前世はバンパイア?   作:おんぐ

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 霧島さんは目を覚ましてから、少しの間ボーっとしていた。

 僕を見つけると警戒したようだったが、ハッとしてすぐに気まずげな表情になった。眠ってしまう前のことを思い出したのだろうか。

 なんとなく、僕も気まずくなった。

 

 そんな微妙な空気から切り出したのは、彼女だった。

 

 

 「あの、寝てしまったみたいで、すみません」

 

 

 「いや、それはいいよ。それよりも、何か体調に変化はあるかな」

 

  

 「特にはないです。あっ……」

 

 

 ぐぅ。と音がした。

 僕ではない。彼女のお腹の音がなったのだろう。またしても、気まずい空気が流れる中、彼女は俯いて言った。

 

 

 おなかがすいているみたいです、と。

 

 

 

 

 

 

 冷蔵庫を彼女に断りを入れて開ける。お邪魔した時、冷蔵物があったため、冷蔵庫のスペースを借りていた。…ポトフなら、出来そうだ。

 友達が来たときのカモフラージュとして、一応置いていたらしい器具を借りて作った。味見する。うん、まあこんなものだろう。特別おいしいわけではないが、そこそこの味。独り暮らしの大学生としては、上出来だろう。

 

 彼女は待ちわびていかのか、ソワソワと落ち着きない様子だった。ちょっとハードルが上がった気がした。

 自分の分も作っていた。夕食は済ませていたが、少しおなかがすいていたから。

 

 

 「いただきます」

 

 

 二人で揃って食前の挨拶をする。スプーンを口に運ぶ。うん。じゃがいもはホクホクだ。ウインナーからも味が出ている。

 気になって前を見ると、彼女はゆっくりと食べていた。何度も噛んで、味を確めるかのように。

 

 

 「ごめんね、料理は得意なわけじゃないから……」

 

 

 「あっ。そんなことないです。おいしいです。ただ、なんだか、不思議な感じがしてきて」

 

 

 それからは、話すことなく黙々と食べた。

 

 

 口を動かしながら、血を吸ってからの、前回と今回の相違点について考えていた。

 彼女が人の食事が可能になったのは、翌日だったはずだ。いつもより、早く寝てしまい、翌朝は寝坊したとも。

 だが、今回はすぐに倒れるように眠り、数時間で目を覚ましていた。

 

 今回は、おそらく前回よりも多く血を貰っていた。今回が多い訳ではなく、前回の彼女は抵抗があったため、うまく飲めていなかった気がする。

 

 もうひとつは唾液だ。前回は塗らなかったが、今回は塗った。

 だが、すぐに塞がると思っていた傷は塞がらなかった。量を増やしてゆっくりと塞がった。

 

 唾液にも何かある気がする。

 そう考えて、ふと思い出した。前回の血を吸う前、口の中で唾液が溢れていたな、と。

 今分かることは、このくらいだった。

 

 

 食器を洗うのは、彼女に任せた。

 何か会話をと思い、グールとしての食事は必要なのかどうかと聞いた。

 すると、そもそもグールは、一度の食事で数週間から、長くて1ヶ月は持つらしい。普通に生活する分にはだそうだが。だから、今は大丈夫らしい。あと、嗜好目的のグールはまた、別なようだ。

 

 

 洗い終わった後、再び向かい合う形で座った。

 そして、僕は彼女が気になっているだろうことを話した。なぜ、このようになったのかを。

 彼女は驚いていたが、府に落ちた様子だった。最近、あんなに大食いしていたリゼさんが、突然いなくなったことに疑問を持っていたらしい。そして、狙われていた僕が生きていることにも納得したみたいだった。

 

 複雑な気持ちになった。

 その時は、グールと人間という壁があったものの、今こうして話し合っている彼女に、見捨てられたのだと思ってしまったからだ。

 

 リゼさんについても聞いた。だか、霧嶋さんも詳しく知らないようだった。ある日突然二十区に来たこと、グールとしての実力が高かったこと、大食いだったことくらいだ。

 今の僕の力に、リゼさんが関係しているかどうかはわからなかった。そのため、前世のことは言わなかった。僕にもなぜ、

こんな身体の状態になったのか、力をもったのかはわからない、ということにした。

 

 

 それから、グールについて簡単に教えてもらった。赫包というRc細胞を貯めて、そこから赫子が出せるそうだ。赫子には4つ種類があり、それぞれの特徴も説明してくれた。霧嶋さんは羽赫で、リゼさんのあの触手は鱗赫だったそうだ。

 僕の唾液をつけてからの再生力が高いのは、そのせいだろうか。鱗赫の性質としてあるみたいだし。そして、この前、腰辺りに違和感があったことも思い出した。

 マスクをもつように言われた。喰種捜査官に遭遇したときに、顔がばれないようにするためにグールは持っているそうだ。知り合いのマスク屋に頼めば大丈夫らしい。今度、一緒に行く約束をした。

 最後に、あんていくだが、人を狩れないグールに援助をしたり、二十区が荒れないように管理しているそうだ。そのため、二十区は他と比べると住みやすいらいしい。

 

 

 長く話し込んでしまった。まだ外は暗いが、今日は大学に復学する日だった。今ならば、家に帰って少しは寝られる。

 

 「こんな時間までごめんね。今日から大学だし、そろそろ帰ります」

 

  

 「あ…すみません。その、ありがとうございました。また」

 

 

 また近いうちに会う約束をした。血を飲む、飲まれるための。携帯電話の番号とアドレスを交換した。

 そうして彼女の家を出た。

 

 

 

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