Side サウザー
「では、約束は守って頂きますよ。」
デュエルに勝利した上浦がサウザーに言い放つ。
クソッ!何故この僕が負けるハメに!?それも僕に気があるツァンの(大きな勘違い)目の前で!!こうなったら...
「...ああ、分かっている。これほどの群衆の中宣言通り1ターンで僕は敗れてしまった。ここで駄々をこねる様な惨めな事は、僕が今後背負うであろうトップの者の責任を放棄することだと理解している。・・・そんな事、僕はしない。」
次会った時、僕の本当の強さを見せてやる!!こんな所で再戦を強要するなど、よくある負けキャラ或いはかませ犬のポジションになってしまう。そんな愚行をこの僕がすると思ったか!!
「は?」
上浦は一瞬呆気に取られそうになったが、
「...いい判断です。それは自身の行いに対する最低限のマナーです。少しは見直しましたよ、サウザー様。」
先ほどまでと同様に普通に返した。
「・・・一つだけ。」
...僕には一つだけ解せない事がある。
上浦に聞こえるか、聞こえないかの声でサウザーは言葉を言う。
「?」
「一つだけ教えてくれないか?」
「何でしょう?答えられる範囲ならお答え致します。」
「何故キミみたいな凄腕のデュエリストが彼の秘書をしているんだ?(そう、彼女程のデュエリストがあんなモブの秘書など普通考えられん!!)」
「ふぅ、そんな事ですか。」
「教えてくれるのか!?」
願ってもいないという感じでサウザーは聞き返した。
「はい。至極、簡単なことですから。」
「で、では!!」
あの男に何か弱みを掴まれているに違いない!!それ以外この女性があんな男に靡くなんて考えられん!!
「あの方に負けたからです。」
「は!?そ、そんな!あの男が貴女が負ける程の腕だって!?」
「・・・最初に言ったではありませんか。宗様には『隠された力』があると。では、これで失礼します。」
そ、そんなまさか!?あ、ありえない。どうせ隠れてインチキをしたに決まってる!!
上浦はサウザーに見向きもせず宗右衛門達が集まっている場所に歩いて行った。
Side out
「ツァン様、先程とは逆になりましたが、宗様と私は次の予定があるのでお先に失礼します。」
「(あの、宗先生に上浦さんが負けた!?さっきのプレイングを見ても宗先生が勝てるビジョンが全く見えないのに。)え、あっ、う、うん。今日は色々とありがとうございました。」
急に上浦に話しかけられたツァン・ディレは少し驚いたが、自身の露払いをしてくれた事をすぐ感謝できた。
「やべっ、もうそんな時間に...じゃ、またねツァンさん。」
「はい、宗先生もお気を付けて。」
「今度、上浦さんにどうやって勝ったか宗先生に聞いてみよう。」
「...姫、あの上浦と言う者、唯の人ではござらん。拙者が放つ精霊特有の気配を直様感じ取り、警戒していた。そして、拙者や誰かが宗右衛門殿に危害を加えれば、拙者の首が飛んでいたかもしれませぬ。」
「え!?そ、そうなの!?じゃ、じゃあ、貴方みたいな精霊!?って口調!!」
その言葉を聞いたツァン・ディレは驚きを隠せない。
「し、失礼いたしました!!いえ、拙者達の様な精霊の気配ではありませんでした。また『別の何か』としか言えません。くれぐれも油断なきよう。」
「う~ん。わ、分かったよ(宗先生に上浦さんの事も聞かないとね。)。」
◇◆
『―――――う!―――――きろ!』
んぁ、彩姉さんの声?
『・・・宗!おい!宗!起きろ!目的地に着いたぞ!!』
「・・・ん、おはよう姉さん。目的地っ『バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ』だぁ!!うるせぇー!!」
クソッ!何だこの音は!!
『ようやく目覚めたか。そろそろ投下ポイントだ。準備はいいか?』
投下?ポイント?な、何なんだ此処は!!パーティー会場を出て次の場所に上浦さんと『海馬コーポレーション製ブルーアイズが描かれているリムジン』に乗って移動していた。俺は途中疲れからか車の中で眠ってしまい、今に至る。そして、さっきからバリバリ五月蝿いし、何故か俺と彩姉さんはヘルメット型の通信機で会話をしてるし!?・・・通信機?
