REBORN DIARIO 作:とうこ
【茹だるような夏の暑さにやられる頃、夏休みの委員会活動に出向こうとした途中、なまはげが連行されていくところに遭遇した。夏の暑さも吹っ飛ぶ衝撃である。
ついでに沢田綱吉の姿もあった。ついで呼ばわりしてなんだが、彼もご苦労様だ。しかし、三浦ハルは本当に何をしているんだ……。
数日後のお盆には、あの殺し屋から再びコンタクトがあった。どうやら肝試しの人数が奇数になり足りないようなので数合わせとのことらしい。ついでか。人のことは言えないが、少し悩んで話を受けることにした。無論妨害するのではなく、確かめることがある。夜は肝試しへと赴いた。
ロメオの悪霊が沢田綱吉を引き摺りこんでいる間に、私は帰路へと着いた。準備は万端だ。今宵の空は、新月であった。】
夏休み最終日。
紫乃はブラブラとコンビニ袋を提げ、帰る途中に道端のボンバーヘアを見つけた。住宅街の道端でぐずり泣かれると放置するか少し悩む。
結局可哀想に思い彼のそばに近づくが、リボーンにやられたのか顔がパンパンに腫れていた。悲惨だ。あの男も随分と容赦ない。
紫乃のことを憶えていたのか、ぐずりながらも人肌恋しく紫乃に抱きついてきたランボに、これはもう離せないなと早くに諦めた。
片手にランボをあやし、何かないかと漁ったが、自分でも呆れるほどチョイスが渋いものばかりだ。無難に豆乳を選ぶ。ちなみに新作のチョコレート味だ。
ジュースだよと半分騙してランボに渡す。好みに合えばいいがどうだろうか。そのまま紙パックに入ったそれを渡したが、今度はストローをさせないとぐずり出した。マジか……これは沢田綱吉も大変である。
「ランボ~! どこまで飛ばされたんだよ~!」
紫乃が代わりにストローをさしてあげ、チョコレート味を地道に飲んでいるランボをあやしていると、そこにようやくお世話役の沢田綱吉が駆けつけた。
遅い。紫乃は言ってやりたかったが、沢田綱吉に怖がられるのも地味に落ち込むのでグッと飲み込んだ。
「ってえええ!? いい伊波さん!?」
紫乃が黙っていても結局これだ。愛嬌など備えていないので自業自得なのだがなかなかに辛かった。
「あまり目を離すなよ。この辺りも物騒だからな」
それに将来ボスの君に付き従う大事な幹部となる男だ。今はウザいだろうが長い目で見てやれ、と沢田綱吉にランボを託した。
彼女の反応に固まっていた沢田綱吉がありがとう……と控えめに応え、続けて彼女に切り返した。
「い、伊波さんの家って、この辺なんだ?」
この近所にあるコンビニの袋をぶら下げる彼女にそんなことを尋ねた。ただ何気ない会話だった。緊張気味だった沢田綱吉に、紫乃は顔を逸らしていた。
閑静な住宅街に、そして紫乃の声が響いた。
「……沢田綱吉」
発声のいい彼女の声に、ピクリと彼の身体が反応する。なんというか、逃げられない声だ。彼は改めてクラスメイトの女子に緊張して声が上ずった。
「もし明日、世界が終わると告げられたら、君は何をする?」
「え? えと、なんで?」
「……10年後、20年後、君は、今の君ではなくなってしまっているかもしれない。綺麗事だけでは救えない世界を見ているかもしれない。でも君は、間違っていない。胸を張れ、そして、後悔するのも程々にしろよ」
彼女と眼鏡越しに合った目が、まだ彼女が何かを言いたそうにしてそうして煮え切らないようにしていた。それは、小さな違和感だった。
この夏が終われば、彼らの日常は崩れ落ちる。
沢田綱吉らと別れ、紫乃は一人の帰り道を歩いた。ああ言ったくせに、いつも後悔するのは自分の方だ。苦笑した。
だからこの夏を最後にする。後悔は、捨てる。彼女は星が輝き出す夜空を仰ぐ。
そして彼女は最後の夏の空を見上げた――――。
日常編はこれにて完結です。お疲れさまでした。
長くなりましたが黒曜編も引き続きよろしくお願いします!