REBORN DIARIO   作:とうこ

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契り

 ボンゴレをあの場に残し撤退したヴァリアーの精鋭達は、夜も耽る並盛の郊外にて、人手が寄りつかない高台の茂みの一角でひとまず足を休めた。ハーフボンゴレリングの探索に、ここまで休みなくミッションに出向いた者も多い。

 ボンゴレの最高権力を賭けた殺し合いに胸を弾ませる奴らもいる中、一人輪から外れたところで、彼らに背中を向ける紫乃がいた。

 

 高台から一望できる並盛の夜景をじっと見つめている。ボンゴレ達と対面した例の場所からは、あんなにも遠く離れている。

 夜が深まるに連れ、暖色の灯りがまたひとつ消えていく様を、彼女は飽きもせずその目に焼き付けた。

 

 

 

 

「これでお前の潔白が証明された」

 

 

 背後から近づく気配も感じさせず、紫乃にそう告げたのは、あの直後も気分の高揚が冷めやらずといった様子のXANXUSだった。普段はその強面に鉄仮面のような無表情の男が、口端が大きく歪んだ不気味な笑みを浮かべたままだった。

 ボンゴレリングがもうすぐ手に入ると疑わない男の顔と並盛の景色を切り替え、紫乃も思わず愛想笑いをこぼした。

 

「……なんだ。まだ疑っていたのか。てっきり信用したから、私をここに連れてきたんじゃなかったのか?」

 

 すっかり浮かれている男の頭に冷水をかけてやるように、紫乃は淡々と言った。そう言えば彼が次に切り返す言葉は大体予想できた。

 紫乃のその問いかけに、暗がりで見る男の顔つきは徐々にこわばった。その声色も冷静な怒りとともに萎んだ。

 

「ハッ。んなわけあるか。俺は誰も信じちゃいねえ、誰もな」

 

 当たり前のように彼は言うのだ。断言した。目の前で感情を押し殺す紫乃に、何のためらいもなく、八年の怒りに囚われた男は吐き捨てる。

 血の繋がった妹を前にしても、このXANXUSという男には道具でしかない。その他大勢と同様に、ボンゴレの玉座へ駆け上がるための駒。

 

 XANXUSの名で、数多の幹部を従えていき、いつしか彼は変わってしまった。

 

 

 

「忘れんじゃねえ。俺を裏切ればどうなるか。誰がお前を生かしてやったのか。お前は俺を裏切るんじゃねえ、セラン」

 

 

 なのに、二度も裏切られる悲しみに怯える目で紫乃の顔を見る。あの人に、八年前に植え付けられた深い傷なのか。妹にまで騙されることを恐れているのか。彼女には彼の怒りの奥にある真意はわからない。

 

 でも、八年前に彼を救えなかった十字架は、この日の復活のために背負った。

 

 

 XANXUSの語りかけに、一度だけ、しっかりと頷く。彼女は、迷わなかった。

 

 

 

「ああ、誓える。そのために、あなたが戻ってきてくれた」

 

 

 

 

 

 ボンゴレリングの運命が、この争奪戦にかかっていることは言うまでもない。

 敷かれたレールの上を彼らが渡るために、ここから紫乃がやるべきことは山ほどある。

 

 

 怒りの炎に焼き尽くさせはしない。

 

 

 

 厳かな二人の会話を、そこから少し離れた距離にフワフワと浮遊するフードを被った小さな孤影が見つめていた。八年前を思い耽りながら――……。

 

 

 

 

 

 

 

【誓うよ。戒めのために。どんな汚い手段も選ばない。この手を汚すのは、私一人で十分だ。

 それそこが、私があの日から背負うべき十字架なんだ。】

 

 

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