「フフフ、私の負けね。貴男本当に最弱の先生なの?」
宗右衛門はデュエルディスクからデッキを抜き
「・・・俺はデュエルアカデミアに入って一度も生徒にデュエルで勝利したことがない。」
そう言うと宗右衛門はデッキを専用の黒いケースに戻した。
「...本当なのね。」
「あぁ。」
「あ~あ、私の悲願がこんな男に砕かれるなんて。でも、伝説の龍が見えた。・・・あの世で皆に自慢ができるわ。」
カミューラは少し呆れた表情をしたが、言葉の最後は何か誇らしげにしている。
「・・・急にどうした?それに、その門デュエルが終わったのにまだ出現しているぞ。」
「フフフ、それはね...」
カミューラがそう言うとギィという音を立て『幻魔の扉』の門が開き
「デュエルに敗北した私の魂を取り込むためよ。」
半透明の手が出現しカミューラ目掛け飛び出してきた。
「グッ」
半透明の手はカミューラの首を掴み、門の中へ引きずり込もうとしている。
「カミューラ!!」
カイザーがカミューラへ叫ぶ。
「...大丈夫。私が死ねばこの先生は元に戻るわ。」
半透明の手が引きずり込もうと動いたその時!
「チェストォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ――――!!!!!」
宗右衛門が右手の手刀で半透明の手を両断した。
「「『は?』」」
この行動にカミューラ、カイザーそしていつの間にか半透明で実体化していた青き眼の乙女までも呆然とし、抜けた声を挙げた。
「・・・子供の目の前で、」
他の者が呆然としている中、宗右衛門はさも当然のように言い放つ。
「人が殺されるところは、あまり見せて良いものではない!!」
Side 宗右衛門
『宗ちゃん!やったわね、勝利したわよ!!』
「あぁ、ギリギリだったけど勝てたよ。」
ふぅ~、異様な存在感を持つチートカードが出たときは焦ったけど無事勝てて良かった。
「フフフ、私の負けね。貴男本当に最弱の先生なの?」
彼女の名前は...カミューラだっけ?彼女は今更何を言っているんだ?
「・・・俺はデュエルアカデミアに入って一度も生徒にデュエルで勝利したことがない。」
「...本当なのね。」
くどいな~。...今やアカデミアの常識になりつつある事実なのに。
「あぁ。」
...自分で言って辛い。
「あ~あ、私の悲願がこんな男に砕かれるなんて。でも、伝説の龍が見えた。・・・あの世で皆に自慢ができるわ。」
ん?私の悲願?何の話をしているんだ?
「・・・急にどうした?それに、その門デュエルが終わったのにまだ出現しているぞ。」
「フフフ、それはね...」
何ッ!!門が勝手に開いただと!!
「デュエルに敗北した私の魂を取り込むためよ。」
『宗ちゃん!あの門には近づかないで!彼女が言ったように人の魂を媒体にして力に変えているのよ!!』
「姉さんそれは本当か!?」
『ええ本当よ!あの『門』は私達精霊と同じような存在でデュエルディスクにも反応する!!だから無闇に近づか...』
「デヤァ!!」
俺は姉さんの言葉を半分聞き流し、
『って、宗ちゃん!!』
カミューラへ向け跳躍した。
「チェストォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ――――!!!!!」
「「『は?』」」
こんなのは絶対間違っている!
「・・・子供の目の前で、」
そう、生徒...子供の目の前で人が殺されるという事は、
「人が殺されるところは、あまり見せて良いものではない!!」
その子に一生消えないトラウマを植え付けてしまう。そんな事、教師の俺が許すと思ったか!!
