小此木短編集   作:小此木

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第2話 昔話...まぁ、覚えているのは数ヶ月分しかないけど

 

 

Side 三人称

 

青い目をした黒髪の青年と茶色い髪の少年が廊下で対峙している。

 

 

??? LP:3200

手札:2枚

フィールド:真紅眼の黒竜(攻)

伏せカード:2枚

 

遊城十代 LP:1600

手札:4枚

フィールド:E・HEROバースト・レディ(守)

伏せカード:1枚

 

「俺のターン、ドロー!!よしっ!!手札にある『E・HEROフェザーマン』とフィールド上の『E・HEROバースト・レディ』を手札にある魔法カード『融合』を発動!!現れろ!『E・HEROフレイムウィングマン』!!」

 

 

『E・HEROフレイムウィングマン』

星6・風属性・戦士族・攻2100・守1200

『E・HEROフェザーマン』+『E・HEROバースト・レディ』。このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

 

「攻撃力2100のモンスター...だが、俺の場にいる真紅眼の黒竜には300足りない!この状況どう打破する!!」

 

「へへっ、先生。ヒーローにはヒーローの戦う場所がある!!手札よりフィールド魔法『摩天楼―スカイクレイパー』を発動!!」

 

 

『摩天楼―スカイクレイパー』

「E・HERO」と名のつくモンスターが攻撃する時、攻撃モンスターの攻撃力が攻撃対象モンスターの攻撃力よりも低い場合、攻撃モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ1000ポイントアップする。

 

 

「っ!!...素晴らしい。ちゃんと次の手も考えている。だが、伏せてあった速攻魔法発動!!『サイクロン』!!」

 

「やばっ...なんちゃって。伏せてあった『神の宣告』を発動!ライフを半分払い『サイクロン』を破壊!」

 

 

『神の宣告』

ライフポイントを半分払って発動できる。魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。

 

 

遊城十代 LP1600 → LP800

 

「次何かあります?」

 

「...無い。君は実践の方が活き活きしてるな。それを少しでも筆記に向けてくれないか?」

 

「ハハハ、努力してみます。じゃ、行きますよ先生!!」

 

「ああ、来い!!」

 

「『E・HEROフレイムウィングマン』で『真紅眼の黒竜』を攻撃!スカイスクレイパー・シュート!!」

 

「くっ、俺の『真紅眼の黒竜』が!!」

 

「そして、『E・HEROフレイムウィングマン』の効果発動!このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。フレイムシュート!!」

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

??? LP0

 

 

 

「ガッチャ!...いい決闘だったぜ!先生!」

 

「ふぅ、また負けてしまった。」

 

「...なぁ、先生。」

 

「ん?どうしたんだい遊城君?」

 

「伏せていたカードは何んだったんです?」

 

「あぁ、これはトラップカード『竜の逆鱗』だよ。次のターン君の守備表示になっていたバースト・レディを攻撃する時に使おうと思っててね。」

 

「へへっ、あの時フェザーマンを引いたから俺は逆転できたんですよ!」

 

「はぁ、真紅眼を出したからちょっと気が緩んでね。魔法カードの『黒炎弾』でLPを削るんじゃなくて壁モンスターのバースト・レディを破壊しとけばよかったな~」

 

「...先生。一ついいですか?」

 

「ん?何?」

 

「何故本気を出さないんです?...いや、何故メインデッキを使わないんです?」

 

「ありゃ、バレちゃった?」

 

「何となくですけど、デュエルをしてて感じたんです。こう、何か、言い表せない感覚で。」

 

「う~ん。君はデュエルの時は感覚も研ぎ澄ませられる体質があるかもしれないね。」

 

「答えてくれますか?」

 

「誰にも言わないでね。」

 

「はい!」

 

「実を言うと俺、自分のメインデッキ以外を使うと必ず手札事故起きるんだよね~。それも、他人から見れば『なんでそんな事故起きるんだよ!!』って叫ぶぐらいの神がかったものばかり。さっき最初の手札は真紅眼2枚に黒炎弾3枚だったよ!!」

 

「う、嘘~!」

 

