『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってください!・・・・・・特に、冒険者サトウカズマさんとその一行は、大至急でお願いします!』
ギルドに再び緊急放送が入り、名指しされたカズマは首を傾げる。
「とりあえず、正門に向かいましょう」
「えっ!何であいつが・・・・・・。」
あの魔王軍の幹部のデュラハンがいた。そしてそのデュラハンは体を震わせながら言った。
「なぜ城に来ないのだ、この人でなしどもがああああああ!!」
「ええっ!なんで?もう爆裂魔法を打ち込んでもいないのに」
「打ち込んでもいないだと!?何を抜かすか白々しい!そこの頭のおかしい紅魔族の娘
が、あれからも毎日欠かさず通っておるわ!」
俺は隣のめぐみんを見た。めぐみんがふいっと目を逸らした。
「お前なあああああああああ!!」
「ひたたたた、違うのです、聞いてください!今までなら、何もない荒野に魔法を放つ
だけで我慢出来ていたのですが、城への魔法攻撃の魅力を覚えて以来、大きくて硬いモノじゃないと我慢できない体に・・・・・・」
「もじもじしながら言うな!大体お前、魔法撃ったら動けなくなるだろうが!てことは、一緒に行った共犯者が・・・・・・」
俺の言葉を聞いたアクアがビクッてした。俺はアクアを見るとふいっと目を逸らす。
「お前かあああああああああ!!」
「ひたたたた!あいつのせいでろくなクエスト請けられないから腹いせがしたかったんだもの!」
この駄女神のほっぺたを引っ張っていると、デュラハンが言葉を続けた。
「聞け、愚か者ども!我が名はベルディア!俺が真に怒っているのはその件ではない!貴様らには仲間を助けようという気はないのか?これでも昔は真っ当な騎士のつもりだった。その俺から言わせれば、仲間を庇って呪いを受けた、騎士の鑑の様なあのクルセイダーを見捨てるなど・・・・・」
そうデュラハンがそこまで言い掛けた時だった。ようやくダクネスが重い鎧をガチャガチャいわせ、やって来た。そして俺の隣に立ち照れているダクネスは言った。
「その、騎士の鑑などと・・・・・」
「あ、あれえーーーーーーーーーーー!?」
ダクネスを見たデュラハンが素っ頓狂な声を上げた。隣にいるアクアがその光景を見て笑っていた。
「なになに?あのデュラハンずっと私達を待ち続けていたの?あっさりと呪い解かれちゃったとも知らずに?プークスクス!うけるんですけど!ちょーうけるんですけ
ど!」
そう言ってアクアはデュラハンを指差して笑った。
誰でもいい、誰か
「バルさん!至急正門に向かってください。前回と同じデュラハンです!!」
ルナがそう言う、
まぁ、思いの他装甲とか散らかってましたから?仕方ないよね!・・・・はい、言い訳です。
「またぁ?懲りないな・・・よし、今度こそ殺し切ろう」
正直、ベルディアはもう寄り付かないと思っていた。
だって、男なら当然
寄り付かないだろう、俺なら近寄らないし嫌煙する。
新たな装備を馴らすには丁度いいだろうし、最近訛っていた人型の経験値にもなってもらおう。
廃城まで出向く手間が省けたという物だ。
ギルドの扉を潜ると凄まじい爆裂音が大気を揺らした。
「・・・・出番、ないかもしれないなぁ。それなら冒険者の経験になっていいけど」
そう言いながら俺はギルドの扉を潜る。
あ、レンチメイスが扉に引っかかった。
「ダクネスが!カズマ、ダクネスが!」
思い出せ!相手はデュラハンだ、ロールプレイングゲームでは何が弱点だった?・・・・・・メジャーアンデッドモンスター、ヴァンパイアも苦手とする流れる水。なら、あのデュラハンは?
「元騎士として、貴公と手合わせ出来た事に魔王様と邪神に感謝を捧げよう!さらばだ、勇敢で愚かなクルセイダー!」
「『クリエイト・ウォーター』!」
「!?」
俺は水魔法をベルディアに向かって放った。
ベルディアは俺の水魔法を避けたやっぱりこいつの弱点は・・・・・・。俺は大声で叫んだ。
「水だあああああああ!!」
その言葉を聞いた魔法使い達と俺は水魔法を連続で放った。
「『クリエイト・ウォーター』!」
「『クリエイト・ウォーター』!」
「『クリエイト・ウォーター』!」
「くぬっ!おおっ!っとっ!」
俺達の水魔法をベルディアはこれでもかと躱す。くそっ!魔力が尽きちまう!
