小此木短編集   作:小此木

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ファイティング&スピリッツ
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木々が茂る森の中を二人の男女が必死に走っている。

 

「ハァ!ハァ!!頑張れ、もう少しだ!!」

「…ハァ!分かっているわ。ハァ!もう少しで、フレヴィーラ王国の国境よ!!」

 

しかし、数時間森を走り続けた二人は満身創痍。

 

「何で、何で今まで襲われなかった私達の住む村が、突然()()に襲撃されるのよ!!」

「そんなこと言ってる場合か!!いいから走れ!!」

 

〝魔獣〟この世界に存在する魔法が使える獣の総称であり、彼らの住む村を一瞬にして壊滅させた存在である。それに唯一対抗できるのが、幻晶騎士(シルエットナイト)と呼ばれる巨大ロボットである。しかし、彼らの村はそれらを持つ大国に属していない為、それは無く対抗手段は無かった。

だが、この襲撃は自然界の物…ではなく人為的に起こされてモノ、何者かの策略の実験材料にされてしまったのだ。

 

「あ、あぁ!?」

「大丈夫か!!」

 

とうとう彼女は木の根に足を取られてしまい倒れてしまった。

 

「も、もう無理!この子だけでも貴方が連れて逃げて!!」

「バカな事を言うな!お前も一緒に<ザシュ!!>…。」

「イヤ、イヤァー!!貴方!!」

 

彼女を立たせようと振り向いた彼は、後ろから迫っていた魔獣に無残にも首を両断され、

 

「死ぬときは一緒よ<ザシュ、ザシュ!!>…。」

 

彼女も彼に寄りかかるように魔獣に殺された。

 

―自らが生んだ赤子を抱きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処も獣にやられたか。黄泉の国、と覚悟していたが…これほどとは。」

 

それから数十分程たった頃、一人の老人が通りかかった。

 

「夫婦、か。ワシの生きていた世界と違い、素晴らしい大自然があるが…いかせん、此処は死者にも厳しい世界なのだな。南無。」

 

屍と化した二人に祈りをし、老人はその場を立ち去ろうとしたが、

 

「―!!」

「この声、赤子か!?」

 

聞こえて来た赤子の泣き声に振り向き、その存在を探し始めた。

 

「な、なんと。母親が身を挺して守ったのか!?」

 

見つけたのは母親だと思われる女の屍の腕の中。奇跡か、母が子を思う力がそうさせたのか分からないが、赤子はほぼ無傷だった。

 

「此処で巡り合ったのも何かの縁。ワシが育て、弟子として鍛えてやろう。そうじゃ、名前がいるな。お前の名は―」

 

今日この日、老人は一人の赤子を拾い育てることにした。自身の業と技術、知識を授けこの世界で生き抜けるように。

 

 

 

 

 

 

~十七年後~

 

 

 

 

 

此処は魔獣達のすむ森。その辺境に小さい小屋がポツンと一軒建っていた。

 

「では、師匠!行ってまいります!!」

「行って来い!世界を見、感じ、己の糧にして来い!!だが、己の力を過信し、獣共に後れを取るようなことは無いようにな!!」

「肝に銘じておきます!!」

 

今日は老人の弟子である彼が武者修行の旅に出る日であった。

 

「…行ったか。さて、半年経ったらワシ直々に様子でも見に行くか。」

 

青年が小屋を離れて行ったのを見送り、半年後修行の成果を楽しみにする老人。

 

「まさか此処が地獄ではなく、別世界だったとは…。」

 

老人はつい最近までこの世界を死後の世界…地獄だと思って来た。それは、老人は此処ではない世界で弟子に看取られて逝ったからである。

 

幻晶騎士(シルエットナイト)、か。願わくば、かの存在…いや。人がこの豊かな自然を破壊せず共存してほしいものだ。」

 

老人は何処か遠くを眺め、そう一人呟いた。

 

 

 

 

~side ???~

 

 

 

 

師匠に武者修行を言い渡されて、俺は今、

 

「すっげー嬉しい!!」

 

嬉しさを爆発させながら森を走っている!だって、師匠が俺をある程度は認めてくれたんだ!!嬉しいくないわけがないぜ!!

 

「この森を出るのも何年ぶりだろうか?師匠と一緒にフレヴィーラ王国って所に買い出しに出て以来だからな!……あれ?あの時どうやって入ったっけ?ま、夜こっそり人に見られないように、壁走って入ればいいや!!」

 

絶対師匠が驚くほどの成長をしてやる!!そして、今度会った時家族として接しよう!!

 

「と、父さんって…いや、じいちゃん?になるのか?」

 

どっちの方がいいのかな?う~ん、俺じゃ分かんねぇわ。そうだ、人に会ったら色々聞いて参考にしよう!

