの目を引いたのは培養液の中・・・・
又はその外側に、先程のオーガノイドと同様に崩れ朽ちている、人間の・・・それも子供らしき姿もある事だ。
ミイはこれを見て、自分を保てるギリギリの所までたどり着いてしまったのだろう・・・親としてはやりきれない思いだ。
疑問に思う事もある。
何故、優秀ある事には間違いないが、一介を技術特務員でしかないミイが、このデータを入手していたのか?
更に、画像の奥の方で、いささか不明瞭ではあるが確かに映っている男・・・
この男は、おそらくはあの人ではないのか?
そう・・・かつてPKであった自分の憧れであり・・・
このネオゼネバスの為に自らをも捨て石とした偉大なる男・・・
・・・ギュンター・プロイツェン・・・
そこまで思い至った時、レインは背後から、
なんともいえない奇妙な気配を感じたのだった。
「初めまして、お父さん・・」
誰もいない筈の自室から、不意に呼び掛けられ、レインは自分の背後を振り返る。
そこに、居たのは年の頃15又は16位に見える男の子二人だった。
「君達は何者だ・・何故此処にいる、この部屋にどうやった入った?この部屋のセキュリティは、完全のはずだ。場合によっては処分をしなければならんぞ‼ それに、父さんだと・・どういう意味だ、」
動揺を隠す為に、出来るだけゆっくりと、しかし相手を射殺すかの様な眼光を放ち、少年達に問いかける。
実際に、すぐに発砲できる様に左手に相手からは見えぬ様拳銃を握っている。
しばしの沈黙の後で、少年の内一人がレインに、こう告げたのだった。
「僕達は、あなたの息子ですよ。 あなたが認めるか、どうかは別にして・・そう・・・少なくとも肉体的にはね。」
そう少年達は、無邪気そうな瞳をレインに返してくるのだった・・