『まぁ、用意はアタシ達でしたからすぐここを出てもらうけど。』
『へ?ここから出る?』
『彩様投下ポイントまであと数分で着きます!!カミューラ様もご用意をしてください!!』
『分かりました。さぁ、宗様!!ここから飛ぶ心のご準備を!!』
『ここから飛ぶって...ひっ!!』
俺は今自分の置かれている状況を初めて理解した。ここは...
『そ、空...ここは空中...』
『そうよ。やっと目が覚めたみたいね。ここはエジプトのとある場所の上空1000メートルでヘリの中。ここの何処かにある遺跡に、武藤遊戯と武藤レベッカ夫妻が発掘調査をしている。んで、その二人に今度出るデュエルモンスターズのパックを届けるのが、海馬とペガサス会長の依頼。...あぁ、あと海馬からの伝言だけど、この仕事が終わったらアカデミアに戻って良いそうよ。』
『・・・』
『ん?宗様?大丈夫ですか?』
『あぁっ!!いっけね!!』
『彩様どうされました!?』
『いや、宗の奴極度の高所恐怖症だった。』
『・・・どうされるのですか?』
『まぁ、ショック療法ってのがあるし、これを期に克服させよう!...後は頼んだぞ、カミューラ!!』
『は、はぁ。・・・でも、宗様は無理っぽいですが...』
『へ?』
『これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ...』
『おいおい、ここまでとは...』
『これは夢だ。そ、そう!夢なんだ!!目が覚めればアカデミアの教室の中...』
『...ほら、とっとと腹括って行け!』
『うぇ』
抜けた声を挙げた宗右衛門は《トンッ》という音と共に彩に蹴られ、
『姉さんの裏切り者ぉぉぉぉ―――――・・・・・・・』
宗右衛門は叫びながらヘリから落下していった。
『じゃ、カミューラ。宗の奴を頼んだぞ。』
『はは!!この命に代えましても!!』
《ダッ》っという音を立てカミューラは宗右衛門を追って飛び出して行った。
『・・・行かれましたね。』
『あぁ。それじゃ、インダストリアル・イリュージョン社へ頼む。』
『畏まりました。』
(悪いな宗。今アカデミアではセブンスターズ戦の佳境に入っている。宗の奴に大徳寺...アムナエルの死を見せるわけにはいかない。許せ。それに、カミューラが付いて行っている。今までの行動を見ても私たちを裏切るような事は無いようだな。まぁ、裏切るようなら・・・『死』が来ない事を絶望してもらう事になるがな。)
二つの影が地上に向かって落下していっている。
『宗様!そろそろパラシュートのご準備を!!』
『・・・』
『そ、宗様!どうされたのですか!?』
『・・・』
(おかしい!!宗様から反応が無い!?ま、まさか...)
『失礼します!・・・やっぱり!!』
カミューラは宗右衛門に近付き、手で顔を持ち上げ自分に表情が見えるようにした。
『・・・』
宗右衛門は何の抵抗もなくカミューラに顔を向けたが、
『...気絶されている!!』
生命の防衛本能か過度に受けたストレス(高所からの落下)で目に光は無く、顔を真っ青にし気絶していた。
『(クッ、このままでは落下して潰れたトマトみたいになってしまわれる!!)後ろから失礼します!!』
《バサァ》とカミューラは自身のコウモリに似た黒い羽を大きく広げ、宗右衛門を後ろか抱き抱えるように掴んだ。
『宗様!このカミューラに全てお任せ下さい!気が付いた時は、無事地上です!!(きゃ~!!宗様と直に(服越しだけど)触れ合ってる~!!)』
宗右衛門を抱え降りてくる様は、さながら『悪魔の降臨』である。陽の光を背負った宗右衛門の黒髪、そしてカミューラの黒い羽と相まって自然と『悪魔』という単語が浮かんでくる。しかし、
『こ、これが桃源郷を超えた...神域の領域!!今の私は阿修羅すら凌駕し神を屠る事も容易い!!』
よく二次創作で描写される某残念メイドの様に忠誠心を鼻から出し、このような発言をしなければの話だが・・・
余談だが、この光景を偶然見た者から『サタンが自身の配下を伴い、この世を滅ぼしに来た』と言う噂が立ったとか、立たなかったとか。
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...ん、ここは、どこだ...
・・・あれは・・・俺・・・?
