この世界に機械仕掛けの悪魔を!   作:コードα

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機動要塞デストロイヤー編
機械仕掛けの悪魔に変身将軍を!


ベルディア討伐から日は経って時期は冬。

 

この時期になるとここ数年、決まって訪れる人物が居る。

 

そう、(セナ)だ。

 

足早にアクセルの街・正門を潜るとまっすぐウィズ魔道具店を目指して闊歩する。

 

その服装は何時もの監察官の制服ではなく、藍色のマントに腰には愛用のロッド、魔法使い達が似たような格好をしているが、まさにソレだ。

 

「いきなり長期休暇を取らされたのは驚いたけれど、コレはコレで良かったかも?」

 

最近、バルバトスと接点が無くご無沙汰であった。

 

私としてはぶっちゃけバルバトスさんと接点を持ちたいと焦っていた。

 

だってほら、恋も戦闘(バトル)も先手必勝と言うし。と言うかバルバトスさんは王都でも若干噂になっていている。

 

駆け出し冒険者の指示で魔王幹部を倒すのに貢献した。

 

それが事実なら、その冒険者って実は凄い逸材じゃないだろうか?

 

看板が見え、もう少しと言う所でバルバトスさんの悲痛な叫び声が聞こえた。

 

「そうじゃないよっ!何で金が溜まるとマナタイトを仕入れちゃうのさ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セナが(バルバトス)の声を聞いて店までの僅かな距離を駆け出す五分ほど前の事だ。

 

俺は上機嫌でクエストを終えて、冬至中は出来るだけ店に居ようと考えていた。

 

数ヶ月は、一千万エリスあれば店の維持と仕入れ・・・・そう、馬鹿げた値段の物を仕入れなければ問題ない金額に達していたからだ。

 

後は、ウィズに時間を割いてあげようと・・・・。

 

「バル君!今ままで最高品質のマナタイトがね、格安で手に入ったの!!」

 

と興奮気味に離すウィズ、俺はここで寒気を覚えた。

 

「・・・マナタイト、最高品質・・・・?」

 

「そう!何処かの魔法使いさんが纏めて買っていって口コミで広げてくれる!そうすればバル君が危ないクエストに出かけずに済むんだよ!?」

 

ウィズの言葉の端々からは心配しているのが感じ取れるが、今の俺としては金庫の中の札束が無事なことを祈るばかりである。

 

「・・・・・ねぇ、ウィズ?」

 

金庫に入っていた七百万エリス、その束が無い。と言うか金庫の扉はフルオープンで、俺が今しがた持って帰ってきた三百万エリスしかない。

 

「うん、大丈夫だよ?私頑張って商品売ってバル君に楽を」

 

「俺の言いたいこと、分かるよね?」

 

「うん、だから目を赤くしないで?私頑張るから、マナタイトも定価より安く」

 

「そうじゃないよっ!何で金が溜まるとマナタイトを仕入れちゃうのさ!!?」

 

と俺の叫びと同時にドアが勢い良く開き、バキャァ!と俺の脚に当たり粉砕。

 

「どうしたんで・・・すみません!!」

 

開けた張本人、セナはバキャァ!と言う音の直ぐ後に頭を下げた。

 

「いや、こんな所で嘆いてた俺もいけないし・・・・」

 

「うん、少し古くなっていたから」

 

「でも普通ぶつかっただけで粉砕するドアなんてありませんよ!?」

 

フォローしようとしたら逆に突っ込まれた。

 

うん、監察官って仕事は矛盾を見つけてつっ込むのが仕事みたいなもんだし、流石プロ。

 

「セナちゃん、今日は休みなの?」

 

話題を変えるべくウィズが格好について聞いてみた。その間、俺は工具箱と適当な部品を見繕って簡易的な扉を作り上げようと取り掛かる。

 

俺は兎も角、この時期に扉無じゃウィズは堪えるだろう。

 

「はい、いきなり長期休暇とらされて暫くアクセルの街にいようかと思いまして。副業も兼ねてクエストを受ければ身体も動かせて一石二鳥かなって」

 

