ブラック鎮守府に配属されたので、頑張ってみる(凍結中)   作:ラインズベルト

4 / 8
第4話

「改竄された資料、だな」

 

俺は鎮守府の運営資料ファイルを開いたが、その内容はどれも改竄されたものだった。俺はさらに開いていく。どれもこれもごまかされていて役に立つ情報なんてこれっぽっちもない。本当に仕事しなかったんだな、前任は…。

 

ひら。

 

「ん?」

 

あるページを開くと1枚の写真が落ちた。それは提督服の男と仲良さげに写る艦娘達の写真だった。提督服の男は前提督ではないようだ。裏にはトラック鎮守府提督花瀬勝と書かれている。

 

「花瀬勝(はなせ まさる)……?」

 

俺はその名前に聞き覚えがなかった。よく見ると写真は15年前に撮られたものであることがわかる日付がある。15年前といえば艦娘がまだあまりおらず、防衛戦が多くあった時代だ。

 

「何で、こんなものが残ってるんだ……?」

 

俺はすぐに大本営に電話をかけた。すぐには繋がるはずがないが、数秒で、大本営が出た。

 

「すみません、トラック基地の提督です。角田中将に繋いでください」

 

はい。と返事が聞こえ、しばらくして角田中将が出た。

 

『どうした、なにか問題か?』

 

「いえ、聞きたいことがありまして」

 

『ふむ』

 

俺は一呼吸おく。花瀬勝という人物が誰なのか、気になって仕方がなかった。

 

「花瀬勝とは誰ですか?」

 

『花瀬、か。まぁ、いいだろう』

 

角田中将は少し低い声音で呟いた。角田中将は一呼吸おいて話し出した。

 

『花瀬勝、彼は14年前までは海軍に所属していた。彼はかつて深海棲艦のイ級とホ級を捕らえた。彼は2体を研究部に渡して、深海棲艦との接触に乗り出した。今思えば無謀過ぎた。海軍が総出で彼を支援した。だが彼は帰らぬ人となってしまった。艦隊運営の天才と言われた、彼が』

 

艦隊運営の天才。そう呼ばれるほどの実力者が、亡くなったのか…。

 

『朝鮮からしか大陸とのコンタクトが取れない今、彼のような艦娘の能力を最大限引き出せる存在は希望だった。今は何とか新人も活躍できるまで艦娘が増えたがね』

 

角田中将は話は以上だと言う。俺は写真から彼が艦娘に慕われていたのだなと、思った。

 

今から話すことは別のことだ。資材がないので貰えないかついでに交渉してみる。

 

「中将、ひとつお願いがあるのですが……良いですか?」

 

『ああ、かまわない』

 

「資材を一万ほどと高速修復材を500ほど。それから食料品を用意していただけませんか」

 

『それくらいならば直ぐに届けさせよう』

 

「ありがとうございます」

 

俺は挨拶をして、電話を切る。何とか資材などは確保できた。あとは姉さんが来てくれれば全てが上手くいく。

 

俺はとりあえず、何とかなりそうでホッとした。あとは艦娘達のケアだ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。