「来たぞ!バルさんだっ!!」
誰かが、其処に集まった冒険者たちが上空に躍り出た影を指差して叫んでいた。
つられるように『クリエイトウォーター』を放っていた魔法使い達、俺も空を見上げる。
「弱点を見抜いたんだ?やるじゃん、カズマ」
そう賞賛の声と供にその場に居た誰よりも重く高威力の一撃が振り下ろされた。
ボコォッ!と小さな爆発にも似た一撃が大地をえぐる。
倒れたダグネスの近くまで小さなクレーターが出来ていた。
「やっぱ取り回しが悪い」
「愚かな!そんな装備で倒せると思っているのか!?」
「・・・・煩いな」
鍔競り合うとベルディアと俺の力は拮抗し、互いに踏ん張っていることで地面がバコッ!と音を立てて何故か凹む。
かなりレベルを上げたつもりだった。が、ベルディアには一歩及ばずと言う感じか・・・・と言うよりは装備に不慣れだからと言う部分が大きい。
さらに言えば俺は今の形態に不慣れ、殆どぶっつけ本番だ。
滑降砲のように引き金を引いて撃つのではない、迫撃砲・チェーンガンユニットは意識を傾けて“撃つ”と思えば放たれる。
「倒せばいいんだろ?玉無しデュラハンを」
「誰のせいだ!?誰の!!!!」
ベルディアが再び抱えた首を放り投げる。同時に俺は重心を左に傾けてサイドスラスターを吹かし、背後に回りこみながらレンチメイスを振り抜いた。
「ぐぅっ!」
「お前、其処に倒れている奴らを殺ったろ?」
駆け出し冒険者の介入できない近接戦が続く中、冒険者たちの間には「バルバトスに任せておけば大丈夫」と言うような空気が流れ始めていた。
事実、この街の最高レベルの前衛職が飛び込もうものならベルディアに切伏せられるかバルバトスの足手纏いになる。
「クソッ!何とかしてバルバトスのフォローを・・・・」
そう戦いから目を離さすことの無いカズマは呟く。
それでバルバトスが優位になるならと思ったから、俺が戦いに参加しよう物なら直ぐにころされてしまうのは目に見えているからだ。
「バルバトス!水だっ!初級魔法くらい習得してるだろ!?」
「魔法やスキルは使えない!出来るのは
バルバトスが即答する。
マジか!?俺の情報意味ねぇ!!と頭を抱える俺の目の前でバルバトスの獲物が弾かれ、宙を舞って近くに落ちてきた。
剣の腕ではやはり騎士として全うに生きた経験のあるベルディアが一歩前を歩いているらしい。
「カズマったら何を遊んでいるの?馬鹿なの?」
打開策を考えているとアクアがそう言った。コイツゥー!!!!
「あいつは水が弱点なんだよ!なんちゃって女神でも水の一つぐらい出せるだろ!」
「あんた、そろそろ罰の一つも当てるわよ無礼者!洪水クラスの水だって出せますか
ら!」
「出せるのかよ!」
「謝って!なんちゃって女神って言った事、ちゃんと謝って!」
「後でいくらでも謝ってやるから、とっとと出せよこの駄女神が!」
「わああああーっ!今、駄女神って言った!見てなさいよ、女神の本気を見せてやるから!」
そう言ってアクアが魔法の準備を行った。
「この世に在る我が眷属よ水の女神、アクアが命ず・・・・・・・・。」
「ッ!!これは!」
「我が求め、我が願いに応えその力を世界に示せ・・・・・・・。」
「いかん!・・・・・・・!!」
ベルディアが逃げようとするが、ダクネスがベルディアの足を掴んだ。
「離せ!このド変態騎士があ!!」
「何という罵倒・・・・・・」
「逃がすわけ無いだろッ!」
レンチメイスでベルディアの左腕を捕らえ、バルバトスも拘束に参加。
「『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』!」
そう唱えると膨大な量の水がベルディアを襲った。
「あ、アホかぁ!!!?」
当然、その場に居た俺達も巻き込んで。バルバトスの素に戻った叫びをかき消して濁流は全てを飲み込んでいく。
唱えたのは
濁流のせいでベルディアの腕を断つまで行えなかった上にかなりの距離を流された、と言うかだ。水の力って侮れない。
身体で助かったかもしれない、生身なら窒息してたよ。多分・・・・レンチメイスも直ぐに見つけられたし、ベルディアを補足してスラスターを吹かす。
「何を考えているのだ貴様・・・・・。馬鹿なのか?大馬鹿なのか貴様は!?」
水が引いた後には、地面にぐったりと倒れこむ冒険者と一緒に同じく、ぐったりとしていたベルディアがヨロヨロしながら立ちながら言った。
「今がチャンスよ、カズマ!」
「今度こそお前の武器を奪ってやる!」
「弱体化したとは言え、駆け出し冒険者のスティールごときで俺の武器は盗らせわせぬわ」
そう言ってベルディアが俺に向かって突進してきた。不味い!以外に速い!