「よう!久しぶりだな!!」
「あぁ、元気にしてたか?」
「それは、こっちの話だ!就職先じゃ問題起こしてねぇだろうな!!」
《ガハハハ》とオッサンの様に笑う俺と...誰か。
「そう言えば、お前もコレやってたろう!」
「あぁ!!やってた、やってた!!中学ん時1パックずつ買っては全然欲しいカードが出なかったけ。」
おっ、あれはデュエルモンスターのカード。・・・俺中学生の時にやってたんだな~。
「そうそう、復帰するならお前が好きなドラゴンが入ってる"あの社長"のデッキが新しいカードと共に復活するそうだぜ。どうだ?」
「なっ!!そ、それは本当か!?」
「おう!本当だぜ。じゃあ、復帰すっか?」
「おう、するする!!俺が組むドラゴンデッキの恐ろしさ見せつけてやるぜ!!」
・・・俺、楽しそうだな・・・
「『暗黒界のグラファ』でダイレクトアタック!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
「フフフ、また俺の勝ちだな。」
「チ・ク・シ・ョ・ウ!!これで連続8連敗!!何故負ける!!」
...俺、弱ぇ~!!
「はぁ~。そりゃ、お前、自分の好きなドラゴンしか入れてないじゃないか。それに主力が何で三種類もあるんだ?どうやってそいつら出すんだ?」
「それは勿論こいつらで・・・」
「だ・か・ら、何で主力を出す為のモンスターが1枚ずつしか入ってないんだよ!!」
「いや~、好きだから?」
「こっちが聞きたいわ!!」
ん?俺が買ったデッキってなんだったんだろう?・・・あれ?何かテレビのCMが流れてる・・・
『最強の伝説が新たな力で敵を粉砕する。』
『強ぉ靭にして無敵!我が魂ぃー!ブルーアイズ!ホワイト、ドラゴン!!・・・フゥン!果てしなく続く戦いのロード!それが貴様の、ん未来となるのだぁー!!』
『遊戯王ゼアルオフィシャルカードゲーム。ストラクチャーデッキ青眼『ンフッフ、ワッハッハッハッハッハ!!』臨。』
『公式サイトをチェックだぁー!!』
・・・か、海馬社長ノリノリだな・・・
「では、こちらにあるトランクの中身が今度出る最新のパックになります。」
カミューラはそう言うとトランクを自身より2回りほど低い男性に渡した。
「わざわざ届けて頂いてありがとうございます。あっ、そう言えば宗右衛門さんは大丈夫ですか?」
男は心配そうに《チラッ》っと宗右衛門の方を見た。
「・・・」
宗右衛門は何も答えず、青い顔で簡易ベッドに横たわっていた。《チーン》という仏具の鈴の効果音が聞こえてきそうだ。
「...いえ、まだ御目覚めになりません。スカイダイビングは宗様にストレスを与えるだけのものでした。・・・今後、このような事にならないようお三方にも伝え貴男様をお守りします。」
カミューラは後半誰にも聞き取れない声で、未だに簡易ベッドの上で気絶している宗右衛門を見ながら新たな決意を呟いた。
「ねぇ、ダーリンこの後どうするの?」
金髪の小柄な女性がカミューラと話をしていた男性をダーリンと呼び話しかけた。
「う~ん。発掘作業は今日はここまでだし、宗右衛門さんはまだ目覚めないし...」
「う、う~ん。」
男性が今後の予定を考えている時、宗右衛門の目が覚めた。
「そ、宗様!!よ、良かった~!!宗様に何かあったら私は、私は!!」
歓喜余ってカミューラは宗右衛門に抱きついた。
「うわっ!ど、どうしたんだ!?」
「良かった。貴方が目覚めないと話を進められないからね。」
先ほど男性と話していた小柄な女性はそう言って安堵した。
「どうも、何か心配を掛けたようですみませんでした。俺...私は海馬社長の代理で来ました北上宗右衛門と言います。」
「これは、ご丁寧に...私は武藤遊戯の妻、武藤レベッカと申します。今後共、よろしくね。」
「あっ、こちらこそ。」
「これで、話が出来ますね。ようこそ、エジプトへ!前に自己紹介したけど改めて、武藤遊戯です。海馬くんが来れなかったのは残念だけど、宗右衛門さんともっと話がしたかったから良かった。」
小柄な男性と女性は武藤夫妻。遊戯とレベッカだった。
「キング・オブ・デュエリストの遊戯さんにそう言って貰えるとは光栄です!」
「そ、そんなに張り切らなくていいよ。じゃあ、アカデミアでの事や今まであった事色々話を聞かせてよ。」
「はい!勿論!!」
四人の雑談は夜遅くまで続いていった。
供養に此処までUPしておきます。