はぁ~、マスターがこのデュエルアカデミアの教師になって早数ヶ月。大分マスターも教師に慣れてきましたね。・・・たまに助言もしましたが。当初マスターが記憶喪失だと判明して慌ててしまい嘘を言ってしまいました。孤児院などに引き取られてもいないし、私達が親代わり姉代わりというのも嘘。本当はあの方に送り込まれただけなのですが...マスターの記憶が戻ったら怒られてしまう。・・・ジュルリ、そ、それも良いかも...っと、いけない、いけない、少し思考がいけない方向に向きかけましたね。あの後ブリザードとお姉様には弁解しました。...が、あの夜のお姉様の顔は一生思い出したくないです。あと、大体の状況は把握しました。此処は遊戯王GXの世界。遊城十代がまだ入学して間もないので直ぐ分かりました。しかし、これから起こる事をマスターに伝えた方がいいでしょうか?それとも伝えずにさり気なく原作の事件から遠のいてもらいましょうか。ムムム...
「はぁ~、何でマスターは記憶をなくされたのでしょう?」
「どうしたんだジュノン?」
「あぁ、ブリザードいいところに。」
「?」
私はブリザードに今後この世界で起こりうる事件をどうするか考えている事を伝えた。
「う~ん、今のアイツは自分自身の事で精一杯だ。あまり負担を増やす行為は賛成できないね。」
「ですね。それにマスターなら『生徒を守るため』って突っ走りそうですね。」
「ああ、アイツは記憶を無くしても義理人情に厚いところだけは変わらないからな。」
「そう考えてみれば私達が心配するのは、マスターが『この世界でどうやって生きていくか』ですね。」
「だな。まぁ、お前も気を張り詰め過ぎるなよ。私もいるし、姉さんもいる。何かあれば私達がお前もアイツも支えてやるから。」
「ありがとうブリザード。」
ブリザードにお姉様がいる。私は独りじゃない。それにマスターも少し抜けていることがあるけど、しっかりものだし大丈夫よ。私の魔導書庫にあるとあるスペースの本に『記憶がなくても頑張って生きている人』も多く記載されていたし、ある人は『記憶がなくても武器の威力は変わらんぜ!』って言っていた人もいる。マスターの記憶がなくても私達がいる!!私達を扱ったマスターは記憶喪失以前と全く変わらないプレイングで海馬瀬人に勝った。大丈夫。私の考えは杞憂になる...はず。
『ジュノンさんちょっといい?』
「は、はい!マスター何でしょうか?」
『試験の採点が明日までなんだけど、手伝ってもらえる?』
「はぁ~、またですか?」
『す、済まん!!お前以外に頼める奴がいなくて...』
「...お姉様にまた『精霊は手伝いをするためにいるんじゃない』って怒られますよ?」
『そ、それは...』
「分かりました。お姉様には内緒ですよ。」
『ありがとう!!ジュノンは俺の天使だよ!!』
「ちょ、ちょっとマスター嬉しいですけど私は魔女ですよ///」
『さぁ、バリバリやるよ!!ジュノン俺に続けー!!』
「マスター赤ペンの在庫は十分ですか!!」
『応よ!!』
「さあ、我らの怨敵を倒しましょう!!」
「マ、マスター...終わりました。」
「あ、ありがとう。...そろそろ夜が明ける...今日のじゅ、授業のじ、準備を...」
私達は勝った。あの書類の山を5時間で倒したのだ!!だが、私たちの代償は安くない。私はダウン。マスターは今日の準備をする為、6畳一間の寮の端にある机にカバンを取りにのろのろと立ち上がっていた。
寮と言ってもこの部屋は6畳一間の和式で、卓袱台と机、衣装棚を設置してあるだけの質素なものだ。無論布団は畳の上に敷く敷布団。風呂とトイレは寮にある共同のものを生徒と一緒に使用している。そして、マスターが寮長しているのはラーイエローと呼ばれるクラスだ。この部屋を見る限りラーイエローの生徒やオベリスクブルーの生徒より部屋は狭い。最悪オシリスレッドの生徒より狭いかもしれない。
このデュエルアカデミアでは、オシリスレッド、ラーイエロー、オベリスクブルーにクラスが分けられオシリスレッドから順にデュエルが強いもので分けられている。そして、オシリスレッドでもオベリスクブルーに入るチャンスは幾らでもある。優秀なデュエリストを育成するため、それぞれ優劣を大まかに決めそれを覆すため、維持するため生徒たちに切磋琢磨してもらうよう社長が作ったシステムだそうだ。一番上がオベリスクブルーなのは完璧に海馬さんの趣味だと私は思う。...話が逸れましたね。しかし現状では、金にものを言わせ強力なレアカードを持ったオベリスクブルーの生徒が、オシリスレッドの生徒を見下し一種の階級社会的状態になっている。私個人の見解では、オベリスクブルーの大半はプライドの高い傲慢なお坊ちゃん、お嬢ちゃんばかりで何か嫌だし、オシリスレッドの大半は上に上がるのを諦めている子が多い。まぁ、原作通りなのはいいけど実際見てて面白いもんじゃないわよね。
あっ、マスターの足元にマスターがさっき飲んでいた栄養剤の空き瓶が...ヤバイ、早く伝えなければ...口が思うように動かない。
「マ、マスターあしも...」
『ツルッ、ゴチン!』
マスターは空き瓶を踏み、弧を描くような綺麗な放物線を描き顔面を畳に強打した。
「っ、マスターご無事ですか!!」
「た、体力増強剤...スーパーZはげ、現実には存在しないのか...」
「マ、マスター!!気を確かに!!」
「お~い、どったのジュノン?」
「ブ、ブリザードいいところに!!マスターを布団の上に!!早く!!」
「っく、どうしだ!?誰にやられた!!まさか、アムナエルに私達のことがバレてやられたのか!?」
「...いえ、過労でフラフラの状態の時、足元にあった空瓶を踏んづけて顔面から...」
「そ、そうか。って、ジュノンお前も目の下に隈ができているぞ!!お前ら二人また朝まで採点やらやってたんじゃないだろうな!!」
「ご、ごめん。」
「はぁ~、二人共頑張るのはいいが、限度ってものを考えろよ。この書類は私が責任をもってクロノスに渡すから、ジュノンもそこで寝ていろ!」
「...分かった。休む。」
その後直ぐに実体化したブリザードが黒い女性用のスーツを身に纏い、マスターの書類を持って部屋を出て行った。はぁ、こんなことになるとは思ってなかったわ。私も少し疲れが出てるのかな?...そういえば今はマスターと一緒の布団で二人っきり。こ、これはあの方からの思し召し!!据え膳食わぬは乙女の恥!!
「マ、マスター頂きまs...「ほぅ、私の目の前でいい度胸ですね。」...お、お姉様!!」
「貴女達がまた倒れたと聞いて精霊界から文字通り飛んできたのですが...貴女はしっかり休んだ後お説教ですわね。」
「ご、後生を~!!」
「聞く耳持ちません。」
「そ、そんな~。」
後日私達はお姉様にコッテリ絞られた。今後はブリザードとお姉様も手伝ってくれる事になりました。マスターが倒れたのはこれで3回目になります。マスターはお姉様に怒られるのが嫌で一度も相談してなかったそうです。...私が早く相談していれば!!悔やんでも悔やみきれません。あと、最近生徒間で『宗先生にクールな女性秘書がいる』という噂を聞きます。間違いなくブリザードのことでしょう。...何か美味しいところ全部取られた気がします。