この世界に機械仕掛けの悪魔を!   作:コードα

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女神被害者達に出会いを!1

バルバトスこと俺は魔法関係スキルは一切習得していない。

 

と言うか冒険者カードにその手の項目が現われすらしない。

 

何が悲しくて何時かは捨てる機体(からだ)のスペック向上なんぞせなならんのだ?

 

間に合っている。今のままで十分間に合っている!

 

とクエスト中ながらも憤慨しつつ、新たに習得した“ブースター無限”には感謝である。

 

割と遠出が増えた分、空中は最高の近道でアクセルの町からかなり遠出した割には昼過ぎには目的地の谷に到着し、件のコンドルと戯れることができた。

 

滑空砲で撃ち落し、トリモチだらけになった人食いコンドルに太刀を浴びせる。

 

本日四個目のクエスト“人食いコンドル”の討伐は無事終了。

 

因みに報酬は五百万エリスである。

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい、バル君!コレを見て、きっと売れるに違いないよ!」

 

ギルドにクエスト終了報告を済ませ、ウィズ魔道具店のドアを潜ると嬉々としてウィズが空いていたはずの棚に並ぶ怪しげなビンを取って見せてきた。

 

「えっと何々?炸裂ポーション・・・・」

 

やばい、嫌な予感してきた。

 

「そう、罠として使うみたいなんだけどジャイアントトードを相手にする駆け出しさんにはぴったりのアイテムだと「幾ら使ったの?」え?」

 

ウィズがぴくりと肩を震わせ、嬉々としていた笑みは引き攣った物になった。

 

そう、俺の覚えた嫌な予感はウィズが余計な浪費をしたのでは?と言うものだ。

 

俺がクエストをこなし、溜めていた金は全て金庫の中。

 

暗証番号?ウィズも知っているともさ、だから嫌なんだ!

 

「ねぇ、ウィズ。ここに入っていた五千万エリスは?」

 

「えっと、ほら!ジャイアントトード討伐に行き詰った駆け出しさんが買いに来るに違いないよ!使った分も直ぐに補填できるよ!」

 

「俺の知る限り、定価五万エリスもする偽回復薬なんて詐欺も良いところだと思うんだよ。」

 

「酷い!」

 

「駆け出しで五万ってかなり大金だ。そりゃ、ジャイアントトード十匹で賄えるけど駆け出しが狩り切れる数じゃないし何より満足な装備も無いのにカエルに食われて死にたくないだろうしね。で、金銭事情が乏しい駆け出しが、罠のために大金を叩けるわけが無い!それなら装備にまわしたほうがよっぽど堅実的だしね!!」

 

俺が言い切るとウィズは涙目で抗議する。

 

「ぐずっ、私だって良かれと思ってやってるのに・・・」

 

ソレは実に弱弱しい物だが、俺にとっては事実助かった面も過去にある。

 

「知ってるよ。」

 

「バル君!」

 

「ギルドに行って来るよ、また稼がないと・・・・さっき金庫に入れた分は維持費に回してね!?」

 

「うんっ!」

 

ウィズの返事を背に受けて俺はギルドを目指す。

 

釘を刺すことは忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、この身体になってからと言うもの一週間ぶっ続けでクエストを行おうが疲れないし眠くもならない。

 

なので、俺の敢行軍についてこれる冒険者は皆無と言って良い。

 

「やぁ、ルナ嬢。」

 

「あ、バルさん。さっきぶりですね。どうしたんですか?」

 

先ほど、報酬を受け取った俺のとんぼ返りにギルドの受付をしているお嬢さん、ルナは目を丸くした。

 

「稼ぎの良いクエスト見繕ってもらえるかな?出来るだけ高難度の奴を」

 

「分かりました、少々お待ちください。」

 

見繕ってもらっている間、パーティー募集掲示板に目を通す。

 

後ろから、

 

「バルさんがパーティ掲示板を見ているだと!?」

 

等と聞こえるが失礼な。

 

俺だってパーティーを組もうかと思うことはある。

 

ただ俺の敢行軍に誰も付いて来れないだけだ!

 

「詐欺?」

 

一枚の募集チラシを手に取ると思わず本音が出てしまった。

 

『急募!アットホームで和気藹々としたパーティーです。美しく気高きアークプリースト、アクア様と旅をしたい冒険者はこちらまで!』

 

 『このパーティーに入ってから毎日がハッピーですよ。宝くじにも当たりました』

 

 『アクア様のパーティーに入ったおかげで病気が治ってモテモテになりました』

 

 『採用条件、上級職に限ります』

 

さて、俺の職業はモビルスーツ・・・ではなく冒険者カードに記載されているのは凶戦士と言う戦士の上位職だ。

 

物理による火力特化の職業で獲物は基本的に大降りの両手斧やハンマーなどになる。

俺の場合は滑空砲と太刀・メイスである。

 

止めておこう、面倒ごとになるのが目に見えている。

 