「そうなんだ。宿は決まっているの?」

 

「これからなんですよ。とりあえずギルド併設の宿場でもと」

 

そう、セナの言う通り街によってはギルドに酒場と宿場が併設されている。

 

残念なことにアクセルのギルドには宿場は併設されていない。忘れているな、セナの奴。

 

「そっか。なら家なんてどうかな?」

 

「ギブ&テイクですね?そういうことなら!」

 

ウィズが提案するとセナは快諾した。

 

店を手伝う・俺のクエストを手伝う事が条件である。が、セナは難なくこなしている。

 

「と言うか、時期的に将軍様じゃないの?」

 

「あ、バルバトスさん。二億エリスですけど、どうですか?」

 

王都からの討伐依頼“冬将軍狩り”のお達しもセナは預かっているのを俺は知っている。と言うかここ数年決まってセナが知らせに来る。

 

普段、俺が受けたがらない依頼なのでセナは控えめに尋ねる。

 

無論、特殊クエストである為実力者にしか知らされない。しかも実力者が断れば王都騎士達が討伐に動くのだが・・・。

 

「喜んで」

 

俺は即答した。

 

今は少しでも金が欲しい!

 

 

 

 

 

 

 

「報酬は良いのばかりだが、本気でロクなクエストが残ってないな・・・・・」

 

「カズマ!カズマ!」

 

「カズマです」

 

「これ何かどうだ?白狼の群れの討伐、報酬百万エリス。ケダモノ達に無茶苦茶にされる自分を想像しただけで・・・・・」

 

「却下」

 

「カズマ!カズマ!」

 

「カズマだよ」

 

「これ何かどうですか?一撃熊の討伐!ふふ、我が爆裂魔法とどちらが強力な一撃か今こそ思い知らせてやろう!」

 

「そんな物騒なモンスターに関わりたくない、首を撫でられただけで即死しそうだ」

 

ギルドに着くと掲示板の前でぎゃあぎゃあと騒ぐ我がパーティーを発見した。

 

セナは目をぱちくりさせている。無理も無い・・・ギルドに来る道中で、カズマについて尋ねられた。

 

なのでどんな強敵にも力ではなく気転で勝負に出る奴と答え、多分ギルドに居ると言って紹介する気だった俺。

 

「どうしたの?騒いで、いい仕事でも見つかった?」

 

「あ、バルバトス。いや、それどころか高難度のクエストしか・・・って誰だ?その人」

 

カズマが答えて、セナに気づいて尋ねてきた。

 

「前に話した以前一緒に組んでた子だよ。これから“雪精”の討伐に行くつもりなんだけど」

 

雪精の討伐、ぶっちゃけ無害なモンスターなのだが一匹倒されると春が一日早く来ると言い伝えられている。

 

その首領が、冬将軍だから冒険者稼業が長いと例え報酬が美味しくても誰も受けない。

 

「セナです。よろしくお願いします、ウィザードを副業にしています」

 

「副業?貴女の本業は何のですか?」

 

首をかしげながらめぐみんが尋ねるとセナはこれ以上に無いほど簡潔に一言。

 

「監察官です。なので観察眼には自信があると自負します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば、雪原に行くのに虫取り網を持っていく馬鹿が居ようか?

 

例えば、私服で武器だけを携えて超ど級危険モンスターの前に出ようとする奴が居るだろうか?

 

このパーティーにおいて言えば・・・・居る!

