REBORN DIARIO 作:とうこ
応接室爆破騒動後の週末の朝――伊波紫乃は、自室の畳に敷いた布団の上で目を醒ました。
「おはよう」
四畳半の部屋の南西向きにある大窓からの景色は、清々しい秋晴れの青空を見せていた。とても気持ちいい朝になるはずであった……視界の端にこの男がいなければ。
「……」
「……へえ、驚かないんだ」
紫乃が寝ていた部屋の木目の窓枠に腰を下ろし、くつくつと妖しい微笑をこぼしている雲雀恭弥がいた。
休日の朝だというのに制服の学ランを着ている。ほんとに学校大好き人間なんだなと、本人に知られないところで紫乃はドン引きした。
「どうやって部屋に侵入した」
「侵入だなんて人聞き悪い。こんなセキュリティ一の低いアパートの鍵なんて簡単にこじ開けられるよ。草壁に言って最新のセキュリティ一ロックを付けてあげたから、はいこれ鍵」
ポイッと最新鋭の鍵を投げ渡される。寝てる間に寝顔を覗かれ家の鍵を変えられていたなんて、恐怖以外の何物でもない。寝起きの身体がゾクリと粟立った。
「もう少しいい反応が見れると思っていたんだけどね……」
「もしかして合鍵まで作ってあるんじゃ……」
「鍵の心配をするより、今の自分の格好を少しは気にした方がいいんじゃない? 男が上がり込んでるっていうのに色気もない下着だね」
雲雀恭弥に言われたからではないが、紫乃は自分の格好を見下ろした。寝巻きなどは着ない主義で、黒の下着一枚の格好である。シックな黒の無地にレースをあしらった下には、発育のいい谷間が覗いていた。
自分の家で、別に誰に見せるでもない。ただこの男が部屋に勝手に上がり込んで寛いでいたのが誤算だ。自分に非はないと、紫乃は自負している。
紫乃は布団で隠すような恥じらいも見せず、起き上がり招かれざる客に淡々と言った。
「勝手に家に上がり込んでるのはそっちだろ。目の毒なら今すぐ出ていけばいい」
クローゼットを漁り新しい下着と服を片手に風呂場に向かおうとする。それらの一部始終を頬杖をついて窓枠にもたれつつ、眺めていた雲雀恭弥がまた口を挟む。
「風紀委員長に向かって随分といい態度だね」
「優等生の仮面を剥げといったのもあなただ。シャワーを浴びたら茶くらい出す」
そう言い残し居間の障子張りの戸をピシャリと閉めた。
最悪な目覚めだと朝から紫乃の機嫌はもう底辺であった。寝覚めの気分を良くするためにも、待たせる相手に構わずいつもより長めのシャワーを浴びた。
もぬけの殻になった布団とともに置き去りにされた雲雀恭弥の方は、平和な並盛の町並みを眺めてのんびりとその時を待ち続けた。
「やっぱりいいな、彼女……」