ブラック鎮守府に配属されたので、頑張ってみる(凍結中)   作:ラインズベルト

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第3話

館内放送の後、俺は大淀と執務に励んでいた。一応、大淀にはナイフと拳銃を持ってもらっている。そうでもしないと自己防衛出来ない。俺はなんにも持たないけどな!信頼を得られるなら安いものだ。

 

「後何枚だ……?」

 

「30枚ですね」

 

大淀は枚数を確認し、答えてくれた。一日の平均が多すぎやしないかい?さすがに報告書や文章用紙が30枚って……。なんて日だ!って言いたい。まったく、どれだけ溜め込んでたんだ前任は。

 

コンコン。扉がノックされた。

 

「開いてる。入ってくれ」

 

俺は書類に記載しながら入ってくるように答えた。2・3秒間をあけて扉が開かれた。凛とした声とともに。

 

「失礼します」

 

俺は艦娘が来たのかと思い顔をあげた。しかし来たのは艦娘ではなく海軍服を着た2人の軍人だった。1人は見たところ女性のようだが……。

 

「名前と階級は?」

 

「はっ!本日よりトラック鎮守府に着任する中尾絢菜(なかお あやな)少尉です、工廠担当として参りました!」

 

「同じく、工廠担当として参りました、辻谷狛矢(つじたに はくや)軍曹です!」

 

なるほど。彼女らが工廠担当になったのか。これはありがたい。明石も人手がいるだろうし。

 

「よろしく。提督の九条愛斗中佐だ。早速仕事、と言いたいが、今工廠は使えないから、休んでいてくれ」

 

「「はっ!」」

 

「あ、あとあんまり堅苦しくしなくてもいいぞ」

 

「はい!」

 

「分かりました!」

 

元気はいいみたいだ。俺は再び書類に集中し―――出来なかった。2人はずっと執務室にいるからだ。しかも話をするわけでもなくこちらをみている。俺はこれで理由も聞かずに集中できるような人間じゃない。

 

「部屋で休んでくれていいぞ?」

 

「「お構い無く!」」

 

「あ、そう……」

 

何か、居座られた。まあ支障はないから構わないんだけどね?うん、気にしないことにする。今は執務に集中しなければ。俺は意識を書類に向けた。

 

「大淀さん、この後お時間ありますか?」

 

「?はい、空いております」

 

「少しお話をしたいので、中庭で」

 

「分かりました」

 

中尾少尉は大淀と中庭で話をするようだ。どうせもうすぐ終わるし、中尾少尉もここの現状は知っているだろうからどんどん話してくれ、って感じだけど。大淀は少し警戒しているようだ。

 

「九条提督、自分は工廠の妖精さんにご挨拶をしてきます」

 

「いちいち言わなくていいぞ。行ってこい」

 

「はい!行ってきます!」

 

辻谷軍曹は元気よく敬礼したあと、執務室を出ていった。見たところ中尾少尉は20歳前後辺りで、辻谷軍曹は10代後半辺りだ。ちなみに俺は22だ。

 

「終わったな。それじゃあ休憩だ~」

 

しばらくして書類も書き終わり、俺は背伸びをして椅子にもたれ掛かった。結構しんどい執務だったな。終わったから良しとするが。ちなみに大淀と中尾少尉は書類が終わってから出ていった。

 

「全く、この鎮守府はどれだけ駄目なんだ?長門達は比較的大丈夫そうなんだけとなぁ」

 

未だにこの鎮守府の現状を把握しきれていない。俺は資料を見るためにファイルを開いた。


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