「バル君、おかえっ!?」
「うん、ただいま。それと廃城に越してきた幹部ってベルディアだったよ。」
左肩の装甲にばっくりと
なくなっていたかもしれない程、深い物。
「・・・・バル君、戦ったの?」
「いや、街まで出てきたから緊急クエストでね?」
「そうなんだ。他の冒険者さん達は?」
「ダグネスが死の宣告を受けたらしいけど、アクアが解除したよ。あの・・・」
「そっか、凄いんだね!アクアさん。それはそれとして、バル君?」
バルバトスが気圧されて、後ずさると梁に頭をぶつけた。
そう、私は心配すると同時に苛立っていた。
あれほど、戦うなといったのに。バル君の力を信用しないわけじゃない。けど、正面からベルディアさんと戦って無事で済むかと言えば済まないと思っていたから。
バルバトスの前まで歩み寄った私は言う。
「バル君、しゃがんで。」
「え?この程度なら「しゃがんで!」はいっ!」
しゃがむバルバトスの顔に背伸びして手を添える。
「丁度良い機会だから暫くしてなかったメンテナンスもしよう?」
「あの、ソレはやっぱり?」
「『ドレインタッチ』!」
「ホォォォォォォォ!!?」
取り寄せた箱から、新しい装甲を運び出す。
台車に乗せ、両膝を折って項垂れるバルバトスの左脇まで運んだ。
バルバトスの部品は、セナ経由で王都の古代兵器研究者が譲ってくれているので、無く
なったら仕入れと銘打って王都まで出向いて相談するという方法でバルバトスの細かい部分は任せる形になっている。
問題は経費だけではなく、研究者・Drジェイルが常軌を逸脱した天才であり、どっかの次元世界なら世界規模のテロを起しかねない人物と言う事。
セナ曰く「王都一の天災です。もしもバルバトスさんに異常が見られたら即しょっぴきますから!」と言う。
私としては、バル君で実験したりしないで欲しい。
装甲の材質配合を変えり、変なギミックを入れたり。でも、マナタイト80%配合の装甲は魔法耐性もあるので長く使っている。
それはバル君の回避能力もあってだ、バルバトスボディの中に居る柊一君の洞察力には恐れ入る。
「えっと、今回ので全部使い切っちゃうかぁ」
細かい部品を必要数取り出し、空になった箱を覗き込むと呟いた。
定期的に行っていたメンテナンスもさぼり気味になっていたせいもあって全交換の左腕、後は損傷が少ないので大丈夫。
「明日に備えてバル君を仕上げよう!」
私は気合を入れてバル君の痛んだ装甲を外し始めた。
バルバトスボディが稼動できる魔力が枯渇したりすると自動的にシャットダウンする仕組みなのだ。
因みに自己補填が可能、その動力源が
えっとこの
「その身体を開発した国は、“メタルフレーム”と呼ばれるまったく別用途の備品を魔改造して対デストロイヤー用兵器に仕立て上げた。そして、その動力源はコロナタイド予定だったが、間に合わず禁術を用いた魂を捕縛し封印した六角形の水晶体を最終的に組み込んだようだね」
と言う見解を出した。
「意志の力が強ければ、君は悪魔のような強さを誇るだろう!」
と言ういい加減な仮説の元、俺は以前のフルメンテで聞いた。
そして、ジェイルの見解はウィズと一致して
俺は死ぬ、それは分かった。
「俺は・・・・人間に戻る為に魔王を狩る」
柊一としてもう一度、決意口にした。
「その過程でウィズに、仲間に被害が出そうなら守る。守り通す!」
最近、魔王を倒す以外に出来た決意。
これは
カズマ達が、ギルドの仲間がそう思わせてくれるようになった。
どのくらい時間が経ったか、冷たい鉄の身体に力が満ちる、意識が広がる。
閉じたカーテンの間、窓から太陽の光が差し込んでいた。
いつも通りの店内は、片付けないで寝てしまったのか工具やら装甲が置いてある。
「ありがとう、ウィズ」
カウンターに突っ伏して寝ているウィズを見つけて不意に呟いていた。
ウィズが現役冒険者だったころ、氷の魔女と魔王軍に恐れられていたと言う。リッチーになって、魔王城に乗り込み、当時の仲間に死の宣告を掛けたベルディアをボコっていると魔王に幹部にスカウトされ、結界の維持だけを条件に中立を決め込んだと言うのだ。
一度、キレたウィズを見たことがあるが・・・うん。片手で一面氷付けにさせるとかね、おっかないにも程があるでしょうに!