 

「…む、前方に虫の群れ?だが、俺へ敵対の様子は無し!木々の間をすり抜け突破だ!無暗に自然を破壊したら師匠に怒られるし、自然は大切にしないとな!!」

 

俺は目の前に迫っている大きな虫達の上を、木々の枝を足場にしてやり過ごしt

 

『ウワァァァァァァー!!』

『アレン!?クソッ!!』

 

こんな所に幻晶騎士(シルエットナイト)!?まさか、この虫達に襲われているのか?クソッ!助太刀するか!!

 

 

 

 

~side out~

 

 

 

 

その声は女皇殻獣(クイーンシェルケース)を討伐に行ったエルネスティ達以外に聞こえた。

 

『超級!覇王!!電影弾!!』

 

その声と共に凄まじい勢いで殻獣(シェルケース)達を蹴散らすエネルギーの渦が、真っ直ぐ砦へと迫る。

 

「な、何なんだこれは!?敵か?味方か!?」

「分からないわ!でも、陣形を崩さないで!!」

「守りを固めろ!!」

 

そこを守っていた幻晶騎士(シルエットナイト)達が守りを固めようとした時、

 

『ハァァァァァァ!!爆発!!』

 

そのエネルギーは突然上空に進路を変え、最後の掛け声とともに周りに居た殻獣(シェルケース)達を巻き込みながら大きな爆発が起こった。

 

「た、助かったの!?」

「何がどうなっているんだ!?」

 

そして、空中に何か構えを取った一人の青年が浮かんでいた。

 

「う、嘘…」

「ひ、人が浮いてやがる!?いや、それよりもアイツは生身で魔獣を倒したのか!?」

 

この日彼らは魔獣をも簡単に屠る『武闘家』と云う存在に初めて出会った。

 

 

 

 

―これからは、ダイジェストでお送りします。―

 

 

 

 

エルネスティは武闘家の彼に魔法や幻晶騎士(シルエットナイト)が素晴らしいと何時もの様に話したが、彼はそれよりも自身の〝師〟の方がもっと素晴らしいと真っ向から対立。そして、

 

『僕の斑鳩(いかるが)をもってすれば!!』

「そいつに頼ってばかりじゃ話にならんぞ!ウォォォォ!肘打ち!裏拳!正拳!!」

 

いつの間にか生身と幻晶騎士(シルエットナイト)の一騎打ちになっていた。が、彼は生身でエルネスティが駆る幻晶騎士(シルエットナイト)を圧倒。そして、

 

「ぼ、僕の斑鳩(いかるが)が…」

「心、技、体。この三つが合わさなければ、その兵器も存分に扱えん。そして、俺にも言える事だが、自身の力や幻晶騎士(シルエットナイト)とやらを過信しすぎている!まずは、どんな機体であろうとどんな状況でも対応できるようにしろ!!でないと、ソイツの性能を過信しすぎ俺のような者に足元を掬われ、四肢を食いちぎられるぞ!!」

 

あろうことか斑鳩(いかるが)は頭と胴体以外バラバラになっていた。

 

 

 

 

 

『クソッ!敵が多い!!』

『任せて下さい!此処は僕の幻晶騎士(シルエットナイト)で「十二王方牌大車併(じゅうにおうほうぱいだいしゃへい)!!此処は俺が抑える!先に行け!エルネスティ!!」分かりました!貴方もお気を付けて!!銀鳳騎士団、僕に続け!!』

 

敵の幻晶騎士(シルエットナイト)に自身の分身を宛がいエルネスティを先に行かせ、後を引き受けた彼。

 

帰山笑紅塵(きざんしょうこうじん)!!此処から先は行かせんぞ!!」

『な、生身の人間!?』

『ど、どうなってんだ!?』

 

生身の人間が幻晶騎士(シルエットナイト)に対峙していると云う状況を呑み込めない敵。だが、彼は問答無用で突撃する。

 

酔舞(すいこ)再現江湖(さいげんこうこ)デットリーウェイブ!!」

 

敵の幻晶騎士(シルエットナイト)に次々と攻撃を加え、

 

「爆発!!」

 

その掛け声と共に敵を殲滅していった。

 

 

 

 

 

―彼は流派・東方不敗の使い手で名を「クロス」。この名は、額に×印がありそれを見て師匠である東方不敗が付けたのである。

 

斑鳩(いかるが)()られる!?初めての友を見殺しには出来ん!!出ろぉぉぉぉぉぉ!ガンダァァァァァァァム!!」

 

その掛け声でこの世界には無いロボットが降臨した。

 

『この、ヤマトガンダム!止められるモノなら止めてみろ!!流派・東方不敗が奥義!!』

 

そのロボットは掌にエネルギーを集め、最強の業を繰り出した。

 

『石破天驚拳!!』

 

幾多の敵にも怯まず、挑み、高みへと昇るクロス。その先に待っている者とは!?

 

「よく来たな。ワシが相手だ!!」

「し、師匠!?」

 

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