REBORN DIARIO 作:とうこ
先日の一件以来、沢田綱吉に対する周囲の目が変わったのは周知だ。不気味がる生徒がいる一方、以前は彼をダメツナとからかっていた者達は、彼を見ると気さくに声をかけ、一目置くようになった。
これまでの沢田綱吉が初めて見せた成果だ。
本人は慣れない態度に照れくさくしているようだが、もう少し素直に喜んでもいいと思うんだが。
彼を入学以来ひっそりと傍観する伊波紫乃は、教室での彼の明るい表情を、窓際に寄り添って静かに見守っていた。
だが、そろそろ次のイベントが来る。
紫乃もまた気を抜かないよう経過を観察することに徹底した。
【六月二十一日。
この日も、沢田綱吉は学校に来た。あの件以来授業をサボることもなくなり改心している様子だ。
有意義な学校生活を送り始めた彼のもとに、しかしこの日の休み時間、あのことが起こる。】
廊下に出た沢田綱吉のもとに男子生徒が駆け寄る。と、何やら男子生徒が手を合わせて話し込んでいる。男子生徒が頼み込んでいるという方が正しいか。
その様子を教室の中から窺っていた紫乃はもしやと思い、その後沢田綱吉が男子生徒の頼みを了承したようで、男子生徒が明るい表情で廊下を去っていった。
教室の前で残された沢田綱吉の方は、満更でもないという顔で予鈴と同時に教室に戻り自分の席に着いた。
授業中も窓際後方席から沢田綱吉を観察していた紫乃は、やはりあのことだと察しがついていた。
授業が終わり、沢田綱吉は先程の男子生徒を含め数名と合流し、体育館へと向かった。
さすがにその後の赤ん坊との会話を盗み聞きするにはリスクがあるので、先回りし体育館で彼を待つことした。
今日行われる球技大会は生徒の出入りが自由であり、紫乃が見物しようと不自然ではないはずだ。
案の定、館内に現れた沢田綱吉はぐったりとしていた。
しかし、想像以上に彼の登場で体育館には熱気が籠っていた。盛大な歓迎とともに彼が来て間もなく試合が行われる。綱吉コールに飲み込まれ、彼の顔色は一層悪くなる。
紫乃の記憶通りなら、あの殺し屋の男に死ぬ気弾を断られたのだろう。
死ぬ気弾は死ぬ間際にやり残した後悔を糧にしてリミッターを外し極限にまで能力を高める……。
天狗になっている沢田綱吉には今使用不可能な代物だ。
試合が始まると案の定ボロボロにダメっぷりを露呈し、期待していた分の試合会場は一気に静まり返る。
これはあまりに見てられない。
「情けない」
空気に溶け込むよう出入口の前で傍観していた紫乃は、間近で見るダメツナっぷりに少々頭を抱えるのであった。