Side out
「宗先生!!前!!」
カイザーが叫び宗右衛門に注意を促す。
「ん?チィ!!」
宗右衛門とカミューラに向かって『幻魔の扉』より半透明な手が次々と襲いかかる。
「ちょ、キャ!」
宗右衛門はカミューラを自身の左側に抱え
「ムッ!!」
「オリャ!!」
反対の右側にカイザーを抱え『門』から十数メートル離れた所まで跳躍した。
「な、何故敵である私も助ける!?」
「...別にアンタを助けたわけじゃない。さっきも言ったが、子供の目の前で人が殺されるというのは教育上良くない。あと...」
そう言うと宗右衛門はカミューラを一瞬見た。
「な、何よ!」
「さっき言っていたアンタの悲願ってのが気になったのもあるな。」
「・・・」
そう言うと宗右衛門は門を睨み
「・・・無理やり閉めてやる!!」
宗右衛門の敵意を感じ取ったのか門から無数の半透明の手が宗右衛門へ襲いかかる。
「オリャ!!」
その一つを宗右衛門は肉迫し力任せに殴りつけた。
『宗ちゃん・・・まさかこの力は!!』
幽霊のように半透明で浮かんでいた『青き眼の乙女』が呟く。
「昴姉さん!あの門ぶっ壊す!!手伝ってくれ!」
宗右衛門は次々襲ってくる半透明な手を避けながら『青き眼の乙女』へ言い放つ。
『・・・もう、仕方ないわね。』
「ありがとう姉さん。」
『宗ちゃんは一度決めたら、絶対譲らないんだから。』
「...ごめんよ姉さん。」
『いつもの事だから慣れたわよ。さぁ、『幻魔の扉』よ覚悟は出来たかしら?・・・今日の私は機嫌が悪い...行(ゆ)くぞ!『青眼の白龍』!!』
ソリッドビジョンではなく実体のある伝説の龍『青眼の白龍』が『青き眼の乙女』の後ろに咆哮を挙げ出現した。
『目標『幻魔の扉』中央!!滅びのバーストストリーム!!放て――!!』
青き眼の乙女の指示でブルーアイズが『幻魔の扉』の中央へ渾身の一撃を放つ。
《ド―――――ン》という音を立てその一撃が着弾する。
「そろそろ・・・その扉を閉めやがれ!!」
いつの間にか門の左側にいた宗右衛門が《バン!!》という音と共に『幻魔の扉』の左の扉を力任せに閉めた。
「もう一つ!!」
《ドン!!》という音と共に『幻魔の扉』は閉ざされ
「最後に俺の一撃も喰らいやがれ!!」
《ドゴン!!》という鈍い音を立てると閉じられた扉の中心から周りに向け、ヒビが広がっていき『幻魔の扉』は最後霧のように消えていった。
~??? Side~
『あらあら、あんな雑魚に私の与えた神力を使うなんて...あれほど3回しか使えないからよく考えて使用しろって言ったのに。・・・まぁ、送った時に記憶飛んじゃってるし、無意識で使ってるから仕方がないけど...』
~??? Out~
「私が長い眠りから起き棺桶から出てきたとき、周りには私以外のヴァンパイアは居らず、私を残して一族は人間に滅ぼされていたわ。そして、私は一族の復興の為私を起こしたあの男の口車に乗ってみたの。」
カミューラは自身について一部を覗いて語った。『青眼の白龍』や『青き眼の乙女』は実体化を解きカードに戻っている。『幻魔の扉』は宗右衛門が預かっているが、イラストの門はヒビが入っていた。
「あの男とは?」
宗右衛門がそう聞くと、カミューラは少し考えると
「・・・それは言えないわ。命を助けてもらった事には例を言うけど、敵である貴男にはここまでしか情報は渡せない。」
「・・・そうか。じゃぁ、クロノス教諭を元に戻してくれ。」
「お安い御用よ。」
クロノス人形が急に光だし、
「マ、マンマミ~ヤ!!ここは誰?私は何~処ナノーネ!?」
クロノス人形は元のクロノスへ戻った。
「クロノス教諭...良かった。」
カイザーはクロノスが元に戻ったことに安堵した。
「む、そこに居るのはカイザーナノーネ!無事で良かったノーネ!!」
「約束は守ったわ。・・・サッサとこの城から出てってもらえるかしら?」
カミューラはクロノス達を睨み言う。
「カ、カミューラ、ナノーネ!?」
カミューラの存在にクロノスは驚愕し
「わ、私の生徒には指一本触れさせないノーネ!!」
カイザーを右手で庇い睨みつける。
「クロノス教諭、大丈夫です。宗先せ「クロノス教諭大丈夫ですよ。丸藤君が彼女を倒してこの一軒は解決しました。」・・・宗先生?」
宗右衛門はカイザーの言葉を遮ってクロノスへ言った。
「そ、そうナノーネ?」
「はい、もう彼女は襲ってきません。」