そして再び、ルナの見繕った日帰りで可能なクエストへ出かける俺である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バル君、夜少し良いかな?」

 

晩御飯と言っても俺は食べない、食べれない。

 

ウィズの希望で拾われてからと言うもの、こうして彼女の食事風景を眺めながら相槌を打ったりしている。

 

「また墓地に行くの?」

 

「うん、最近ご無沙汰だったし・・・迷える魂を天に帰してあげないと。」

 

「そっか、一週間くらい跨いでクエスト行っていたからね。良いよ」

 

週末の日課となっているウィズの鎮魂の儀、ウィズが迷える魂を天に帰している間は無防備になるため、俺はその警護である。

 

と言ってもリッチーであるウィズの魔力に反応して這い出てくるゾンビたちの愚痴を聞くのがもっぱらだ。

 

身寄りの無い、判別されない死人たちは死に絶えて尚悩みは絶えない。

 

どうでもいいが、食事を必要としない身体になってしまった俺だが、培った感と言うのは抜けないらしい。

 

今晩の夕食は俺の手製である。

 

味は?とウィズに尋ねると美味しいと言う。

 

本当なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で共同墓地に来たわけだ。

 

ウィズは魔法陣を書いたり、準備のために開けた中央部分に向かった。

 

俺はと言うと出口で待ち通していたゾンビ君の愚痴を聞いている。

 

「でよ?最近のプリーストの奴ら、金無いなら後回しだぜ!?」

 

どうやら俺に亡者の声が聞こえるのはウィズ曰く「眷属扱いのせい」らしい。

 

ま、先人の話は聞けるだけ貴重だ。

 

それが例え要領を得ずグダグダ感全開で痴呆老人かコイツは?と思うことはあっても口には出さない。

 

「その点、お前さんは良い子を見つけたよなぁ。そんな身体でも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる嬢ちゃんなんて」

 

このゾンビA、ウィズの浪費癖を知らないからこんな事が言える。

 

確かに、装甲とか武器とかメンテナンスは感謝しているが一度に数千単位は当たり前の浪費妻とか勘弁だ。

 

「だよなぁ!俺の妻なんか別の町に越しやがったぜ!?」

 

ゾンビBが自分の死を境に妻の愛情が冷めたと決まって嘆きだす。

 

尚、ゾンビたち(成り立て含む)の共通認識はリッチーの妻の眷属=夫らしい。

 

確かにウィズは可愛くて良い子だと思うが、浪費癖が無ければ完璧だ。

 

 

 

 

ターンアンデッド

 

 

 

静まり返った墓地に浄化魔法の代名詞とも言える台詞が響くと神々しい光がアンデッドモンスターや悪霊を無条件に浄化していく。

 

ゾンビたちの愚痴を聞いていた俺は弾かれたように墓地を駆け抜けた。

 

「何処の馬鹿だ?ウィズ、大丈夫かな」

 

無事で居てほしい、それは本心だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃー!か、身体が消えるっ!?止めて止めて、私の身体が無くなっちゃう!!成仏しちゃうっ!」

 

「あはははははは、愚かなるリッチーよ!自然の摂理に反する存在、神の意に背くアンデットよ!さあ、私の力で欠片も残さず消滅するがいいわっ!」

 

ウィズのもとに戻ると、身体が消えつつあるウィズと浄化魔法を発動しているあの募集主がいた。

 

俺は迷わず、募集主の頭を鷲掴みにして一気に力を込める。

 

「こいつの頭、潰すけど良いよね?」

 

「良くないよくな・・・ぎゃーっ!」

 

「だったら魔法解除しろ。あ、これ脅しじゃないからね?」

 

「分かった!分かったわよっ!!だから放しな、ぎにゃーっ!!!」

 

アイアンクローを後ろから決めただけだが、募集主の少女の頭はメリメリと異音を奏でている。

 

うん、潰れたトマトにしてやろう。人の恩人を消そうとした報いだ。

 

因みに魔法を解除するには方法が二通りあって一つは非常に荒い方法だ。

 

早い話、術者をボコって発動維持出来る状態じゃなくせばいい。

 

「おい、放せよ!」

 

「アクアが苦しそうです。お願いですから離してください!」

 

少女・アクアのパーティも出てきたが気にせず力を込めた。

 

「バル君!手を離して!」

 

ハッとしてアクアを開放する。いけない、悪い癖が出てた。

 

「ごめん」

 

「ごめんじゃないわよ!頭が割れるかと思ったでしょ!?」

 

「割るつもりだったからな」

 

「バル君!」

 

ウィズが叱咤するが俺にとってはそれどころではなかった。

 

何故なら!

 

「あー!あのはた迷惑な女神!!」

 

そう、カズマ達との邂逅は、あったら殴ろうと決心していた柊一をこの異世界に放り込んだ女神が居たのだから。




書いといて、台所に立つバルバトス・・・

珍百景ですね!
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