アクセルの町に機械仕掛けの悪魔を
ゲームのようにレベルと言う概念があり、各スキル、MMORPGのように最弱職の冒険者から始り、多岐にわたる
がしゃり、と鉄製の鎧でも着込んでいるかのような音をたてて冒険者ギルドの門を潜る彼は所謂転生者特典で器を手に入れた。
そう、魂の器・・・身体である。
もう数十年になるこの異世界で生活で元の名を忘れそうになるが、今はその話は割合しよう。
「はい、グリフォン十体の討伐を確かに。報酬はこちらです、バルバトスさん」
ギルドの受付嬢が報酬を差し出す。
因みにこの異世界での通過はエリスと言う、今回は三十万エリスである。
「ウィズの食費とメンテナンス代、店舗維持で終わりか・・・・」
麻布製の袋を開いて、バルバトスはぼやいた。
そう、この転生者が入れられた器《ガンダムバルバトス(第四形態)》は、ふざけた女神が「別に勇者候補って人間じゃなくても良いよね?なんならアンタのやり込んでたゲームのキャラにしてあげるわ!」なんてノリである遺跡で再起動してしまった兵器である。
立ち位置的には、移動要塞デストロイヤーとか言う暴走兵器と対を成す対デストロイヤー決戦機械歩兵とか言う。
動力源が組み込まれておらず、伽藍のどうだった胸部装甲を開くと今では動力源=翡翠の水晶・・・凄腕アークウィザードと言う側面をもつ貧乏店主曰く「多分魂の結晶です。砕かれたら死んじゃいますよ」らしい。
意識を持ち、現在ではウィズ魔道具店のマスコット、そんな面ではないが唯一売れ筋となっているモンスター図鑑(アクセルの町周辺・主に攻撃パターン解説と独断と偏見による脅威判定)製作に一役買っている。コレが現在の現状であり、始まりの町に位置するアクセルという町に滞在するバルバトスの主な仕事だ。
「ただいま」
「お帰りなさい、バルくん」
そう言って両手を広げる女性にバルバトスは嘆息する。
「ウィズ。好きに呼べばと言った手前言いにくいんだけど、バルくんはやめてもらえない?」
「良いじゃない!バルくん」
ギルドで貧乏店主と言う通り名が定着しているこの女性、アンデッドモンスターにはリッチーといわれる分類があり、この女性はそれ。
アンデッドモンスター最上位の存在・リッチーだ。
そして、バルバトス(
かなりスタイルの良い永遠の二十歳、そしてこの貧乏魔導雑貨店・ウィズ魔道具店の店主である。
「モンスター図鑑は凄い人気だよ!直ぐに売り切れちゃうから発行が間に合わなくて嬉しい悲鳴だね」
「店舗の維持費は俺がクエストで稼ぐから、情報が集まり次第で良いんじゃない?どの道、俺が出て集めてくるわけだしさ」
さて、ここで俺の体となっている《ガンダムバルバトス》、この異世界での立ち位置について軽くお浚いをしておこう。
移動要塞デストロイヤーなる暴走した古代兵器が存在する。
コイツは暴走していて、デストロイヤーが通過した後は草も生えないと言われており、ギルドでその進路予測のために偵察などがクエストとして張り出されている。
はい、アクセルなんかに進路が向こうものなら間違いなく俺のソロ攻略決定案件である。
ま、デストロイヤー暴走から数年あまりでコイツを破壊しようとするおばかな国が、その対抗策・切り札として作り上げたのがバルバトス。
太刀とメイス、滑空砲だけであの巨体を破壊できると踏んでいたのだから恐らく開発者たちはとても優秀だったに違いない。
でもだ。
問題はココで発生した、バルバトスが完成して後は動力源にコロナタイドを使用する予定だったとか。
つまり、デストロイヤーと同じ動力源で馬鹿みたいな機械仕掛けの化け物を生み出そうとしていたわけだな。
暴走要塞には化け物をぶつけよう。
目には目を、化け物には化け物をと言う事らしい。
だが、コロナタイド捜索中にデストロイヤー進路上に自国が・・・。
対抗しようとした物の、火力とサイズ差に押し切られておしまい。
国は滅び、開発途上であったバルバトスは遺跡に隠されてそのまま。
で、十年ほど前に俺こと
初期起動を果たし、肉体の変容に驚いている俺を発見したのがリッチーとして魔王軍の何ちゃって幹部をしているウィズだった。
当時のウィズは、魔王曰く「近場に使えそうな武器あるから」と言うなんじゃそら!?と言いたい命令を順々に全うしたわけだ。
俺と言う“武器”を発見したのだから。
結果的に俺はウィズのボディガード的な存在として扱われることになった。
冒険者ギルドには、ウィズの防御手段。
魔王には、ウィズの眷属で最高の暴走マシンと言う認識である。だが、ベルディアとか言うデュラハンは初対面ながらメイスでその頭部をホームランした。
割と本気で打ち合えば勝敗はどちらかと言えばベルディアでは無いだろうか?
なんて言っても低レベルですし?ウィズと比べれば駆け出しもいいところですし。
それに、もしも破損なぞしたらウィズが修理してくれなければ俺は常に壊れたまま戦う破目になる。
そう言った意味ではウィズと言う女性は非常に多芸なのだ。