「よ、良かったノーネ。」
クロノスはその言葉に少し安堵し
「では、こんな場所サッサと出るノーネ!!」
一人歩き出した。
「・・・貴男どういうつもり?」
カミューラは自身を倒した宗右衛門を睨み返答を待つ。
「いや、俺のデッキは社長直々に使用を禁止されていてね。...あまり知られたくないんだ。」
「そう。・・・あと、あの先生が歩いて行った通路は出口には通じてないわ。」
「え!?嘘ぉ!!」
「宗先生、俺が出口までクロノス教諭を連れて行きます。」
「た、頼む!!あと、俺のデッキは「わかっています!」そうか。」
「彼女を倒したのは俺。貴方のデッキに関しては口外しません。」
「...よろしく頼む。」
宗右衛門はカイザーの返答に深々と頭を下げた。
「・・・宗先生、生徒に頭を下げるのはあまりしないほうがいいですよ。」
「いや、今は先生ではなく一人の人として礼を言っている。本当にありがとう。」
「...では、クロノス教諭を連れて出ます。」
そう言うとカイザーはクロノスに駆け寄り、出口の方へ誘導していった。
■□■□■□■□
「さて、カミューラさん。俺がブルーアイズを使った事は隠してもらう。」
「ええ、そのくらいいいわよ。」
『おい!負けたのに態度がデカイな!!』
「ちょ、彩姉さん。」
いつの間にか宗右衛門の右側に半分透けた状態の彩(ブリザード)が氷の鉄球を実体化させ立っていた。
「せ、精霊!!」
『気安く精霊って呼ぶんじゃねぇ!!』
「ひっ!!」
『宗に闇のデュエルを仕掛けておいて、無事で済むと思うなよ!!』
『そうですとも!!マスターに死ぬ思いをさせて・・・覚悟は出来ていますか?』
そして、左側に桜(ジュノン)が佇んでいい笑顔で魔道書を取り出している。
「桜姉さんまで...」
「クッ・・・元より覚悟は出来ているわ。煮るなり、焼くなり好きにすればいい!!」
『では、好きにさせてもらう。我が魔導の『桜ちゃん待って!!』...どうして止めるんです昴姉さん!!』
急に昴(青き眼の乙女)が現れ桜の攻撃を止めた。
『宗ちゃんちょっとあっち行ってくれない?』
「ん?いいけど。」
宗右衛門は昴に促され大広間の入口まで歩いて行った。
■□■□■□■□
昴は宗右衛門が聞こえない距離まで離れたらカミューラを見て口を開く。
『さて、吸血鬼カミューラ。』
「な、何よ!!」
カミューラはこれから何かをさせると思い身構える。
『今から貴女には、私達の秘密を話します。』
『姉さんどうして!!』『ちょ、ちょっと昴姉さん!!』
その言葉に桜と彩が驚愕する。
『私達にはこの世界の情報が限られている。これから起こる事には私達以外の協力者が必要になるわ。それに死ぬはずだった彼女がこうして生きているし、コウモリでの情報収集は今後の良いアドバンテージになるわ。私達や宗ちゃんという異物を受け入れたこの世界が私達の知る未来になるかは今後どうなるか分からない。・・・そのための保険よ。』
『そ、それはそうだけど・・・』
彩はその申し出に渋々承諾するが桜は、
『私は反対です!この女はマスターを見下し、気にも止めなかったんですよ!!それにあんなカードを使って!!マスターの魂を媒体に使われていたら私は、私は!』
桜は語尾を強くし昴に意見する。
『桜ちゃん...それは私達も同じよ。この世界を焼き尽くし、この世の全てを犠牲にしてでも宗ちゃんは蘇生させるわ!』
そう答えた昴の目には躊躇いの色は無く、そうなった場合確実にこの世界を犠牲にしても宗右衛門を蘇生させる意思が見える。
『...それに、この女が私達と敵対してまたマスターを傷つけようとしたら!!』
『そんな事はさせないわ!その為に秘密を話し、こちら側にいれば有益だと教えるのです!!』
「あ、あの~、私はいつまで待っていればいいのですか?」
話の中心にいるはずのカミューラは話に入れず、意を決して質問してみた。
『『『貴女(お前)は黙っていなさい(て)(ろ)!!』』』
「ひぃぃ~、す、すみません!!」
結論から話すと、不思議なくらい丸く収まった。カミューラの城から戻ってみると、俺が頼んだようにカイザーがカミューラを破り俺が助け出されたことになっていた。そして、生徒達からの安堵の声と大徳寺先生からの説教。全く予想だにしなかった事だったので本当に申し訳なく、昴姉さんの時と同じように唯唯その説教を聞いた。そして、カミューラについては...