 

俺はともかくとして、セナとカズマ、めぐみんはしっかりと防寒着で寒さ対策を怠らない。

 

アクアは、一様防寒着を着ているが手にしている虫取り網が謎の存在感を醸し出している。

 

「バルバトス、俺の思ってることは変か?」

 

「いや、俺もカズマと同じこと考えてると思うよ?」

 

「「変態の体温は高いのと駄女神は馬鹿だった」」

 

「ちょっ、酷くないですか!?」

 

俺とカズマがはもると律儀につっ込むセナ。

 

「見てみて、カズマ。大量よ!」

 

そんな俺達を他所にアクアは捕獲した雪精を小瓶に詰めていく。

 

「あ、あの・・・何してるんですか?」

 

「ああ、雪精を小瓶に入れて飲み物と一緒に入れておくの。そうすれば何時でもキンキンに冷えた飲み物が飲めるって寸法よ!」

 

セナでさえ、呆れて物が言えない。

 

恐らくカズマは、討伐数が振るわなかったら討伐してしまおうと考えている事だろう。

 

「所でバルバトス、さっきからダダダダッ!って煩いんだけど」

 

カズマがそう言った。

 

確かに一番戦闘音が煩いのは俺である。逃げ回る雪精に対して一切動かずにチェーンガンを放ち続けているとカタカタカタ・・・と乾いた音が響いた。

 

いかん、右は弾切れか。

 

「仕方ないだろ。雪精の討伐数は、カズマ。お前にくれてやるよ」

 

「マジで!?」

 

驚くカズマに俺は言い切った。

 

すると爆音が辺りの雪精を吹き飛ばした。

 

「めぐみん、爆裂魔法を撃つなら一言言ってくれ!心臓に悪い」

 

「言いましたよ、バルバトスの腕が煩くて聞こえてなかったんでしょう。さっきので八匹倒しましたよ、レベルも一つ上がりました。」

 

と突っ伏して言うめぐみん。

 

まぁ、そのままでいて欲しいな。俺的には、何せあの轟音だ・・・来る頃合だろう。

 

「・・・・・カズマ、何故冬になると冒険者がクエストを受けなくなるのか教えてあげるわ」

 

徐にアクアが言った。

 

「カズマ達は離れて見てて、ココから先は俺の仕事だから」

 

と俺は言って飛翔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、セナさん。」

 

「何ですか?カズマさん」

 

(カズマ)は、新たに現れた将軍(?)についてセナに尋ねる。

 

俺の思っていた将軍というのは、白い兜に意匠のこった陣羽織なんかを着ている物だと思うが、どうも白い兜と「シュコー!」とガスマスクのようなマスクから息を漏らして手にしているはずの刀は柄しかなく、ブゥン!と音を立ててビームサーベルのような光の刃を出現させた。

 

「アレ、ダー○ベーダーじゃないですよね?」

 

どう見ても冬将軍の外見は某SF映画のラスボスだ。

 

「はい。冬将軍の新形態です!冒険者によって姿を変えて現れると聞いていましたがバルバトスさんに対抗したんだと思います」

 

「・・・対抗って前にも戦ったみたいな言い方ね?」

 

といたって真面目に答えるセナさんにアクアが尋ねた。俺も気になる、非常に気になる。

 

「去年、太刀で相対したと言っていました。討伐はならず逃がしたと悔しがっていましたが」

 

「ソレってつまり、去年は相打ちってことか!?」

 

「大丈夫!冬将軍は寛大よ、DOGEZAをすれば許してくれるわ!」

 

「あ~多分ソレは無理!」

 

アクアが胸を張っていうとバルバトスが叫んできた。

 

「今年は敵意むき出しだ!逃げないと殺されるよ!!」

 

「「「「「はぁ!!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

死んだ振りを決め込んでいためぐみんは跳ね起きてカズマの背後に回りこみ、強敵と戦えることを喜ぶドMなダグネスも獲物を仕舞い、カズマ達のところに足並みをそろえる。

 

アクアだけ「アンタ冬将軍に何したのよ!?」と怒鳴っているが、去年も金策に走った結果だ。

 

「前は首を撥ねそこなったよなぁ!?」

 

レンチメイスが冬将軍の兜を捉えた・・・・筈だった。

 

「フシュー!」

 

「え?何、そんなことも出来るんですか!?」

 

思わず敬語になってしまったが、冷気を集約してレンチメイスを防ぐほどの氷板を生み出したのだ。しかも浮いている、手で支えるとかそう言うんじゃない。

 

確かこんな技を○戦士の中のスキンヘッドがしていたような・・・!?

