REBORN DIARIO   作:とうこ

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ダメツナの粘り

 「あれがファミリーの十代目か……」とどこかで耳にした声がする。あの男の差金でイタリアから早々に来ていたらしいそいつも、あまりの落胆っぷりに気づけばそこに忽然といなくなっていた。

 

 今は、見逃しておくことにする。いずれまた落ち合うことになる。

 

 

 

 

 第一セットが終了、館内の空気はもー最悪だ。

 それこそ殺意にも似た冷ややかな視線ばかりが彼一点に注がれている。

 本人は耐えられないと言ったように片足を庇うようにして、体育館を後にする。

 

 その背中さえ見守ることしかできないのが、少しだけ心苦しいと思うのだった。

 

 

 

 彼が抜けた後にも試合は再開され、彼がいたチームは苦戦を強いられている。もともと数も足りていないというのでははなから難しい試合だ。

 このままでは負けるだろう……館内はそんな空気に包まれていたが、彼女だけはまだチャンスがあると確信していた。

 

 

 体育館の扉を再び叩く音……。

 

 

 

 吹っ切れた顔の沢田綱吉が、そこに立っていた。

 彼が戻ってきてくれただけで、チームの士気が高まっているようだった。

 

 

 

 彼は間違っていない。

 一生懸命にやったのなら、その後に後悔してもいいじゃないか。

 

 

 会場が熱気を取り返した頃、館内のどこからか光の筋とともに銃声が鳴った。それが沢田綱吉の太股にヒットした。

 

 

 

「やられたー!」

 

 

 思わず倒れ込んだ沢田綱吉だったが、その後に何も起こらず当人も会場を見回してただただ困惑している。

 紫乃は、十中八九あの赤ん坊の仕業であると見抜いていた。

 

 

 試合が再開される。

 

 覚悟を決めた彼が、相手のアタックボールをブロックしようと飛んだ時――――

 

 

 

 まるで関節がバネのようにしなやかに曲げられ、2mもあるネットを飛び越える勢いで飛んだ。それは飛んだ本人も、相手チームも、試合会場にいた誰もが驚くほどに高く高く飛んだのだ。

 

 

 その瞬間、試合会場はこの時一番の激しい歓声と熱気に包まれた――……。

 

 

 

 

 

 試合観賞後、紫乃は尾行することはなく、家路の途中にある沢田家の外観を見上げていた。

 あの二階の窓の向こうで、きっと試合結果に大喜びしているんだろう。心做しか彼を見守るにつれて彼の成功に喜んでいる自分がいると紫乃は思った。

 

 ……まだ、心を開くわけにはいかない。

 

 

 

 レンズ越しに拡がるこの世界を、必ず彼女は導いてみせると、制服のスカートの裾を翻して住宅街の道を歩んだ。

 

 

 

 

 

【死ぬ気弾に頼らず、自分の力で戦おうとした。ボンゴレⅩとしての素質はこの頃から芽を出していたのかもしれない。とても素晴らしいことだ。

 

 既にイタリアからはあの男が来ているようだ。順調だ。観察を継続する。まだ死なせるわけにはいかない。】

 

 

 

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