「さて、装甲と工具を片付けてクエスト行こう。あ、ウィズに毛布も持って来よう」
新しい部品を馴らす意味も込めて俺は動き出す。
先ずはクエストで今回の費用の穴埋め、その後はウィズに時間を割いてあげるのも悪くないとそう思いながらギルドへ歩を進める。
「おい、いい加減その手を放せ。礼儀知らずにもほどがあるだろう」
「ちょっと撃ちたくなってきました」
「それはやめろ。俺も死ぬ」
「君達は、クルセイダーにアークウィザードかなるほど、君はパーティーメンバーには
恵まれているんだね。君はこんな優秀そうな人達を馬小屋で寝泊まりさせて、恥ずかしいとは思わないのか?」
ギルドに向けて歩いているとカズマ達は誰かと揉めている様だった。
有名なRPG風の鎧を身にまとう少年の姿に見覚えがある。と言うかしつこく食い下がってきた御剣キョウヤだ。
「どうしたの?カズマ」
「バルバトス、実はって何か腕ごつくなってなるな」
「ああ、メンテがてらに強化してくれたらしくてね。で、何で揉めてたの?」
カズマが新たに増設された迫撃砲とチェーンガンユニットに目を丸くした。
そう、今の俺は原作で言うバルバトス第五形態である。武器も使い込み過ぎて満足に機能しなくなっていたメイスからレンチメイスに切り替え、ハンマーを担いでいるようにも見えるらしい(後日談)。
「ソイツがいきなり絡んできたんだ」
と言うカズマ。
「なっ!バルバトス、キミはこいつと知り合いなのか?」
「同じパーティーだよ」
「何!?僕の誘いを断って、こんな奴と!?」
最初から上位職であるソードマスターになっていたキョウヤの勧誘を以前断った。当時はパーティーなんて足かせだと思ってたし、何より天才肌に俺のような泥臭い努力型が気が会うとは思わなかったからだ。
その点、カズマは巷で“クズマ”や“カスマ”などと言われ様と本当にゲスい行動を取ろうとやる時はやるタイプだと思うし、いかに最弱職であろうとキョウヤより信頼できる。
何より、同じ駄女神の被害者だ。
そう思っているとまるで同情でもするかの様に、カズマ以外の俺達に笑いかけた。
「君達、これからはソードマスターの僕と一緒に来るといい。高級な装備品も買い揃えてあげよう。バルバトスも、もう一度パーティー入りを考えてみてくれないか?」
「ちょっと、ヤバいんですけど。あの人本気で、ひくぐらいヤバいんですけど。ナルシ
ストも入っている系で、怖いんですけど」
「どうしよう、あの男は生理的に受けつけない。攻めるより受けるのが好きな私だが、あいつだけは何だか無性に殴りたいのだが」
「撃っていいですか?撃っていいですか?」
「パーティーから離れるつもりはし、なら今回ウィズの仕入れた爆裂ポーションを全て買い占めてくれ、その上で俺の突貫一週間高難度クエストを付き合って音を上げなかったら考えるよ、カズマはこなしたからね」
嘘である。
「・・・・・えーと。俺の仲間は満場一致であなたのパーティーには行きたくないみたいです。では、これで・・・・」
そう言ってカズマ達は立ち去ろうとする。
するとキョウヤが立ち塞がった。
「どいてくれます?」
「悪いが、アクア様を、こんな境遇の中に放ってはおけない。だから勝負しないか?僕
が勝ったらアクア様を譲ってくれ。君が勝ったら、何でも一つ、言う事を聞こうじゃないか」
「よし乗った!行くぞ!」
そう言ってカズマが奇襲を行う。キョウヤは急いで魔剣を抜くが・・・・。
「『スティール』!」
カズマのスティールが発動して魔剣を奪って、その魔剣でキョウヤの頭を強打した。叩
かれたキョウヤは気絶した。本当にカズマはスキルの使い方が上手い。
こういう奴を見るとスキルを使えない俺としては何か悲しくなってくる。
ファンタジー色の強い世界なのに、どうして俺はメカなのか?
「卑怯者!卑怯者卑怯者卑怯者っ!」
「あんた最低よ!この卑怯者!」
キョウヤのパーティーの女の子達がカズマを卑怯者と罵っていた。
いやいや、ソードマスターが最弱職に勝負を挑むのは卑怯じゃないの?
そう思っているとカズマが魔剣を持っていこうとしていたがキョウヤのパーティーの女の子達はカズマの勝ち方を認めていない様だ。そう思っているとカズマが右手をワキワキさせて見せつけた。
「真の男女平等主義者な俺は、女の子相手でもドロップキックを食らわせられる男。手加減してもらえると思うなよ?公衆の面前で俺のスティールが炸裂するぞ」
するとキョウヤのパーティーの女の子達は悲鳴を上げて逃げていく。
何度か見たけど、カズマの『スティール』は煩悩に従順だからな。
オリキャラ
・Drジェイル
鉄血でいうサイセイの職人、王都で古代兵器の研究第一人者で外見は砲撃少女に出ていた天才テロリスト。
その技術力は追随を許さないほど高く、古代兵器の副産物“メタルフレーム”を再現可能である。
尚、性格に難があり孤立していてバルバトスの装備に試験要素をふんだんに盛り込もうとしてウィズがキレたことがある。
口癖は「天才は理解されない」。
・メタルフレーム
本来は魔力で動く三メートルサイズの物運びゴーレム。
国王の無茶振りで開発者が「デストロイヤー相手なら」と採算を度外視して魔改造したしたのがバルバトスの
余談だが、開発者の口癖は「スタイリッシュ」。