 

「チッ!今年は特殊攻撃ありか」

 

ブーメランの様に投げられた氷の刃、板かと思えば円形の刃でよく切れそうだ。

 

(バルバトス)が距離をとると冬総軍がさらに驚くことをして見せた。

 

「シュコー・・・・変・・身・・・・!」

 

「「「「「「変身!?」」」」」」

 

カズマ達だけでなく俺も驚いた。

 

変身、変身ってアレか!?あのポーズを取って光ってぺカー!って奴か!?

 

期待を裏切らず、冬将軍は冷気で外装を追加した。

 

今までどおり、意匠の凝った陣羽織を白銀のボディに纏ってダー○ベーダーのような兜から和装の兜に。

 

そして、冬将軍は消えて見せた。

 

瞬間、カズマは弾かれたように動いてセナとダグネスの頭を雪に押し付けるように押し倒す。

 

「ちょっ!?」

 

「何を・・・・・カ、カズマァ!!」

 

セナが顔を上げようとした。僅かに早かったダグネスが、パーティーリーダーの末路を目撃したのだ。

 

真っ赤に染まる雪を見てセナも何が起きたかを悟るのに時間は掛らず、刀を振り上げている冬将軍と視線が合う。

 

(あ、死んじゃう)

 

セナの思考が停止した。

 

悲痛な叫びを上げるダグネス、駆け寄るアクアとめぐみん。

 

セナにはスローモーションに見えるその映像が等速に戻ったのは俺が冬将軍を殴り飛ばした時だと後に語った。

 

「何してんだよぉ!!」

 

今度こそ、レンチメイスに手応えを感じながら振りぬき、スラスターを吹かせて追撃する。

 

「シュコー!」

 

「金とか・・・・関係なしに打ち殺す!!」

 

チェーンガンから迫撃砲に切り替え、僅かに開いた間合いがつまる前から攻撃を続ける俺。

 

猛攻、誰もがそう言うだろう。カズマ達から離れ、射撃を刀で無効化する冬将軍の隙を突いてデットリーブローを叩き込み、バウンドする冬将軍を追撃する。

 

一つ言おう、俺の職業(ジョブ)はなんだっけ?

 

困った時の凶戦士(バーサーカー)でございます!!

 

レンチメイスを思いっきり振り下ろすと冬将軍は直撃を受けた。

 

ピシッ!

 

かすかな音と供に冬将軍の身体に亀裂が入る。が、一瞬の隙を突いて冬将軍の兜をレンチメイスで挟み込み、スイッチ。

 

ギャァァァァ!と唸りを上げるチェーンソー部分が、一気に冬将軍の命を刈り取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景を迷彩効果を発揮して積雪に隠れて眺める奴が居た。

 

デーモン閣下のようなフェイスペイントとデスメタルジャケットのような装備が目を引くソイツは見事に風景と同化している。

 

「噂に違わぬ悪魔のごとき所業、殺すのは手間が掛りそうだ」

 

魔王軍幹部にのし上がったばかりのこのキメラ・クラウザーは人型でありながら多くのモンスターを取り込んで自身を強化してきた。

 

何より、元幹部様の半身でもある彼は魔王が反攻の要になるのではと危惧するバルバトスを屠る為に対物理攻撃に重点を置いた部品回収を行っていた。

 

冒険者達は魔法や特殊攻撃でモンスターを倒すことはあるが、頭を固定してチェーンソーとか・・・・有り得ない。魔王軍でもどん引きされるぞ。

 

そう思いながらその場を後にする。

 

バルバトスに仕掛けるのには今は部が悪い上にクラウザーの状態は万全とはいえなかったのだから。




記念すべきカズマ死亡一回目の回、後オリジナル敵キャラちょろだし。


クラウザー、そう額に「殺」って書いてあるあの人がイメージです。

尚、凄まじく多芸にする予定。
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