「あ、あと俺、記憶喪失でここ数ヶ月間の記憶しかないから。」

 

「へ?」

 

「いや~、記憶喪失って大変だよ。気が付いたら道路のど真ん中に立ってて、自分の名前以外何も思い出せないんだよ!ハッハッハ!いや~、あん時、海馬社長...っとオーナーの車が俺を轢いていたら何も分からず死んでたよ。」

 

「ちょ、ちょっとどういうことですか!?」

 

「まぁ、気にするな。また機会があれば話してやるよ。いや~、今にして思うと幸運だったと思うよ。死ななかったし、就職できたし。」

 

「そ、それは良かったですね。」

 

「あと、メインデッキは使わないんじゃなくて、今は使えないんだよ。」

 

「使えない?」

 

「あぁ。この腰に何時も持っている黒いデッキケースの中にあるんだけど、オーナー直々の禁止命令にカギまで付けられてしまってね~。こいつらを使ってデュエルしたいんだけど強すぎるのが問題で...「そ、そんなに強いんですか!?」うん?」

 

「そうだよ。フッフフ、本気の俺は誰にも負けない!!...な~んてね。まぁ、強いだけじゃないんだけどね~。それじゃ、俺は用事があるから。」

 

「は、はい。ありがとうございました。」

 

黒い髪の青年はその場から歩いて去っていった。

 

Side out

 

 

 

Side ???

 

 遊城十代君か~。彼への認識を改めないといけないな。俺の授業で何時も『スイミングスクール』に通っていたからな。...居眠りの方ね...やる気の無い生徒かと思っていたが今日のデュエルで考えが変わったよ。あの子は伸びる。絶対!!

...それに、不思議な子だったな。ここに就職して初めて俺がメインデッキを使っていない事に気付いたし、クロノス教諭以外に記憶喪失の事話しちゃったし。あの子にだけ俺のメインデッキ少し体験させて『マスターよろしいですか!!』うおぉぉ!!何ですか!俺の思考にいきなり念話で入ってこられると心臓に悪いっすよ_さん!!

 

『っ、も、申し訳ありません!!以後気を付けます!!ですが、軽々しく私たちを世間に見せてはオーナーとの約束に反します!!』

 

ご、ごめんよ~。そんなに軽い気持ちではなかったんだけどね~。って声に出てた?

 

『はい、あの子にメインデッキを体験させるって言ってましたよ。まぁ、彼は原作の主人公で覇王ですから私たちとのデュエルはイイ線行くと思いますよ。』

 

ん?原作?主人公?覇王ってなんだ?

 

『っ、な、何でもありません!!ささっ、早く寮に戻りましょう!!』

 

はいはい、急かさなくても戻りますよ~。ま・さ・か俺の過去知ってるんじゃないのか~!!

 

『ギ、ギゥ~。し、知りませんよ!ササッ、ハヤクリョウニモドリマショウ。』

 

な~んか怪しい。それに最後の言葉二回目だぞ!!

 

『そ、そそそそんなこと!あ、ありませせせんよ!!』

 

まぁ、そのうち記憶も勝手に戻るだろう。今は不問にしてやるよ。おっと、録画しておいた『ジョジョの奇妙な冒険』観ないと!!

 

 

 

―数ヶ月前―

 

 

一台のブルーの自動車が車道を走っている。...これを自動車と呼べるならであるが。この車はあるゲームのモンスターの形に象られている。運転手はとあるゲーム会社の社長。助手席にはその弟。

 

「モクバよ次の予定は?」

 

「兄様、次の予定はないよ。今日はもうKC(海馬コーポレーション)へ帰れるよ!」

 

「ふぅん、なら会社へ戻るぞ」

 

 

KC(海馬コーポレーション)の建物が見え、二人は油断したのだろう。歩道の真ん中に立っていた一人の歩行者に気づかずに自動車で突っ込んでいく形になってしまっていた。

 

「に、兄様!前!!」

 

「何!!クソ!!止まれぇぇぇ!!!!」

 

 

 

Side ???