「宗様!!その書類は私が行います。こっちの書類から片付けてください!!」
「あぁ、分かった。」
メガネを掛け長い緑の髪を頭の上にかき揚げ絶賛俺の手伝い...秘書(?)的な事をやってもらっている。彼女は俺に負けセブンスターズに戻っても負けたものには居場所がないと言っていた。そして、姉さん達の説得?...ちょっと叫んだ声が聞こえたから脅迫?...で俺達と共に生活することになった。その場にいたクロノス教諭、丸藤君、その弟の翔君、十代君、万城目君、隼人君は驚き、何故か大徳寺先生は怪訝な顔をしていた。その後カミューラは俺だけに聞こえるように
「宗様よろしいですか?」
「そ、宗様!?」
「あなた様の事はお三方に聞きました。あなた様がこの世界で平和に暮らせるよう、私も全力を尽くします!!」
「そ、そう...」
ということがあり今は俺のことを『宗様』と言って慕ってくれている。
「宗様!次の書類に移ります。早く処理しないと次の予定に遅れますよ!!」
「うぇ!!もうそんな時間!?」
「はい!あと30分で会食の準備に移って頂きます。」
「クソッ!姉さん達に頼むしか...」
「お言葉ですが宗様それは無理です。桜様、彩様両名は新たなカードの制作の追い込みでインダストリアル・イリュージョン社に居られます!そして、昴様は精霊界に御用で赴かれています!!」
「そ、そうだった!!!」
「出来るだけ終わらせてください。後のことは私にお任せを!!」
「済まん!恩に着る。」
「気になさらないで下さい。私はあなた様の従者ですから。」
《コンコン》と誰かがこの部屋の扉をノックした。
「空いてるよ!!」
《コツコツ》と靴の音を響かせながら一人の執事が入ってきた。
「失礼します。社長代理そろそろ移動の準備を。」
「この書類が終わったらすぐ行く!ちょっと待っててくれ!!」
「おぉ、やってるやってる!!お~い、宗右衛門その書類は後俺がやっとくから行きな!」
「悪い!後は頼んだモクバ!!」
「副社長!!」
「モクバ様!!それには...」
宗右衛門、カミューラ、執事の順に反応し、その執事の後ろからひょっこり顔を出したのはここ海馬コーポレーションの副社長モクバだ。
「いいの、いいの。宗右衛門には兄様不在で忙しい今、代わりをやってくれているんだ。あのデッキを許可なく使用した罰でやってもらっているけど何時も俺も手伝ってるし大丈夫、大丈夫。」
「で、ですが...」
「くどいぞ磯野!兄様と義姉様が久しぶりにバカンス行けたんだ。それにこれ以上ここにいても時間は待ってくれない。」
「は!分かりました!!さ、さ、宗右衛門様こちらです。」
磯野と呼ばれた執事は宗右衛門を別の部屋に促す。
「分かりました!じゃぁ、二人共無理しないで頑張って!!」
「おう、そっちもな!!」「分かりました!」
俺はカミューラとのデュエルで使用禁止されていたメインデッキを使用してしまった。その事を海馬社長に正直に話した結果、俺に一週間の社長代理の罰が下された。まぁ、海馬社長夫婦も休みがないって少し愚痴っていたからちょうど良かったけど...
「海馬社長仕事量多すぎ――――!!!」
この日海馬コーポレーションに宗右衛門の叫びが響いた。