ZOITECとネオゼネバスとの確執は先の大戦に迄さかのぼる。
当時、ネオゼネバスはヘリック共和国軍残党とガイロス帝国との熾烈な国家間の戦争をしていた。
ネオゼネバスは国力、物量共に他の二カ国に比べ遥かに劣っていた。
だが、ネオゼネバス初代皇帝ギュンター・プロイツェンによる玉砕ともいえる捨て身の 作戦により、ヘリック・ガイロス両国の主戦力部隊の駆逐に成功する。
これにより、ネオゼネバスは、この戦争におけるイニシアチブを握る事になった、ヘリック共和国の首都を完全に制圧し、ガイロス帝国を暗黒大陸に撤退させるに至ったのだが・・・
ここで、ネオゼネバス上層部は失態を、おかしてしまう。ネオゼネバスの治世を磐石とするために戦力の急激な増加を、しようとしたのだ。
未だ、ヘリック残党によるゲリラ的な反抗は続いていた。それら残党軍を駆逐するには、ネオゼネバスは、未だ戦力不足であった。
大陸を統一したとはいっても、ましてやあのゼネバス帝国に連なる帝国ではあるが、しょせん新興国家である、国力は、物資 戦力共に不足しているのは当然だ。
それらを、一気に解決する為に、この新興国家は、軍事企業であるZOITECの持つ技術力、生産力に目をつけたのだった。
ネオゼネバスは、ZOITEC社に対し無条件での技術と物資の提供を求めた。しかも、高圧的にだ。
この屈辱的ともいえる、恫喝に対し共和国寄りのZOITEC社の幹部達は、これをはねのけ帝国軍へのゾイドの供給を取り止め、逆に共和国残党軍に対し新たなる最新型ゾイドの供給を初めてしまったのだ。
やがて大戦は終わり、その結果ヘリック共和国に、その領土の半分をも取り返される事となる。
ヘリック共和国・ガイロス帝国・そしてネオゼネバス帝国の三国は互いに、不可侵協定を結ぶ事となる。
レインは思う、何故に元PKとはいえ一介の士官でしかない自分の元にZOITECからの使者がくるのか?
しかも、自分の息子を名のる少年達にことずけてだ。
だいいち、戦争が終わったといってもネオゼネバス帝国内と、あの企業との関係はすこぶる悪い。
とても帝国内の軍人に対して使者を、送って来るとは思えない・・・
「まずは、改めて君達に問いたい。何故に私に親書そして、あのデータを?
君達が、私の息子かどうかは、ともかくその真意を教えてもらえないか?
それに、その親書が本物としても、私の立場では簡単には承けとれんよ・・」
「その事については、私の方でヴォルフ陛下へ向けて事前に御伝えさせていただいてます。
又、陛下と弊社の大株主との間には、以前より親交があります。」
「そうか・・なら受けとらしてもらおう。 明朝に陛下へ、お伺いの通信をする。
今日は、ここに泊まる様にしてもらおう」
ソラ達にそう告げ、ミイに彼等の部屋を案内させてから、レインは親書に目を通す。
そこには、簡単な挨拶そしてレインの経歴を褒め称える内容であり、最後に是非とも自分の邸宅に招きたいと記されていた。
真意は未だ計れないが、ともかく明日ヴォルフに問いただす事にしよう、彼ならば自分よりは正しく相手の真意を知っているだろう。
そして、明日は近隣の街よりの陳情で野良ゾイドを討伐しなければならない。
それが治安維持部隊として、この場にいる自分の仕事だ、それを怠る訳にはいかない。
レインは当直の兵の一人を呼びつけ、ユイとソラを、それとなく監視する様にと言い付け、一人眠りに入ったのであった。
夜が明けて、本国のヴォルフとの通信を行う、本来ならば一大尉でしかないレインが取り次いでもらえる訳も無いのだが、皇帝ヴォルフの〈最後のプロイツェン・ナイツ〉への敬意の証として特例的に、ホットラインをひいてもらっている。
ヴォルフとの通信を終え、ため息混じりにブリーフィングルームに入ったレインは、既に集結している、おもだった部下に対し、先程の通信の一部を通達することになった。
「諸君、先程 陛下よりの通達があった。 詳細は後程に伝える事になるが・・
まあ・・その・・要するに、今回の任務の終了後に新しく隊長が着任する事となった。 私とミイ技術官は他の任務に従事する事となる」
ザワザワとブリーフィングルームに集まった部下達から、驚きの声や不安の声が聞こえてきた。
それら部下の動揺を抑え、本日の任務の作戦を進める事とし、それにより今回は少数精鋭での任務遂行となった。
レインのこの基地における最後の任務ということで、我も我もと志願してくる部下達の多さに、いかに彼が慕われているのかが改めて分かるというものだ。
今回の任務で出撃する機体は、
レインの専用機グレートタイガー
カイ曹長のかるハンマーロック
女性士官のアイラ少尉のマルダー
搭載移動用のムラサメ准尉の操縦するグスタフ
そしてヴォルフの許可を得たユイとソラ、彼等はムラサメ准尉のグスタフに搭乗している。
基地を出て三時間程の所で、
「ムラサメ准尉、もうそろそろ報告のあった地域の筈です。 まだ、反応はありませんか?」
「まだだねぇ・・アイラちゃん、そう焦りなさんな。
あんまりカリカリしてると、お肌が荒れるぜぃ。三十越えると色々大変っていうしなぁ」
「なっ、私はまだ二十代です!! それに私の方が、准尉よりも遥かに若いですよ!
」
このようなやり取りを延々と続けておれる程、今の状況は、優しいものではない。
数分後、彼等は生死をかけた戦いの中に身を投じる事となる・・・_