 

 

あれ?ここどこ?俺は誰?う~ん思い出せない。え~っと、え~っと、な、名前。そ、そうだ!!俺の名前は北上宗右衛門(きたがみそうえもん)だ!!でも、それ以外分からない。

 

『キキー!!』

 

「なんだ?五月蝿いな~。って車ぁ!!」

 

真横を見てみると奇抜な形の自動車が俺めがけて突っ込んでくる。あぁ、俺死んだな~。死ぬ時って走馬灯が見えるって聞いてたけど、そいつら全員生きてるじゃん。

とアホなことを考えながら俺は身体を強(こわ)ばらし目を瞑った。

 

Side out

 

 

「止まれぇぇぇ!!」

 

『セト様!私が止めます!!セト様、モクバ様衝撃に耐えてください!!』

 

「わ、分かったよ。義姉さんも怪我しないでね!!」

 

『大丈夫です!!』

 

「キサラ!頼んだぞ!!」

 

『私にお任せ下さい!!』

 

 

自動車の前に光が出現し、光の中から一体の青いドラゴンが出現した。そのドラゴンは自動車の横に体当たりをし『ドコォ』という音を立て無理やり止めた。

 

 

 

「何処の馬の骨だ!!お前は赤信号が分からなかったの...お前らは何者だ?」

 

 

 そこには、女性が二人青年を守るように佇んでいた。青年の右はピンク色の髪で奇抜なファッションの豊満な胸の女性。そして、左側には青い短髪で青いスカートの女性。

 

 

Side 宗右衛門

 

あれ、衝撃が来ない。恐る恐る目を開けたら見知らぬ女性が二人俺の前に立っていた。

 

「何処の馬の骨だ!!お前は赤信号が分からなかったの...お前らは何者だ?」

 

「私は魔導法士ジュノン。」

 

「私はブリザード・プリンセス。」

 

「え、えっと俺は北上宗右衛門...だと思います。」

 

「「「はぁ?」」」

 

俺を多分守ってくれていた女性二人と自動車から降りてきた男の声がハモる。

 

「マ、マスター!我らをお忘れですか!!」

「わ、私達あんたと一緒に此処に飛ばされてきたんだよ!!」

 

そう言って二人の女性は俺に迫ってきた。

 

「お、お二人さん近い近い!!ってか俺、嫁さんか彼女居たのか!?」

 

「マ、マスターお嫁さんだなんて!」

 

ピンク色の髪の女性は宗右衛門の言葉で頬を赤らめた。

 

「ちょ、ジュノン。それは私が言われたんだから!!」

「なによ!ブリザード私に...「喧しい!!」あっはい、すみません。」

 

「でだ、お前らの名前は分かった。そこにいる北上とか言ったな。」

 

「は、はい!!」

 

「俺の自動車が傷を負った。どうしてくれる?」

 

「す、済みません!!べ、弁償します!!」

 

「ほぅ、言ったな馬の骨!!修理費1億直ぐに出してもらおうか?」

 

「い、1億!!」

 

「ちょっとアンタ、コイツが悪かったのは認めるけどその修理費額はぼったくりじゃないの?」

 

青い髪の短髪の女性。ブリザード・プリンセスさん?が男性に言い返す。

 

「ふぅん、この俺に意見するとは!お前らの意見なぞ聞くに値せんわ!!」

 

「テメ、こっちが下手に出てりゃ言いたいこと言いやがって!!」

 

いや、貴女全然下手に出てなかったっすよ!?てか、これが『私の為に争わないで!!』ってやつ?

 

「セト様、いいじゃないですかどちらにも怪我人出てなかったんですもの。ここは、穏便に、穏便に。」

 

「ふむ、まぁキサラがそこまで言うのなら少しは考えてやってもいいか。」

 

よ、良かった~!1億払わなくても乗り越えられそうだ。そういえば俺って金持ってたっけ?や、やべ!!一文無しだったら死ぬまで働かされそうだ!この男性ならありえそう~。

 

「改めてありがとうドラゴンさん。アナタのおかげで無事に済みそうです。...あれ?ドラゴンが喋ってるー!!」

 

これが記憶喪失の青年北上宗右衛門とKC(海馬コーポレーション)社長、海馬瀬人の出会いであった。

 

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