「くそっ!『スティ・・・・」
「遅い!」
そう言ってベルディアが俺に剣を振り下ろす!俺は目を瞑った。
「駄女神ストライク!!!」
「ひゃあああああっ!!?」
その賭場と悲鳴を聞いて俺が目を開けるとベルディアにアクアがぶつかった所だった。
それも頭から、キリモミ回転して。
「時と場合を考えろ。駄女神、
思わず引いてしまう発言だったが、俺には分かる気がした。
バルバトスは邪魔されたことにご立腹なのだ。だって目、赤いし・・・・絶対個人攻撃じゃない魔法に巻き込まれたことに。
「ソレは兎も角、カズマ。チャンスだよ」
と我に返ったバルバトスが促す。お、おおう!
「『スティール』ッ!!」
俺は全魔力を込めたスティールを炸裂させた!俺の両手にずしりとした重さが両手に伝わった。
「あ、あの・・・・」
ベルディアの声が聞こえた。俺は両手の間をみた。そこにはベルディアの頭があった。・・・・・にやり。
「おいお前ら、サッカーしよーぜ!サッカーてのはなああああ!手を使わず、足だけでボールを扱う遊びだよおおお!」
俺は冒険者達の前に、ベルディアの頭を蹴りこんだ!それを真似して他の冒険者もベルディアの頭を蹴っていた。
「おし。アクア、後は頼む」
「うう、任されたわ!」
頭を抱えていたアクアが魔法を発動した。
「『セイクリッド・ターンアンデッド』!」
「ちょ、待っ・・・・・・・!ぎゃあああああああああ!」
アクアの魔法を受けたベルディアは浄化された。こうして俺達と魔王軍の幹部との戦いは終わった。
今回は目立った傷が無くてよかったけど、レンチメイスも扱いなれないと。と
何でかと言うのは怒ったウィズは本当に怖い。
「では、魔王軍の幹部討伐の報酬金をお受け取りください。バルさん」
「ああ、うん」
ベルディアを討伐した翌日に冒険者ギルドへ行くと、魔王軍の幹部討伐の報酬金を受け取った。今回参加した冒険者全員に配られているようだ。まだカズマは来ていなかったがダクネスは他の人と酒を飲み、めぐみんは料理を食べ、アクアは報酬金を使い、酒を大量に飲んでいた。俺はそんな光景を眺めて思うことがあった。
こんな荒くれ稼業だが、こうして集まった連中を眺めるのは嫌いじゃない。
そう思っているとカズマが来たので俺はカズマのもとに向かった。皆がカズマに話しかけているとルナが来た。
「実は、カズマさんのパーティーには特別報酬が出ています」
「え、何で俺達だけが?」
「おいおいMVP!お前らがいなきゃ、デュラハンなんて倒せなかったんだからな!」
その声にそうだそうだと騒ぎ出す。
「おっほん!サトウカズマさんのパーティーには三億エリスを与えます」
「「「「「さっ、三億!?」」」」」
三億・・・だと!三億があれば今の赤字を解消して装甲一式そろえてもお釣が!そう思っているとカズマが集合をかけた。
「お前らに一つ言っておく事がある!大金が入った以上、俺はのんびりと安全に暮らしていくからな!」
「待ってくれ!強敵と戦えなくなるのはとても困るぞ!?」
「待ちません!あと、困りません!」
「私も困りますよ、私はカズマに付いて行き、魔王を倒して最強の魔法使いの称号を得るのです!」
「得ません!」
「またヒキニートに戻るつもり!」
「戻りません!ニートじゃないから!」
「まぁ、三人とも落ち着こう。カズマの意見も尊重しようか?たまにクエスト連れて行ってもらう感じでいいでしょ」
「バルバトスだけだ俺の気持ちをわかってくれるのは!」
「ところでこの爆裂ポーションをまとめて買って?」
「それとこれとは話が違う」
「うん、知ってた」
俺達が話し合っていると、ルナがカズマに一枚の紙を渡した。・・・・・請求書?
「実は、アクアさんの召喚した大量の水により外壁などに大きな被害が出ていまして・・・・・・。まあ、魔王軍幹部を倒した功績もあるし、全額弁償とは言わないから、一部だけでも払ってくれ・・・と・・・・・」
そう言ってルナは奥に戻ってしまった。約束の展開か。
「報酬三億・・・・。そして、弁償金額が三億四千万か。・・・・カズマ。明日は、金になる強敵相手のクエストに行こう」
「血で血を洗う魔導の旅は、始まったばかりですね」
「借金は等分でいいわよ・・・・・」
「カズマ、明日から高難度クエ六連戦くらい行こう。大丈夫、カズマは見ているだけでいいから」
本当にこのパーティーは飽きさせないなと思う俺であった。
コレで原作一巻分が終わりになります。
因みに最近原作読み始めました。